年末の紅白歌合戦が視聴率30%台だったようだ。連日低い視聴率に関する話題が絶えないので、この欄でも採りあげてみた。一視聴者としての見解を述べたい。
まず、当方はTV子として育ったが、高純度SiCの新事業開発を開始してからTVを真剣に見ることが無くなった。単純にTVを見ている時間が無くなったためであるが、TV視聴は無くなったが、見たい番組についてはビデオをとっていた。
NHKの報道特集番組など欠かさず録画していた番組の一つであり、当時まだ高価だったビデオテープがたまっていった。ビデオは大変便利で、1時間の番組でも30分以下で視聴できた。恋愛ドラマ番組ならば10分以下で済んだ。
インターネットが普及したころ、このビデオ視聴も無くなった。見落とした番組について、インターネットに情報が出ており、それで十分だったからだ。今回の紅白歌合戦も見ていなかったがどのような様子だったかは話題についていける程度の情報を持っている。
今欠かさず見ている番組は無いが、NHKの朝ドラやチコちゃんは、録画せずに見ている。前者は退職してから朝食の時間が朝8時となったためだからだが、後者は単純に面白いからである。
また、難しいことをどのように説明したらよいのか参考になる。このチコちゃんで最も興味を引いた点は、どのような難解な話でも5歳児が理解(?)できるような説明の努力をしているところだ。
すなわち、わかりやすい説明とは何かを学ぶことができる秀逸な番組である。しかし、この番組でさえビデオをとる習慣も無くなっていることに気がついた。単身赴任してからビデオをとる頻度が落ちていって、東京に戻ってからは一切ビデオをとらなくなった。また紅白歌合戦にいたっては特に見ようとはしなくなっていた。
当方について紅白を見なくなった理由は単純で、年末の忙しい時間にTVを見ている暇が無くなっただけである。会社を起業してからは、年末も正月も無くなった。
ただし、忙しいといっても若い時のような過重労働をしていない。毎日規則正しく21時に寝て朝4時頃起きて仕事を始めるという習慣である。この習慣ゆえに紅白歌合戦を見ることも無くなった。チコちゃんは寝る前見ていても肩がこらない気楽な番組である。良い子の寝る時間に合わせて20時45分に終了する。
今時、昔のように娯楽が少なくて必死でTVにかじりついている子供すらいなくなった。わが子を見ていてもビデオの扱いを覚えたら一週間の予約を入れて早送り視聴だった。
TVが最大の娯楽ではなくなったのだ。NHKの番組担当者はこのような時代変化を考えて番組配信をすべきだろう。松平健がスケートボードに乗って現れたら話題になるという視点は、今時古いというよりも間違いである。
安全安心な報道姿勢が求められている時代に危険行為を堂々と報道する姿勢はむしろ問題である。骨折が無かったから良かったが、ひとつ間違えれば死亡事故につながる年齢であることを忘れている。
あの場面でディレクターが飛び出して静止していたなら、その顛末を見るために皆がTVのチャンネルを紅白に合わせたかもしれない。高齢者をスケボーに乗せても話題にならないほどこの番組に関心が無くなっていることに気がつくべきである。
昔は真っ裸に見える衣装で踊ったことがその後も話題になったが、年寄りを危険な目に合わせても犬のスケボー姿より話題にならなくなっている時代だ。
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お正月のTV番組は通常の番組編成と異なり、あまり面白いと思われる放送が少ないと諦めていたが、たまたまTVのスイッチを入れたところ、NHKでお宝発掘番組をやっていた。
途中から見たので詳細は不明だが、科学誕生以前にギリシアで星の位置などを計算するコンピューターが存在していたという。沈没船から最近発掘された宝物の一つに不思議な円盤状の道具が見つかって、それがコンピューターだったというびっくりする話だった。
NHKの番組なのでウソではないのだろう。時間があればNHK+でもう一度見ようと思っているが、とにかくその道具の解析をするために専用のX線装置を作って解析したところ、歯車が内部に多数仕組まれており、その歯車の回転で星の位置を計算できるようになっていたそうだ。
昨日二つの発想法について書いたが、科学誕生以前に人類は科学と異なる思考を行っていたはずで、その思考法により、科学的に考えなければできない装置を発明していた事実は重要である。
現代人は、身の回りのものがすべて科学の成果であると誤解している。しかし、身の回りの製品にも技術者の非科学的発想による成果物が存在するのだ。しかし、それを言いにくい世の中なので知られていないだけだと思っている。
