30年以上前にゴム会社で行われた電気粘性流体の耐久性問題では、組成と機能との関係を科学的に研究し、見事な否定証明を行い、界面活性剤では電気粘性流体の耐久性を改善できない、という結論を導き出している。
界面活性剤ではHLB値がその機能性を表していると教科書に説明されているが、これが研究をミスリードしたのだ。この否定証明の研究が完成し、添加剤が入っていないゴム開発というとんでもないテーマが企画された。
そして、そのテーマが当方に回ってきた。理由は、当時の研究所でゴムの配合研究を一人でできる担当者は当方しかいないからだという。アメリカのタイヤ会社を買収し、社内でリストラが進められた結果、コーポレートの研究所にどろくさいゴム配合の技術者が一人もいなくなっていた。
当方は、研究所へ配属されて3か月間エンジンマウント用防振ゴム配合研究を担当し、当時先端材料だった樹脂補強ゴムを開発している。1年間の予定のテーマを3か月で開発できたのは、サービス残業と過重労働の成果であるが、それができたのは指導社員が神様のごとく優秀な方だったからである。
カオス混合技術をはじめ材料技術すべての考え方をこの指導社員から伝承された。いまから思い出してみても優れた科学者であり、実務も詳しい技術者だった。
この指導社員の言葉で、「やってみなければわからないことは、やってみればよい」は、材料技術者は知っておくべき格言である。電気粘性流体の耐久性問題もこの格言が活かされた。
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スマートグリッドとかマイクログリッドと呼ばれている発電方式は、電気を地産地消あるいは発電所を小型化して分散発電する方式である。太陽電池や燃料電池による発電が代表的ですでに実用化されている。
この視点に立った時に、発電しながら電気で走る車は、防災にも役立つ多目的車となる。エンジンで電気を発生してそれを動力とするぐらいなら、直接エンジンで車を走らせた方が効率が良いが、燃料を石油以外にしたときに内燃機関は効率が悪くなる。
特にレシプロエンジンは、その特性が顕著であり、回転数が頻繁に変動する用途には環境対応を考えたときに不向きである。ガソリンでかろうじて実用的な燃費となっていたのだが、水素やアンモニアを燃料とした場合に燃費が現実的な値ではなくなる。
しかし、発電機としてレシプロエンジンを使うならば、定速動作で良いので最も燃費の良いところで動作させることができる。すなわち、日産のe-Powerは、環境問題を考えたときに優れた自動車の動力方式の一つになる可能性が浮かび上がる。
最近日産自動車は、レシプロエンジンのエネルギー効率40%を超えるエンジンを開発したが、それは定速稼働を前提とした技術で、効率50%を超えることも可能と発表された。
登場した当初は、トヨタのハイブリッド車と比較されて効率の悪さが指摘されたりしたが、分散発電方式の車として見れば、様々な燃料を用いることが可能な方式としての優位性が注目されるかもしれない。
カテゴリー : 一般
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空前の半導体不足で自動車の生産も一部止まっているらしい。コロナ禍で国内の半導体工場の事故が影響している、と書いてあった記事がある。
今、何らかの高機能製品には半導体が使用されている。スピーカーさえもCPUが搭載される時代になった。身の周りの製品を探せば10点以上は半導体を用いている製品を容易に見つけることができる。
昔、半導体は産業のコメと言われた時代があった。その主食であるコメを政府は国内で製造しないという判断をしている。少なくとも現在の日本の半導体不足は国の産業政策の失敗が原因と思われる。
責任を取らないような組織の文句を書いてもしょうがないが、今産業のコメとなる半導体を自前で安定供給可能な状態にするためには1兆円規模の投資が必要となるので、民間企業が新規に進出するにはリスクが大きい。
10兆円以上の金額を書いている記事があるが、それはやや誇張だと思う。しかし、最低でも1兆円はかかる可能性が高い。現在韓国などで稼働している工場をそのまま建設するだけならば、半分以下の投資で済むかもしれないが、工場が建設された後十分な競争力があるようなプロセスとするためにお金がかかるのだ。
昔、高純度SiCの粉末について10kg/日で生産できる工場を2億4千万円で立ち上げたが、パワー半導体用SiCウェハーの工場を現在建設するならば数100億円以上かかるであろう。コメの原料部分の一部についてこれだけの費用がかかるのである。パワー半導体の最先端の生産プロセスを国内で建設する場合に数千億円は投資が必要となる。
