給与が安いことで「日本は終わっている」とツイートした人に申し上げたい。日本の社会は良い方向に向かっている、と。
給与が安くても働く場所があるだけ幸せである。だから、あなたはホリエモンが言うような「終わっている人ではない」。貢献と自己実現という働く意味について考えていただきたい。
当方は、日本に仕事が無いので、中国でローカル企業の指導をしている(注)。日本では、安くても給与の支払いはあるが、中国では契約していても契約通りに給与を支払ってくれない。その回収に大変エネルギーが求められる。
それでも我慢して新素材開発や工場建設の指導をしていたら、蘇州ナノポリスのアドバイザーに推薦してくれた。そこで研究開発の場を得ることができた。また、上海国際CMFシンポジウム2018の招待講演者として推薦を受けた。
誠実真摯に努力しておれば何か報われる。ただし、それが努力の対価として妥当かどうかは別問題で、「働くならば誠実真摯に努力」することが,いつの時代でもどこの国でもまず大切だ。
「日本は終わっている」とツイートしている暇など無いのである。写真会社に勤務していた時に、仕事をしていなくても勤務しているだけで係長まで昇進できる状態(出勤しても本を読んでいるだけのその人は大変満足していた)を見てびっくりした。
最初から働く気力が無くて、そのような人を間違えて雇っても給与を支払わなくてはいけないのが日本の会社である。昔、旧国鉄(民営化されてJRとなった)の社内の様子がTVで報じられていた。
働かない社員を何とかしようとかなりのエネルギーを使ってもクビにすることも給与を下げることも難しい。だから社員を指導する意欲も失せる管理職の問題を国民は知った。
働く気が無い人に意欲を持たせるのが管理職の役割であり、それを果たせない問題と働く意味を理解しようとしない労働者の問題を民営化により解決できたのではないか。
「日本は終わっている」とツイートされたあなたから旧国鉄の状態を思い出しました。ただ、当時と異なるのは、管理職は部下の給与を下げることが容易になった。
部下の能力について正しく評価することを管理職に強く求める会社も増えてきた。どのような部下でも昇進させる管理職について是とする会社ならばあなたの給与は下がらなかったかもしれない。
管理職に部下の能力を厳しく評価することを求めている会社では、能力が下がれば給与は下がる。しかし、誠実真摯に働く限り貢献を誰かが見ているので、誰かが誠実真摯に働く人にご褒美を与えてくれる。
能力の評価は自分でも難しいが、誠実真摯に働いているかどうかはわかりやすく周囲に伝わる。その結果が表れるのに時間はかかるが、必ず報われる。だから、あなたも、まず誠実真摯に努力してみてはいかがか。これは40年の労働者人生で学んだ知恵だ。
(注)中国では、成果を出せば噂を聞いたお客様がどこからか現れるので営業活動の必要はないが、信用度の低いローカル企業なのでお金の回収が難しい。昔中国は日本に漢字をタダで教えたので、今技術を無償で教えるのは当たり前という冗談を真顔で言われた時にはびっくりした。労働対価が支払われるかどうか不明の環境で働いている日本人もいるのだ。成果がでなくなれば仕事はこなくなる厳しい環境である。形式知と経験知、それと無限の暗黙知が頼りである。
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ホリエモンのツイートについて自己責任論に基づく、とリツイートし、それを支持する意見が多い。当方は、それはあまり深く考えていない意見だと言いたい。
給与が低くても雇用されている状態に注目すれば、本人以外の責任が見えてくる。本人が会社に貢献するような働きをしていても、それを快く思わない人は組織にいる。その結果給与は増えないこともある。多面評価ならば致命的である。
当方が昇進試験に落ちたとき、成果を出していなかったわけではない。ゴム会社に入社して3年間に、樹脂補強ゴム(開発された配合により後工程で自動車用エンジンマウントとして実用化された)、難燃性軟質ポリウレタンフォームの実用化、フェノール樹脂天井材の実用化と商品化企画3テーマに成果を出していた。