話を戻すが、昔ユークリッド幾何学という学問が存在し、高校時代に数学の先生が3か月ほど指導要領には無い数学の授業としてそれを教えてくださった。
ユークリッド幾何学の面白い点として、直感で一本の線に気がつくかどうかで証明ができるかどうかが分かれる。そのために非科学的として指導要領から外されていたのだが、当時の文部省も優秀な人が多かったのだろう。
この指導要領から外れた授業のおかげで、「非科学的」数学の面白さにひかれ、大学入試では一行で解答を完成させた記憶がある。
しかし、ユークリッド幾何学は非科学的とかたずけていてはいけないと思っている。実は直感で気がつく一本の線は、直感でなくても経験を積むと気がつくようになるのだ。詳細は弊社に問い合わせていただきたい。
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科学の時代にあって、科学的に考えることは常識となった。また、コロナ禍でニュースの報道も科学的に高度な説明をわかりやすく科学的に報道している。
このような時代に忘れてはいけないと思っているのが、人間の営みとして身に着けてきた思考法である。古くはユークリッド幾何学があり、科学の誕生直前にニュートンのリンゴの話がある。
いずれも今では非科学的と称されているが、かつての学校教育で教材として使われていた。昨年末小中学校の参考書を購入してびっくりしたのは、これらの教材は扱われていなかったことである。皆科学的な教材ばかりで、プログラミングの教材までも科学的だった。
起業後非科学的な思考法について取り組んできたが、その結果確信したことは、今の時代に科学的アイデアとは当たり前のアイデアであり、誰もが思いつく。独創的なアイデアにはどこか非科学的要素が入っている。
ノーベル賞を受賞した山中博士のヤマナカファクターが非科学的成果だったことはあまり知られていない。非科学的な思考法であってもそれが人類に有益であれば莫大な価値を生みだすので馬鹿にできない。単なる思いつきではない非科学的思考法というものについてご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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明けましておめでとうございます。本年も弊社は日本の技術と生産性向上のために活動いたしますので、何か問題発生時あるいはイノベーションをご検討時には気軽にご相談ください。
さて、DXの進展で技術の伝承もコストダウンできるのではないか、と検討し、今年度個人対象の定額制サービスを始めたいと計画しております。最低価格500円/月(予定価格)から個人のサービス内容に応じて金額を決める方式です。
弊社はこれまで外国のお客様には、年間300万円以上のコンサル料を設定しておりましたが、日本企業のお客様につきましてはお客様のご規模の金額で運営してまいりました。
これまでの運営経験から、工夫すれば低額で個人のお客様へのサービス提供が可能ではないかと企画を練ってまいりまして、個人対象の知の伝承を目指した新たな事業をスタートします。ご期待ください。
なお、従来通り企業のお客様にはコストパフォーマンスの高いご指導を目指し活動いたしますので、よろしくお願いいたします。人材派遣等の企業にご相談される前に、一度弊社にご相談されることをお勧めいたします。
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中国で2019年末に始まったコロナ禍は、とうとう3年目に突入する。これほどの世界的パンデミックは人生初めてのことであり、またせっかく売り上げが創業時の4倍まで伸びてきた矢先の不幸である。
中国蘇州にあるナノポリス(中国ナノテク研究都市)の顧問を依頼されて、その機会を足掛かりに売り上げを伸ばしてきたのだが、結局創業時の売り上げに戻ってしまった。
日本では、2020年4月以降に企業へ影響が出始めているが、弊社は2019年末から影響がでている。この2年国内のセミナーに力を入れ始めたが、売り上げ回復に至っていない。
コロナ禍で大変な一年だったが、このような年でも企業の不祥事が話題になり、相変わらず「もの言えぬ組織」との解説が記事に並ぶ。思い返せば当方の転職も同様の組織に反発したようなものだ。ただそれは当方が住友金属工業と立ち上げた高純度SiCの事業を継続したい前向きの一念からであった。
それに比較すると、三菱電機や東芝、みずほ銀行といった大企業の不祥事は担当者まで腐ってしまった状況が浮き上がって見えてくる。トップが間違った指示を出した時に、それを正す社員がいないようでは組織の変革は期待できない。
