配合なり組成から直接機能を導くことができる、という誤解があるので、配合なり組成を設計しても機能が発現しなかった時に否定証明を展開したりする。
もし、組成→機能を研究しています、という人がいたら、それは当方のFDを壊したような危ない人だから相手にしない方が良い。材料設計において組成からまず何が決まるのかというと物質の構造である。そしてその構造が唯一決まると安定動作する機能が得られるのだ。
低分子でも高分子でも、セラミックスでも金属でも組成からすぐに機能を結び付けてはいけない。組成から決まる構造を見極める必要がある。なぜなら、プロセシングが複数ある時には、組成とプロセシングの組み合わせで多数の構造が生まれるためである。プロセシング技術の重要性がここにあるが、後日説明する。
学生時代に研究し論文も書いたシクラメンの全合成の体験から低分子の例を説明する。この合成の最終段階でE体とZ体ができ、片方はシクラメンのいい香りとなるが、片方は思い出したくない香りである。この香りの機能は分子構造からきている。ちなみにこの研究は1977年頃JACSにショートコミュニケーションとして掲載された。
高分子やセラミックス、金属では説明の必要がないかもしれない。低分子の有機合成から無機高分子合成、セラミックス合成、繊維補強金属などいろいろな材料開発の経験をすると、組成から構造が唯一に決まるわけではなく、そこにおけるプロセシングの重要性が見えてくる。
困ったことに自分で手を汚して材料開発をした経験が乏しいと、このプロセシングの重要性を認識しないばかりか、組成から一義的に機能が決まるような間違いを主張したりする。組成とプロセシングの組み合わせから構造が決まり、構造が決まると機能が発現するのである。
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コロナ禍で1年以上経過し、テレワークで生産性が上がっているのかどうか、という議論がなされている。さらに生産性だけでなく、テレワークによりパニック障害や不眠症になった事例までWEBニュースに散見される。
テレワークが本格的に行われるようになって日が浅いのでまだ慣れていない部分もあり、早急に結論を出すことが難しいが、多くのニュースで指摘されている公私の境界が無くなった点は注意する必要がある。
当方は、化学が好きで材料の専門家となりセラミックスから高分子材料まですべての材料開発を経験している。また、子供の頃は教師にあこがれ、先生でもなろうか、と思い教育実習も経験した。教育実習を経験してみて、あこがれと現実の難しさに気がついた。
教師は化学を教えているだけが仕事ではないのだ。恋愛相談にものらなければならない。実習中にラブレターをもらって実習の指導教官に相談したら、実習生でラブレターをもらえなかったら教職をあきらめた方が良い、と言う程度のものだった。
その後も数通ラブレターが届き、教職に向いていない自分に気がついた。この理由は、小学校の時の靴箱のラブレターほどの感動は無く、それにもかかわらず指導教官に相談した自分があまりにも軽く感じられたからである。大学で学んだ教育心理学など役に立たないと思った。
その結果材料技術者の道を歩むことになったのだが、ゴム会社で上司に趣味で仕事をやるなという類の注意を何度も受けている。ただ、楽しみながら仕事をやって成果を出していただけだが、それが上司に気に入らなかったのだろう。新入社員時代に工場試作を成功させて始末書を書く、意味不明の処遇まで受けた。
ただし、仕事と自己の嗜好の境界がほぼ無いような状態でサラリーマン時代の大半を過ごし、もったいないことをしたと反省している。
この時の経験から言えば、仕事と自分の生活との境界が無くなることは、確実に働き過ぎを招くと思う。実際に小生は自分の過重労働を特に苦痛と感じていなかっただけでなく、本給以上のサービス残業を行っていた時もある。
当方は仕事の内容において精神的な境界が無かった問題だが、一般にはこれが肉体的な境界となるのだろう。好きでやっているのではなく、自宅でやりたくもない仕事を生活の一部として取り込んでしまう苦痛は、当方の仕事ぶりを他人が見たときに趣味のように見えた問題よりも深刻かもしれない。