パワー半導体はこれから伸びる領域であるが、それ以外の旧来のSi系半導体についても同額かかる。ゆえに1兆円以上の投資が必要と見積もっている。今国内にこれだけの投資をできる半導体関連事業者はいないので、どうしても国策で、となる。
日本における半導体生産に関するニュース記事に人材がいない問題も指摘されている。しかし、若い技術者はいないかもしれないが、定年退職した技術者で元気な人がいる。例えば当方もそのようなプロジェクトが立ち上がるならば参加したいと思っている。まだ若い技術者には負ける気がしていない。年寄りを活用すれば人件費を安くできる。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料
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ここのところWEBニュースにコロナ後遺症関係の話題が多い。その中に子供のコロナ後遺症の深刻な問題が指摘されていた。すなわち医者が健診を行っても原因不明となる後遺症である。あるいは、子供ゆえにコロナにかかったかどうかわからず放置される例である。
コロナ後遺症ではないが、当方の子供の頃の声が出なくなった体験を基に少しお話ししたい。これも原因不明であるが精神的な要素がかなり大きかったと思っている。その時の状況や周囲の大人の対応は、今でも思い出され、当時の教師には申し訳ないが、教師によるいじめ体験として記憶に残っている。
これには、教師が仮にいじめを自覚していなかったとしても子供心にはいじめに感じられた、という注釈もつけておきたい。この時の体験はFD事件の体験同様に当方の心の傷跡として残っている。
FD事件は破壊されたFDや目撃者もいたので実際に起きた事件であるが、教師のいじめ体験は、当方の受け取り方の問題かもしれないので、声が出ない、という体験がコロナ後遺症の参考になるのではないかという自己診断である。
まず、声が出なくなった原因は子供から大人になる時の変声期が原因だった。それまで高かった声が現在の声のように低くなる過程で、自分の声の高低変化に驚いた。困ったのは音楽の時間で急に低い声が出たりした。無理して裏声を使うと変な声になり、クラスメートに笑われた。
クラスメートに笑われた程度ならよいが、音楽の先生から変な声で歌うな、と注意を繰り返し受け、最後にお前は歌を歌うな、となった。大人から「お前」と呼ばれたのは初めての経験であり、ひどく叱られた感じがした。
実際に教師はきつく当方を叱った可能性が高いが、それ以来声が出なくなった。声を出そうと思っても声が出ないのである。母親は大変びっくりして女学校の友人に電話をかけ、ご令嬢がピアノの教師を目指し音大に通っているというので夜とにかく訪問し、歌の練習をしている。
最初は声が出なかったが、ご令嬢が大変優しくしてくれて、20分ほどで少し声が出るようになり、30分もしたらピアノに合わせて裏声で歌えるようになっていた。まるで森進一のような声だったが、泉谷しげるよりはまともだった。
それから数日通い、今中国のカラオケで歌うように低い声で普通に歌えるようになった。不思議な体験である。ただ、精神的な要素が大きく肉体に影響を及ぼす恐怖を学んだので、精神的に強くなった。
精神的に強くなることは難しいことではなく、自分の強みと弱みを知ることである。自分の弱みについては、隠そうとしないことである。世の中には人の弱みにつけ込む悪い人がいるが、それに対しては強みで対応するのだ。
当方が物事に対して攻めの姿勢で対峙するのは、この体験が生きており、大抵は良い結果が出ている。すなわち、これまでの人生で組織にいた誰もできなかった難しい問題をいくつか解決してきた。
当方にはこれができたが、世の中には自分の強みを見出せない人もいる。例えば子供の場合に大人が強みを指導しない限り、弱みから抜け出せない。褒めて育てる教育が重要と言われるのは、褒めて強みを伸ばしているのだ。
さて、子供のコロナ後遺症で「すぐ疲れ」というのがあるそうだ。ひどい場合にはそれで寝込んでしまう事例も報道されていた。原因不明とされているが、これは当方の子供の頃の声が出なくなった体験と似ていると感じたので、参考までに子供のころの体験を書いてみた。
コロナとの関係であるが、現在の社会状況は子供にとってかなりの恐怖ではないだろうか。当方さえも昨年少し恐怖感があった。TVの報道などもその一因であるが、コロナウィルスの感染特性を理解できてから恐怖感は無くなった。
