元白鳳、宮城野親方が退職届を出したという。大の里の横綱昇進で相撲協会会長になれないと悟ったのかもしれない。相撲協会は受理するだろう。過去に大相撲に多大な貢献をした貴乃花も若花田も大鵬も皆相撲協会は追い出してきた。
優勝回数という実績では宮城野親方は、現在のところトップであるが、隠れた悪行の数々は一部で知られている。それだけではなく横綱時代にも見苦しいかち上げで勝ち星を積み重ねてきたのである。
横綱には大の里のような横綱相撲が求められている。大の里は全勝優勝目前に金星配給王になるかもしれない横綱に負けているが、八百長ではないにしてもできすぎている。
本人は全勝優勝は横綱になってからと考えたのかもしれない。宮城野親方との違いはこのような気配りにある。圧倒的な強者は日本では潰されるのだ。大の里のように自然と弱みを見せられるような人物が日本では成功する。
この観点で、宮城野親方は典型的な悪役であり、当初相撲協会に残ろうと考えていたことにびっくりしている。日本社会で嫌われる圧倒的な強さで生きてゆくには、日本という国に拘らないことである。
宮城野親方の決断は変わらないだろう。また、仮に相撲協会から慰留されても残らない方が良い。サラリーマン社会でも一度辞表を提出して慰留されて残っても良いことはない。
イチロー氏も国民栄誉賞を固辞しているが、その気持ちを理解できる。また、彼の行動は時として賛否が分かれるが、それが彼のカッコ良さである。
優等生にすべての面で優等生で生きることを求めていては、優等生は能力発揮が難しい。イチローは野球文化のために努力している。宮城野親方はモンゴル相撲の文化と、もし、日本に感謝の心があれば日本の相撲文化のために生きてゆけばよいのである。
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もし、後者の気持ちがあれば、微力ながら応援したい。何やかやと言っても今のところ彼以上の記録の残った横綱はいないのであり、日本相撲の宝であることには変わりない。また、世間から悪役に見られていても立派なリーダーになれそうなオーラがある。
日産の社長や元役員について、ネットではいろいろ書かれているが、日本という国はリーダーの選び方が下手な社会であるのかもしれない。あるいはリーダーの育て方が下手なのだろう。
宮城の親方にも若いころアドバイスする役目の方がいたはずである。しかし、その指導が成されていたとは思えないような、粗い取り組みで、再三横綱としてどうなのか、マスコミが批判していた。
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(注)ドラッカーは働く意味を貢献と自己実現と定義した。恐らく働いて成果を出してもそれが認められて承認欲求が満たされることは無い、と悟っていたのだろう。白鳳も相撲協会で働くならば、貢献と自己実現を心掛けなければいけない。ところが貢献する意欲も無くなり、自己実現する目標も無くなれば、退職するのが一番良い選択肢である。大の里というスターが誕生して、相撲協会も白鳳を必要としていないのだ。今魅力ある組織が社会から求められているが、この問題のヒントになる。ドラッカーの定義を超える働き甲斐のある組織の姿は明らかである。
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今回備蓄米の価格について、400円/kgという価格が提示された。この価格を他の工業製品と比較してみたい。例えば、ポリ乳酸樹脂の価格は、同じイネ科のトウモロコシを原料としているので参考になるかもしれない。
このポリ乳酸樹脂の価格は、2005年頃650円/kgだった。これが今や400円/kgまで下がった。今後どこまで下がるのか不明であるが、原材料や備蓄米の価格を会計処理で固定資産としない理由である。ゆえに、米高騰状態に固定資産の扱いをした考え方は秀逸である。
まず、ポリ乳酸の400円/kgは、木材を原料とするセルロース樹脂TAC(注)より少し高い。TACは、古くからフィルム材料として使われてきたので、もうこれ以上価格は下がらないと思われる。その結果、安いポリオレフィン樹脂に液晶TV分野で置き換わりつつあるが、偏光板はTACを使用したほうが性能が良いので最後まで現在の価格で残るかもしれない。
PETボトルに使用されているポリエステル樹脂は、昔光学用機能性樹脂として高価だったが、今では150円/kg以下まで下がった。この価格低下の傾向からポリ乳酸樹脂はまだ価格が下がると予想されるが、とりあえず400円/kgと考えて米の値段の比較に使いたい。
ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシを原料として用いそれを化学工場で処理し、400円/kgで販売されているので、原料となるトウモロコシは、おそらく200円/kg以下と推定される。
原材料価格として見積もった場合には100円/kg以下となるかもしれないが、中間をとって150円/kgがトウモロコシ生産業者が受け取る高めの価格と見積もってもおかしくないだろう。
トウモロコシと米ででんぷん価格としてそれほど変わらない、と見積もると150円/kgが米生産業者の受け取る価格と推定される。高く見積もっても倍の300円/kgが工業製品と比較して見た場合の生産者価格の予想値となる。
これが卸業者を経由して800円/kg以上になっているのが、現在の米騒動における価格である。玄米を白米へ加工する費用は、ポリ乳酸樹脂より安い。
工業製品のサプライチェーンは単純であるが、米のサプライチェーンも単純にすれば、400円/kgでも十分にコメ販売事業は成立するし、儲かる事業である。
例えば米の生産から小売販売卸まで手掛けるNPO法人を作るアイデアはどうだろうか。今の農協のシステムではなく、生産機能と卸機能の両方を持たせた会社組織による生産では、5kg2000円で十分すぎる利益を出すことが可能だ。
米農家も生活が安定する。工業製品に比較してあまりにも怪しすぎる価格が現在起きている米騒動で、それを基準にした米の価格が適正価格のように言われているが、備蓄米の価格は参考になる。
(注)TACの原材料価格を調べても公開されていない。当方は知っているが、立場上公開できない。原材料価格は、一般に公開されている価格よりも少し安い価格で取引されている傾向がある。米生産者が受け取るであろう値として推定した300円/kgは、高すぎる見積かもしれない。また、日本の米作りにおいて目標を設定するとしたら、PETと同様の150円/kg以下を目指すべきかもしれない。それを250円/kgで卸すことができれば、小売は400円/kg以下となる。生産から卸までの一貫した事業は、十分に儲かる環境になってきた。
米は食品だから特別価格という見解は、生産から販売における一部を担う業者の利益となるだけで、生産者の利益とならない可能性がある。これまで、コメ生産者が受け取る正しい金額が公開されてこなかったため、中間業者はかなり利益をあげてきたはずだ。JA農協はこの際生産業者へ支払っている価格を公開すべきかもしれない。
また、玄米から白米にする過程における廃材処理が問題となる。これを飼料のような有価物に活用できれば、白米の価格を下げることが可能となる。生産から卸まで一貫した事業運営を考えるべき時代かもしれない。
また、米生産者が消費者へインターネット経由で直接販売する事業も考えると良いかもしれない。仮に250円/kgで20kg販売すると、運送費を1200円で見積もっても6200円なのでこれを8000円で販売すれば90円/kgの利益となる。米1tで9万円、1万t規模で9億円の利益となる。1家族4人ならば年200kg以上は消費する。1tという数字は5世帯分である。5000世帯の顧客を確保すれば、9000万円の利益、500世帯ならば900万円の利益である。ここには人件費や運送費等諸経費は一切含まれていないので、農業は利益率の高い事業となったのではないか。
PPS半導体ベルトのカオス混合プラントを立ち上げたときに、PPSの合成から行おうとも考えた。400円/kg以下で十分生産可能であり、合成法も基本特許が切れており、興味があったが、周囲から反対された。当方が早期退職を宣言していたので、退職後の技術をどうするかが問題とされた。合成から成形体、有機高分子からセラミックス、ハードウェアーからソフトウェアーまですべてお手伝いいたしますのでご相談ください。今Python普及に力を入れておりますので、土日もWEBセミナーで対応しております。受講料は人数その他で変動しますのでご相談ください。
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米を減価償却という発言が、会計用語として間違いであることは月曜日に書いた。しかし、あえてこのように表現したのは意図的だろうと思う。数日考えてみても面白い着眼点だと思う。
当方も技術アイデアを考えるときに、あるいは業務で新しいコンセプトを考えなければいけない時に、あえて言葉の定義の制約を外す。言葉の持つイメージを大切にすると言った方が良いかもしれない。
