2020.02/17 高分子のプロセシング
材料について学ぼうとするときに、そのプロセシングから勉強する方法がある。また、この方法は材料について詳しく勉強しようと総花的教科書を購入するよりも材料の特徴を手っ取り早く理解できる。なぜならプロセシングは、材料の特徴を活かして組み立てられているからである。本書はこの点を意識して書き上げたので、高分子についてその特徴を短時間に学ぶことが可能である。
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材料について学ぼうとするときに、そのプロセシングから勉強する方法がある。また、この方法は材料について詳しく勉強しようと総花的教科書を購入するよりも材料の特徴を手っ取り早く理解できる。なぜならプロセシングは、材料の特徴を活かして組み立てられているからである。本書はこの点を意識して書き上げたので、高分子についてその特徴を短時間に学ぶことが可能である。
pagetop2015年度の国勢調査で男性は23.4%、女性は14.1%という生涯未婚率が示された。この数字は増加し、2035年には男性29%、女性19%という推計がなされている。
おそらく結婚できない、という問題よりも、結婚しない選択をしている人が増えているのだろう。
一方婚姻件数を基にした離婚率も上昇しており、これは都道府県別の数値も出され、驚くべきことに40%を超える県がいくつも存在する。東京は予想に反して低く27.7%である。離婚率は地方ほど高い傾向がある。
昔適齢期になると見合いして、とにかく結婚することが重要視された時代があった。当方の適齢期でもその名残があり、東京から名古屋へ帰るとお見合いの予定が組まれていたりした。
残念ながらお見合いでは縁がなく、友人の結婚式がきっかけの結婚となったが、結婚に幸福を期待していてはいつまでも結婚できないだろうし、家庭を築いても幸福ばかりではない。
そもそも幸福の定義は人様々だから、このような話に結論を出せないが、亡父から言われた、「とにかく、結婚しろ。そうすればわかる」という言葉には一つの解があるような気がしている。
かつて著名な哲学者が、悪妻を娶れば哲学者になれる、という名言を残しているが、悪妻良妻に限らず、結婚すると独身時代とは異なる世界観になることは確かだ。それを夫婦で共有するのである。
著名な哲学者ほどではないが、結婚により人間として成長することは確かであり、この結婚による精神的成長は幸福とはあまり関係ない、と思っている。
独身者にアドバイスをするならば、一人でいるのはもったいない、早く結婚しろ、という言葉になる。経済的には家庭を築いたほうが楽になる。また、学びの機会も多くなる。
ただし自由な時間は減る。これは仕方のないことである。企業でも管理職になれば自由時間は減るのである。
もし企業の管理職で自由時間が増えたと感じたならば窓際が近い。自由な時間とは、組織を離れ組織に対する責任が全くなくなったときに得られる時間である。
カテゴリー : 一般
pagetop「日本の教育関係者は「リーダーには人望が必要」と説いています。ところが、輝かしい実績を上げたゴーンが逮捕・逃亡によって実は人望がまったくなかったことが明らかになり、「リーダーには人望が必要」という教えが揺らいでいるからです。」
これはある記事からの抜粋で、書いているのは教育関係者のようです。直接記事を読んでいただいた方が良いのでこれ以上書かないが、ドラッカーは「誠実な人をリーダーに」と言っています。
日本のリーダー伝、例えば松下幸之助氏や土光敏夫氏の話が、日本人には愛読されるが、わざわざドラッカーがリーダーの誠実さを最初に挙げているところから推察すると、欧米では誠実なリーダーが少ないのではないか。
事件が起きたときに、ゴーンは典型的なグローバル企業のリーダーとの解説もあったが、その後日産自動車内部からゴーンの批判が噴出した。
ゴーンが重用した西川氏からも辛辣な批判が飛び出している。ゴーンは、よほどひどい人物だったように思われる。
