来週開講の無料セミナーは2時間枠で2日間行う予定でおり、現在テキストを作成中です。当初予定では、これまでのテキストの使いまわしを考えていたのですが、2日間に分けて行う長所を出せるように作り直しております。
第一日目には、日本企業の多くが導入している、あるいは導入経験のある科学的問題解決法の問題点を指摘し、第二日目には、科学を道具として使う問題解決法について説明したい。
すなわち、非科学的な問題解決法を中心に前回は行ってきましたが、科学的な問題解決法を中心に講義しようと思い、内容を作り直しています。
ゆえに申し訳ないのですが、有料テキストのダウンロードは金曜日とさせていただきたく。
なお、来週の無料セミナーはこれまでと同一内容ですが、テキストは科学論を補強し書き直したものを用意させていただきます。
また、カオス混合を開発した非科学的方法も公開いたします。これは、以前高分子学会から招待講演を依頼されました時に1時間お話しした内容を短縮して公開いたします。混練の知識が無くてもその方法を理解でき、業務に応用可能です。
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技術者は自分を納得させるために科学を道具として活用する。科学的に導き出された結果であれば、現代の技術を開発するためにそれは現代の物差しとして使えるからだ。
統計は、このような場合に便利な科学的道具である。「統計でウソをつく」という本があるように、科学の道具として珍しく柔軟性がある。悪が使えば凶器にもなる。
「女性の何%は**だから、**」という口説き方もあり、恋愛の道具になったりする。科学に毒された女性ならば、簡単に口説くことができてしまうのも統計が科学の道具として愛用される理由でもある。
ただし、女心は秋の空、という言葉が示すように、魅力的な女性は統計で語ることのできない技術者のようでもある。
秋の空のようにその心の変化をつかみにくくとも、現象から機能を取り出す技術者と同じような考え方の背景のようなものが女心にはある。
そこを男性は理解しようと努めなければ、女心に永遠に振り回されることになる。女心を取説に例えた歌に騙されてはいけない。それを信じるのは科学的問題解決法で問題を解きはじめようとする愚行だ。
まず、最初にやらなければいけないことがある。弊社が提案している問題解決法では、多くの科学的問題解決法が教えていない最初のステップを大切にしている。
多変量解析は、大量のデータを処理するときに便利な科学的道具である。女心さえもこれで処理できる、と科学者は誤解する。ただし、処理するときに用いたデータのよりどころ、時代背景を付記することを忘れてはいけない。
江戸時代の女心のデータを多変量解析にかけた結果と現代の女心のデータを多変量解析した場合では、まったく異なる結果になるはずだ。もし一致する結果となれば、それは時代を超えた普遍的な形式知と呼んでも良いような成果である。
このような思惑で、マテリアルインフォマティクスという学問が今流行している。多変量解析だけでなく、シミュレーションも駆使して、科学者たちが一生懸命に、あたかも技術者が科学を道具として活用するように取り組んでいる。
科学と技術の境界線は時代により変化するといった人がいるが、まさか科学者が技術者のような仕事を行う時代になるとは想像していなかった。まさに業務改革花盛りである。
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高分子用添加剤は高分子の機能性向上を目標にして多数開発されているが、樹脂用添加剤の場合に共通した欠点として可塑化効果のために高分子の耐熱性を下げる問題がある。
PPSは難燃性が高くTgも100℃近くであり、コストが下がり始めた耐熱エンプラとして最近注目され使用量が増加している。
このPPS用添加剤についてTgを下げず、成形時におけるPPSの流動性と靭性を改善する添加剤を新しいコンセプトで開発した。
面白いのは、カオス混合ではコンセプト通りの性能を実現できるが、二軸混練機だけの混練では、十分な性能が発揮されない点である。
カオス混合と二軸混練機だけの混合では混練の効果が異なるためだが、カオス混合の特徴を示す良い事例となった。
また、この事例により、混練で添加剤が高分子にどのように分散してゆくのか、その結果何が起きるのか想像通りであったことも開発成果と言える。
詳細は弊社へ問い合わせていただきたい。来週の問題解決セミナーにおいて時間があれば問題解決事例として説明する。
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科学と技術の境界は時代により変わる、という名言がある。また、20世紀の経営者による「科学と技術は車の両輪であり、どちらかが遅れても科学技術はおかしな方向へ発展する」というたとえ話は、1960年代に起きた企業の研究所ブームがどのようなものであったかを理解させる。