故ドラッカーは、イノベーションとは産業革命のような大きな変革だけでなく組織の不断の変革を追及する業務遂行でも起きるという。またそのようなマネジメントが組織を発展させると述べていた。
組織の中でトップの誤った采配に異を唱えるのは易しいことではない。当方の様に辞職覚悟までする必要があるのかもしれない。しかし、そのくらいの覚悟をしなければイノベーションなど起こせないのだ。
豊川へ単身赴任した時に、当方は早期退職を覚悟して職務に当たっている。新製品の部品を半年後には歩留まり10%前後を100%まで引き上げるのは誰もが不可能と考えていた。
しかし、赴任先の組織リーダーは当方の申し出を快諾し、当方の自由な活動を保障してくださったのでカオス混合プラントを3か月で立ち上げるイノベーションを行うことができた。
もの言えぬ組織であっても退職を覚悟すればいうことができるのだ。リーダーが訳の分からない人間ばかりではないと信じることが必要だ。信じても駄目であったならば転職すればよいのである。
働くとは、貢献と自己実現がその意味である。希望通りの組織が見つからなければ、自分で会社を興せばよい。それだけの活力を生み出せるよう日々努力して実務にあたりたい。
東芝を見ればわかるように大企業がいつまでも大企業として存続できる時代は終わった。経営のかじ取りをひとつ間違えると転落する時代でもある。弊社は来年3月11年目のスタートとなるので第二の創業のつもりで新事業を開始する。良い年を迎えるよう祈念してます。
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今から50年以上前、当方は高校生だった。この頃は、1960年代から激しくなった安保闘争に大学紛争が加わり、高校1年時に校長室封鎖事件が起きている。この事件の日から1週間授業を停止して体育館で討論会が行われた。
すなわち、大学紛争が高校まで飛び火したのだ。原因は当時の中谷教育長が高校生の政治活動禁止を打ち出し、4人以上の集会が禁止されたためである。クラブハウスでマージャンをやっていた連中が騒ぎだした、と当方は瞬間的に誤解した。
校長室封鎖事件の真相について当時の社研クラブが総括としてまとめており、茶褐色に変色したそれを今読むと若者ゆえの背伸びした思想が展開されており気恥ずかしくなる。そして教室に毛沢東の肖像を飾っていたクラスの存在を思い出し、中国の文化大革命の影響も少なからずあったことに改めて驚く。
毛沢東語録の日本語版が当時発売され、クラブハウスにポケットパンチOh!と一緒に並べられていたが、その後当方の愛読書となるドラッカーの「断絶の時代」が当時の世界的ベストセラーとなっている。体育館での討論会は、週末に高校生の政治活動禁止に反対するデモ開催を決議し終結している。
このデモの決議は学校から承認されなかったが、自由参加で800名前後の生徒が参加して週末に決行された。このような熱い一週間が過ぎた翌週は何もなかったかのように受験勉強へ邁進する生徒の姿に戻っていた。
愛知県トップの進学校だったから教師はガス抜きをすれば簡単に終息する、と判断したのだろう。1週間の討論会を認めた教師たちの勝利である。
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40年以上前に試行錯誤を軽蔑する研究者は多かった。しかし、有機合成の世界は少なからず試行錯誤が必要な世界だった。すなわち新反応を見出すために新しい反応条件に挑戦する必要があった。
有機金属化合物の合成では、その化合物合成が研究目的となったり、反応機構確認のための目標だったり、触媒機能探索の目標だったり、様々だったが、新しい化合物が合成されたときに形式知が誕生している。
鶏と卵の関係よりわかりやすく、そこでは新しい化合物を合成できる技術があって科学の形式知が生まれているのだ。そしてその技術は試行錯誤により生み出されている。
試行錯誤を効率よく行う方法もあり、ラテン方格の利用はその一つだが、このような工夫さえもゴム会社の研究所では否定された。試行錯誤を徹底して嫌ったのである。
その結果、電気粘性流体の耐久性問題では、界面活性剤では問題解決できないという科学的に完璧な否定証明が行われた。それを当方は、効率的な試行錯誤法によりひっくり返した。
効率的な試行錯誤法とは、今でいうところのデータサイエンスに基づく方法である。昔は、データサイエンスは科学のカテゴリーに入っていなかった。
1980年から90年にかけて科学論に関する著書が多数出されている。共通して書かれていた内容は、科学と技術の境界は時代により変化するという哲学だ。
