2018.10/16 高分子の運動
あらゆる原子や分子は、その原子や分子のすぐ近くで測定された温度に相当する熱エネルギーで運動をしている。すなわち熱エネルギーを受けてそれを運動エネルギーに変えている、あるいは原子や分子は絶対零度であれば安心して寝ていることができる、というのが分子運動論の考え方である。
ここで温度は強度因子であり、エネルギーは容量因子なので、単純に測定温度からエネルギー量を決めることができない。測定温度からその空間のエネルギー量を決めることができるのは、平衡になっているときだけである。すなわち、25℃と計測されたときに、平衡状態となっていない酸素分子は必ずしも25℃ではないのだ。
26℃の酸素もおれば、20℃の酸素もいる。この温度とエネルギーの関係について専門家でも勘違いされている方がいるので気を付けたい。ここを正しく理解しておかないと、Tg以下でもスピノーダル分解が起きたり、クリープが起きたりする現象を理解できない。
さて、高分子はこの熱エネルギーによる運動をどのように行っているのか。これを夢想すると少し笑える。思い描く世界によっては艶美な風景となったり、エッチ恋(レン)だったりする。ここでは、それぞれの趣味で高分子を頭に浮かべてほしい。
まず、教科書には、溶融温度(Tm)以上で高分子は流動性を示す、と書いてあったりするが、ガラス転移点(Tg)以上でも以下でも夢想世界では時間軸を変えて高分子の流動性を描くことができる。すると教科書の記述はこれでよいのか、という疑問が出てきたりする。
大した話ではないが、難解な高分子物理の論文と格闘するよりも、物理化学の教科書の最初のページに出てくる形式知だけでも頭の中で楽しめるので、明日もこの奇妙な話を書く。
カテゴリー : 高分子
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