オブジェクト指向的に表現すれば、言葉のプロパティーではなくファンクションに着目するのである。AIも同様に動作しており、ゆえにハルシネーションを起したりしているが、とんでもないアイデアを提示してくれることもある。
今回の米騒動で、米の減価償却と言う表現は、おそらく言い間違いではないだろう。このあたり、いろいろとこの表現から妄想が浮かんでいるが、今日本でひどいことが起きていることは確かである。
ワイドショーでは、連日米騒動の原因についていろいろ報じているが、共通しているのは、米の生産量は不足していない、という点である。また、国の減反政策は米の需給バランスを崩していない、という大学教授の説明もあった。
当方が注目しているのは、JA農協が農家から生産された米の半分以下しか集めることができない状況である。今半分以上は他の卸業者が農家から米を集めているそうだ。
需給バランスがとれているところで、誰かが市場に出し渋れば価格が上がるのは当然である。今の米騒動の原因がおおよそ見えてきた。減価償却という表現の面白さは、おそらく政府も米騒動の犯人を知っているのだろう。
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大きなニュースとなっていないが、米の卸問屋の倒産が起きているそうだ。株式会社帝国データバンクの「『米穀店(米屋)』の休廃業・解散(倒産)動向(2024年度)」によると、2024年度、全国の米穀店(いわゆる「米屋」)の休廃業・解散件数は88件に達している。前年度(80件)から、2年連続で増加だそうである。
倒産した会社社長の談話では、お米が入荷しないという。米の生産量から考えるとおかしな話である。明らかに、今回の米騒動は、誰かが米を売り渋って価格高騰になった可能性がある。
今回の最初に行われた備蓄米放出に関しても、競争入札後店頭にすべて並ぶまでに時間がかかりすぎている。すでに一部では小泉大臣の掛け声による備蓄米が来週出始めると言われているのに、競争入札による備蓄米を店頭で見かけない。
悪者は明らかであり、ここではあえて組織名を書かないが、何か事情があるにしてもひどい組織(注)である。競争入札で高く買った米をどうするのだろう。
米の流通について専門家ではないので詳しいことはわからないが、異常な高騰が起きていることは理解できる。お米は生産者から直接購入しているので、店頭で買ったことが無いが、市場の高値で流通業者に倒産が起きていることを不思議に感じている。
一方で、株価が高騰している米業者もある。空前の利益だそうである。生産者が儲からず、中間業者が利益をあげる構造は問題である。
企業でも地道に泥臭く技術開発を行い、新事業を立ち上げてもFDを壊されたりして恐喝され、評価されずに人生を終える技術者もいる。
最後の貢献のために技術者としての経験知を公開したセミナーを開催しているので活用していただきたい。儲からないような価格で開催しています。日本化学会で研究発表を今でも努力しています。ゴム協会はじめ学会の招待講演も快く受けています。
半年前は国際会議の招待講演者になりました。来月は高分子同友会でも講演します。70過ぎても現役技術者です。活躍場所を用意していただければどこでも成果を出します。
ところで、米の中間業者のボロ儲けがある一方で倒産が起きている現象は、うまく機会を活用できるかどうかという視点で見ることができるが、瀕死の日産で退職する社長や役員が数億円の退職金を受け取るのを従業員は複雑な心境というニュースがあった。
無能な社長や役員に5年間支払われた報酬で1000人程度リストラ人数を減らせるかもしれないと考えると複雑というよりも会社を辞めたくなるかもしれない。
経営に問題が出てくると、優秀な社員から退職する傾向がある。ゴーン時代にリストラされた技術者が無機材質研究所の主任研究員になっていたのでいろいろ面白いここだけの話を聞いたが、許可を得ていないので公開できない。
日産の元技術者は優秀な人が多い。しかし、日産の元経営者は有能なのか無能なのか。公開された情報だけでもひどい書かれ方をしている記事が多い。経営者についてはひどい書かれ方の記事が多いが、製品の評価記事について批判的な記事をほとんど見ない。「技術の日産」というフレーズは伊達ではない。
米では小泉大臣の「ポエム用語」としてコメの固定資産がもてはやされたが、「セクシー発言」により登場した2022年施行の再生材に関する法律についてSNSで取り上げないのは不思議だ。
日本における高分子再生材事業は、中国と比較しあまりうまく進んでいない。詳細は書きにくいので問いあわせていただきたいが、まだ、日本企業にチャンスがある、とだけ書いておく。小泉事務所から問い合わせがあれば無料で特別に指南します。米同様に国の力も必要です。