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オーディオの市場は音楽を楽しむ人で構成されていると思われる。昔はエジソンの発明による蓄音機が商品としてあった。当方が小学校に上がる前に手巻き式蓄音機を倉庫で見つけ遊んだ記憶がある。
小学生になった時にコロンビアのステレオを父親が購入してきた。高校生の時にはOTTOが勉強部屋に置かれた。義兄からのおさがりであるが深夜放送をそれで聴いていた。大学に進学後はサイモンとガーファンクルはじめフォーソングやブルース、ジャズのレコードを月に数枚購入し聞いていた。
ちょうどこのころがオーディオブームの始まりで、STEREO誌はじめオーディオ専門誌が多数登場するとともに、長岡鉄夫はじめオーディオ評論家が多数現れた。そして彼らがオーディオ業界をけん引していった。
オーディオ市場にはもう一つ、ビートルズの来日で火がついたエレキギター関連の市場が存在していた。オーディオ市場は大別すると演じる側と聴く側の市場が存在し、演じる側はプロ用機器として存在していた。聴く側の市場がホームオーディオ市場であり、これが急激に縮小化したのだが、演じる側の機器は昔ながらの規模で存在している。
聴く側の市場は、若者についていえば携帯電話に置き換わったように思われる。その他は高級オーディオである。ポータブルステレオも一部商品として存在しているが、家電店に行ってもそれを展示していない店舗も存在する。
今もステレオ誌が存在し、そこに紹介されている新製品を身近の家電店に行っても展示されていない。秋葉原にあるオーディオ専門店に行かなければ見つからない状態だ。
ところが驚くべきことに4-5000円程度の高性能デジタルアンプが秋葉原のオーディオ専門店以外で販売されている。これをネットで調べてみると、アマゾンでも扱っており、おそらく若い人はこの安価なデジタルアンプにスピーカーをつないでスマホで音楽を楽しむ生活をしている可能性がある。
すなわち、オーディオ機器の販売チャネルだけでなく機器そのものもDXの流れの影響を受け、市場が大きく変貌しているのにオーディオ業界がそこへ対応できていない可能性がある。
昔ながらの音楽を聴いて楽しむ層は今でも存在するが、高くなってしまったオーディオ製品など切り捨てて、安価に音楽を楽しむ手段を模索した結果、安価なデジタルアンプに安価な高性能自作スピーカーを接続して楽しむスタイルに変わったのかもしれない。
しかし、演じる側の機器については、少し大きな楽器店に行くと昔のように商品が展示され、お茶の水で数店ウィンドウショッピングをすれば売れ筋商品がわかる。すなわち、それなりの昔ながらの規模の市場が維持されているようだ。
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高分子材料のシミュレーションの有効性がどの程度あるのか、例えば組成から機能をシミュレートできるのか、という問いに対して、一般の人の期待に応えるのは現在のところ難しい、というのが正直な回答である。
まず、組成から機能を科学的に決められる、という考え方に問題があるにもかかわらず、それがシミュレートできて、特定の組成で少し実験するだけで機能性コンパウンドを実用化できたなら、それは素晴らしいことである。
今の科学でそこまでできるという人は、ほとんど詐欺師と捉えてよいが、ここでは、シミュレーションに費やされた時間について少し書いてみる。
シミュレーションに1年もかけて、そのシミュレーション結果を利用したところ、1か月程度の実験で新しいコンパウンドができました、ならまだ許される。しかし、シミュレーション結果を利用しても材料開発に1年かかったらどうだろうか。
当方は、79年10月1日にゴム会社の研究所へ配属されて、樹脂補強ゴムの開発を担当している。そして当時としては世界初の防振ゴム用の加硫ゴムと樹脂からなるTPEを開発(特開昭56-122846)しているが、そこに要した期間は3か月である。
