活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2019.04/19 シリコン樹脂(レジン)

シリコーン類は、金属ケイ素を原料にしてジメチルシラン類を合成し、それらを原料にして様々な化合物が合成されている。SiC繊維の原料となるシランポリマーの主鎖はSiだがシリコーンポリマーの主鎖はらせん構造をとる柔軟なSiO結合だ。

 

だから、線状シリコーンポリマーはゴム弾性を示す。ややこしいのは架橋密度が上がり、ゴム弾性を示さない物質はシリコーンレジン(樹脂)と呼ばれていることだ。

 

C-C結合を主鎖に持つ一般の有機ポリマーの樹脂とはTgが室温より高い物質が樹脂と呼ばれているから、これはシリコーンゴムの架橋密度の高い物質と呼んだ方が分かりやすい。

 

しかし、エラストマーとしても用いられるポリエチレンが樹脂と呼ばれたりしているから、これらの物質を眺めると、樹脂とかレジンと言う呼称が室温において弾性を示すかどうかという視点がわかりやすいことに気づく。

 

ところが、熱可塑性エラストマー、TPEという物質が存在したりするので、この議論をますます難しくする。そもそも、レジンとエラストマーを同じ土俵で定義されていないのではないかと思えてくる。

 

技術者の間でもこの感覚が異なるから、高分子と言うものが難しく見えてくる。エラストマーと感じた物質をレジンと言われたりすると、当方は未だに不気味になる。

 

これは地下鉄の電車をどこから入れた、という三球照代の漫才ネタと同じではない。学会が整備しなければいけない言葉の問題だ。

 

さて、言葉の問題は漫才同様に結論が出にくいが、シリコーンレジンについて有機置換基の量が少なくなると可撓性が低くなり、硬度も高くなることが経験的にわかっている。すなわち、硬いシリコーンレジンを製造したいなら有機置換基を少なくすればよい。

 

また、有機置換基の芳香環の割合が増えると、可撓性が高くなり、柔らかいシリコーンレジンになる。すなわち置換基の量と芳香環の割合を制御しながら様々なシリコーンレジンが合成されている。

 

合成法は、有機ポリマーよりも簡単で分かりやすいが、ここに物性コントロールをするときの落とし穴がある。すなわち、可撓性が高く柔らかいシリコーンレジンを設計したつもりだが割れやすかったりする。

 

この問題の答えはここで書かない。ご興味のある方は弊社に相談して欲しい。本日の内容だけでも勘の良い人ならばすぐに理解できる。無機高分子研究会というのがあるが本来こうした問題をもっと多く議論してくれたなら面白いのだが。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

pagetop

2019.04/18 シリコーン

昨年台湾ITRIから講演依頼を受けてから、すでに3回シリコーンに関して講演を行った。ケイ素化合物の反応を初めて扱ったのは大学4年の時で、トリメチルシリルメチルグリニア試薬を合成し、ジケテンを開環する反応である。

 

グリニヤ試薬は極めて反応性が高いので-20℃以下に冷却してエーテル溶媒中で行う。少し危険な実験で、設備が整った実験室でなければ行えない反応である。大学院に進学後は、ケイ素ではなく3塩化リンを相手に合成実験を行ったが、こちらはやや反応がマイルドで室温で行えた。

 

さて、シリコーンを事業としている会社の大手は、何らかのケイ素源を持っている。例えばこの分野で日本最大の信越化学は、シリコーンウェハーもその事業の一つとしており、低コストでシリコーン類を製造可能なはずだが、シリコーン類は、他の高分子に比較し、高価である。

 

昔からシリコーンポリマーが高価格だったことは問題となっており、水ガラスから新たなシリコーンポリマーを合成する試みは古くからおこなわれてきた。40年ほど前、大阪工業試験場椎原先生は水ガラスからシリコーンポリマーの様なエラストマーを合成し、新聞発表され関係者を驚かせた。

 

しかし、その時の水ガラスエラストマーは、水を含んでいることで弾性体となっていたので、耐久性のないエラストマーだった。すなわち乾燥雰囲気化に長時間放置するとゲル化し、弾性を示さなくなった。しかしこの実験で多くの人が水ガラスの中のシロキサンがポリマーであることを十分理解することができた。

 

ゴム会社に入社後、この椎原先生の実験が気になって、水ガラスからケイ酸ポリマーを抽出する実験を行っている。THF-ジオキサン混合溶媒でケイ酸ポリマーを抽出したのだが、すばやく処理を行わないとゲルが沈殿し、扱いにくかった。