バブル崩壊後企業は研究開発のあり方をみなおしている。しかし、1980年代に導入が始まった研究開発管理手法であるステージ・ゲート法や科学的問題解決法のTRIZやUSITを現在でも愛用している時代遅れの企業が存在している。
あれから約40年、非科学的方法による研究でノーベル賞受賞者が出る時代になった。アジャイル開発も一般的になってきたが問題解決法は従来のまま、というのは時代遅れである。
サラリーマン技術者の時代から、企業の研究開発のあり方に関心を持ち、科学的問題解決法に疑問を感じてきた。研究開発も含め企業で発生する問題を視野の狭い科学的問題解決法で解いていては、それこそ問題であることをドラッカーは指摘している。
高校生のころからドラッカーの著書を愛読書とし考案した問題解決法を無料で公開しております。
今月は11月24日と25日に問題解決法の無料セミナーを予定しております。
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技術者にとって、科学は最も重要な道具である。AIの時代となり、ますますそれが鮮明になってきた。AIの科学者を量産することはできるが、技術者のAIを量産してもコストに合わない。
技術者とは、形式知同様に経験知や暗黙知を重視する。これらは技術者個々により、身に着けている内容が異なるし、昨日の暗黙知を否定する新たな暗黙知を今日作り出すような気まぐれさも技術者の特徴である。
技術者の暗黙知をAIに教師データとして教え込んでも使い物にならない。そもそも暗黙知をAIに教え込むことは困難である。暗黙知は情熱や感情にも左右される。技術者は、やりたくない仕事あるいは経験のない仕事でも科学を道具として使い、学習し、挑戦する。
電気粘性流体は、やりたくない仕事だった。しかし、住友金属工業と高純度SiCの事業化を始めたと言っても所属が研究所である限り、やらなくてはならない。
「界面活性剤ではなく、第3成分と呼べ」と言われても、電気粘性流体の耐久性問題を解決できたのは、紛れもなく界面活性剤を添加したからである。しかし、組織の中で働く技術者は、上司に従うか、上司に不満であれば転職するかの2択しかない。
組織に残るならば、第3成分と自分を納得させるよりどころが必要になる。技術者は機能の動作について、自分の納得のゆかない動作を改良することができないからである。
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技術者は現象から素直に機能を取り出す。そしてその再現性とロバスト向上に努力する。そしてそれが優れた機能ならば、素直にその機能についてロバストを説明する。
データを捏造したり、機能を見出した経緯をごまかしたりしない。ひたすら品質向上に努めないと市場に受け入れてもらえないからである。
ところで、界面活性剤で電気粘性流体の増粘問題を解決ができたのだが、界面活性剤を第三成分と呼べ、と実験結果についてリーダーがその内容を捻じ曲げるように要求してきた。
界面活性剤では解決できない、という研究報告書が出されていたのがその理由で、材料系の本部長から音と振動の大家の本部長に代わっていたので、第三成分は界面活性剤ではない、とごまかそうとする魂胆が見えてくる。一部の善良ではない科学者特有の悪である。
科学者の中には専門外の人間に対して、理解を容易にするために言葉でごまかすことに躊躇しない人がいる。善良ではない科学者は、このリーダーだけではない。
技術者には実直な人が多いが、技術や職人を小ばかにする科学者もいるので、そのような人も悪人ではないが善人とは呼べない。ちなみに当方の転職原因を作った人は優秀な科学者だった。
なぜ技術者が愚鈍で実直にならざる得ないのかというと、そうでなければ市場からしっぺ返しに遭うからだ。科学者は研究論文を重視するが、技術者は市場の顧客を重要視する。
11月24日と25日に問題解決をテーマとした無料webセミナーを行う予定でいます。時間は13時30分から15時30分を予定しており、2日間4時間でまとまる内容を企画している。現在それぞれの日をどのような内容にするのか検討中ですが、とりあえず参加者を募集します。弊社へお申し込みください。原則2日間参加できる方が対象ですが、1日だけでも参考になるかと思います。
お申し込みはこちら
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科学的に改善不可能と否定証明で論じられた現象でも、技術で改善可能である。このことが技術的問題解決法と科学的問題解決法とが等しくないことを示している。
現代の科学で解明できないから、技術的に不可能という結論をすぐに出す人がいるが、科学と技術では、やる「コト」が異なる。