(当時「成果の出ない研究所」と陰口を言われていた組織においての連続の成果である。樹脂補強ゴムに至っては、一年の予定のテーマを毎日深夜まで、時には徹夜までして3ケ月で仕上げている。もっともこれは指導社員の当方をうまく教育してくれた成果だがーー。「成果の出ない研究所」の原因は、「成果を出すと評価されない研究所」だったのだ。例えば、発泡体の研究を担当していた部署の課長は、担当者の時何も成果を出せなかった、と陰口を言われていた。成果が出せなくても研究所では大卒であれば昇進試験に合格したのである。)。
フェノール樹脂天井材のテーマについては、開発中にMホームですぐに採用され、会社の売り上げに貢献した。開発途中の天井材は、開発が完了した時よりも豪華な設計だった。アジャイル開発のため品質重視で設計したことがその理由である。(おそらくソフトウェアーよりも早くアジャイル開発を導入した例なのかもしれない)
しかし、給与明細書を友人と見せあって当方には成果に対する査定がついていなかったことを知った。また、快くサービス残業をして成果を出している姿勢が周囲のひんしゅくを買っていることも分かっていた。
なぜなら研究所では大半の人が定時退社だった。タイヤ開発をしている部署の人たちは、それを「雲の上の人々」と表現していた。研究所は成果が出ていなくてもエリート集団として扱われていたのだ。
新入社員でありながら難燃性軟質ポリウレタンフォームの開発スタート時に工場試作を成功させて始末書を書いた実績もある(これは負の実績だが、少なくとも上司以外の誰もが課長が始末書を書くべきと、ひそひそ話をしていた。)。
さらに、その始末書で提案した技術で実用化に成功しても評価されなかった実績から、サラリーマンの給与は必ずしも成果や貢献度合いではなく、上司のさじ加減の寄与が大きいので、給与が少ないことについて右往左往するなと言いたい。
(当方の成果については、当方の書いた特許や論文、学位などを見ていただけばわかります。FD事件の起きた原因である電気粘性流体については、その犯人を示す出願がある。公開された資料から裏を読むと「事実は小説よりも奇なり」という現実が見えてくる。わかりやすいのは、ゴム会社で実施されまとめられた論文の筆頭著者が当方ではなく、その論文に関わっていなかったT大の研究者の名前が書かれている例もある。あえてこの欄でその研究者の名前を書かないが、その研究者は恥ずかしいと思わなかったのか、と今でも疑問に思っている。当方がT大からの学位を辞退し中部大学で取得した理由である。)
給与の少ないことを単純に自己責任論で片づけたなら、本当の問題が見えなくなる、と思っている。担当者の給与が少ないのは、給与決定権のある上司にも問題があるのだ。
落ちた昇進試験に影響する査定をつけた上司は、職務上公私混同を平気で行い問題行動が多かったが、それをうまく隠蔽する能力に長けた人だった。部下は皆気がついていたが、黙認していた。
当方は管理職の時に部下の評価査定については、気合を入れて人事との交渉を行っている。ゆえに当方が悪い評価をつけたのは、会社に来ても仕事をせずぶらぶらして、「これでも会社はクビにできない」とうそぶいていた社員だけだ。一方で、貢献と自己実現に努力をすれば、給与以上の見返りがある、そう信じて生きてきた。
ゴム会社では成果に対する報酬の問題や残業制限があったため十分な残業代を請求していなかったが、12年間の勤務で多くの先輩社員のご指導で実務スキルを身に着けることができた。これを転職した写真会社で生かすことができた。
例えば、写真会社では早期退職前に混練プラントを建設し中間転写ベルトのプロジェクトを成功に導いている(ちなみにこの成果で部長だった当方は何も評価されていない。この問題については機会があれば書いてみたい。企業における人事評価は公正に行わなければ風土に影響する。なぜなら明確な貢献に対して評価されない状態を放置すれば、貢献しようという意欲を否定しているようなものだからだ。)。
混練の技術基盤など写真会社には無かった。混練プラントが短期間で立ち上がったのは、ゴム会社で体得した混練技術に関するスキルのおかげだ。これ以外に写真会社で残してきた成果にはゴム会社で新入社員時代に担当したテーマで獲得したスキルが生きている。
一日前に上司が長い手紙を当方に下さった話を書いている。そこには本音がつづられていた。そして翌年必ず昇進試験を受けなおしてほしい、と結ばれていた(注)。
