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2023.09/14 新規ポリマーアロイ(2)

同一配合で異なる物性のコンパウンドをプロセス設計により作り分ける、これができない技術者は新材料開発能力が低い、と言わざるを得ない。


また、配合と物性は1:1に対応すべき、と某国家プロジェクトの目標に書かれていたようなことを信じている技術者はもっと材料技術について勉強すべきである。


PPS/6ナイロン/カーボンを二軸混練機で常識的な混練をしている限り、押出成形で半導体ベルトの歩留まりが100%となるコンパウンドを製造することは不可能である。


力学物性を犠牲にすれば、二軸混練機を二回用いることで、電気抵抗の安定したコンパウンドを製造可能である。例えば6ナイロン相にカーボンを分散し、それをPPSと混練すると得られる。


しかし、カーボンの分散したナイロン相のドメインが硬いので、そのようなコンパウンドで製造した無端ベルトは紙のような靭性のベルトとなる。


力学物性も電気物性も両方目標物性を満たしたコンパウンドを製造するためには、現在のところカオス混合しかない。すなわち、カーボンの凝集相が6ナイロンの相溶したPPSに分散した高次構造を有するコンパウンドなら電気物性も力学物性もその品質が良好な半導体無端ベルトを押出成形できるようになる。


ただし、PPSと6ナイロンのχは大きいので、これはフローリー・ハギンズの理論に反する、と考えた方は優秀である。カオス混合は、科学の形式知に反するような現象が発生するトランスサイエンスの混練方法である。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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