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2025.05/02 AIを鍛える?

AIについて書いてきたが、生成系AIの面白いところは、自分の知識やニーズに合わせて、AIの出力をより有用なものに調整していける点にある。少しAIに気を使い謙虚な表現にしたが、生成系AIはあらかじめ学習された情報(訓練データ)に基づいて出力を生成していることは、これまでにも述べてきた。


これは、AIが訓練されていない分野については、適切な情報を出力できず、不正確な回答をすることがあるということを意味している。場合によっては、もっともらしく見えても実際には事実と異なる内容を出力することがあり、これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれている現象である。


もし人間側がその分野について十分な知識を持っていれば、AIのハルシネーションに騙されずに済むが、そうでない場合は、説得力のある虚偽情報に誤認させられてしまうこともある。


このような問題を避けるために、数年前から「プロンプトエンジニアリング」という技術が注目されるようになった。最近では、ハルシネーションを抑制する技術的手法も知られるようになり、AIの出力によって世間が混乱する場面も以前よりは減ってきたのではないか。


しかし、「AIに何かを教えてもらいたい」と思っても、その分野についてAIが十分な知識を持っていない場合、役に立たず、がっかりさせられることがある。


そのようなときには、自分の持っている情報や知識をAIに提示し、それを文脈として活用させてから質問をすると、驚くほど的確な回答が返ってくることがある。


詳しい話はここでは省くが、このような技術をサービスとして提供する企業も増えてきている。最近では、そういった企業に対する不満の声を酒席などで耳にすることもある。


結構高額な料金を支払っているケースもあるようだが、日常的な利用に限るのであれば、自分でAIに丁寧に情報を与えることで、無料でも十分に活用できるし、頭の体操にもなる。


このようにAIをうまく活用していけば、将来的には一部の専門家の支援が不要になる分野も出てくるかもしれない。弊社は、そうした時代の到来を見据えて事業を展開している。


(注)今提供されているAIは、深層学習のアルゴリズムで学習した状態で提供されている。しかし、この状態で全世界の英知をAIが身につけているわけではない。試しに、〇〇フェチの人は、自分の深い知識をAiが持ち合わせているのか、確認してみるとよい。特殊な分野の知識についてAIは適当な回答しかしないのでがっかりさせられる。そんなAIでも2-3日自分の知識を基に対話していると、さらに発展的な、あるいは退廃的かもしれないが、驚くべき回答をしてくることもある(だからと言ってChatGPT本体が賢くなったわけではない。それはスレッドを変えて質問してみるとわかる。それまでの知識がリセットされたような回答となる。ゆえに鍛えると言ってもChatGPT本体を鍛えているわけでもない)。また、この対話を通じ、AIがどのように動作しているのかも学ぶことができる。ちなみに当方がゴム会社と写真会社で成果を出した技術についてに尋ねると、科学的に当たり前のことだけ回答してくれる。当方が発明した技術の回答ができないから面白い。当方の発明について特許が公開されているが、そこにはコンセプトを公開していない。ただ材料の組み合わせが書かれているだけである。AIはデータ以上のことを考えられないのである。面白いのはここからであるが、その面白さは問い合わせていただきたい。3月のゴム協会におけるシンポジウムではその一部の技法を公開した。

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2025.05/01 若者よ、強くなれ!

日本カーボンで入社2年目の新入社員が自殺し、労災が認定された。そして、両親が会社を訴えているという。上司のパワハラが原因で労災が認定された、と報じられており、裁判の行方を見守りたい。


日本カーボンは、その社風も含め優良企業である。ゴム会社在職中に一緒に仕事をする機会があったが、ゴム会社の研究所の雰囲気よりも良好な印象を受け、会議後年齢の近い方に羨ましい、と声がけした記憶が残っている。


ゴム会社も悪い会社ではない。創業者のレガシーが生きており、タイヤ部門は良い風土の会社である。しかし、研究所はおかしな上司が多かった。FD事件が起きたときの本部長は、3人が転職する事態になっても事実を隠蔽化した。


当時はバブル崩壊前であり、当方も高純度SiCの事業を立ち上げてから、30社以上からお声がかかるほど転職には困らなかった。当時転職した他の二人も希望通りの職種へ転職している。