高純度SiCの発明をした後、8社から転職のお誘いを受けている。留学中に合計10社から転職のお誘いを受け、30歳前後の技術者の年収について最高額の相場が800万円であることを知った。少なくとも当時の当方の年収ベースで2倍である。
しかし転職しなかった。ホリエモンの価値観から見たらバカな理由かもしれないが、当方のためにゴム会社の中で一生懸命動いてくださっている方々がいたからである。
転職すべきかどうかの判断は難しい。給与以外に、組織における人間関係も影響する。0点がつけられた昇進試験の解答に書かれた高純度SiCのシナリオへ先行投資しようと言われたときの感動は今でも記憶に残っている。学位を取得する段取りも会社が用意してくれたのだ。
働く目的はお金と思われがちであるが、ドラッカーはお金ではなく「貢献」と「自己実現」と述べている。当方は貢献の中には、ラグビーの様な人との交流も含まれていると思っている。
大きな会社になるほど人格も含めて価値観などのおかしい人が増えてくる。これは30年間ドラッカーを教科書として社会を見てきた実感である。
働く目的は給与ではないのだ。仮に給与が少なくとも貢献する価値のある組織で働けるのは幸福である。腐った組織ならば、給与の額とは関係なくさっさと転職したほうがよい。
(注)上司の手紙を読みながら、なぜその年の昇進試験の時に面倒を見てくれなかったのか、と突っ込みをいれたかったが、会社の研究所の問題が書かれていたので、それを恐れず文章に書き、わざわざ手紙として当方にくださった決意に心を動かされた。ただ、この上司は、ファインセラミックス研究棟の起工式の日に病で倒れ、竣工式の日にお亡くなりになった。成果を出すためには、死ぬ気で働かなければいけない時代だった。また、そのくらい頑張っている人がいて経済成長していた。それに比べれば今は良い時代である。サラリーマンが命を落とせば社会でその問題を議論してくれる時代である。昔は会社で割腹自殺してもすぐに忘れ去られる時代だった。日本はバブル崩壊後良くなっている。決して終わっていない。
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今年の東京モーターショーは、これまでと異なり、家族であるいはアベックで楽しめるイベントだ。また、ディズニーランドは大人一人では行きにくいが、東京モーターショーは子供から老人までたった一人でも違和感なく楽しめる。
例えば本日18時からも次のようなイベントがある。
災害時にも役立つ「給電可能な」クルマによるイルミネーション点灯式
NONSTYLE 井上さん、佐野ひなこさん、パンサー菅さん、尾形さん、
ひょっこりはんさん、バイク川崎バイクさんが集結、 電動キックボードに乗って登場
パレットプラザで10メートルの巨大クリスマスツリーがお披露目
「Welcome HEART TREE」点灯式
また、11/1-11/2には、ドローンによるレース大会がある。11/2には日向坂のショーもある。
東京モーターショーと言えば、内外の新車発表会の様なイメージを持っておられる方も多い。また、コンパニオン目当てに会場に行くのが恒例という人もいたかもしれない。
しかし、今年のモーターショーは、外国メーカーの参加も少なければ、コンパニオンもやや地味。さらに新車発表をしていないメーカーもある。例えば日産自動車は、2020年に新車が目白押しのはずだが、それらの展示は無い。
日産自動車よりもグループとして展示している三菱自動車の方が気合が入っており、市販車に近いガスタービン車を展示している。
ガスタービンと言えばジェットエンジンである。かつて40年近く前にセラミックスフィーバーの時に日産自動車は参考出品ながら断熱セラミックスガスタービンエンジンを展示していた。
バットマンカーの派手な車の動力もおそらくガスタービンだったのではないか。詳しい人は教えて欲しい。最近はバットマンよりも相手役ジョーカーの話題が多い。三菱自動車のブースにジョーカーの格好で見に行くのも面白いかもしれない。