技術では現象から「機能を取り出すコト」が目標であり、科学とは現象を説明する仮説の真偽を明らかにすること、すなわち「現象から真理を導き出すコト」が目標になる。科学的に不明でも技術で再現よく改善できれば実用化できることに気が付いてほしい。
科学を先導できる技術者こそ優秀な技術者であり、そのためには科学の形式知に精通していなければならない。例えば材料技術者ならば、セラミックスから高分子、金属まで科学の形式知を学んでおく必要がある。
この意味で高分子だけ知っています、という材料技術者は未熟である。しかし、高分子科学者という職業ならば、尊敬される場合も出てくるかもしれない。
添加剤の入っていないゴム処方を開発せよ、と電気粘性流体の開発プロジェクトリーダーから命じられた時に、目が点になった。すぐに「あほか」と言いそうになったが、そこはこらえて「回答は1週間待ってほしい」、と伝えている。
1週間あれば界面活性剤を見つけることができると考えたからである。しかし、界面活性剤の検討を電気粘性流体の担当者たちが1年続けていたことを知っていたので、ここは忖度して、「高純度SiC事業の共同開発先とテーマの調整をしたい」と回答している。
組織活動においては、科学者に対する忖度による知恵の発揮が重要で、これができないと、科学者は否定証明の論理を用いてチャンスをつぶしにかかる。企業の科学者にはこのような輩が多いので技術者は組織活動における忖度の働かせ方を学ばなければいけない。
忖度をはたらかせて、謙虚に「1週間勉強のために、耐久試験を終えて増粘した電気粘性流体を少しほしい」と伝えたら、ドラム缶にいっぱいあるから自由に使ってよい、と言われた。
ヘドロのようになった電気粘性流体を譲り受け、それを300個のサンプルビンに分取し、手持ちの界面活性剤はじめ社内にある界面活性剤になりそうな化合物まで集めてきて、それらをサンプルビンに次から次へと添加した。
スタップ細胞の騒動ではハートマークやビックリマークだけで書かれた白紙の実験ノートが話題になったが、この時の当方の実験ノートには、界面活性剤になりそうな化合物から界面活性剤まで、その成分情報やHLB値、曇天などのデータや当方の経験からのアイデアメモなどこの一晩の実験だけのために数ページが真っ黒になった。
科学者の中には実験ノートをメモ程度に考えている人がいる。すなわちメモ程度でも後からロジックで正しく実験時の情報を表されると考えているからだ。
技術者は機能を取り出す必要から、ロジックではなく、試行錯誤で実験を行う場合が多くなる。ゆえに実験ノートには詳しく情報を残しておかないと、後から重複して無駄な実験をすることになる。
さて、この時も試行錯誤の実験となったが、300個のサンプルビンを振盪機にかけて一晩おき、翌日そのサンプルビンを観察したところ数個のサンプルビンで明らかに粘度が下がっていた。さらに、そのうち1個のサンプルビンでは、上澄みが透明になっていた。
詳細は当方の書いた特許を見ていただきたいが、試行錯誤で耐久試験問題の解答が見つかったのである。何も難しいことを考えてはいない。正しい問題に対して手当たり次第に答えを探しただけである。
サルでもできる、というと言い過ぎだが、優秀な科学者の数名が1年かかっても解けなかった不具合現象を電気粘性流体に関する基礎知識のない当方でも一晩で改善できたのである。
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電気粘性流体の耐久性問題とは、電気粘性流体をゴム容器に封入して用いると、ゴムに添加されている多数の添加剤が電気粘性流体にブリードアウトし、それにより電気粘性流体が増粘、機能しなくなる現象である。
微粒子とオイルで処方された電気粘性流体の中にゴム薬品が微量入ってきて増粘しているので、このような問題は、ブリードアウトするゴム薬品をゴムから取り除くか、電気粘性流体に界面活性剤を添加して、ゴム薬品が混入しても増粘しないように改質するのか、解決策は二通りしかない。
ゴムの配合からゴム薬品を抜いたらゴムの耐久性だけでなく、ゴムとしての性質も変わるので、ブリードアウトするゴム薬品をすべて抜くことはできない。
ゴム会社の技術者ならば、それは経験知から常識だったが、科学者には科学的真理こそ重要となるので、技術者の常識など科学的真理の前にはばかげた知識に見えたようだ。
ここで、オイルとしてシリコーンオイルを用いているので、界面を表面処理しブリードアウトを防ぐというアイデアがあるのではないか、とか、ほかにもアイデアが、という可能性の議論は、すでに開発ステージがFS段階を過ぎ商品開発段階となっていたので除外する。
すなわち、当時の技術的な解決策は、開発ステージなどを配慮すると「耐久性問題を解決できる界面活性剤を探しだす」以外に手段は無かったので、これが正しい問題になったはずである。