恐怖感は人様々であるが、自分の持っている知を越えた理解できないものに対し、好奇心あるいは恐怖心なるものが起きるらしいことを本で読んだことがある。情報と知とは異なり、誤った情報が溢れてくると整理がつかなくなり恐怖になるという。知の少ない子供にとっては、情報過多の情報化時代ではストレスが大変大きくなっていることを理解してあげないといけない。
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PPS/6ナイロン/カーボンの単純な配合のコンパウンドで半導体ベルトの押出成形を行うと、パーコレーションの制御がコンパウンド段階で完成していなければ、パーコレーションの問題で悩むことになる。
パーコレーションの問題を押出成形技術で解決するのか、コンパウンドの混練技術で解決するのかは、経験知が無いと結論を出せない。30年以上押出成形を行ってきた職人の経験知に従えば、コンパウンド段階で問題解決しておくべきである。
ゴム会社の職長の経験知によれば、高分子のプロセシングにおいて、コンパウンド段階の技術が一番むつかしいのではないか、ということである。すなわち、成形段階で機能を作りこむ考え方では高分子のプロセシング技術のハードルが高くなる、と言われていた。
技術が人間の営みである以上、苦労が少なくなるように開発が進められるべきである。すなわち、成形技術の研究開発では、技術の上で完成したコンパウンドを用いて行わなければ、何を研究開発しているのかわかりにくくなる。
カーボンのような導体微粒子を高分子に分散し、高分子半導体を製造するときに、カーボンクラスターの変化でパーコレーション転移が安定しない。
しかし、カーボンクラスターを弱いふわふわな凝集体として高分子に分散するとパーコレーション転移を安定化できる。混練の形式知に従えば、分散混合を押さえ分配混合を進める、となるが、言葉として記述できてもやり方が分からない。
カーボンクラスターのドメインのパーコレーション転移を制御しておいてから、そのドメインの分散についてパーコレーション転移を設計してやる、というのが答えである。すなわち、パーコレーション転移をWで制御することになる。詳しくは弊社に問い合わせてください。
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「高分子の混練り活用ハンドブック」という本をゴムタイムズ社から出版しているが、高分子材料を扱っている人には、ぜひ読んでいただきたい。混練技術に関する教科書が分配混合と分散混合を中心に書かれていることに疑問を感じ、ゴム会社で新入社員時代に3か月間座学で学んだ話を中心にまとめている。
高分子に微粒子を分散する事例では、分配混合と分散混合の説明はわかりやすく、形式知として体系化しやすい。しかし形式知として体系化できても、それを実務で役立てることができなければ意味のない学問である。ここで実学偏重という批判は勘弁してほしい。
学問のための学問も尊いかもしれないが、仮に実際の混練現象を説明できない混練の科学という体系を作り上げたとしても意味のないことを理解してもらえると思う。
今から15年以上前に写真会社でPPSと6ナイロン、カーボンの単純な3種類の配合のコンパウンド工場を設計する必要に迫られたとき、1冊10万円前後の教科書を4冊、自腹を切って購入した。
半月かけて読み終えたが、実務では役に立たない教科書だった。少なくとも目の前にあった問題を40万円ほどかけて購入した本の形式知をつなぎ合わせて解こうとしても、ヒントさえ得られなかったのだ。
ただし、外部のコンパウンドメーカーから購入していたペレットの問題点を理解できた(注)が、それを改良しようとしたときの方向が分配混合と分散混合中心の教科書では見出せない。
仕方がないので、35年前に混練の神様のような指導社員から教えていただいたことを記録した手帳を探し出して、それを読み返してみた。カオス混合のアイデアまで書いてあった。そして問題解決の方向を見出すことができた。ゴムタイムズ社から出版されている本は、その時の手帳をまとめなおしたものである。
(注)電顕写真を見る限り、カーボンの大きな凝集体は見当たらないか、細かい均一な凝集体の分散状態だった。すなわち、形式知から分散混合が進んでいると説明できるが、分配混合はどの程度か評価する方法が不明だった。そこで、いくつかの区画を切ってカーボンの数を数えてみたのだが、それが等しかったので分配混合が進んでいる、と理解した。
ゴム会社の職長から伝授された経験知では、押出成形において成形精度の問題だけに集中しないとモノができない「いってこい」の世界である。すなわち、成形精度以外の問題解決は、コンパウンドで解決するのが鉄則である。この鉄則に従ったときに、コンパウンドをどのように改良するのかという答えを既存の混練の教科書に書かれた形式知から導くことができない。