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無機材質研究所留学時の手取り2万円の話は、すぐに広がった。折しも社会はセラミックスフィーバーでその中心はエンジニアリングセラミックスとして応用が期待されているSiCやSi3N4だった。
だから、高純度SiCの新合成法を発明する前に、留学するや否やすでに2社から転職のお誘いを受けていた。その時面白かったのは、どこの会社も手取り10倍は保証する、という殺し文句だった。
手取り2万円をどこから聞いたのか、という野暮な質問はしなかった。とにかく10倍という価値をつけてくれたことにうれしくて、昇進試験を落とされた時にその結果を知らせてくださった人事部長に笑い話としてお話しした。
また、昇進試験に落ちた、との電話連絡を人事部長から受けた後の翌日から、たった1週間で高純度SiCの新合成法を発明し、特許の草案を書き上げた(この発明を元にした事業はゴム会社で30年続き昨年セラミックスメーカーへ事業売却された)。
この連絡を受けた2週間後、人事部長との面談時に、その笑い話より面白い話があると言いながら、特許の草案と高純度SiCのサンプルを見せていた。
そして、当方は新規事業について問われた試験問題の回答について、自分のビジョンを描き、それがゴム会社で評価されなかった結果について、事前に友人から頂いていた試験問題をお見せして気にしていないと伝えた。さらに、十分に世間で評価してくださっているので心配しないでください、とお伝えした。
この話は、すぐに研究所に伝わり、それまで何も面倒を見てくれていなかった研究所の上司と名乗られる方からA4二枚ほどの手紙を突然いただいた。
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日本の安月給を嘆き、「日本は終わっている」とネットで主張した書き込みに対して、ホリエモンが「お前が終わっているんだよ」と辛辣に批判したことがちょっとした話題となっている。
日本のGDPはバブル崩壊後ほとんど上がらず、そのため一人当たりのGDPは、バブル期よりも感覚的にかなり下がったことになる(注)。
さらに、この20年間に大半の企業は従来の年功序列型給与カーブから能力重視の給与体系に変えたので、長年勤務しても新入社員時代よりもほとんど昇給していない人もいるだろう。
バブル崩壊前、当方がゴム会社にいた時代に、28歳の年間給与は、新入社員時代の2倍となっていた。当時サービス残業が当たり前で残業申請をほとんどしていなくても苦にならないくらいの昇給である。
もちろん残業代を毎月20時間以上申請しておれば3倍に上がっていたかもしれない。さらにアメリカ出張が業務になっていた同期の友人は5倍近くあがり、同期から出張成金ともいわれていた。
もっとも当方の新入社員時代の年収は、2年目で200万円前後だった(トヨタカローラが100万円で買えた時代である。セリカは180万円、スカイラインは200万円からだった。)。
大卒なら入社2年間は残業代がつかないルールだったので200万円を超えなかった。ただし、家族手当が高く、結婚すればこれが300万円前後になるような給与の仕組みだった。給与増やすには嫁をとれ、とも言われた。
当時の給与明細書が残っていたので写真会社を退職時に整理した。その時に、ゴム会社と写真会社の社会保険に対する取り組みが異なっていることに気がついた。すなわち、転職時給与は上がったが、社会保険の積立額は2ランク下がっていたのだ。
ところで、30歳前後で無機材質研究所に留学していた時には、諸手当や残業代は0となり、独身だったので悲惨だった。今から思い出すとどのように生活していたのか不思議である。
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年収の総額は400万円前後だったが、定額の社内預金や持ち株制度などを満額で給与天引きされていたので、税金や社会保険を差し引くと月給は手元に2万円も残らなかった。住居と通勤費は会社から出ていたので、この2万円はほとんど食費に消えた。
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留学時、無機材研に勤務されていた女性から月給の手取り額を聞かれ2万円と応えた記憶がある。給与明細書の手取り額欄を見た女性は絶句していた。日産自動車からも留学生が来ていたので、自動車会社と部品会社の給与の差が研究所で話題になっていた。