ところが、電気粘性流体の担当スタッフは全員高度な訓練を積んだ科学者だったので「耐久性問題を解決できる界面活性剤は存在するのか」という問題を設定して解いていた。
そして否定証明により、そのような界面活性剤は存在しない、という科学的に満点の正解を導き出している。ゴム会社の研究所でもこの正解がとんでもない結果を導くことに気が付けないところが科学の弊害といえる。
間違った問題の正しい答えから、「ゴム薬が添加されていないゴムの配合開発」というテーマを設定したのは、日本を代表する大学を卒業した理学博士であり、頭が悪いわけではない。
科学的に正しい解答を導いた自信から、このテーマが素晴らしいアイデアだと真剣に信じていたようだ。「科学的視点から、これしか解決策は無い」と力説していた。
このような勘違いは、ゴム会社だけでなく写真会社でも見てきて、間違った問題を正しく解いて、それに気が付かない、というのは、科学という哲学の引き起こす弊害ではないかと思っている
(注:最近では理研で類似の問題が起きている。後日この事例にも触れる予定だが、科学者ばかりであるとこのような弊害に気がつけない。あるいは弊害そのものに関心を示さない。技術者があとで気がつき笑い話とする場合もあるが、科学を身につけた技術者ならば、科学的に正解であってもその間違いに、すぐに気がつくはずである。いくら科学的に正しくても経験知からおかしい、とすぐに回答を出せる技術者を目指さなくてはいけない。これは訓練で可能となる。弊社にお問い合わせください。)。
しかし、科学云々という以前に、知識の有無とか頭の良しあしとか無関係に企業の開発テーマであれば、「存在するの「か」」という東スポが新聞タイトルとしてよく用いる様な疑問符の問いを開発段階で設定してはいけない。
(東スポ的タイトルが許されるのは、調査研究段階であり、開発ステージに入ったならば、常に前進する問いの設定に心掛けなければならない。この点については後日事例を用いながら説明する)。
企業の研究開発では、仕事を前進させる問いを開発テーマとして設定すべきで、そのためには正しい問題設定のための意思決定が必要となるケースも出てくる。
正しい問いの設定ができるかどうかは開発の成否を左右する。間違った問いの正しい答えほど役に立たないばかりか、害を及ぼすことさえある。これはドラッカーの指摘していたアドバイスである。
間違った問題を設定して、修士以上の優秀な科学者が数名で1年かけて科学的に完璧な正しい答えを導き出し、技術者を目指していた当方にとんでもないテーマを依頼してきたのだ。
これはゴム会社の研究所で経験した30年以上前の実話であり、その後このテーマを成功に導く課題解決について高純度SiCの事業化とともに一人で担当した当方が転職しなければならなくなる事件が起きている(古くは小説「カラマーゾフの兄弟」のように宗教とか哲学の論争は人間の生き方、生命そのものにもリスクを生み出す。それゆえ哲学に縛られない能天気な技術者は重要である。理研では科学の弊害で自殺者が出ているが、当方は死ではなく転職を選択している。科学に命をささげるほど科学の支配をうけていない。科学という哲学よりも人間の命こそ最も重要である。生きること、地球で命を大切にすることに技術者は努力している。)。
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「会計検査院は10日、国費の無駄遣いや不適切な経理など改善が必要な事業が248件、297億円あったとする2019年度の決算検査報告を菅義偉首相に提出し、公表した。」
これは、昨日の朝日新聞デジタルからのコピーである。不適切事例として減塩明太子の開発のために、国の補助金が投入され設備導入したが、その設備を既存の明太子生産に使用していたという。
会計検査院の指摘で、この会社は補助金を返納したと言っているが、ふざけた話である。
一方で真面目に日本企業にとって有益な補助金申請しても通らない事例が多いというのに、このようなニュースを読むと補助金審査のいい加減さを改善してほしいと思う。
カオス混合装置の開発は、3度申請し全部落ちたので中国で自力改良している。すなわち中国企業の助けを借りながら、カオス混合装置の効果を確認してきた。
一部の中国企業は、このカオス混合装置のおかげで樹脂品質が上がり、開発効果の恩恵を受けたことになるが、このような開発行為を批判したい人は、国の補助金の在り方に目を向けていただきたい。
有益な技術開発には補助金が出ず、およそニーズなど無い減塩明太子といういかがわしい商品開発に補助金を出している現在の状況が改善されない限り、まじめに努力している中小企業は浮かばれない。
辛子明太子は塩辛いからその商品価値があるのであって、その塩辛さを抜いたなら、辛子明太子でなくなることが審査員にはわからなかったのだろうか?