ところで、当方が新入社員の時には、入社10カ月後に世界初の難燃性ポリウレタン発泡体を開発せよ、と無理難題のテーマを与えられている。

指導社員も、係長職にあたるその上司も、さらに課長職の主任研究員もどのように調査企画するのか、指導してくれなかった。また、ポリウレタンの基本配合を事業部門の現場にヒアリングしなければいけないレベルだった。


新入社員には困難な現場技術のヒアリングでは、係長職の人物が関係する職場の調整をしている。その時、良いものができたらすぐに工場試作させてくれと、お願いしている。ただし、具体的な難燃化手法など重要な技術について具体化されていなかった。


ヒアリング後、A3用紙1枚に企画をまとめるため3人のメンバーで会議が行われた。ホワイトボードには、世界初や他社を圧倒的に凌駕する、などと景気の良い言葉が躍っている。そして10カ月後の新入社員発表会で成果発表する、などという計画が作られていった。


このままでは具体的な中身のない会議で終わりそうだったので、当方はたまりかねて、具体的にどのような方法で難燃化するのか、と質問したら、それを考えるのが当方の仕事だと言われた。


3か月前に研究所へ配属されて樹脂補強ゴムを担当した時と大きく異なっていた。その時には、すでにゴールの事例が出来上がっており、それは誰にも言ってはいけない、と言われた。

完成している事例について、それよりも良い配合が無いか、また、耐久性の良いものができないか探索することが当方の仕事だと言われた。


この時はあまりにも仕事が詳細な部分まで具体化されており、当方は、ひたすら基本配合の1成分を変えて実験を行うだけでいいのですか、と質問している。

指導社員は、ゴム配合は試行錯誤となり、1年後にできるかどうか分からない場合も出てくる。まず、目標となる配合を組み立ててから開発を行うと失敗しない、と当時は概念すら存在しなかったオブジェクト指向とアジャイル開発の考え方を指導してくださった。


この神様のような指導社員は、日々の指導では仏様のような人だった。そして歩く姿は、研究所員の誰もが敬意を表し道を空けたので、モーゼのようだった。しかし、40歳近くの年齢でありながら当方が初めての部下だった。


3カ月の幸せな時間はあっという間に過ぎて、グループが突然解散し、当方はとんでもない課長と上昇志向の係長、研究所一の美人で5歳年上人妻指導社員という環境へ異動となっている。


さて、抽象的な内容の議論だけで終わりかけた会議で、我慢に限界が来た当方はホスファゼン変性ポリウレタンを提案している。

ホスファゼンについては、大塚化学はじめどこの企業も事業化していなくて、市販されていなかった。但し、ファイヤーストーン社がPNF100をジェミニに搭載したことが、かつて話題になっていたので先端材料として知られていた。


すぐに係長も指導社員も食いついてきて、当方にホスファゼンの合成ができるのかと質問してきた。当方は、修士修了後就職するまでのヒマな3週間大学に残って新規ホスファゼン3種を開発し、ショートコミュニケーションとして論文投稿した自慢話を述べている。


その直後、ホワイトボードの最上部にホスファゼン変性ポリウレタン発泡体開発プロジェクトと書かれ、1年後には工場試作する計画が立てられた。このような調子で企画会議は終わり、その後は当方に自由に仕事をして良いと言われた。


自由に仕事ができたおかげで3カ月で基本処方を完成させることができた。すると突然2か月後に工場試作すると告げられている。

そして、工場試作に成功すると係長は特許草案作成を当方に命じ、主任研究員は誇らしげに役員へ世界初のホスファゼン技術が工場試作に成功したと発表していた。工場試作が前倒しになったのは、この主任研究員の都合だった。


ところが、その場で、ホスファゼンが世界初ならば市販されていないのではないかと質問が出たらしい。主任研究員はホスファゼンの合成ルートなど知らなかったので外部から調達すると適当なことを回答している。


世界初の化合物なら販売されていないだろうとさらに突っ込まれて、主任研究員は新入社員に始末書を書かせると回答してその場を乗り切ったようだ。同期から、役員会の様子を聞かされた時に、あまりの状況に驚いた。