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(注)消えた20万tについては、某国のスクラップ業者という記事があった。直接農家から米を買い集めていたそうだ。しかし、それだけではないだろう。小泉大臣が放出する備蓄米は来週にも店頭に並ぶ。やはり米の流通経路にスクラップ業者以外の問題も潜んでいる、と思われる。
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技術の第一線で活躍されている意識の高い技術者は、もうPythonをさくさくと活用されているかもしれないが、コンピューターの黎明期に見られたように、その効用が見えにくいので、全く無視されているケースも多いのではないか。
そして、科学的な一因子実験を今でも行い、開発時間が長くなってもその原因が開発者にあるなどという気づきが無いのかもしれない。
コンピューターの黎明期に、上司がOA委員長になった。上司は成果が出たら投資する、と言って、パソコンの購入を渋り、コンピューターが一台もない状態で、OA化の検討をせよと命じてきた。
ようするに、エアOAを実施して、効果の高い業務が出てきたらパソコンを購入しようと考えたのである。また、パソコンがソフトウェアで動作していることなど知らなかったので、ソフトウェアーが大変高価である説明も大変である。
パソコンの無い状態で、ソフトウェアーをOA委員で作ればよい、と命じてきたのである。どこでかじった知識なのか知らないが、英語論文が書ければプログラムなど簡単だろうと言っていた。
幸いなことに、シャープはMZ80Kというクリーンコンピューターを発売し、FDOSはじめ周辺のソフトウェアーを安価に提供していた。
しかし、安価といってもそれを利用するためには本体より高価なフロッピーディスク装置を購入しなければならず、それを接続するインターフェースもFDOSより高価という状況だった。
1セット80万円という見積書とローン契約書を提示したところ、保証人の欄に上司が印を押してくれて、独身寮の片隅にOA検討用のパソコン一式が置かれた。
その結果、OA検討委員会の仕事は、独身寮で行うことになり、毎日過重労働にサービス残業という凄まじい労働環境で仕事をすることになった。
この記憶は40年以上前の出来事であっても忘れることはない。また、その原因となったのは、花王のコンピューター部門の部長が書いた一冊の本である。
経営者にパソコンの重要性を啓蒙する目的は実現されていたが、どのようにパソコンを職場に導入すればよいのか、そもそもパソコンとは具体的にどのようなものなのかは、その本に書かれていなかった。
ゆえに、パソコンを知らない人がその本を読むと、16万円でパソコンを購入すれば、簡単に職場のOA化を実現できると誤解したのである。少し頭が回転すると、どこをOA化するのが良いか見つけるだけでよい、と錯覚する。
そもそもパソコンという道具が何に使えるのか分からない時代だったので、どこに使ったらよいのか見つけるのが重要、というその時代に正しい発想だった。
Pythonについては、これまで何度もブームがあり、Python登場から30年以上経っても先端コンピューター言語として君臨しているが、必ずしも使いやすい言語ではない。
プログラミングという観点に立てば、C#のほうが圧倒的に使いやすい。ゆえに、Pythonについても当時と同様の考え違いが生まれる可能性がある。
しかし、低コストでやりたいことを実現するという観点に立つとPythonが一番のコンピューター言語である。JAVAはWEBプログラミングで使いやすい言語であるが、日々の仕事ではPythonで仕事のやり方まで変わる。
数行で重回帰分析のコードを書けてしまう、と説明すれば、その便利さをご理解いただけるのではないか。また、タグチメソッドの解析プログラムであれば、弊社の開発したプログラムをつかうと、Pythonコードで書かれた解析プログラムが出てくる。
データを打ち込むだけでタグチメソッドの解析プログラムだけでなく、それを動作させればグラフまで出てくる手軽さである。
このβ版を弊社のセミナー受講の方に無料で配布しています。お問い合わせください。手軽にPythonの勉強から始めたい、と考えておられる方は、「Pythonで理解するタグチメソッド」というセミナーがお勧めです。「タグチメソッドで理解するPython」という学び方もできる内容です。