 

そこで、フェノール樹脂との複合化を行ったところ、電顕でシリカ粒子が観察されない有機無機ハイブリッドを製造することができた。ただ、Na不純物などが残っており、水ガラスを使用していては高純度化が難しい、と判断した。

 

そこでこの発明はTEOSとフェノール樹脂との反応に展開されてゆくのだが、今度はフェノール樹脂とTEOSとを均一に混合できない問題が生じた。ここから先はすでにこの欄で書いているので省略するが、いずれの話も特許出願されているが、現在の特許庁のデータベースでは、このころの特許を収録していないので調べることができない。

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.04/17 家を建てるなら(5)

オーディオという趣味はお金がかかる趣味である。また、自然の音を電気で再現することの難しさを考えると、ゴールのない趣味である。

 

そもそも趣味にゴールを考えるのはナンセンスであるが、自分ですべてをコントロールできず、金さえあれば欲求が満たされてゆくような趣味は、麻薬のようなものだ。

 

卒業研究に取り組み、趣味であった化学実験を思う存分できる環境ができたときにそれに気がついた。卒業研究は一生懸命取り組むと指導担当の先生(助手)から褒められて、次々と新しい論文を読むように勧められた。

 

当時天然物の合成がブームであり、またTVでは小椋佳作詞作曲で布施明の歌がヒットしていたので、シクラメンの香りの合成を目標にしていたのだが、発表されたばかりの新反応を取り込み半年もかからず清々しい香りが実験室に充満するようになった。

 

指導されるがままの、アルバイトの回数も減らし夜遅くまで実験をしていたので、今でいうブラック企業のような環境だったかもしれないが、無料で腹いっぱい実験ができる楽しさはオーディオよりも最高の趣味に思えた。

 

出版されたばかりの雑誌に発表された新反応を自分で開発した化合物に応用しながらシクラメンの香りを目標に反応条件を検討する楽しみは、初めて有機合成を担当した学生には最適なテーマだった。

 

自然科学という学問の良いところは、対象が自然現象である点である。ところがオーディオという趣味は、ハイファイ再生装置を開発している人は楽しいかもしれないが、その成果を金で楽しんでいる立場では、どこか満たされない部分が残る。

 

この満たされない部分を考えてゆくと、「ブラックボックスをお金で購入している」という行為をどのように考えたらよいのか、という問題にゆきつく。そもそもブラックボックスを解明したいという欲求が強かったので子供のころから科学にあこがれたのである。

 

工務店社長が気を利かせてくれたおかげでオーディオという趣味に足を踏み入れたが、当方の性分には合っていない趣味であると気がついた。すなわちアルバイトで稼いだお金の大半を投じたにもかかわらず飽きたのである。

 

初めてのアンプは、OTTOのマルチアンプ。帯域ごとに独立したアンプでスピーカーを駆動するので良い音がした。しかし、ONKYOインテグラの迫力あるステレオ再生を聴き、マルチアンプでなくてもよいことに気がついた。

 

アンプを換えたらスピーカーが物足りなくなった。25cmウーファーよりも30cmのほうが低域再生に優れている、ということでパイオニアの30cm3wayスピーカーへ買い替えた。ツイターにはマルチセルのホーンがついていた。

 

音量を上げたら家が揺れたような気がした。30Hz以下まで出るとスピーカーの仕様書には書かれていたが、映画「大地震」のサントラ盤を聴いたときに映画館以上の迫力にびっくりした。

 

これは、お金の成果である、と低周波が聞こえたときに、ややむなしさを感じた。お金をかければかけただけの成果がでるのがオーディオの世界であり、その果ては無く、ブラックホールの様な趣味なのかもしれない。

 

カテゴリー : 一般

pagetop

2019.04/16 人材不足

最近の話題として人材不足がある。一時期高齢者のリストラが話題になったが、最近はその高齢者も引っ張りだこだ。他社から依頼されて人材を探してもなかなか見つからない。

 

また、人材不足の要因の一つとして、新入社員が30%前後恒常的に3年以内に退職していることが原因ともいわれている。新卒者がこの割合で退職しているのなら、中途入社は、と調べてみたら、新卒者の様なデータはなく、様々な数値が出てくる。しかし、近年中途入社の早期退職が増えている傾向だそうだ。