これは、指導社員が防振ゴムのシミュレーションをダッシュポットとバネによる粘弾性モデルでシミュレーションを完成していたたおかげで、3か月程度の短期間に実用配合が見つかった事例だが、もし午前中の座学の時間と休日も実験に振り向けられたなら開発期間は1か月まで短縮できたと思う。
しかし、それでも当時の指導社員は、シミュレーションで現象の説明はできるが、配合まで見出すのは困難だ、と言われていた。さらに、ダッシュポットとバネのモデルによる粘弾性論自体が21世紀には無くなっているだろうとも予測されていた。
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科学と技術では、その実験方法が異なることをこの欄で説明している。実験方法が異なるということは、現象との接し方や捉え方が異なることを意味している。
科学は義務教育で学ぶ、自然との接し方の標準である。驚くべきことに大学を卒業するまで科学だけを学ぶ。科学以外に人間がその誕生以前から行ってきた自然との接し方もある。
国語で学ぶ松尾芭蕉は技術者ではないが、自然との接し方は技術者そのものである。しかし、松尾芭蕉をとおして俳句の作り方を学ぶが、高純度SiCの作り方は学ばない。
このような書き方をすると松尾芭蕉に叱られるかもしれないが、松尾芭蕉に叱ってほしいのは、科学の姿勢による自然への接し方を唯一とする、科学こそ命より大事とする人たちである。
このような人たちがする大きな間違いの一つに組成から機能が唯一に決まるという現象の捉え方だ。すなわち材料設計するときに組成なり分子単位で機能が唯一に決まる体系を構築しようとしている人だ。
このような人たちが使う詭弁として、機能から組成を求めることができない、というのがある。機能を実現しようとする方法が唯一でない限り、機能から組成を決めれないのは当たり前である。
この当たり前を前にして、組成から機能を導き出す解なり、体系を作り上げようとしても科学的に完璧な体系ができず、否定証明を生み出すことになる。当方のFDを壊した人は、組成から機能はできない、という否定証明をしたが、小生は、その否定証明された組成から機能を導き出した。
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製品開発において品質評価技術は重要である。多数の部材の組み合わせで部品が完成するが、部品の品質評価技術は製品の品質を保証するものでなければいけない。
同様に部材の品質評価技術は、部品の品質を保証できるように開発される。当たり前のことを書いているが、この評価技術の開発が難しく、その結果なれ合いの品質基準となることがある。
例えば部材と呼ぶべきコンパウンドが、単にペレット形状だけの品質規格になっていたり、ひどい場合には開封して、ばらけていることが品質規格になっていたりする。
もちろんそれで製品品質を保証できれば何も問題とならないのだが、それほど市場は甘くない。わけのわからない品質問題と言うものが起きたりする。
これは、品質規格というものが、科学的に正しく決められていないからである。例えば、科学の時代では科学的ではないと言った瞬間に袋叩きにあうので、科学の香りをつけて規格を決めるような場合である。
しかし、川上に行けば行くほど科学の香りをつけるのが難しくなってゆく。材料開発者であれば、科学の香りをつけるインチキにリスクが高いことに皆気がついている。よく知っているが、化学分析の手間や設備コストの問題があるため、リスクに目をつぶり、適当な実験を進めたりする。
例えばペレット形状を何水準か変動させて、部品の不良率をペレット形状が決定しているように見える実験を行い、品質規格を作り上げる。無いよりましな品質規格である。
このようなことをすると、市場でわけのわからない品質問題が起きたときに訳が分からなくなるのだが、それでも品質規格が科学的に決められている前提で品質判定したりする。
製品開発者には信じられないかもしれないが、コンパウンドの品質規格がどのように決められているのか、一度チェックしてみるとよい。
押出成形で半導体ベルトを開発した経験がある。このテーマで前任者は外部からコンパウンドを購入して開発していた。ところが、半導体ベルト用コンパウンドであるにもかかわらず、ペレット形状とMFRだけの品質規格だった。ベルト抵抗を保証する規格が無かったのだ。
