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2022.06/27 コンパウンドの評価

数年前、コンパウンドの品質評価データに捏造があり、某社の社長が頭を下げた。当時このほかに3件ほど品質データの捏造事件があったが、それらで何か製品の事故があった話を聞かない。


面白いのは、社長の謝罪記者会見の直後に、トヨタ自動車から部品について品質を見直したところ問題が無かったので捏造の影響なし、という談話を出した。その後他の自動車メーカーも同じような声明を出している。


冷静に考えると、ユーザーへの配慮と思われるこの声明はおかしな話であるが、高分子材料ではありうる話である。すなわち、コンパウンド段階で品質に問題があったとしても、射出成形体の機能でその問題が現れないことがあるためだ。


逆に、コンパウンド段階でテスト成形を行い問題が無くても、顧客の射出成形で問題が発生することがある。当方のセミナーではこのような問題についての解析事例も公開している。


公開しているのは、中国ローカル企業の体験であり、またデータは主成分分析により加工して説明している。高分子材料では、コンパウンド段階の評価と、射出成形体における評価とが合わないことはしばしばある。


ゆえに中間転写ベルト用コンパウンド工場を立ち上げたときには、タグチメソッドのSN比をはじめとして、様々な評価をコンパウンドに対して行い、押出成形体の物性との対比をして品質維持に努めるとともにその問題を考えるためのデータを収集した。


半年ほど6項目の評価を続け、コンパウンド及び成形体の品質が十分に安定していることを確認したので、1年後にはコンパウンドの品質評価をすべて撤廃している。このあたりの品質管理方法についてはご指導可能なのでコンパウンド評価で悩まれている方はご相談ください。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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