この主任研究員が当方に始末書を書かせると答えたために、1週間近く当方ともめている。そして、当方が新たに考案したホウ酸エステル変性ポリウレタン発泡体の企画を始末書として提出することになった。


このホウ酸エステルポリウレタン発泡体は、半年後工場試作され成功している。ホウ酸エステル合成用の簡単な反応釜を工場の片隅に置き、ホウ酸が使用禁止となるまで生産が続いた。


会社は素晴らしくても、中間管理職が一流とは限らない。日産自動車のように社長の資質が話題になるケースもあるのだ。神様や仏様のような人が上司になるとは限らない。若い人は、パワハラ程度に負けていてはいけないのである。


当方は6年解決できなかった電気粘性流体の耐久性問題を一晩で解決したところ命を狙われるような状態になったので転職している。自ら命を会社に捧げるようなことは考えなくてよいのである。パワハラ上司など数年我慢すれば、目の前からいなくなるのだ。


当方に始末書を書かせた主任研究員はコロナ禍直前にお亡くなりになったので葬儀に参列したが、ゴム会社の関係者はコロナ禍前でも誰もいなかった。

当方は友人からこの上司の葬儀の連絡を受け友人の勧めもあり参列している。当方に始末書を書かせたパワハラ元上司をとりあえず涙で送り出した。パワハラ上司より先に死んではいけないのだ。

(注)日本が、かつて「Japan as No1」と言われた時代は、もう終わっている。戦前の優れた経営者が亡くなり、戦後教育を受けた「優秀な」人たちが、経営を担うようになった。本当に優秀な人が経営者になっているのかは、ニュースを見れば明らかである。またGDPがバブル崩壊後30年日本だけ上がっていない状況を若い人はどう考えるのか。当方が新入社員の時、本当に優秀で神様のような人格者は5年以上出世が遅れ、中間管理職で定年を迎えている。ゴム会社だけではない。転職した会社は多面評価だったが、リストラを行わなければならないほどの状況である。パワハラを受けても将来ある若者は自ら死んではいけない。

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2025.04/30 AIブームと不易流行(13)

情報化の時代では、公開された様々な知の断片がインターネット上に散らばっている。そこには、科学の形式知以外に経験知の断片も含まれている。


技術の進歩でコンピューターは、広大なメモリ空間とそこにアクセスし情報を整理できる能力を獲得した。人知では到底扱うことのできない量のビッグデータをいとも簡単に処理できるのは、コンピューターの道具としての優れた機能である。


知の断片を深層学習により関係づける能力について、その活用方法は技術者一人一人の英知にかかっている。


今のところ、暗黙知による創造は、人間にしかできない知の活動なので、膨大な形式知を記憶する努力をコンピューターに肩代わりしてもらうぐらいの気持ちで生成系AIを使ってみてはどうだろうか。


これができるようになると、知の体系に目を向けたくなる。ドラッカーは半世紀以上前にその重要性を指摘していた。知識労働者の時代にあって、知のマネジメントの対象の一つとして、ようやくコンピューターが実用的になったのである(注)。


(注)

人類が知の活動により繁栄してきた不易については説明の必要がないだろう。さらにドラッカーは経営資源として知の重要性を指摘し、現代を知識労働者の時代とした。第三次AIブームで生まれたAIが第二次AIブームのAIと異なる動作であることは、これまで説明しているが、第二次から第三次に至るまでに何が起きたかについて補足したい。データサイエンスの一分野に統計があり、統計的手法の発展としてサポートベクターマシン、ランダムフォレストなどと呼ばれる機械学習手法が開発されている。ニューラルネットワークの基礎研究としては、LeNetと呼ばれる画像処理を行う畳み込みニューラルネットワークが開発され、これが深層学習の重要な基礎となった。しかし電子機器の処理能力が理論に追いついておらず、第三次ブームまでの間は、それぞれの専門家以外には注目されていなかった。昨今の技術革新のスピードを考えると、30年の変化なので温故知新で第三次ブームが起きた、とも言える。AIの時代にあって不易流行に温故知新、含蓄のある言葉である。