哲学者イムレラカトシュは「科学の方法」という著書で、科学的に完璧な方法とは否定証明である、と明確に語っている。この意味は科学的に完璧を目指したいならば否定証明となり、電気粘性流体の開発ではそれがなされた。
ところが否定証明で見出された科学の真理でも、たった一つの技術によりイノベーションを起こされるとひっくり返る可能性があることを知っておくべきである。ここに技術の本質がある。
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形式知を用いて科学的に技術を作り出すことが日本では重要視されてきた。すなわち技術は科学により作られるといった信仰が教育にも徹底され、科学教育が唯一の教育として普及している。
その結果が現在の日本である。技術は科学によってのみ実現されるオブジェクトではない、まずこれに気がつくことが重要である。技術は、技術によって新たに生み出されてゆくのだ。
写真撮影では、良い写真を写すための技法を駆使すれば佳作以上の写真を生み出すことが可能である。しかし芸術的に優れている、と多くの人に認められるためには、被写体の条件その他が整う必要がある。
技術でも同様で、科学の形式知を駆使してもその時代の科学水準を示す当たり前の技術しか開発できない。新たなイノベーションを引き起こす技術の創造のためには、人間の経験知や暗黙知の動員がどうしても必要になる。
20世紀に様々な問題解決法が登場したが、TRIZやUSITのような科学的問題解決法ばかりだった。ドラッカーは、問題解決法の前に、正しい問題を見出すことの重要性を指摘していた。
弊社では研究開発必勝法と名付けた問題解決法を販売している。形式知だけでなく経験知や暗黙知も動員する問題解決法で、当方がゴム会社で実践し写真会社で磨き上げた方法である。
コーチング手法も同時に指導している。当方の実績として、転職したばかりの時に開発できた写真学会ゼラチン賞を受賞した技術はコーチングにより瞬間芸的に誕生した技術がある。これは、当方のコーチング100%の成果である。
ゼラチンの形式知についても不十分なだけでなく、経験知や暗黙知にいたっては0の時の開発成果であり、純粋にコーチングが担当者の経験知や暗黙知を引き出した事例と言える。
技術ができた瞬間に科学の形式知は存在していなかった。しかし、割れにくいゼラチンについて三重大学川口教授とともに解析研究し、科学の形式知を作り上げることができた。
技術で開発し、科学でそれを形式知とする、そのような方法を行うべき時代である。すなわち技術で新しい科学を生み出す覚悟が必要だ。弊社は、それをお手伝いいたします。中国のナノテクのメッカ、ナノポリスでも成果を上げた技術を育てる方法である。
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写真家加納典明氏は50年ほど前にラジオの深夜放送で、「人に見られたい写真を撮りたいならば、女性の裸ばかり写しておればよい。日本人の半分は見てくれる。芸術的な写真は、誰も見てくれないかもしれない。」と語っていた。
高校生だった当方は、この言葉で写真という芸術において創造の難しさを知った。絵画と写真の違いについても加納氏は語っており、自身の渾身の一作であるキャベツのモノクロ写真を手にそれを説明していた。
驚いたのは、ラジオであるにもかかわらず、そのキャベツの写真が目の前に現れたのだ。それほど彼の語り口は巧妙であったが、今から思い出すと、キャベツの写真1枚を撮影するために用いた写真の技法を丁寧にわかりやすく説明していた可能性が高い。
この彼がパーソナリティーを務めた番組の影響もあり写真が趣味となったが、彼の本質はスケベ写真家ではなく、芸術家なのだろう。
写真術では被写体にカメラを向けてシャッターを押すことにより誰でもその表現を楽しむことができる。ただ、それにより誰でも創造性の溢れた芸術写真を撮影できるとは限らない難しい芸術の一つである。
おそらく絵画の方が独創の表現手段として易しいかもしれない。下手は下手なりの表現となるが、子供の絵画がそうであるようにそこには他の人がまねのできない独創が描かれている。写真では偶然の瞬間に頼るか、それなりの工夫をしない限り独創を表現できない。
当方の撮影した写真で最もよい評価を受けたのは、ボディーペインティング国際大会で併設された写真大会の一枚であり、国際大会ではあったが一位に輝いている。後にも先にも1位となったのはこの一枚である。その他は、キャノン主催の写真大会にニコンF100を持ち込んで撮影したモデル写真の二位である。
初めて応募した写真大会は雑誌の募集によるコンテストだった。そこでは気合を入れて撮影したにも関わらず佳作となっている。ただし、これは加納典明氏が深夜放送で語っていた女性写真の撮り方を実践した成果だったので、それなりの努力をすればそこそこの写真を撮れるということだ。