さて、リーダーに人望が必要かどうかは、今回の事件で結論が出たのではないか。ひどい人格であっても経営の数値をよくできるリーダーなら構わないといえるが、そのような人物がリーダーの会社では多かれ少なかれ今回の日産自動車の様な事件がやがて起きる可能性が高い。
また、当方が転職した時の研究部門のリーダーは、前任者と異なりやや人望の無いリーダーで、ある事件を隠蔽化した。
高純度SiCの事業は前任者の功績であり、事件を隠蔽化したリーダーのもとでは、電気粘性流体の事業化が推進された。
そのため当方はSiCの事業化と電気粘性流体の開発を業務として担当することになった。
実用化の壁となっていた増粘問題をデータ駆動型の手法で解決したために業務の妨害が起きるようになったが、それでもくじけず、傾斜機能粉体はじめ電気粘性流体実用化に貢献するため開発業務を進めた。
事件隠蔽化という事態になって写真会社へ転職したが、その後SiCの事業は2018年まで続き愛知県の企業へ事業譲渡されている。電気粘性流体の事業は、いつの間にか消滅していた。
人望の無いリーダーを社会が信用できるかどうか考えると、冒頭の結論は出るのではないか。企業は社会の一組織である。そしてリーダーはその顔である。
カテゴリー : 一般
pagetopAIの普及によりスペシャリストの労働だけになり、失業者があふれるという予測をする人がいる。人類がAIの発達を放置しておればそのような時代になるかもしれない。
しかし、これまでの歴史をながめると、ただ不安をあおっているよりもAIにより新たに生まれるビジネスに期待しそれを具体化する努力をした方が良い。
唐突かもしれないが、芸能人の不倫に対する社会の厳しい反応を見ていると、一つの解がそこにある。芸能人だけでなく、一般人にも不倫が増えているという。
海外出張でコネクティングルームを確保してバツイチ女性と海外出張をする役人まで出てきた時代である。
すなわち国民の税金で疑わしいことをしても罪に問われないし、堂々とコネクティングルームで宿泊していた女性は自分の職務だと国会で答弁しているのだ。
これはAIが中心となった社会よりもびっくりする光景で、答弁に少し恥じらいが欲しかった。あれでは開き直りである。
一方で、不倫は文化だ、と名言を吐いた俳優は今不倫とは無関係な幸福な家庭を築いている。この不倫の帝王をマネジメントする奥さんの能力には感心する。
これらの風俗が未来の夫婦像だとすると不倫監視や保険などのビジネスは一定の社会ニーズが出てくると予想される。
文春などがすでに実施している不倫監視にはその道のスペシャリストが求められるかもしれないが、これは大学の偏差値とか形式知とは異なる今は存在しない社会の新しい尺度によるスペシャリストだろう。
法律の整備も進み始めた。夫婦別姓は、おそらく現代の夫婦の関係だけでなく社会の価値観を変えてゆく。その時子供たちはどうなるのか。
家庭が無くなり、家族の関係は崩壊し、社会への奉仕を忘れた犬猫のような官僚が跋扈する社会において、社会秩序をどのように構築してゆくのか、と考えたときに新しいサービスが見えてくる。
ドラッカーは誰も見たことのない未来が始まる、と遺作の中で述べていたが、一方で未来は今の時代にその姿があることも指摘している。
AIに恐れおののくよりも人間中心の幸福な社会をどのように築いてゆくのか夢を描けば、未来のビジネスのヒントに気がつく。
カテゴリー : 一般
pagetopリン系難燃剤には、大別すると低分子リン酸エステル系とその他に分かれる。その他はさらにホスファゼン系とその他縮合リン酸エステル系に分けることが可能である。
以下はポリエーテル系軟質ポリウレタン発泡体で実験を行った結果であるが、硬質ポリウレタン発泡体でも同様の結果になることを確認している。ただ、硬質ポリウレタン発泡体では、残炭率とLOIとの相関は少し悪くなる。
さて、低分子リン酸エステル系難燃剤は、600℃まで難燃剤だけを加熱するとほとんど残らない。縮合リン酸エステル系難燃剤でもほとんど残らないが、一部構造により600℃における残存量が多くなる化合物も存在する。
ホスファゼンは、600℃までの加熱であれば、P=Nの構造に相当する重量が残ってくるから面白い。