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(注)10年以上毎年中国へいっているので、中国との比較において10年前より貧乏になったような感覚になる。最近、台湾にも行き始めたが、台湾経済は日本と変わらない感覚である。台湾は2000年に比較しGDPは2倍近く伸び、一人当たりのGDPは日本の7割程度だ。しかし、ハンバーグ1個の値段は日本と変わらない。かつて、台北の電気街を歩いたときにはその価格の安さに驚いたが、今や日本の秋葉原の感覚である。
ところで、40年前の日本では、毎月100時間以上の残業を多くのホワイトカラーが平気で実践していた時代である。ゴム会社の研究所は20時間以上の残業をつけてはいけない、と言われていた。例えば、当方は上司から趣味で会社に残っている人間に残業代を支払えない、と言われた。今なら問題となる発言である。しかし、当時はパワハラ、セクハラ何でもありで、当方などたまに実験装置がイタズラされたりして、職場に危険が存在していた。また、危険物の調査に消防署が来たときには、ワゴン車に危険物をヤマズミして会社の構内を周回していた。運転はいつも当方だった。さらに上司が午前中の会議で風邪をひいたということで、午後当方が上司の車を運転して家まで送らされた。帰りは作業着のままバスで会社に戻れと言われた。それでも問題とならなかった時代だ。とても昔は良かった、と話す気になれない。
話は変わるが、若者の車離れが言われているが、カローラが200万円を超え、入社後10年経っても給与が増えなかったら、車など買えないのである。昔は入社後3年以上経てば、昇給分でカローラ一台買えた時代である。また、車を購入するために会社はお金を出してくれなかったが、結婚すれば100万円近く家族手当が年間ついたので、給与を増やすために早く結婚した人もいた。最近独身が増えた、と言われるが、給与体系の影響もあるのかもしれない。
給与面は良かったかもしれないが、それは日本国中で平社員がサービス残業でも文句を言わない、あるいは言えない時代だったからである。30年前でも職場の不正など口にできない時代で、当方はそのために転職している。今は、SNSで晒すことができて、企業のトップが頭を下げなくてはいけない時代になった。はるかに昔より日本は良くなったのである。職場環境が良くなってもGDPは上がらない。良い職場環境を維持しつつGDPを上げるにはどうしたらよいかを考えなくてはいけない時代である。日本社会は良い方向に進んでいる。知識労働者の生産性を上げるために弊社は頑張っている。
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今年の東京モーターショーの目玉は日産自動車、と先日書いた。自動車に興味が無くてもぜひ日産自動車のブースを覗いてほしい。
おそらく誰もが気がつくと思うが、これがかつてトヨタと競っていた日産自動車か、と思わせる展示である。
日産自動車の国内売り上げは、いつの間にかホンダに抜かれ、業界3位である。これがカリスマ経営者ゴーンの成果である。
グローバル化を指向し、効率を追求した結果が現在の日産自動車の姿である。今ルノーとの経営統合の話が持ち上がっているが、経営統合すべきでないことは日本人ならば理解できる。
日産自動車のマザー工場はすでに更地になり、日産は自動車業界で最も国内の空洞化に貢献したメーカーの一つとなった。
グローバル化の流れの中で経営として当然、という意見があるかもしれないが、日本経済を考慮したら国内における日産の活動をもう少し重視すべきだった。この日本における凋落はGDPがなかなか上がらない一因だと思っている。
グローバル化を急ぎ海外工場を無計画に増やした日産のV字回復でゴーンはカリスマ経営者となったが、彼の仕事ぶりは今ニュースで報じられている通りで、日産自動車の経営そのものは、むしろ風土も含めて後退した。
これまでトヨタ、ホンダと乗り継いできたが、結婚してから日産車に乗っている。好んで日産車に乗っているわけではないが、営業マンの熱意で日産車を3代乗り継いだ。
