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2021.05/08 プラスチックと環境問題

人類の歴史に較べれば人工高分子の歴史は大変短い。その短い期間の間に起きている環境問題である。高分子以外のセラミックスや金属の方が人工材料としての歴史が長いのに高分子だけが大問題になっているような雰囲気だ。

これをゴミ問題として捉えたときに、実は金属材料も社会問題として騒がれた時代がある。空き缶が街にあふれだした高度経済成長の時である。当時空き缶は鉄でできていたが、空き缶を回収リサイクルするならば、高価なアルミ缶でも経済性の障壁が下がる、ということでアルミ缶が登場している。

すなわち、金属アルミニウムは鉱物の電気分解から製造されるので、材料価格の大半は電気代である。ゆえにリサイクルするとこの電気代に相当する価格が無くなるので鉄缶とほぼ同じ価格かあるいは軽量な分だけ安くなる。すなわちアルミ缶はリサイクルすればするほど鉄缶よりも価格的に有利になるので急速に普及したのである。

同様の視点で、電子機器のマグネシウム外装も普及した経緯があり、大局的にみると人工高分子についてリサイクルの視点が欠けていたために問題が発生している、と見ることもできる。これはプラスチック材料の大半がアルミニウムやマグネシウムよりも安かったためにリサイクルよりも廃棄が進んだからである。

30年ほど前からプラスチックスの環境問題が騒がれはじめ生分解性プラスチックスが注目されている。また、LCAの観点から天然高分子も注目されているが、材料の歴史から考察すると、プラスチックの環境問題はリサイクルの視点でまず考えるべき問題のように思われる。すなわち、3Rの視点でまず技術開発を進める必要がある。

(注)天然高分子=環境問題の解決とならない理由は、古代の遺物に天然高分子がそのまま残っている点に着眼すると理解できる。例えばミイラの布地は天然高分子である。またアイスマンの身に着けていた皮革も朽ちず残っていた。高分子に限らず、人工物を何も考えずポイ捨てすれば環境問題につながる、という意識で生活すべき時代だと思う。

カテゴリー : 一般 高分子

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