しかたがないので、コンパウンド工場を立ち上げた。この時、ペレット形状以外に電気特性に関するスペックと混練状態に関わるパラメーターをスペックに加え、コンパウンドの生産を開始した。
徹底したコンパウンドの品質管理によりベルトの周方向の抵抗が安定したベルトを安定に生産できた。成形安定性は、前任者の記録で最も悪い時に比較して、歩留まりが7倍に跳ね上がっている。ただし、中古機を買いそろえて3か月で立ち上げた混練プラントだが、品質保証用の設備は新品を購入している。
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昨日オリンピックの影響もあり、浜口親子を思い出し「気合いだ!」と叫べば新材料が簡単にできる誤解を与えるような表現になって後悔している。気合いだけで新材料はできないのである。
とかく材料開発は失敗と挫折の連続である。だから気合が必要なのだが、気合をいれれば必ずできるわけではないので、昨日の内容について補足を書く。
気合をいれても、頭が空っぽではレスリングさえできない。レスリングは喧嘩ではなくスポーツである。ルールの中で技を繰り出し、一瞬の攻めどころを見出して勝てるのである。だから、レスリングでもそれなりの頭脳がいる。
材料開発も同様で、形式知と経験知と言う明確な枠の中で技を繰り出し、新材料を創出するのである。レスリングが一瞬の攻めどころを攻めて勝てるように、材料開発では目の前の現象に暗黙知が刺激を受けたときに偶然できてしまうことがある。
セラミックスから高分子材料までありとあらゆる材料開発を経験してみると、実際に偶然できてしまった体験が重要であり、その感覚を忘れないように言葉として残しておき、これが後々の開発に大変役立っていることに気づく。
すなわち暗黙知を具体的な言葉に落とす習慣が重要である。STAP細胞ではハートマークの実験ノートが話題になったが、当方の実験メモには、わけのわからない妄想が幾つか言葉として表現されている。
下手な絵もいくつか残っているが、文章で残す努力をしてきた。樹脂補強ゴムの開発では、指導社員も飽きれていたが、検討候補の樹脂材料について10部づつ添加した配合処方30数種類を徹夜して一気に混練している。
理由は、日をまたぐと現象を眺めた感想の表現が変わる可能性があったからである。10部しか入っていない樹脂相がうまく海となった海島構造が目標とされたが、ナノオーダーの構造変化がロール混練プロセスでマクロな現象として観察できたのである。
本当に観察できていたかどうかは、翌日以降の電子顕微鏡写真との照合で確認している。昼食や夕食を抜いて続けて混練していると、微妙なマクロ変化の共通点が見えてきた。それが電子顕微鏡写真の結果と一致した時に暗黙知が経験知に変わる習慣だった。
これは食欲睡欲の二つの欲求を犠牲にして気合を入れて実験を行った成果であるが、得られた経験知をすぐに応用し、世界で初めての樹脂とゴムのポリマーアロイ防止ゴム配合処方を短期間に開発できた。ただし、短期間に開発できた要因はもう一つあるが、これは後日この欄で述べる。
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新材料を迅速に開発するにはどうしたらよいのか。幾つか体験事例を示す。詳細については弊社にご相談ください。
新入社員の時に、実用的な樹脂補強ゴム(TPE)の配合を3か月で開発している。その後この配合は、後工程で某自動車向けエンジンマウントとして実用化された。
ホスファゼン変性ポリウレタンフォームは、6か月で工場試作に成功している。そして始末書を書いているのでこの始末書は開発時間の証拠となると思う。
その始末書にホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの企画を書いている。そして5か月後には工場試作を行い、これはその後実用化されている。
フェノール樹脂天井材に至っては、いつできたのか明確ではない。某フェノール樹脂メーカーと共同開発するにあたり、発泡機を購入した。ところが、その発泡機を立ち上げる前に後工程が研究所へトラックで乗り付け、その発泡機を工場へもっていってしまった。研究開発期間をどのように捉えたらよいのか。