今乗っているのは年齢にふさわしくないジューク(1.6GT)である。この車を選んだ理由は、今の日産車で面白い車は、これしかなかったからである。ところが東京モーターショーの展示にはこのジュークも無くなった。
日産の強みは、良くも悪くも「技術の日産」である。トヨタに対抗し、つねに意地を張ったかのように、かつては先進的な技術を搭載した車を市場に提供してきた。また電気粘性流体アクティブサスの共同研究をしたパートナーも日産だった。
ジュークの4駆は、悪天候の首都高でもトルクベクタリングにより快適なハンドリングが可能で日産自動車のかつての面影を残している車だ。日産自動車は、見かけの経営指標だけでなく風土組織もバブル前に回復し、日本のGDP向上に貢献できるように頑張ってほしい。
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神戸市の小学校で起きた4人の先生によるいじめの問題について多数の意見がWEBに出ているが、不思議に思うのは多くの意見が特殊な問題あるいは働きすぎという昔から放置されてきた問題、その他管理者の役割について言及していない点である。
今回の事件は、起きているのが確かに教育現場であり、常識的に考えてみても、加害者教諭がおかしいのだが、組織内の異常として捉えれば、これは組織管理者が十分に職責を果たしていなかった結果発生した問題あるいは組織管理者が少しおかしい考え方なり価値観の人物だったから起きた事件である。
直接の原因はどうであれ、管理者がその役割を行使し、小さな問題のうちに対応していたなら、刑事事件まで発展しなかった問題である。
組織内の風土は、組織管理者が努力して積極的に働きかけ健全に保つべきもので、野放しでよくなるものではない。これは、高学歴集団である教師の組織でも同様だ。高学歴だから誰もが健全な価値観を持っているという保証はない。
ところで組織管理者が日々発生する異常に、異常として検知できる価値観を持っていない時には、組織はどんどんと社会の常識的価値観から外れてゆく。
仮に正常な価値観を持っていたとしても、管理者が積極的に組織に働きかけなければ、組織内のささやかな異常にはなかなか気がつくことが難しい。
これは30数年組織で仕事をしてきて、ある時には組織の被害者となり転職(ドラッカーは、だめなリーダーの異常な組織において担当者はその組織から抜け出す以外に助かる道は無いと説いている。これはNHK朝ドラ「なつぞら」でも草刈正雄演じるおじいさんからも同じ意味の言葉が語られている)した経験や、ある時には企業の組織として成果の出ない異常な状態を健全な成果の出る組織に変えた管理者としての経験から感じている。
管理者は日々胃が痛くなるほどの葛藤努力をしなければならない役割である。担当者として組織の被害者ならば転職すれば被害者ではなくなる。しかし管理者が逃げ出したり、役割を遂行しなければ被害者を生み出すことになる。
ちなみに当方が転職後、ゴム会社では、さらにとんでもない事件が起きている。この事件はTVのニュースでも伝えられた。風土の劣化を放置した結果、常識では想像のつかない事件が起きた。
管理者なりリーダーが怠慢な結果起きたのが神戸の教師によるいじめ事件だと考えている。組織がいろいろ問題を抱えていた場合に、一つ一つ解決の努力を行うのが組織管理者リーダーの役割である。
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かつて、東京モーターショーは、世界の5大モーターショーの一つともいわれ、外車展示は目玉だった。ゆえに車好きは、有料でもその展示を見に行った。
今年は、外車の展示はメルセデスとルノー、その他である。それなのに金曜日のプレビュー入場券が3800円で、当日入場券は前売りが1800円、当日が2000円であるが—-。
これだけの入場料を支払ってまで行く必要があるのかというと、プレス発表を見た限り、カーマニア以外も楽しめるので家族で見学する価値がある、と思っている。
また会場はモーターショー以外に楽しめるイベントも用意されており、朝から1日ディズニーランドへ行くぐらいなら、モーターショーで遊んでくるという家族の楽しみ方もある。