減塩明太子の開発とは、どら焼きのあんこから砂糖を抜く開発と同じであって、そのテーマの価値はタイトルからすぐに理解できる。調味料である減塩醤油とは意味が異なる。
科学者のコンサルタントが適当な形式知の言葉をつなげて、いかにも価値がありそうなテーマにでっち上げたことぐらいタイトルからすぐにわかりそうなものだ。
しかし、科学に毒された頭では、ヒューリスティックな解でダメだとわかるテーマでも前向きの推論を展開する科学者の審査員には見抜けず、ダメなことが分かってから不適切と判断することになる。
正直に科学的に不明点は多いが技術的価値は高い、と申請書に書かれたカオス混合装置の開発の方が補助金の対象として有益だった。しかし、3度その技術開発提案は落選している。
自費でカオス混合効果を確認しながら改良を進めたので、実験用であれば、中国製となるが、今では300万円前後で供給可能となった。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
中国では吐出量500kg/hのカオス混合装置が稼働しています。また、退職前に非科学的な瞬間芸で製作したカオス混合装置は10年以上無事に稼働しています。
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科学技術という捉え方は、科学の時代において重要であるが、技術者はそれに縛られる必要はない。
かつて写真会社の役員が商品開発をしているとスタッフが職人になってしまう問題を嘆いていた。また、それゆえ実験を行う時には仮説を設定して行え、と声高に叫んでいた。
開発部門のスタッフが職人になってしまう問題は、企業の研究部門のスタッフが科学者になってしまう問題よりも弊害が少ない。
職人であれば職人として扱い、仕事をさせれば技術者のよい手足となるが、科学者を科学者として扱っていると無駄な人件費を支払うケースやジキルとハイドのような悪人を生み出す土壌になる。
電気粘性流体の開発では、優秀な科学者集団により6年間研究開発が続けられ、耐久性の問題でとんでもない科学的に正しい結論を否定証明により導き出している。
これは、当方が住友金属工業と高純度SiCの事業を立ち上げようと一人で踏ん張っている時だった。ちなみに研究所のテーマとして高純度SiCの事業化は電気粘性流体よりも1年遅れて正式テーマとなっている。
電気粘性流体も高純度SiCもゴム会社では、基盤技術が乏しいスタートではあったが、前者についてはレオロジーという基盤技術を生かすことができて適社度の高いテーマと位置付けられていた。
ゆえに耐久性問題が起きたときに、最も適社度の低いテーマを一人で担当していた当方に「添加剤が無添加のゴム」というクレージーなテーマ依頼が来たのだろう。
当方も管理職昇進を2年後に控えていた年齢なので、それを心配してくれた、と捉えることもできなくもない。
研究部門のトップが材料に詳しいリーダーから材料のことなど詳しくない音振動のスペシャリストに代わったので、楽観的な当方は少しそのような期待をして頑張って同時に頼まれなかった高性能電気粘性流体用粉末まで開発し提供している。
ただし高純度SiCの事業は、当方の開発した基盤技術がそのままで現在でも続いているが、電気粘性流体の事業は世の中にその痕跡も無くなっている。
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