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2023.06/02 高分子の機能向上

高分子の高機能化には一次構造の設計と複合化による設計の2種あり、開発の容易性において後者の方が経済的な視点から優位である。


一次構造の設計では重合条件が障害となる。すなわち机上で理想的な一次構造を設計できたとしても重合できなければ、あるいは側鎖の化学修飾にしても合成できなければその機能性を確認できない。


それに対して複合化による材料設計は、混練機が手元にあればおおよその検討をつける実験を容易にできる。但し、それが量産で再現できるかどうかは別の問題だが、とりあえず機能の確認をするためのモノを作ることができる。


複合化で高機能化が期待できる結果が得られたならば、タグチメソッド(TM)を行うとロバストの高い高機能性高分子ができる。


高分子の重合特許よりもコンパウンディングに関する特許の方が圧倒的に出願件数が多いのはこのような容易性からも説明ができる。


高分子の高機能化において工業的にはコンパウンディング技術が重要になってくるが、実はこの技術に関する形式知は少ない。論文を読んでもそこに書かれた結果を手元の混練機で再現できない場合も存在する。


また混練プロセスにおいて、バンバリーとロールの組み合わせによるバッチプロセスは、連続プロセスよりも高性能のコンパウンディングが可能である。しかし、この経験知はあまり知られていない。また樹脂をロールで混錬すると説明した時に笑う技術者もいるから面白い。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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