この実験結果は、ポリウレタン発泡体に難燃剤として添加してもそのまま反映される。すなわち、極限酸素指数(LOI)と残炭素率との間の相関を調べると、リン系難燃剤の3タイプに分かれる結果が得られる。
すなわち、残炭素率とLOIとが相関しないグループと、残炭素率とLOIが相関するグループとに分かれ、後者はさらに残炭素率の違いで二つのグループ分けが可能である。
以前ここで書いたように、600℃までの加熱でリン酸エステル系難燃剤はオルソリン酸に熱分解して揮発しているのでこのような結果になる
そこで、ホウ酸エステルと一緒に混合して同様の実験を行うと、反応してボロンホスフェートとなるのでリン酸のユニットが600℃まで残っている。
これは40年前に発見した難燃剤システムで、高分子学会の崩壊と安定化研究会で発表したら反響が大きかった。無機材料を専攻した技術者にとっては大したアイデアではなかった。
新入社員時代に始末書を書かされたが、その始末書に新技術として提案した内容がこれである。
カテゴリー : 高分子
pagetop高分子について学びたいと思ったときにどのような本を読んだらよいのか。高分子について絵でわかりやすく解説した本が出版されている。しかし、そのような本で欠けているのは、プロセシングの視点である。高分子は、プロセシングで高分子らしさを見せる。だから最初に混練について何か1冊読んでおくのは参考になる。本書は高分子が初めての方にもそれなりの知識が得られるよう工夫しています。定価4800円。弊社にお申込みいただくことも可能です。お問い合わせください。
カテゴリー : 高分子
pagetop最近のアンケートによれば保守層の間でも夫婦別性に支持層が増えてきたという。おそらく将来は、夫婦同一姓と別姓が混在した世の中になるのだろう。
当方が子供の頃、毎月の月命日の日にお坊さんが自宅までお経を唱えに来てくれた。その習慣は、父親が亡くなるまで続いたそうだが、大学に通い始めた頃、ご近所でもお坊さんが毎月訪れる家庭は、すでに少なくなっていた。
亡父の説明では、ご近所も子供の世代になると仏様を大切にしなくなった、とのこと。このような会話をしていた時代は、夫婦が同一の姓であることは重要だった。
今、お寺は檀家が少なくなってつぶれるところも出てきた、と嘆いておられる住職が多いというが、古典的な家族制度が戦後教育により崩壊してゆく過程で僧職にある人たちの工夫努力が足りなかったのだろう。
小此木啓吾氏が「家庭のない家族の時代」を著したのは1980年代であり、夫婦別姓ともなれば、家庭が無くなるだけでなく家族の形も大きく変貌しやがては無くなってゆくのである。
同一姓とすることが家族のために必要とまで言わないが、姓は少なくとも家族の名前である。そしてお墓には家族の統一された姓が刻まれている。
夫婦別姓の前に新しい家族の在り方だけでなくお墓の問題までよく考える必要がある。最近墓参りに行って気になるのは、空いている墓地が増えてきたことである。
夫婦別姓の問題は、ただ姓を別々にする、という単純な問題ではないのだ。社会に残っている暗黙のルールについてどうするのかもよく考えなければいけない。
すべてのしがらみを取り払ったときに、日本人というアイデンティーはどのような形で残るのか当方には想像できない。
グローバル化の流れにおいてそのようなものは無駄と言う意見もあるが、本当に不要だろうか。無くすのは簡単だが、復活するのはかなりの労力が必要になるのは文化遺産で十分に勉強しているのだが。
カテゴリー : 一般
pagetopリン系の難燃剤では240℃を超えたあたりでオルソリン酸の揮発が観察されるときがある、と以前書いた。
ホスファゼンではこれが観察されない。また、実際にオルソリン酸が揮発する難燃剤でそれを補足できるかどうか実験を行ったところ、10℃/minの昇温速度で270℃を過ぎたあたりの温度領域で発生していることを40年前確認している。
この当時は、アカデミアよりもアカデミックな研究を行っていた部署に配属されていたので、丁寧な実験データを採取していた。