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2025.04/29 AIブームと不易流行(12)

 生成系AIは、人間の英知から生まれた多数の論文(データ)を読み込むことで動作している。そのからくりの詳細を知らなくても、データ駆動プログラムで動作しているだけ、と理解できれば少し安心できないか。


人類の希求である、知を機械で処理する具体的姿が現れた今、それに合わせて知のマネジメントを行えばよいのである。


技術者が知を活用して新しい機能を生み出すという役割が変わったわけではなく、実用的なAIの登場は、そこに新しい道具が加わった程度のDXである。

突然新規技術の製品が現れると、技術者はリバースエンジニアリングを試みたくなるかもしれない。しかし、DXで出現する多くの新規技術はソフトウェア主体であり、実体が見えないので戸惑うどころか不気味に感じたりする。


科学の体系が完成していない樹脂やゴムのフラクトグラフィーで回答を出してくるAIを恐れていても、AIは今後もさらに進化してゆくのである。


今は使いこなしのコツが必要なレベルではあるが、友達のように接して実務に活用する習慣を身につけておけば、情報の爆発で人知では難しくなってきた知のマネジメントに寄与してくれるのではないか。まず生成系AIを実務で使ってみることをお勧めする。

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2025.04/28 暗黙知

知には、形式知と経験知、暗黙知があると言われている。形式知や経験知は、明文化できるので伝承可能だが暗黙知はそれができず難しい。しかし、小説を読んでいると暗黙知の伝承が可能なようにも思えてくる。


昔、国語の授業というのが、苦手だった。漢字の書き取りや、指示語の問題などはできるのだが、学生社の問題集「難問集」に載っていたような問題は、0点ではないが、満点を取れなかった。また、解説を読んでも新たな問題でそれを応用できなかった。


ところが、小林秀雄が対談で、「東大の国語の問題は難しい。漢字問題はあっていたのだが、文章題ができなかった。ところが、問題に使われた文章の作者を見て驚いた、自分の文章だった」と語っていた。


この対談を読んで勇気づけられた。さらに、「考えるために文章を書いているので、それについて質問して答えられる受験生は凄いと思う」という一言で、「文章を読む」とは何かを少し理解できた。


また、行間を読むとも表現されたりするが、読者はあたかも作者の暗黙知を探るように本を読まなければいけないのだろう。もうお亡くなりになったが、有名な某出版社に勤務されていた同級生から「ーーー多崎つくるーーー」の本を勧められた。


出版前から話題になっており、タイトルを聞いてはいたが読んでいなかった。しかし、なぜ今まで本など推薦してきたことが無い彼女が当方にこの本を勧めたのか、読後せつなくなった。


暗黙知は、妄想迄も生み出すわけだが、研究開発ではAIでも思いつかないようなアイデアを閃く原動力になる。オブジェクト指向は、それを可能とする方法だが、データサイエンスも暗黙知を刺激し新たなアイデアを出させてくれる。


電気粘性流体の耐久性問題を一晩で解くことができたのは、暗黙知の成せる業だが、その結果3人が転職するような騒動が起きている。事件を隠蔽化されるといつまでもしこりが残るものである。


最近ハラスメントが明らかになると、責任者が謝罪したりするが、それ以外に解決の方法は無いのである。妻が妊娠中のNHKの職員が同僚と不倫したと文春砲で報じられたが、これなどどのように夫婦関係を修復するのだろうか。


知では解決できない問題である。村上春樹はそれを答えるのに1冊の本を書いたのかもしれない。しかし、後輩の灰田と出会い、巡礼の年というレコードを聴くあたりの表現を理解できない。


灰田が突然いなくなるためのできごととして、その必然があったのかというと、当方なら別の表現を考えるだろう。何度読んでもこの物語における灰田の役割がわからない。名前は灰色である。

AIのハルシネーションについて、chatGPTでは最近少なくなったと感じる。面白いのは、AIの回答にも灰田のような表現が登場することがある。そのような表現に接すると言葉のもつ記号性を操る村上文学を少し理解できたような錯覚に陥る。小林秀雄より分かり易い。