形式知からは導くことができなかったが、ゴム会社で習った「形式知に裏づけられた経験知」で答えを見出すことができた。既存の混練の形式知が間違っているかどうかは知らないが、それがコンパウンド開発に役立たないことを経験した。
当方が中古の混練機を購入し3か月で作り上げたプロセスで製造されたコンパウンドを既存の押出プロセスへそのまま流したところ、ポリイミドベルトよりも抵抗変動が小さいベルトを押出成形できた。押出プロセスは完成していたのである。コンパウンドが未完成だった。
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昨日の続きになるが、義務教育における音楽は、楽しく歌うことと鑑賞が中心でペーパーテストでは、その背景となっている知識を試す内容となっていたように思う。ペーパーテストでは95点以下という点数を見たことが無く、100点だった記憶が多い。
今の音楽教育がどのような内容かは知らないが、音楽も含め美術や書道など芸術系の科目において科学とは無関係な内容だったと思う。これはこれで科学にとらわれていないので素晴らしい内容だったと評価しているが、それが鑑賞と楽しく歌うことが中心で楽譜を読める程度のわずかな音楽理論という教材でよいのかというと少し音楽を軽視しているように思う。
教育指導要領を確認せずに勝手なことを書いているが、通知表で5を採っていたにもかかわらず、学習した内容を思い出すと、算数や数学に比較してその薄っぺらさに不満が出てくる。高校生の時に深夜放送を聞き、フォークソングブームの中でサイモンとガーファンクルにあこがれた。
岡林信康や高田渡はどこか暗く、深夜放送で聞いているとこちらが落ち込んでくる。泉谷しげるは、小学校の時の自分の歌を思い出す。日本のフォークシンガーと呼ばれる歌手は個性的ではあったが、どこか好きになれなかった。
山崎ハコが登場した時に、この歌を好んで聞く人は、幸せな人よりも不幸な人が多いのだろうと感じた。あまりにも暗い。その暗さは岡林信康の歌と異なる方向の暗黒だった。
鑑賞が主体の音楽教育では、この程度の感想で終わる。当時の日本のフォークソングがアメリカのフォークソングから強い影響を受けていたことなど音楽評論雑誌を読まなければ気がつくことはない。
単なる好き嫌いの判断になってしまうのは、音楽を解析的に学ぶ姿勢に欠けるからだろう。面白いのは、化学系の学部で受講した高分子の授業である。高分子の一次構造の解析の話は出てくるが、その次は高次構造で詳しくその説明はなく、これでおしまいである。この問題は、後日触れる。
大学院で高分子ではなくセラミックスの講座に進学した理由でもある。ブラベイ格子やガラス相の問題など無機材料科学には、興味を描きたてるテーマを扱った副教材が多かった。キンガリーの教科書でも初めの書き出しは論理的でわかりやすかった。
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音楽を小学校から学んできたが、大学へ進学した時にその意味が何だったのか疑問を感じた。音楽の才能など子どものころから無いと諦めていた。中学へ進学する前に変声期となり、一時うまく声を出すことができない時があった。
原因は担任の教師から音楽の時間に歌を歌うなと言われたことがきっかけである。国語の時間に音読も困難になりかけた。人生で一番苦しかった時である。もがけばもがくほどうまく声が出せなくなる。
母親が異変に気がついて、母の知人に音大の先生がいるというので、そこでボイストレーニングを受けたところ何とか声が出るようになり、歌も歌えるようになった。
小学校の音楽の時間は散々だったが、中学高校では、普通に楽しく学ぶことができ、中学では5段階評価の5を3年間頂いた。小学校の時の教師の指導と当方とがうまくかみ合わず精神的な原因で声が出なくなっただけかもしれないが、母親の機転が無ければ音楽そのものも嫌いになっていたかもしれない。
ただ、家庭には早くから蓄音機やステレオがあったので音楽を聴く環境は整っていた。だから思春期には思春期の、大人になれば大人の音楽を楽しんではきたが、大学生の時にジャズの教則本を手にして、音楽教育に疑問を持った。
この時にジャズを真剣に勉強しておけばよかった、とこの年になって反省している。ジャズの教則本の後に読んだ本が悪かった。数冊ジャズ評論を読み続け、ブルースにのめりこんだ。なぜブルースなのかは機会があれば説明したい。今改めてジャズの教則本を読み始め、音楽の世界の形式知の進歩がジャズから始まったように思えてきた。