ミッキーマウスはいないが、探せばシンデレラはいるので車に興味が無いお父さんでも楽しめる。また、自動車産業を体験できる企画も用意されており、小中学生には参考になる。ちなみに高校生以下は入場料無料である。
すなわち、前回までのモーターショーと異なり、家族で楽しめるイベントショーに衣替えした初めてのショーである。自動車文化はおそらくまだ1世紀は続くだろうが、国内の自動車会社が今のまま残ることはないのだろう。
国内をあきらめたようなプレゼンテーションをした日産自動車の展示を見ているとそのように感じる。おそらく日産の経営幹部や中間管理職は今世界で起きている自動車業界の大きなうねりに気がついていないのかもしれない。
写真フィルム会社が、世界4社の寡占状態から、一気に1社だけになったような変化が自動車業界に来るのかもしれないのだ。そのとき移動手段の機械を製造している会社はどのように呼ばれているのだろう。
写真フィルムは無くなったが、写真の文化はインスタグラムの普及により世界中に拡散した。トヨタ社長が言うように人中心の社会においてインスタグラムに相当するようなシステムを考えてゆくと次世代の新事業が見えてくるのかもしれない。
日本車は世界で3割近くのシェアーを誇っている日本の基幹産業である。自動車の競争の軸が、コネクテッド(C)と自動運転(A)、シェアリング(S)、電動化(E)に移った、と言われて10年近く経った。
競争の軸が変われば新しい産業が生まれGDPに貢献するはずであるが、今日本で起きているのは、中小企業の倒産の嵐である。自動車業界以外の産業の方も今年は東京モーターショーに出かけられてはいかがか?事業のヒントが見つかるかもしれない。
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東京モーターショーの話題は、これまで未来技術研究所(http://www.miragiken.com)に掲載してきたが、今年は例年のモーターショーと少し異なっていたのでこの欄で書いている。
東京モーターショーのその年のテーマ展示は、自動車関連企業にとって勉強できる場所でもあったが、今年は家族で技術を楽しめる様な内容になっていた。これは、会場に行って確認して欲しい。お化け屋敷ではないが、自動車業界以外の業界も参加し、そこそこ楽しめる。
当方が若ければ、迷わずここでデートをするだろう、そんな展示である。未来の車社会を話題にしており、屋台もあるので2時間ほど楽しめる。
ところで恒例の自動車メーカー社長のプレゼンテーションは、豊田社長のプレゼンがダントツだった。また、そこで未来の車社会を考えるヒントを提示していた。もっとも豊田社長は未来の車社会という表現をせず、車ではなく人が中心と表現していたが。
また、おなじみトヨタのカイゼンだけでなく、豊田創業者の発明である「自働化(自動化ではない)」と「ジャストインタイム」が人を中心とした生産方式であるとPRしていた。
昔の乗り物であった馬が、今では競争馬しか残っていないように、自動車はスポーツカーしか残らない、と説明し、未来のスポーツカーのコンセプトモデルを提示していた。
すなわち、未来の車社会ではカーシェアリングが進み、単なる移動手段になってゆく。人が所有するのはスポーツカーだけだ、と言うのである。
このような大胆な発想でトヨタを経営されているならトヨタから面白い車が出てきそうである。そしておそらく自動車エンジンは将来も残ってゆくに違いない、と感じた。
ハイブリッド車はガラバゴス化して日本国内だけで生き続けるのかもしれない。その時、ハイブリッド車には、日産が提示したエンジンで発電する方式も残っているかもしれない。ただし、そのエンジンはレシプロではなく、マツダが展示していた小型のロータリーエンジンである。
当方は、競馬の馬に相当するのは、車そのものではなく、ガソリンで動いているエンジンのような気がしている。すなわち、スポーツカーだけでなく趣味性の強い車が所有される車として残るのではないか、と考えている。
スバルからは往年の名機の水平対向エンジンのファイナルエディションが限定発売されるという。スバルのこのような限定発売の車は、毎度すぐに予約で売り切れる。