 

新卒者が30%前後の安定した数字ならば、30%多くとれば解決するが、中途入社の場合にはそのようなわけにはいかない事情がある。すると中途入社組をどのように定着させたらよいのか、という問題が重要となってくる。

 

当方も写真会社に中途入社し、転職直後バブルがはじけたために転職先の組織がリストラされ、その時に次の転職を考えた経験がある。またバブルがはじけても声をかけてくださった地方の会社が4社ほどあったので、家族に話せず大いに悩んだ。

 

今から思えば、なぜあの時転職していなかったのか不思議である。外部から引きがあり、内部では押しがあれば転職を考えてしまうのは当然だが、もし転職していたなら異なる人生になっていたのでは、と思いを巡らせたときに中途入社組の定着を高める秘策を思いついた。

 

中途入社組の定着率を悪くしている原因として、中途入社組に対する研修内容がある。そもそも中途入社組に対して写真会社のように研修を行っていない会社もある。当方は転職してびっくりしたのは、いきなり配属されセンター長付主任研究員として業務をしなければいけなかったことである。

 

午前中総務課長から簡単な説明があった程度でほかに何も指導は無く、午後配属先に出勤したら、いきなりセンター長のアメリカ出張の調整を命じられた。庶務の女性から見せられた帳簿ではセンターの予算は赤字状態で、とても退職前のセンター長の目的不明のアメリカ出張費100万円を捻出できるような余裕はなかった。しばらくして社長から全社員向けに経営危機というショッキングな講話がビデオで配信された。

 

センター長からはそれでもアメリカ出張の調整をするようにつつかれて、常識的には会社を辞めたくなるような状況だった。全社の研究予算を精査してもそのような予算をひねり出せる状況ではなかった。

 

センター長からはアメリカ出張の予算確保だけを仕事と思って推進するようにはっぱをかけられ3ケ月取り組んだ結果、写真会社の経営状態を学ぶことになった。

 

磁性体事業で年間数千億円の赤字を垂れ流していた。今から思えばこれが研修だったのだろう。ありがたいテーマをくださったセンター長はしばらくしてアメリカ出張をすることなく退職した。

 

センター長のアメリカ出張費についてはゴールを達成できなかったが、会社の事業構造を理解でき、既存事業に密着したテーマを企画し次々とゴールを実現している。残念なことにそれでも給与はそれほど上がらなかった。

 

頑張っても報われない社会、という東大の先生の話を書くつもりは無く、バブル崩壊後の失われた20年をこの写真会社で頑張って、変異原性のあった添加剤を使用しない接着技術や、金属酸化物透明導電体を用いた帯電防止技術、ライバル会社のコアシェルラテックスよりも機能の高い有機無機複合ラテックス技術、3元系ポリマーアロイ接着技術、高温アニール技術、インピーダンスによる新規帯電防止評価技術、薄膜の粘弾性評価技術、空隙受像層のインクジェット用紙、カオス混合技術、再生PET樹脂技術など当方がいなかったら生まれなかっただろう技術を写真会社で開発し、自己実現に努めた。

 

また、退職前の五年間に瞬間芸的に袋井にある写真会社の子会社で建設したカオス混合のプラントは、現在は神戸の事業所に移設されトラブルなく稼働しているという。昨年末はゴム会社で起業した高純度SiC半導体治工具事業が名古屋の会社へ移管された。こちらも有機無機複合材料を前駆体として用いた当方がいなければ生まれなかった事業であり、いまだ現役の事業として続いている。

 

その結果、セラミックスや金属から高分子技術まで、さらにはこれらの複合技術である有機無機複合材料の専門家として知られるようになり、現在は、混練技術に関するセミナー、帯電防止技術に関するセミナー、シリコーンポリマーに関するセミナー、高分子の難燃化に関するセミナー、技術開発手法に関するセミナー、フィルム成膜技術に関するセミナー、滑り性付与に関するセミナー、ブリードアウトに関するセミナーなどおよそ専門家の少ない領域のセミナーに講師として国内外で招聘される機会が多い。昨年は国内以外に2か国で講演を行っている。

 

頑張ったにも関わらず、その会社で評価されなくても、身に着けた知識や技術はさらに価値を生み出すことを知っていただきたい。コンサル業を始めてからも、PPS-炭素繊維複合材料の開発、およびその押出技術を可能とした新規添加剤の開発、CNTの水分散技術、皮革の難燃化技術等その他まだここで書くことができない成果を国内外で生み出している。