少なくとも50年近く前の教則本と最近のジャズの教則本では、体系が異なっている。昔はスケールからアドリブを展開する体系だったが、今はコードが中心であり、コードの各役割を教則本では詳しく説明している。
教則本を読んでいて、その説明を理解できるとそれが音楽の世界で普遍性を持っているように思えてきた。あらためて子供のころの音楽教育を思い出し、義務教育の音楽の指導のいい加減さにあきれている。
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押出成形あるいはブロー成形にしか用いることができなかったPET樹脂を射出成形用に改質する方法はそれほど難しくない。動的粘度の温度分散をPCと同じように揃えてやるだけで良い。
ただし、そのようにして良好な射出成形体が得られる粘度曲線を示す樹脂に変性できたとしても、成形体の物性が問題となる。すなわち、靭性が低く割れやすかったり、結晶化せずゴムのようにふにゃふにゃな成形体しか得られないことがある。
この中間の靭性とそこそこの弾性を備えた射出成形体が得られるようなコンパウンドを設計するには高度な配合技術を要求される。
すでに特許出願されている技術は、皆それを公開しているので、アカデミアで研究用に射出成形する場合にはそちらを見れば容易となる。また、いくつかの特許が年金の支払いが無いために死んでおり、それを事業に活用することができる。
当方は山形大学の発明による剪断混練技術を活用した配合を参考にしたが、特許に従ってコンパウンドを製造してもその成形体は弾性率が低く、実用性が無かった。また成形条件を変更すると、弾性率を上げることができるが、靭性が下がる問題が発生した。
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そこで、タグチメソッドよりも迅速にできるデータ駆動の手法で配合設計を行い、新たな処方を見出した。その処方では、弾性率や靭性が目標を満たしただけでなく、難燃剤を添加しなくてもUL94ーV2に合格する難燃性コンパウンドができた。
カテゴリー : 一般 高分子
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トヨタ社員40歳の自殺が二審で労災認定となった、というニュースが流れた。最近の自殺事件ではなく10年ほど前の事件だが、トヨタのような優良企業で自殺者というのが不釣り合いで、さらに労災かどうかで争われている。
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トヨタに限らず最近は業務上の自殺に関するニュースが多い。有名なところでは忖度で争われている財務省の事件も書類の改ざんで自殺である。
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当方がかつて勤務したゴム会社研究所は、現代の尺度でとらえるとパワハラセクハラなんでもありだったように思いだされる。当方は高純度SiCの半導体治工具事業を立ち上げたときに様々ないじめにあい、FDを壊されてそれが隠蔽化されるというのでさすがに命の危険を悟り転職している。
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FDの壊され方がすごかったが、そのような事件がおきるような職場でも12年間自殺者はいなかった。ただし、鬱を発症する人は他職場に比較して多い、といううわさがあった。また、鬱を発症すると職場異動になっていたので、それなりの労務管理がなされていたのだろう。
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また新入社員の3か月間、残業代が出ないことが分かっていても自ら過重労働を行い、樹脂補強ゴムの実用配合を開発したところ、職場異動となり、指導社員が美人の女性に代わった。そして定時に帰宅するように躾られた。
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今の尺度で考えれば、逆セクハラで、望んでもいないのに業務後に食事に誘われた。美人との食事だったので思い出として悪くはないが、当時は高分子の勉強に燃えていたので少々迷惑だった。指導社員も結婚されていたので当方のために時間を使い大変だったのだろうと当時の状況を思い出している。