これをアジャイル開発と捉えれば説明がつくが、研究と開発が同時並行で進んでおり、研究所でとりあえずできた処方がすぐに市場に流れていった。
そして市場で問題が起きると品質規格を見直し、それを目標に処方開発を行っている。製品の品質規格の評価を研究段階でできたのでこのような開発スタイルとなったが、これはその後の良い経験となった。
高純度SiCの前駆体の基本処方は、フェノール樹脂天井材の開発で余ったフェノール樹脂を廃棄するために1日作業を行ったときに完成している。これが21世紀に日本化学会から賞を頂くことになった基盤技術である。
すなわち開発が終了し、大量のゴミとなったフェノール樹脂を廃棄するときに、ラテン方格を使い、実験計画法もどきの実験を行いながらフェノール樹脂を硬化させて、社内の焼却場で焼却処理できる状態にした。
だから研究予算をかけずに前駆体の処方は完成している。この前駆体を焼成してSiC化する条件は、たまたま昇進試験に落ちたために無機材質研究所で1週間自由に実験できるチャンスがおとずれ、その3日間で高純度SiCができている。
ゆえにゴム会社としては、高純度SiCのプロセス開発が開発費0でできたことになる。これが30年続き、当方が65歳になった時に(株)MARUWAへ事業譲渡されている。ちなみにこのシナリオは昇進試験に落ちたときの答案の内容に近い展開である。但し昇進試験の答案では、10年後に別会社とするシナリオになっていた。
横道にそれたが、無機材質研究所で高純度SiCができるや否や先行投資2億4千万円と研究棟建設が決まっている。研究棟が完成してから1か月後には10kg/日の連続焼成炉が稼働し壊れている。原因はプッシャー炉の設計が悪かったため、プッシャーの棒が折れやすかったからだ。
この折れやすいプッシャーの棒以外に、幾つかのドラマが生まれている。プラントが稼働し二回目の昇進試験を受験し合格しているのだが、答案の内容は1回目と同じである。
これ以外にサラリーマンとして誠実に生きる努力がどれほどつらいことなのか学ぶドラマを経験するのだが、忖度の道ではなくドラッカーの誠実真摯を目指した。その結果転職を選ぶことになったので気分は複雑である。
写真学会から賞を頂いているシリカゾルをミセルとして用いたラテックス重合は、当方のコーチングスキルにより瞬間芸的に合成条件が見つかっている。これは、弊社研究開発必勝法の事例として用いている。
まだまだあるが、退職前のカオス混合プラントは開発開始から生産立ち上げまで3か月である。6ナイロンが相溶したPPSベルトに至ってはシリカゾルをミセルに用いたラテックス同様に瞬間芸でシーズを見出している。そしてカオス混合プラントができるや否やそれが実証された。
退職を1年延ばし、2011年3月11日を退職日に設定して開発したPETボトルのリサイクル樹脂は、内装材用は2011年の新製品に搭載されたが、外装材は2年後である。これは10年前なのでここに書きにくい内容だ。
最後に30年前の話になるが転職の原因になった電気粘性流体の耐久性問題解決では、一晩の実験である。添加剤無添加のゴムを開発せよと言われて、明らかに不可能なゴム開発をしたくない一心で一晩で問題解決できる界面活性剤を見出している。
この界面活性剤とやはり当方の開発した傾斜機能粉体で電気粘性流体は実用化されているが、界面活性剤で電気粘性流体の耐久性問題を解決できない、という否定証明は、博士や修士の研究者が1年かけて行っている。
材料開発と言うものは、否定証明をやってしまうと永遠にできなくなる。笑われるかもしれないが、「気合いだ!」と叫びながら明るく開発できることを考えながらやったほうがよいかもしれない。そうすると、失敗してもくじけないのである。うまくできない時に科学で完璧に否定証明を行うには時間がかかる。そんなことを実行するぐらいなら潔く開発を中止したほうが良いが、その前に弊社へご相談してください。
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勝南桜という力士をご存知の方は、相当な相撲好きである。当方は90連敗からのファンである。いったいどこまで連敗記録を伸ばすのか、ハラハラしながら応援していたが、104連敗で引退である。
