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2025.05/07 開発へAIをどのように取り込むか(2)

第二次AIブームの時代に研究されたAIは、専門分野の知識をアルゴリズムとしてプログラムに実装して推論を行わせるタイプだった。


そのため、知識の量が膨大になった時に、知識同士で矛盾や一貫性の無さが発生した。これに対し、生成系AIでは、深層学習のアルゴリズムを実装したソフトウェアマシーン(学習機械)へビッグデータを学習させ、それにより生成された判断ルールで動作している。


すなわち、知識そのものをアルゴリズムに実装せず、知識をデータとして読み込む学習により動作しているので、知識の量が膨大になっても矛盾を生じにくい。


ところで、最近の義務教育では、コンピューターのプログラムがアルゴリズムとデータから構成されていることを学習する。科学技術計算用プログラミング言語として知られているFORTRANではデータを静的な扱いとし、動的なアルゴリズムの設計がプログラミングの主要な作業だった。


それから約40年後の第三次AIブームでは、データもアルゴリズムと同様に動的な振る舞いを持つ「オブジェクト」の一つとして扱われるようになった。


すなわち、アルゴリズムもデータも、共に動的なオブジェクトとみなす考え方へソフトウェア技術は進化し、これはFORTRAN時代からの大きなパラダイムシフトである。


1980年代にいくつかのオブジェクト指向プログラミング言語が登場して、それらを活用したソフトウェア開発の過程でデータとアルゴリズムの関係が再検討された。


つまり、マイクロコンピューターの登場以降、ハードウェアの進歩によってDXによる社会変革が進行したが、そのハードウェアを制御するソフトウェアの分野でも、DXによる技術革新が起きていた。


第三次AIブームを支えるソフトウェア技術のキーワードとして、「オブジェクト指向」「深層学習」「データ駆動」の3項目は重要である。


第二次AIブームでは「エージェント指向」と呼ばれるプログラミング技術が登場しているが未完成であり、完成した先端ソフトウェア技術の考え方を日々の業務に取り入れたいのであれば、この3項目について学べばよい。


それらの技術と各技術者の知識やノウハウを組み合わせ、新たなパラダイムを構築すれば技術開発業務をDXできる。そのために、すべての技術者がプログラミングスキルを習得することが望ましい。


義務教育においてもプログラミングが必修科目となったので、現役の技術者がこのスキルを身につけているのは、もはや常識である。

 

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