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あまり望まなかった指導社員との定時後の食事以外に新入社員時代には責任を問われないので力いっぱい仕事をやれ、と研修で役員から檄を飛ばされていたが、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの工場試作を成功させたときに始末書を書かされた出来事は、明らかにわけのわからないパワハラである。
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当方が命じられてすぐに始末書を書かないので、周囲は新入社員による上司いじめと揶揄した人もいるが、命じられた成果を出したのに始末書を書け、という論理が不明だった。また工場試作の調整や決定を新入社員ができるわけでもないのに、なぜ当方が始末書を書かなければいけなかったのか理解できなかった。
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世界初の試作は成功していたのだ。ただ大きな問題点は世の中に存在しなかった世界初の化合物を当方が合成して用いていたことである。ところがこれは最初の企画説明で大変難易度の高い「研究」であることを説明していた。当方が簡単に実験を次々と成功させて半年もかからず試作レベルの技術まで仕上げたことが問題だったようだ。
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これを大した技術ではないと甘く見たのは上司の責任である。正しくは最初の3か月間の指導社員が神様のような指導をされたので当方のスキルが当時の上司のレベルを超えていただけなのだ。
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散々書く書かないで課長である主任研究員ともめた後、燃焼時のエネルギーでガラスを生成して難燃化するホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの企画を添付する条件で理不尽な始末書を書いている。
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高度経済成長で誰もが元気だった。当方は上司に対してまともに対応したために、一晩で企画をまとめてこいと言われて独身寮で徹夜してホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの企画をまとめる様な事態になったが、上司のパワハラを馬耳東風とするつわものもいた。
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職場の環境がどれだけ悪くても命を粗末にするような選択だけはするな、と言いたい。八方ふさがりとなれば転職すればよいのである。出世された人が優れた人格者ばかりであれば、GDPがいつまでも上がらないような日本の状態とはならない。
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また、池袋の親子を事故死させても自分の責任としないエリートに最近判決が出たが、あのようなエリートが少ないのであれば、今の日本はもっと良くなっているはずだが、そうではないのだ。これは、人事評価を多面評価にしても改善される問題ではない。良くない社会の責任は、エリートの責任である、と言われたエリート意識の否定も一因かもしれない。エリートはエリートの自覚とその責任を社会に果たさなければいけない。エリートとは単なる高給を約束された立場ではないのだが、そうなっているからGDPが上がらないのである。
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かつて話題になったスーパーボランティアの方のような人を単なる話題ではなく、誰もが本当に称賛するような社会とならない限り、日本は変わらないのである。偽善で成り立っている社会を描いた映画エレファントマンに感動していてはだめである。真の愛ある社会なり組織としなければ、よくはならない。ゴム会社がグローバル化する前はどこかに愛があるような幻想があった。例えば始末書でもめているときに周囲には声援を送ってくれる同僚がいた。FD事件を明らかにしたときに、周囲は沈黙した。これが12年間の組織の変化である。当方は死を選ばず転職している。それもセラミックスの専門を捨てた転職である。一応ゴム会社には忖度したので円満退社だそうである。
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