Pythonを技術者が実装すれば、仕事のやり方がDXに対応するように変革され、データの解析時間が短縮されるだけでなく、現象の見方まで変わる。フロントローディングなど当たり前となり、労働時間も減少しワークライフバランスがさらに進む。
ここまで書くと怪しくなるが、本当である。昔、花王のコンピューター部門の部長に直接お会いしたが、著書からはうかがい知ることのできない、誠実真摯な方だった。
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田口が技術者について定義づける前でも技術者はいた。マッハにより科学者として否定されたニュートンは、科学が生まれる前の技術研究者であり、思考実験の創始者である。
リンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を発見した、と伝えられているが、リンゴ以外にも落ちるものはたくさんある。カラスの糞の方が、リンゴよりも頭を刺激したはずである。
技術者が科学者と異なるのは、機能に着眼している点である。科学者は、仮説の正しさに関心を持つが、技術者は、機能の動作に関心を持つ。リンゴが落ちるのを見て、月が何故落ちてこないのか、と考えて万有引力という機能の動作に気がついたのである。
リンゴを月に見立て、枝を遠心力として捉えたのである。そして枝からリンゴを落とす力が万有引力であると気がついた。カラスの糞がいくら頭を刺激しても糞をカラスが自分を狙って落としていると考えたのでは万有引力は生まれない。
伝説に登場する落ちるものは、美的観点ではなく機能の視点からリンゴでなくてはならないのだ。パイナップルやミカンでもよい。ピコ太郎はパイナップルとリンゴから言葉の響きという機能を見出しているので技術者とも言える。
ピコ太郎を単なる一発屋芸人と見なしていては、DXで技術者の仕事がどのように変わったのか理解できない。彼はPPAPに続いて二発目を出したのだが、PPAPほどの機能を世間が感じなかっただけである。
技術の日産が、過去の学びからジュークの新車を日本で出さなかった判断は正しかったのか?ピコ太郎は同じ機能で2発目を出して滑ったが、日産はジュークを日本では出さなかった。技術者は、科学者と異なり、機能に責任を負い、その審判を市場から受ける厳しい立場に置かれている。
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小泉大臣が備蓄米を安く出すにあたり、減価償却と言ったことがネットで話題になっている。ご存知のように、米は固定資産ではないから、正しくは棚卸評価損と言うべきである。
言葉は正しくないが、棚卸評価損より分かり易く、米がおいしく聴こえるから不思議である。「古い米なので棚卸評価損で処理して安く出す」、という説明より、一言「減価償却で安く出す」、と言った方が分かり易いと考えたのかもしれない。
ネットでは、会計用語を間違えて使っている、とはやし立てているが、今回随意契約で備蓄米を放出するので、その計算方法が問題となる。
すなわち、固定資産ならば、定額法あるいは定率法で備蓄米の価格を一定の尺度で決めることができる。しかし、棚卸評価損の場合は、購入価格から販売価格を差し引いた値となり、販売価格をどのように決めるのかが問題となる可能性がある。
「備蓄米の価格を固定資産の考え方で計算した現在の価値で販売し、その結果を棚卸評価損として処理する。」とおそらく官僚は小泉大臣に説明した可能性が高い。そうすれば、販売価格の透明性なり公平性の根拠となる。
2005年の時に半年後に製品化しなければいけないPPSベルトについて、コンパウンドメーカーに提案したカオス混合によるコンパウンディングを断られたので、カオス混合プラントを自ら3か月で立ち上げて、無事半年後にPPS半導体ベルトの生産に成功した話をこの欄で以前書いている。
このとき一番難しかった仕事は、長い間コンパウンドメーカーから出来損ないのPPSコンパウンドを前任者が無条件に購入し続けた在庫の処理だった。
前任者がゴミを買い続けた後処理をしたわけだが、棚卸評価損の計算式で救われた話を後日書いてみたい。減価償却では役員の印が必要になり、前任者の責任問題となったのである。米や原材料について一定の経年変化を決めていない理由がここにあり、これを減価償却すると言ったセンスが光る。
棚卸評価損という言葉を小泉大臣が使わなかったのは、この経験から、「座布団1枚」差し上げたいアイデアと思っている。セクシーと言う言葉より捻っている。まるで会計用語を御存じないように誤解されるが美味い!