こうした写真撮影の体験を通して感じるのは、創造のために必要な技法というものが存在し、それらの技法を駆使すれば、ある程度のレベルの創造力を身に着けることができ、それが最高に発揮されるかどうかは、運のようなものが少し必要という思い(注)である。
弊社では芸術から技術まで研究しており、「花冠大学みらい技術研究所」として表現している。科学の形式知だけでなく創造性までも高める指導を志している。
(注)高純度SiC製造技術では、フローリー・ハギンズ理論で否定される高分子の組み合わせを相溶させることにより科学では説明できなかった独創を実現しているが、条件を見つけるために弊社で指導している方法を用いている。しかし、非科学的組み合わせを検討していたのでうまくゆくかどうかは運である。しかし、成功してからその条件を科学的に解析した結果、必然であることを理解できた。
高純度SiC前駆体や環境対応樹脂は、弊社が指導している独創技法のひとつデータ駆動の手法で成功している。
電気粘性流体高性能粉体や、カオス混合装置はアジャイル開発で成功している。これも弊社が指導している独創技法のひとつ。
酸化スズゾル帯電防止層は、過去の情報に新たな知見を加えた温故知新という独創技法を用いている。
その他各種技法についてはお問い合わせください。
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住友金属工業(現在の日本製鉄)との高純度SiC半導体治工具のJVが計画されたころ、電気粘性流体開発プロジェクトのお手伝いを命じられた。命じられたが、電気粘性流体について業務説明も無ければ、研究論文の一切を読む必要は無い、という乱暴な扱いだった。
当時世間でいうところの係長職にあったのでそれなりの扱いをしてほしかったが、当時のゴム会社の研究所のスタッフにはそのような命令をする人が多かった。また、科学の研究者は、自説を押し通すためにそのような性格でなければリーダーが務まらないのかもしれない。
スタップ細胞の騒動をまとめた「あの日」を読んでも、そこに登場する人々は技術者から見ると不思議な人が多い。情報も何ももらえず、仕事を命じられる立場は、下僕と等しいのである。さて、そのような乱暴な扱いで命じられたテーマは「加硫剤も含め添加剤が何も入っていないゴム開発」だった。
当時すでに日本一になっていたゴム会社で非科学的なこのようなテーマを命じてきたのである。セラミッックスの研究を担当していた当方にこのようなテーマが巡ってきたのは、当時の研究所でゴム開発の経験があったのは当方だけだったからだ。
多少なりともゴムに詳しかった当方は1週間だけ時間をもらい、電気粘性流体の耐久性問題や電気粘性効果を安定にできる粉体などをアジャイル開発した。電気粘性流体がどのようなものかは詳しく知らなかったが、社内のプレゼンテーションで公開された情報程度は頭に残っていた。
その頭に残っていた情報程度で、ヒューリスティックな解を見出すことは簡単だった。換言すると情報が少なかったので材料合成のために考えなければいけない問題が絞られたのかもしれない。
驚くべきことに、データ駆動による一晩の実験で電気粘性流体の耐久性問題を解決できて、その後ほんの少しの実験で電気粘性効果を高める粉体を創造することができた。
この技術開発において、5年の歳月がかけられ研究所で蓄積された科学の成果を全く使っていない。セラミックスの研究で身に着けた経験知と暗黙知により創造された新技術を用いて、難問が解決され、世の中に存在しない傾斜機能粉体が生み出されている。
同僚に情報を出さない、という信じられない扱いのおかげで、電気粘性効果に関する科学の形式知が乏しい状況となったので、経験知と暗黙知をフル活用する必要が生じた。そこで使われたのは演繹論理である。
ただし欠落した知を補う必要から創造が行われる。そこでは非科学的あるいは未解明な科学的現象に潜む知などが混在し、推論が展開される。演繹論理では科学の一部であるが、その展開は非科学的だった。
マッハ力学史において、ニュートンの力学は非科学的成果に位置づけられている。その理由は、当方が電気粘性流体で展開したような推論だったからである。当方はマッハ力学史を読んでいたので、ニュートンの論理展開を学び電気粘性流体のアジャイル開発ができたのである。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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