 

人材不足であっても知識不足ではないのが日本である。材料技術でお困りの会社は今すぐ弊社へご相談ください。人材不足を補うソリューションも提供させていただきます。困った時の神頼み、より頼りになる弊社を活用すれば何か技術が生まれます。また、カオス混合技術に関する問い合わせが増えております。

 

 

 

カテゴリー : 一般

pagetop

2019.04/15 フィルムのインピーダンス(2)

単一組成のフィルムのインピーダンスを計測している限りにおいては面白い計測ではない。しかし、表面処理されたフィルムや成膜に失敗したフィルムなどを計測すると途端に面白いデータが得られ始める。

 

主に低周波領域で周波数分散に異常が観察されるようになる。ここでは書きたくないような面白い現象も観測されるが、その中でパーコレーションとの関係を示すデータについて経験談を書く。

 

酸化第二スズゾル(以下スズゾル)をPETフィルムにバインダーとともに塗布すると、パーコレーション転移の閾値以上の添加量で帯電防止層ができる。

 

面白いのは、厚みが1μmもない帯電防止層の表面比抵抗が10の10乗から11乗程度の高抵抗であってもタバコの灰付着テストに合格する。このとき、スズゾルの体積分率とインピーダンスの変化の関係を整理すると面白い。ここであまり書きたくないが、すでに国際会議等で発表した内容もあるのでそれについて説明する。

 

インピーダンスの絶対値の周波数依存性データで低周波領域に異常分散が現れ、それがスズゾルの体積分率と相関する動きをするのだ。すなわち、インピーダンスの絶対値を用いるとパーコレーション転移の閾値を容易に検出できる。

 

 

カテゴリー : 連載 電気/電子材料 高分子

pagetop

2019.04/14 上野千鶴子氏の祝辞が話題になっている

4月12日に開かれた東京大学の入学式の祝辞が、話題を呼んでいる。【BuzzFeed Japan から】

「あなたたちはがんばれば報われると思ってここまで来たはずです。ですが、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と述べ、さらに

 

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」と言い、社会に根付く構造的差別に目を向けるよう求めたという。

 

全文を読んでみて、どれだけの東大生に理解されたのだろうか、と疑問に思った。この話は東京医科大の不正入試を事例に話を展開されたのだが、男女の性差に限らず、構造的差別は社会に存在し、出世を目標にまじめに頑張ってもそれが報われるとは限らない社会ではある。

 

堺屋太一氏はその著書で指摘していたが、国家公務員は採用試験の成績で昇進や配属部署が決まるという。これは試験制度が公正に運用されたなら一見公正に見えるかもしれないが、その後の公務員人生に採用時の成績がついてまわる。

 

これをどうとらえるかが問題になるが、そもそも公務員は努力をしない人種だから、と社会に思われている原因として堺屋太一氏はこの採用時の試験の問題を取り上げていた。

 

堺屋太一氏は頑張る必要が無い、あるいは頑張っても報われない公務員の問題をのべていたが、頑張っても報われない社会だとしても働くときにはやはり頑張る必要がある。

 

ドラッカーは、働く意味を貢献と自己実現とのべていた。すなわち頑張っても報われるかどうかはわからないからそれを当てにせず働くので貢献という意味になる、と理解できると、ドラッカーの働く意味を理解できる。

 

それでは働くときに頑張る必要が無いかと言えば、自己実現のために頑張る必要があるし、なにはともあれ、活力ある社会とするために貢献であっても頑張りたいと思う。

 

カテゴリー : 一般

pagetop

2019.04/13 家を建てるなら(4)

大学4年間は、オーディオルームのおかげで、オーディオ三昧の学生生活だった。

 

大学には真面目に通学していたので今でいう引きこもりではないが、大学とアルバイト以外は部屋に引きこもりの生活になった。

 

心配した友人がマージャンに誘ってくれてもやはり音楽を聴いている時間のほうが長かった。音楽を聴きながら本を読むのが至福の時間だった。

 

麻雀パイの音のほうが楽しいと言っていた友人もいたが、あれは騒音以外の何物でもない。

 

工務店の社長が気を利かせて設計してくれた部屋は簡易オーディオルームであったが、それでも十分すぎた。オーディオは機器よりも部屋の影響が大きいと思う。

 

