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2022.04/05 PETの成形(3)

PETの射出成形が悪いこと、そしてそれを改良する手段があることを連続して述べてきたが、この射出成型性について、樹脂が早く固化することと勘違いしている技術者がいる。


射出成形に限らず、他の成型方法でも重要となるのは、樹脂の融体のレオロジー制御である。とりわけ温度依存性あるいは周波数依存性が重要になってくる。


PETの粘弾性について温度依存性を測定してやるとTc付近で一気に動的弾性率が高くなる。すなわち樹脂が硬化する。ゆえに硬化速度が遅いわけではない。


このような場合に何をもって遅いとするのか早いとするのか明確にしないと科学的ではないが、少なくとも実技において、成形性向上のために制御すべきはレオロジー特性の温度依存性の最適化である。


それゆえ多成分のポリマーアロイとしてレオロジーの温度依存性を制御するとともに、結晶化速度も制御している。さらに結晶化速度だけでなく多成分のポリマーアロイとしたことで結晶子サイズの制御まで行っているのだ。


このようなアイデアは教科書に書いてない非科学的アイデアだが、出来上がったコンパウンドはここに書いたような特性と機能を発揮している。非科学的アイデアだが、アイデアの根拠となる現象を多数経験している。

カテゴリー : 一般 高分子

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