2025.04/30 AIブームと不易流行(13)
情報化の時代では、公開された様々な知の断片がインターネット上に散らばっている。そこには、科学の形式知以外に経験知の断片も含まれている。
技術の進歩でコンピューターは、広大なメモリ空間とそこにアクセスし情報を整理できる能力を獲得した。人知では到底扱うことのできない量のビッグデータをいとも簡単に処理できるのは、コンピューターの道具としての優れた機能である。
知の断片を深層学習により関係づける能力について、その活用方法は技術者一人一人の英知にかかっている。
今のところ、暗黙知による創造は、人間にしかできない知の活動なので、膨大な形式知を記憶する努力をコンピューターに肩代わりしてもらうぐらいの気持ちで生成系AIを使ってみてはどうだろうか。
これができるようになると、知の体系に目を向けたくなる。ドラッカーは半世紀以上前にその重要性を指摘していた。知識労働者の時代にあって、知のマネジメントの対象の一つとして、ようやくコンピューターが実用的になったのである(注)。
(注)
人類が知の活動により繁栄してきた不易については説明の必要がないだろう。さらにドラッカーは経営資源として知の重要性を指摘し、現代を知識労働者の時代とした。第三次AIブームで生まれたAIが第二次AIブームのAIと異なる動作であることは、これまで説明しているが、第二次から第三次に至るまでに何が起きたかについて補足したい。データサイエンスの一分野に統計があり、統計的手法の発展としてサポートベクターマシン、ランダムフォレストなどと呼ばれる機械学習手法が開発されている。ニューラルネットワークの基礎研究としては、LeNetと呼ばれる画像処理を行う畳み込みニューラルネットワークが開発され、これが深層学習の重要な基礎となった。しかし電子機器の処理能力が理論に追いついておらず、第三次ブームまでの間は、それぞれの専門家以外には注目されていなかった。昨今の技術革新のスピードを考えると、30年の変化なので温故知新で第三次ブームが起きた、とも言える。AIの時代にあって不易流行に温故知新、含蓄のある言葉である。
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