当時アナログオーディオ機器は急激な進歩を遂げていた。ナカミチやアカイのカセットテープレコーダーはSONY製の38、2トラデッキ並みの音質に肉薄していた。

カテゴリー : 一般

pagetop

2019.04/12 フィルムのインピーダンス(1)

高分子の誘電率測定のために、フィルムを計測できる電極が販売されている。ただしその価格は150万円である。

 

また、この電極を使用するときには、フィルムの厚さを正確に計測する必要がある。そこで電極にノギスを付けてこの問題を解決している。すなわち、この電極は単なる電極ではなく、ミクロン単位の厚み測定器ゆえに、立派な箱に入れられて販売されていた。

 

電気計測では電極の形状因子が測定値に影響を与えるため、このような仕組みになっているのだが、それにしても価格が高すぎる。

 

この電極を用いなくても誘電率測定は可能であるが、大量のサンプルを簡便に計測する場合には便利な電極である。ゆえに高い価格が維持されてきたのだろう。

 

写真会社でフィルムの帯電防止技術開発を始めたときに、この高価な電極を購入して帯電防止フィルムのインピーダンスについて研究した。

 

帯電防止評価にインピーダンスを導入したのは特許状況を調べた限りでは当方が世界で初めてであり、当方の特許出願から1年後にドイツの写真会社でもAPSフォーマット用に研究開発を始めている。

 

高価な電極を用いた計測では、既に発表されていた樹脂の誘電率と同じ値が得られた。さらに誘電率の周波数分散などもこの電極を用いると簡単にきれいなグラフが描かれた。さすが150万円の電極である。

 

ところで、当時、この電極と組み合わせて計測される各パラメーターの周波数分散まで簡単にグラフ化できるインピーダンスアナライザーは500万円近くしていた。固定周波数のインピーダンス測定装置は100万円台で売られていたから5倍の値段だ。

 

そこで、PCとのインターフェースが充実していた200万円程度のインピーダンス計測装置にPC9801をGPーIB経由でつなぎ、500万円のインピーダンスアナライザーと同等以上の計測ができるようにした。(当時のインターフェースはパラレル接続がシリアル接続よりも高速転送できたのでGP-IBを使っている。今なら高速USBで簡単に接続できる。また、インターフェース部分のプログラムもMS-DOS時代と異なり簡単である。MS-DOSで用意されていたN88BAISCでも慣れれば簡単であるが、速度の問題を抱えていた。どのような計測をすればよいのか試行錯誤で実験を進めている。その結果Cでプログラムする必要性も出てきてプログラミング部分で悪戦苦闘した思い出がある。その後写真学会国際会議で研究成果を発表しているが、これは福井大学客員教授時代の成果で試行錯誤部分は消えている。短い研究発表の裏には多くの経験知が隠されている場合があることを理解してほしい。ある先生が手ぶらで質問に来た人には知らないと答えておくのが良い、と言われたお気持ちをよく理解できる)

 

ゴム会社では迷わず500万円の装置を導入していただろうと思いながら、実験をやっていた。しかし、プログラムを自作した結果、プログラミングスキルはゴム会社時代よりも向上した。それだけではない。プログラムに計算式を組み込まなければいけないので交流回路についても学ぶ必要があり知識も増えた。

 

若い時の苦労は金で買ってでもせよ、と親によく言われたが、まことに至言である。研究環境は恵まれている方が良いが、資金的に恵まれていなくても研究しようとする意欲さえあれば道が開ける。

 

高純度SiCの研究をゴム会社で企画した時、研究費用0からのスタートだった。その2年後2憶4千万円の投資を受けたのだが半年でこのお金は消えた。

 

貯めていた研究アイデアに使われたのだが、ヤミ研時代の苦労が報われた。お金がないときにはアイデアの貯金に励むことが重要である。フィルムの帯電評価を進めていた時にゴム会社で周囲に否定された負の誘電率のアイデアを展開していた。

 

 

 

カテゴリー : 未分類

pagetop

2019.04/11 また盗作騒ぎ

「複数の盗作疑惑が持ち上がっている銭湯絵師見習いでモデルとしても活動する勝海麻衣さんについて、師匠である銭湯絵師の丸山清人氏が、師弟関係を解消したことを発表した。」(日刊スポーツ電子版より転載)

 

