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2023.06/22 高分子の破壊と劣化セミナー

7月5日に日刊工業新聞主催により表題のセミナーが開催される。(https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/6553

高分子の破壊と劣化については、金属やセラミックス同様に1970年代まで線形破壊力学として研究されてきた。当方が社会人となった時に、その研究方向の雲行きが怪しくなってきたときである。


その3年後にセラミックスフィーバーが起き、セラミックス分野では破壊と劣化に関する研究が急速に進歩した。これは、当時高効率ガスタービン開発を目標としたムーンライト計画の寄与するところだが、信頼性工学も導入されて、いすゞ自動車は世界初のオールセラミックスエンジン車の開発に成功している。


セラミックスアスカがその車で、その疾走する姿を映し出した「日本の先端技術」と言う番組は、日本中の技術者が視聴した。そのナビゲーターだった当時慶応大学学生宮崎緑氏は一躍技術者の憧れのマドンナとなった(あれから40年過ぎているので—。)。


また、セラミックス事業を行っていないメーカー1000社近くが新たにセラミックス市場に参入している。当方の在籍したゴム会社も高純度SiCを武器に半導体治工具事業へ参入し30年事業が行われた(今は愛知県にあるセラミックス事業の会社MARUWAに事業譲渡された。)。


セラミックスや金属では線形破壊力学の延長線上で形式知が体系化され、御巣鷹山の飛行機事故の裁判では、判例にフラクトグラフィーが使用されている。


ところが高分子材料の破壊と劣化問題については未だトランスサイエンス領域の学問である。日本におけるマテリアルズインフォマティクスの黎明期に線形破壊力学を持ち出し、高分子の破壊を説明していた学者がいたが、この分野の研究について無知な学者と言いたくなるような講演を行っていた。


さて、7月5日のセミナーでは、当方がSiCの破壊について研究した成果も含め講演する。すなわち改めて材料の破壊の歴史的背景から丁寧に説明し、実務でどのように対応したらよいのか、当方の体験を基に解説する。


実務で高分子材料を扱っている技術者は是非この機会に受講していただきたい。そこでは、某大学の先生のご指導を受け、アーレニウスプロットで考察を行い寿命予測した高分子材料の機能部品でとんでもない品質問題を起こした事例を紹介する。


この問題を当方が1か月程度で火消を行った自慢話となってしまうかもしれないが、実務の参考になる事例と思っている。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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