2020にモデルチェンジされるレボーグの新車発表は、このファイナルエンジンの引き立て役のようなイメージに見えた。かねての噂通り2000ccは無くなり、1800ccターボに代わる。デザインは、少し塊感が増したが現行車種と酷似している。もちろんアイサイトは進化し、自動運転可能となる。
ダイハツからは1000ccターボ(100馬力)のSUVが新発売になる。コペンも楽しい車だったがこのSUVも日産が新車として発売してもいいような車に仕上がっていた。ちなみに車の重量は1t未満であり、スポーツカー並みの走りを期待できる。
日産ブースでは、このクラスに相当するジュークの後継車種の発表が無かった。また、社長のプレゼンも無く役員による技術の日産と自動運転だけの乏しい内容で、デザイナーの役員が5分間の研究所を管掌する役員のプレゼンの後、日産デザインについて語っていたが、国内2位から3位に後退後4位に落ちそうな内容だった。
日産は三菱自動車とルノーと一緒に有明サイトで展示していたが、三菱自動車がマツダと見間違えるように目立っていた。日産社長が自動運転を持ち出してもスバルのアイサイトが連想されるようなビデオだった。
やっちゃえ日産ではなく「このまま、どうするの日産」というのが今年のモーターショーの見どころかもしれない。おそらくこれでは日産の国内販売の迷走は続くだろう。株主は注意したほうが良い。
マツダは、これまでのマツダデザインの流れとは異なるEV車を展示していた。観音開きのしゃれたデザインで、RX-8を彷彿とさせる。
スズキは、面白い車を出しており手堅い展示内容で4輪で生き残りをかける気概が見えていた。カワサキはとんでもない馬力の二輪車を展示しており、最後の花火のように見えてしまうのは不思議である。
ヤマハのスクーター展示は、カワサキとは対照的。数少ない外車のメルセデスは、外車として目立っていた。フォルクスワーゲンやBMWまで出展していなかったのにはびっくりした。
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10月24日から11月4日まで、東京ビッグサイトで東京モーターショーが開催される。昨日はプレスデイで招待されたので朝から見学してきたが、一日歩いて疲れた。
東京モーターショーはこれまで有明エリアだけで展示されていたが、今年は有明エリアと青海エリアの二か所に分かれて開催されている。
そしてその2か所はOPEN ROADと呼ばれる道路で結ばれており、これがシンボルプロムナード形式になっており、屋台が多数並んでいる。
すなわち、家族連れで東京モーターショーに来て、一日楽しめる趣向である。しかし、年寄りには、この二つの会場をつなぐ距離はきつい。中央線豊田駅とコニカミノルタ八王子事業場くらい離れている。
年寄のために無料シャトルバスが走っており、当方はこれを利用したのだが、それでも会場全体は恒例のモーターショーに比較し広いために疲れてしまった。
今年はポルシェはじめ海外の自動車メーカーの出展が無い(主な海外ブランドはルノーとメルセデスくらい)ので、企画者はこのような工夫をしたのだろうが、これが吉となるか?
ご存知のように21世紀に入り、東京モーターショーは、年々見学者が減り続け、海外メーカーの出展まで少なくなるような事態になっている。
要するに北京や上海モーターショーが世界から注目されているためだが残念である。そこで今年のような家族で楽しめる企画になったのかもしれない。高校生以下は無料である。
屋台もいろいろ出展されており、確かに車に興味が無くても十分に楽しめる会場の作りになっている。車好きには関係ないかもしれないが、若者がディズニーランドでデートするくらいなら、東京モーターショーで一日遊んだほうが、安価に楽しめるかもしれない。
モーターショー名物のコンパニオンも最近はバブル期のような派手さも無く、一般の商業展示会並なので、自然と車に視線がゆく。車よりもコンパニオンが話題になっていたバブル期のモーターショー(200万人集客したという)がおかしかったのかもしれない。とにかく家族で楽しめる東京モーターショーというのが当方の今年の印象である(昨年70万人規模から100万人規模回復をめざしているらしい)。
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