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2023.07/04 タグチメソッド

田口メソッドと書くのは間違いである。「タグチメソッド」とカタカナで書くのが正しい。田口先生から3年間直接ご指導を受ける幸運な機会に恵まれたが、田口メソッドとレポートに書いて叱られた思い出は強烈だった。


田口先生は、1979年に「実験計画法」と言う本を書かれている。87年にはその改訂版が出ているが、ばりばりの実験計画法の著書であり、そこに数ページだけSN比について説明がある。


この本を読むとタグチメソッドの生み出された背景をよく理解できる。当方は79年にゴム会社に入社し、日本科学技術連盟のBASICコースで1年学び、実験計画法を業務に導入して使っていたが、BASICコースで学んだ方法でなかなか良い成果を出せなかった。


理由は、最適条件がよく外れたためである。当方は日本科学技術連盟で教えられた方法を忠実に守り実験を行ってきて、科学こそ命と妄信している研究者集団の研究所で笑われたりしている。


このゴム会社の研究所では、統計手法さえその導入普及が難しかったアカデミアよりアカデミックな風土だった。当方はそのような風土の中でむしろかたくなになり、統計手法や数理モデルによる問題解決に傾倒していった。


その時実験計画法を行う時に外側へ相関係数を配置すると最適条件がよく当たるようになることを発見した。田口先生のように直交表の研究からのアプローチではなく、周囲からの嘲笑が引き金となった成果である。


この方法は、感度を外側因子として配置し、実験計画法を行うので、SN比を直交表の外側因子に配置する二段階のパラメーター設計を特徴とするタグチメソッドとは異なるが、機能を向上する最適条件を求める点では共通している。


但し、研究所では、効率を上げるための実験計画法で実験数を増やしているバカと陰口を言われたが、田口先生にこの手法をお話しした時に褒めていただいた。


その時に田口先生からは、感度ではなくSN比重視の機能設計が重要で、二段階パラメーター設計が正しい方法と諭されている。


タグチメソッドとは異なる方法ではあったが、フェノール樹脂天井材の開発やSiC基切削チップ、SiCヒーターなど配合がその機能を左右する開発で短期間に成果を出すことができた。

カテゴリー : 一般

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