2026.06/12 燃焼時のドリップ防止技術(1)
火災が発生すれば、あらゆる有機高分子材料は燃焼する。不燃化は難しいが、燃えにくくすることは可能である。但し、燃えにくさの指標を科学的に決めるのは難しい。
何故なら、火災という現象は急激な酸化反応で進行するので、それを科学的に解明することが難しい。ただ、これだけの当たり前のことでも、50年ほど前は議論になり、科学的に技術を作り上げることができる、それを目指せ、と無茶苦茶なことを言っていたリーダーがいる。
アメリカでは、トランスサイエンスという概念が1970年代に生まれていたので、高分子の難燃化技術を科学の形式知でまとめ上げることは難しい、と割り切った考え方がこの分野でも生まれ、UL規格が生まれている。
それより少し前に、極限酸素指数法(LOI)という燃えにくさの尺度が提案されていても、UL規格をまとめ上げた保険会社は頭が良い。到底日本では考えつかない発想である。
LOIは、酸素と窒素の混合ガスの中で直立に立てたサンプルを上から着火し、継続燃焼できる最低限の酸素濃度を指数化した評価技術である。空気の酸素濃度は約21%なので、LOIが21以下のサンプルは空気中で燃焼し続ける。
LOIが21以上のサンプルは、空気中では酸素濃度が低いので、継続燃焼が難しく、自然に火が消える。これを自己消火性と呼んでいる。燃焼は急激な酸化反応なので、この視点では科学的評価法である、と思っているが、50年前LOIが他のMVSSとかASTMの燃焼試験法と整合性が無いという理由で非科学的と判断した研究者がいる。
当方がその部下となった時に、ホコリを被っていた自動LOI評価装置を改造し、手動で計測できるようにしたところ、叱られた。高分子難燃化研究を科学的に行うために必要と言っても意見がかみ合わなかった。
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