というニュースが報じられたので勝海氏について調べてみたら美人である。同じ日に、芸能ニュースの全く異なる話題で本田翼を例に美人は絶対的力、カワイイは正義などと報じていたニュースもあった。

 

美人だから盗作を許す、という気持ちは毛頭無いが、WEBでいろいろ書かれていたので勝海氏のこれまでの活動を調べてみた。すると、「美人だから許されてきた、あるいは美人だからここまで来れた」ことが明白なキャリアだった。

 

このような状態を放置しておいては、社会で真面目に努力している人の労働意欲は、ますます無くなる。東京オリンピックのデザインの盗作問題では、偉い人が出来レースの審査委員になって電通出身デザイナーを盛り立てるようなことをしていた。いずれも誠実真摯に努力すれば報われるという価値観を否定しているような出来事だ。

 

ただ、インターネットの発達で昔のように、このような法に触れてはいないが社会にとっては悪となるような人が甘い汁を吸いにくくなった時代になりつつあるように思われる。

 

勝海氏も情報の伝播スピードの遅かった昔だったらおそらく東京オリンピックまで持ちこたえて著名人の仲間入りをし、いつの間にか有識者として社会で活躍する人材になれただろう。

 

インターネットには勝海氏の正体を示す情報がこの1週間で大量に出始めた。もうこのようないかがわしいスターの育成方法をやめた方が良い。

 

情報化の時代では、知りたくないことまで耳や目に情報として飛び込んでくる。活力が乏しい人には健全な精神を維持するには難しい時代である。

 

しかし、世の中には儲からないようなお客に丁寧に対応し、失礼な態度をとられても意欲に燃えて仕事をしている老人がいることを知ってほしい。本物の美しさに出会った一瞬の喜びを長い人生経験から学んでいるから努力する意欲は衰えない。

 

 

カテゴリー : 未分類

pagetop

2019.04/10 労働意欲の低下した日本人

「米国の調査会社ギャラップによると、日本人で「仕事に主体的に取り組む人」は全体のわずか6%。世界139カ国中で132位で、仕事への熱意は世界最低レベルだ。やる気のない社員は71%にのぼり、周囲に不平不満をまき散らしている社員も23%いた。」

 

これは、AERAdot.からの転載であるが、日本人知識労働者の現状を表している。昨年は日本人の労働生産性の低さが話題になったが、その原因はこの記事に書かれているところにあるのかもしれない。

 

昨今の働き方改革も誤ったメッセージを知識労働者に送っているように思っていたが、この記事に書かれているような状態で働き方改革を進めたら日本はどうなるのか。

 

先週の朝ドラ「なつぞら」の中で、認めてもらおうと頑張るなつの姿に心を動かされた草刈正雄演じる泰樹は、「ちゃんと働けば必ずいつか報われる日が来る、報われなければ働き方が悪いか働かせる者が悪いんだ、そんなとこはとっとと逃げ出しゃいいんだ」と鼓舞し、

 

「だが一番悪いのは、人がなんとかしてくれると思って生きることだ、人は人を当てにする者を助けたりはせん、逆に自分の力を信じて働いていればきっと誰かが助けてくれるもんだ」と自然の厳しい戦いの中で得た人生の哲学をなつに語りかけている。

 

これは、おそらくドラマが社会に発したメッセージではなかろうか。今週はそのなつが、家出して行方不明になったところから始まったのだが、草刈正雄の演技が渋い。

 

当方はゴム会社で高純度SiC事業を立ち上げながら、FDを壊される被害にあい、立ち上げた事業のことを思い転職したが、同僚から見れば草刈正雄のセリフどおりとっとと逃げ出したようなものだ。

 

だからといって自分の立ち上げた新事業を見捨てたわけではない。写真会社に転職後もサポートしている。15年ほど前の単身赴任直後、ゴム会社時代に留学していた無機材質研究所の副所長から激励の手紙が届いた。

 

その内容は当方の高純度SiCに対する働きについて書かれていたが涙なしに読めない内容だった。誠実真摯に努力をしておればどこかで激励してくれるような人が必ず現れる。

 

だから、社会に貢献できるように、そして貢献できる力をつけるために働くのである。組織で報われなくても、誠実真摯に努力する姿は必ず誰か見ている。

 

努力した人がいつかその仕事で報われるような社会でなければ、健全な産業社会は維持されない。働き方改革が真に目指さなければいけないのは、そのような社会の創出である。

 

 

カテゴリー : 一般

pagetop