2025.02/05 オブジェクト指向(8)
昨日書いたが、U本部長の「まず、モノ持ってこい」という指示は、アジャイル開発であると同時に考え方はオブジェクト指向である。
通常研究企画書では、研究の背景から説明が始まる。そして当時の研究所の企画書の多くは、世界初とか、他社を引き離しダントツになる、とか、勇ましい言葉が並んだ。
そして、その研究が本当に事業となるのか、あるいは研究をした結果どのようなモノができるのかは、明確に語られなかった。研究目標とその研究成果がモノとして現実のモノになるかどうかは大きく異なるとともに月とスッポンぐらいの差がある、と本部長は言われていた。
それに対して、今技術が無いから研究して技術を作り出す、と食い下がる管理職もいたが、具体的なモノの姿を説明できない状況になると、「女学生より甘い」とU本部長は叱っていた。
今ならNGワードだが、言われた管理職はその一言で黙る以外方策はなかった。そのような企画会議で、当方は、SiCヒーター、SiC切削チップ、SiCるつぼなど、とりあえずモノを作って説明した。
企画の説明は簡単であった。モノをU本部長に渡し、現在出来上がっているモノの問題点を語り、その問題を解決するために研究する、と結論すればよかった。
そうすると、費用とか工数の質問が間髪入れずU本部長から出てきたので、それに答えるだけでテーマとなった。SiCヒーターはその後事業として立ち上がったが、切削チップは、U本部長の判断で事業立ち上げに時間がかかるという理由で半年研究し、中断している。
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今ならば、パワハラでアウトになるかもしれないU本部長のご指導で、企業の研究で陥りやすい誤りに気づいた。すなわち、科学的に優れた研究成果でも技術として機能しない場合がある、という点である(続く)。
カテゴリー : 一般
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