ゆえに熱重量天秤の校正なども真面目に行い、機種間の差異を評価したりして、真空理工の熱天秤以外使用しない方針にしたことを記憶している。
真空理工の熱天秤では、TGA計測中の発生ガスを補足する実験も行いやすかった。特製注射針を突っ込んでガスを取り出すだけであるが、他社の熱天秤ではこのような作業でもやりにくい構造だった。
真空理工の熱天秤はシンプルな構造で実験が容易だった。TGA測定中のサンプル状態の観察もやりやすかった。とにかく真空理工の前園社長がその道の専門家だったので研究者のことを配慮して設計していたのだろう。
とにかくTGAの計測で難燃性ポリウレタンに用いるリン系難燃剤には2タイプ、細かく分類すると3タイプ存在することがわかった。
また、大八化学工業が頑張っていた時であり、この研究を行っている時にも協力してくれて、難燃剤の細かい分析情報を提供してくれた。
最近はあまり細かい分析データを質問しても教えてくれない材料メーカーが多いが、昔はどこも丁寧に分析データを教えてくれた。
カテゴリー : 高分子
pagetop5日に富士フイルムが公開したコンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」のPR動画に「盗撮を推奨するような内容」などと批判の声が寄せられ、まもなく削除されたらしい。
動画を見ていないので、いくつかのWEBニュースからの想像となるが、とんでもない時代になった、というのが実感である。
動画では写真家の鈴木達朗氏が「X100V」を手に渋谷の街を歩き、ストリートスナップを撮影している様子を映し出したものだったらしい。
10年以上前になるが、秋葉原でニュースに表現されたような同様の撮影スタイルでスナップ撮影をした経験があり、びっくりしている。
当時は事件になっていないし、そのような撮影スタイルで撮られた写真は、写真雑誌や展示会でも多かったスナップ写真の一手法である。
だからX100Vというカメラを手にしたときに、当方はすぐにこのカメラのコンセプトを理解できた。まさに日常を映すために設計されたカメラなのだ。
撮影に必要な条件は、ダイヤル操作ですぐに設定できるし、設定状態はダイヤルの表示ですぐに確認できる。銀塩カメラを彷彿とさせる設計でコンパクトである。
しかし、今そのカメラを持ち歩き日常で撮影できるエリアはかなりの制約を受ける時代になったようだ。肖像権の問題で許可なく人物を撮影することは許されないし、また撮影した画像を公開することも許されない。
街の撮影で許されるのは、ネコかカラス、雀、そしてたまに道路を走るネズミぐらいしか動的な被写体は無い。X100V、いいカメラだが時代を読み間違えた企画かもしれない。
カテゴリー : 一般
pagetop1980年に発泡ポリウレタンの難燃化研究を担当していた時に、プロジェクトの一員として熱重量分析を担当していた。
先代の管理職が熱重量分析が好きで、何台も熱重量分析装置を買っていた、と上司が批判的に言っていた。
職場には真空理工の熱重量分析装置と理学電機の熱重量分析装置があった。しかし、以前にはまだ数種類存在し、置き場所が無かったので廃棄されたという。
もったいないと思ったが、上司の説明では、機種によりデータが異なるので厄介な問題が起きたからだという。どのような厄介な問題かは、その後上司の仕事のやり方を見ていて想像がついた。
残された二台の熱重量分析装置の測定データには、機種間の差異が小さかったが、それでも丁寧な実験を行うと、その差が大きく現れることもあった。
定時後この機種の差がどのような原因で現れるのか研究してみた。詳細は理学電機に悪いので書かないが、真空理工の装置のほうが優れた設計であることを見出した。
高純度SiC合成について速度論的研究を行うときには、迷わず真空理工に熱重量分析装置の発注をしている。
購買担当からは理由を聞かれたので、この難燃化研究時代のデータを添付し、優れた機械だから、と説明している。優れた装置が市場で生き残るとは限らないので注意が必要だ。
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