昨日大の里は残念ながら全勝優勝と成らなかったが、横綱昇進後の楽しみが残った。これを力不足という人がいるだろうか。米を減価償却で安く市場へ出す、会計用語をご存知の方には奇妙に聞こえるかもしれないが、備蓄米が安く市場に出てくる期待を感じる言葉である。
(注)棚卸評価損だから自由に売却価格を決めてよいとはならない。客観性が求められるのは会計処理として当たり前である。現在の販売価格あるいは最近の販売価格その他販売のためにかかる費用など総合して決められるのだが、今回は、問題の無い限り、安く放出したい、国が運送費を持つ、と明言しているので、「安く」をどのように納得のゆく数値にするのか、は大問題となる。これを減価償却に準じて計算する、と決めてしまえば、今の米の状況から誰もが納得するだろう。頭がいい官僚がいたのではないか。
(一部ニュース解説の誤解)5キロ2000円では米つくりが難しい、60kg当たり23000円必要と言うニュース解説が載っていた。これが面白いのは、続けて、「だから、5kg3000円以上になる」、とまことしやかな解説となっている。5kg2000円なら、60kgで24000円となる。これ以上は、申し上げない。
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ニュース報道で日産自動車の取り上げられる頻度が高い。今コメ問題についで日産自動車の動向が日本人の関心ごとかもしれないが、社長が交代した結果であることも注目していただきたい。
おそらく、交代前の社長だったなら、現在のような展開になっていなかっただろう。これだけメリハリのはっきりした大会社の社長交代はめったにないので、サラリーマンの出世を考えるときの良い題材かもしれない。
昨日は当方の不幸な12年間のサラリーマン生活について注)で触れたが、不幸な出来事だけでは12年間も勤務できない。幸運な出来事や、人生に良い影響を与えてくださった人との交流も少なからずあったので12年間我慢できたのである。
その12年間を日産の元社長の人物像から気づいた視点で反省してみると、幾つか当方の反省点も見えてくる。例えば、新入社員の時にゴム会社社長の講話で「火中の栗を拾う人物となって欲しい」という言葉を聞き、その気になって高純度SiCの半導体治工具事業を立ち上げている。
これは、社会情勢がファインセラミックスフィーバーで、ファインセラミックス事業を呼びかける社長方針が出されても研究所では方針無視状態が続いたからである。しかし、火中の栗を拾ったとたんに火だるまとなっている。
恐らく日産の元社長ならば、研究所の管理職と相談し、おとなしく他のメンバーと歩調を合わせ、社長方針など適当に右から左へ流すような仕事の進め方で乗り切ったかもしれない。
あるいは、ポリウレタンの難燃化研究のテーマ検討において世界初の難燃化技術という目標設定がなされても、ホスファゼン変性などという高度な最先端技術の提案などせず、大八化学が試作品評価を依頼してきたチャンスを利用し、当時の上司の仕事のやり方であった独占契約を結び、それを世界初の技術として企画したかもしれない。
大企業の組織における仕事は、無難に右から左へ受け流すだけでも、70点となる。多面評価であれば、笑顔を上乗せして100点とすることも可能だ。
かつて、カローラとサニー、コロナとブルーバード、セリカとシルビアとが市場で争っていた時代がある。今の日産自動車の国内車種の少なさは当時と比較すると驚くほどの状態である。
そして、ゴーン退場後の経営陣の状態が週刊誌報道されて、その内情が明るみに出てきた。日産自動車の「社長の姿」は、サラリーマンの人生を考えるときに参考となる。
日本では、ドラッカーが書いているような、誠実真摯に会社に貢献できるように必死に働くと失敗する確率が高くなるのではないか。当方の体験談を書くときに躊躇する理由が、このような誤ったメッセージとなる心配である。
火中の栗を拾った結果は大変だったが、高純度SiCの事業は、ゴム会社で30年続き、その後愛知県にあるMARUWAという企業に事業継承されている。
この仕事でまったく評価を受けていないが、住友金属工業と半導体治工具事業を立ち上げた思い出や、当時の人たちとの交流が続いている。すでに亡くなられた人もいる。創業者の立場は、ゴム会社の同期や一部の人がご存知であり、それが転職後のリスキリングの支えとなった。
新入社員の時の社長のメッセージ、「火中の栗を拾う(注)人物となって欲しい」をどのような意図で話されたのかは今となってはどうでもよい話である。
しかし、拾った結果、現在の当方の人生であることを思う時に、柴本重理氏に感謝したい。科学を唯一の哲学とする研究所でひどい目にあわなければ、科学とそれを唯一の哲学として扱う研究者に疑問を持たなかったかもしれない。トランスサイエンスの重要性に早く気がつかなかったかもしれないのである。