通算成績は3勝238敗なので、全敗の相撲人生ではなかった。まだ23歳であり、もう少し続けることができたのに残念である。引退は本人が決めたという。相撲協会から言われたわけではないようだ。
親方である元北桜関は、「まだ頑張ってほしかったが、彼の気持ちを受け止めた」と述べている。相撲という競技はどれだけ連敗しても続けられる競技のようだ。
連敗を続けた時に引退を言われるのは横綱だけであり、それ以外は番付が下がるだけである。すなわち、本人が望む限りチャレンジができるプロスポーツのようだ。
プロ野球は成績不振で二軍に落ち、それでもだめならば引退となる。プロ野球で負けても一軍で頑張っていた選手として記憶にあるのは、中日の山本昌弘投手である。派手さは無かったが、立派な200勝投手で、50代で引退するまで最年長ノーヒットノーランなど最年長記録が多い。
勝南桜関の良かったところは、その負けっぷりである。八百長ではないのだ。負けても負けても翌日にはガチンコで相手にぶつかってゆく。プロレスのエルボーまがいの技を使い、相手の脳震盪を誘って勝ち星を重ねている横綱とは大違いで、立ち合いを見る限り立派な横綱相撲だった。
かわいそうなのは関取にしては筋肉が少ない。体質かもしれないが、みるからに痩せている。しかし、最低限の体力テストにはパスしているはずなので、相撲が技だけで勝てないスポーツであることを身をもって示した。
しかし、一番大きな功績は、負けても負けても腐らずに一生懸命体当たりする姿勢を見せてくれたことだろう。人生で一番大事なことだ。できれば、プロとして親方から引導を渡されるまで続けてほしかった。第二の人生も一生懸命頑張ってほしい。
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野々村真というタレントのファンではないのだけれど、このタレントの不思議な魅力に興味を持っていた。このタレントは、いわゆるおバカタレントに分類されているが、昔からそこに疑問を持って眺めてきた。彼のボケ方には知的な要素が隠れている。
昨年の冬から春にかけて、コロナ流行と騒がれたにもかかわらず不要不急の海外旅行をして帰国し、その症状があるのに歩き回りクラスターを発生させたり、医者の卵が酒飲んで騒いでクラスターを発生させたり、おバカな人たちがコロナをばらまいていた時に感染していないのだ。
そして、誰が感染してもおかしくない時に感染し、先日退院し、TV番組で闘病生活の様子を語ったことがニュースとなっていた。内容は、TVで見かける、少し信じられないばかばかしさのようでそうではない実体験の語り口だった。
このあたりが不思議な魅力なのだが、冗談ではなく本当に死にかかっていたようだ。自宅療養から、救急車が来てもすぐに入院できなかった体験、保健所から許可が出て入院したがICUに入るほどの重病だった話など、稲川淳二と少し異なる恐怖をあおられる。
その言葉の中に「みんなを助けることができないかもしれない状況」という表現がある。分かりやすい表現である。さらに「運がつながってゆかないと助からない状況」と続く。とてもおバカタレントとは思えない今の状況を伝える表現力だ。
政治家の言葉よりもわかりやすい。もう日本全国で100人に1人、東京だけに限れば50人に1人以上がコロナに感染している。そしてまだコロナ感染状況は悪化しているので、誰もが感染する可能性のある状況と表現できる。
しかし、どこまでその恐怖が理解されているのだろうか。ワクチンを打っていてもブレークスルー感染が、インフルエンザ同様に存在する。ただ、これまでの報告を聞いている限り、重症化のリスクはワクチン接種でかなり低下するようだ。
コロナ感染の後遺症の報告も多くなった。公開されている情報から判断されるのは、治癒しても辛い生活となる可能性が高いことである。病み上がりの野々村氏には申し訳ないが、今後は後遺症についてもその表現力で報告していただきたい。
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