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2025.01/26 企業ガバナンスと風土

中居氏の引退発表があっても収まらないのが、今回のフジTV問題で、倒産するかもしれないくらいの事態になっている。一芸能人と一般人との示談で解決した問題がなぜここまで大きくなったのか。


それは、当事者と周囲の事件に対する認識の相違で、雪だるま式に問題が大きくなっている。おそらく中居氏は過去に何度も今回のような問題を起し、示談あるいはそのほかの方法で解決した実績があるのだろう。


今回は、彼にとって想定外のことが起きていると思われる。だから、彼は週刊誌報道後芸能活動継続の談話を発表していたのに、不本意ながら引退した。


問題は被害者側が示談により満足したかどうかである。被害者側で問題解決されていなければ、示談を結んでも今回のようになる。ゆえに今回のような問題では、被害者側の根本的な問題を組織が解決する必要があった。


しかし、被害者は1年以上前に上司の女性に相談したが、問題解決に至らなかったと週刊誌で報道された。新聞のニュースでは上司の女性はそれなりの対応をしたとなっているが、それが組織の中で十分に機能していなかったようだ。


それどころか、事件が知られていても中居氏を1年以上番組に登場させていた。これについて、日枝体制の問題を指摘しトップリーダーもしくは組織の実質的リーダーに責任をもとめている記事もある。確かに組織のガバナンス問題の責任はリーダーにある。


しかし、当方の転職経験をもとに今回の問題を公開された情報から想像してみると、問題発生時における組織風土も影響している可能性がある。


すなわち、組織風土はリーダーとその構成員により形成されるのだが、これはガバナンスを強化して一時的に変えてもそれを永遠の風土とすることが難しい。


中居問題が、もし今回のフジTVと異なる組織風土で起きていたならば、異なった展開になっていたかもしれない。例えば組織で問題が起きれば周囲で共有化でき、上下の風通しが良いような風土であったなら被害者の痛みを組織として問題解決できた可能性がある。


今回の問題で、被害者が退職を余儀なくされている点を当時の上司を含めて組織メンバーはどのようにとらえているのだろうか。当方含め3人が同時期に他社へ転職している体験では、当方が指導していた新入社員が最初に転職した理由や転職先を知らされていない。


入社4ケ月程で当方に相談なく突然転職し、指導社員である当方はびっくりした。直属上司に相談しても突然退職届を出されたという。


その後当方が転職を表明するのだが、引き留めたのは直属の上司と人事部だけだった。同じく3人目の転職候補が現れたが、職場は無関心だった。


新入社員の突然の転職では、転職先含め理由について不明だった。ところが、当方が写真会社へ転職後、福井大学と共同研究を行うことになって、挨拶に伺ったときに、そこで偶然彼と出会い転職理由を聞き納得した。その彼は、小生を客員教授として推薦してくださった。


企業ガバナンスは、その風土に影響を与えるかもしれないが、風土の本質まで変えることができるかどうかは、不明である。一方、そのパワーに反応する組織メンバーの職場風土に与える影響は組織メンバーの特性に依存する。


いつかその体験談(注)を書きたいと思っている。ハラスメント撲滅を叫んでみても、組織風土によってはハラスメントを完全に無くすことは難しいケースもあるかもしれない。


あのトヨタでさえ過去にハラスメント自殺問題が起き、人事評価を多面評価にすると発表があった。しかし、多面評価の人事制度であっても何らかのハラスメントは起きているのである。


(注)ゴム会社は、技術部門において研究所とタイヤ開発部門では、全く職場風土が異なっていた。写真会社では、複雑で、リーダーの個性の数だけ職場風土があるような会社だった。統合後、統合相手の研究部門へ単身赴任しているが、ゴム会社のタイヤ開発部門に風土が似ていた。企業風土は業務スピードにも影響を与える。カオス混合プラントを全くの基盤技術が無い状態から3ヵ月で立ち上げているが、おそらくこのような風土の開発部門でなければ難しかったと思っている。

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