(注)日本社会では、火中の栗を拾わない方が良い。もし、拾いたいならば、誰かをおだてて拾わせて、温かいうちにそれをもらうのである。奪う人ばかりを見てきたが、奪われた立場では、悲しい思い出となる。日本社会の良いところは、奪われた立場の人を激励する奇特な人が現れる点である。中国ではそういう人は現れないので拾った栗は死ぬまで手離してはダメだ、と中国人に教わった。死んだあとは国際問題となるといけないので書かないが、火中の栗の話は、人生訓としてあまりよい話ではない。ダイハードという映画シリーズがあるが、ハッピーエンドがわかっていても何故か笑って見れなかった。
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本来、研究者や技術者という職業は、誠実真摯でなければ成立しない、と思っている。企業経営者もそうであるべき、と言ったのはドラッカーだが、ゴーンのような経営者もいる。
ところが、企業と大学との共同研究において、とんでもない研究者と経営者の事件が報じられた。まだ提訴された段階であるが、TVでは、録音データや銀座で接待された時の領収書や性接待の話まで報じられたので事実だろう。
さらには、研究者からもっと接待するように恐喝されたというからすごいが、この話、公開された情報を読む限り、共同研究の依頼者側も問題があったように思う。一応TVでは被害者と報じられているが。
当方は、学位をT大で授与してくださるというので、学位論文の草稿を提出したら、そこから勝手に論文を出されてしまった(注)。それだけではない。奨学金を持ってこい、とまで言われたのである。ゆえに、T大を蹴って、事情を知ったある先生のご紹介で中部大学で学位を授与していただいた。
不誠実な研究者には、毅然とした態度をとる必要がある。不誠実な研究者はとかくモンスター化する。これは多くのアカデミアの研究者と接してきたので経験知である。TVで報じられたばかりの問題は、共同研究依頼者側がアカデミアの研究者をモンスターに育てた可能性がある。
当方が存じ上げているアカデミアの研究者は大半が誠実な研究者である。しかし、学位審査でそのブランドから甘言にのってしまった。論文を勝手に出された時点で辞退すればよかったのかもしれないが、高校の先輩だったのでそこを甘く見てしまった。
ただ、モンスターに育てる前に、こちらから辞退している。アカデミアとの共同研究のご相談もお受けしておりますので、お問い合わせください。いくつかテーマがございます。
(注)勝手に出された論文の筆頭には、その人物の名前が載っているが、その人物が研究に全く関与していなかった証拠はいくつか今でも保存している。この問題以外に、会社業務を遂行するために予算が無いという理由で80万円のローンを命じられた問題、アイデアをまとめ研究企画から明細書の作成まで行ったのに、特許の筆頭発明者にされなかっただけでなく、工場試作の成功で上司が研究管理の責任を問われ、その始末書を1週間かけて当方に書かされた問題、過重労働問題、FD問題、恐喝問題等いつか体験記として残したい。組織におけるハラスメントで自死される方がいるが、自死を絶対にしてはいけない。入社2年ほどで精神的に弱ければそれをしていたかもしれない状態で頑張って12年間勤務している。しかし、最後は、実験に使用していた電気炉を廃棄処分されたり、FDを壊されたりナイフが机に乗っていたりと恐喝まがいの事件が続き、高純度SiC半導体治工具事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げながらも転職している。この事件が起きたときには同僚2人も転職しているが、ゴム会社における12年間の異常な体験は、その後ゴム会社で起きた大事件の理解を助け、経営における組織風土問題のあまり論じられない側面を学ぶことができた。昨今の情報公開という社会の動向は、この50年間の進歩だろうと感じる。昭和は、スーダラ節の大ヒットでハラスメントを隠していた時代かもしれない。
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令和の米騒動は、大臣の交代で収まるだろう。TVでもニュースになっていたが、4000円台でも品質の悪い米が市場に流通しているという。
しかし、この1年間の米価格の変動は不自然で、現在の4000円前後の価格は、大臣の交代だけで3500円前後になりそうな気配がある。早ければこの土日に3500円前後という相場になるのかもしれない。
恐らく、小泉大臣ならば思い切った施策を今回は行うはずで、その施策で一気に2000円台に戻る可能性が高い。また、一部で米の輸入を検討していたところもあるので、3000円台前半には確実になるのかもしれない。
誰が投資目的で買い込んだか知らないが、シミュレーションによれば3000円前後の時に買い込んだ輩が多い。ゆえに、一気に2000円台の市場価格を形成できれば、彼らを大損させることができる。来週以降のお米の値動きに注目したい。
税金の還付金は、申請から2-3週間かかる。e-TAXで早くなって1カ月を切っているので、小泉大臣がスピード感を持って施策を行えば、6月中旬にはその成果が見えてくるだろう。来週1週間の値動きには特に注目したい。
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