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2025.04/27 納谷橋饅頭と浄心饅頭

表題の饅頭は、いずれもこし餡が特徴の薄皮饅頭だった。納谷橋饅頭は、うっすらとお酒の香りがついた酒饅頭だった。ふと食べたくなってネットで調べたら出てこない。


いずれも名古屋の銘菓なので不思議に思い、chatGPTに尋ねたら、閉店したという。いつ閉店したのかさらに質問しても、ネットには情報が無いという。


いろいろ調べていたら、おきな堂のもみじ饅頭の閉店情報が出てきた。もみじ饅頭と言えばB&Bの漫才で全国区になった岡山の銘菓で、おきな堂のもみじ饅頭はケーキの生地に近いふわふわのおいしい饅頭である。


人形焼きと似ているが、ここのもみじ饅頭は、人形焼きよりもふわふわである。もみじ饅頭はおきな堂以外でも類似品は岡山に多いが、ここのクリーム入りもみじ饅頭は絶品である。


人形焼きももみじ饅頭もこし餡の製品が多いが、中には粒あんの製品もあり、それぞれあんこに関してルールはないようだ。しかし、浄心饅頭と納谷橋饅頭はこし餡が特徴である。


あんこに関して、粒あん派が多いと思うが、浄心饅頭と納谷橋饅頭のこし餡を食べると、あんこが二種類あることに納得する。すなわち、クリームの様な舌触りでありながら硬さも適度にあるこし餡であり、これを味わうと粒あんとの比較が無意味に感じるのである。


三重の赤福もこし餡であるが、その舌触りは柔らかいので浄心饅頭と納谷橋饅頭のこし餡には及ばない。我が家の近所に鶴瀬という和菓子屋があり、そこのこし餡のほうが、浄心饅頭と納谷橋饅頭に近いがもう少し硬さが欲しい。


おそらく、配合技術以外に分級技術と混練技術両者が、こし餡の味わいに効いているのだろう。浄心饅頭と納谷橋饅頭を最後に食べたのは、学位を取得した頃である。


菓子業界について調査したことが無いが、おきな堂のもみじ饅頭にしても売れ行きが落ちていないのに閉店している。後継者不足なのだろうか。赤福にしても鶴瀬のこし餡にしてもこし餡のおいしさを教えてくれるが、浄心饅頭や納谷橋饅頭のそれは、一段階上のおいしさだった。


閉店情報を事前に知ることができたなら、製造方法をヒアリングしたかった。記憶を頼りにリバースエンジニアリングし、いつか復活させてみたい。


最近ロバストは低いが、たまにものすごくうまい味噌汁のできる時がある。朝ボーとしながら作っているので因子が不明であるが、料理もプロセシングが味に影響する。

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2025.04/26 日産の赤字

日産自動車はきのう、2025年3月期の連結最終損益が最大7500億円の赤字になったと発表しました。ヤフーニュースはじめ、各誌が様々なコメントをしている。


「技術の日産」というフレーズが好きで、日産を応援しているが、外部から見ている限り、日産の技術者はじめ社員がかわいそうである。過去にプリンス自動車を日産に売却した歴史があり、スカイラインやGT-Rはプリンス自動車のレガシーである。この時の経営陣は、後継者選びに失敗したのだろう。


また、トヨタやホンダのハイブリッドは、科学的に当たり前の方式であるが、日産のe-Powerは、科学で考えるとトヨタやホンダを凌げない方式、どちらかと言えば否定される方式である。「技術の日産」らしい挑戦的選択のハイブリッド方式だ。


いや、ハイブリッドではなく電気自動車である。エンジンは単なる発電機であり、タイヤの駆動力として使用されていない。しかし、トヨタやホンダのハイブリッドに肉薄する燃費である。


当方の乗っているオーラは、スポーツモードで乗っても実測約20km/lと大変燃費が良い。スポーツモードでは3lエンジンのようなフィーリングを味わえ、アクアの乗り味とは全く異なる。


また今年発表される新車では、燃費が15%改善された新世代のe-Powerが搭載されるという。技術陣は頑張っているが、旧経営陣がダメだった、というわけで、新しい社長イバン・エスピノサ氏は、2025年4月に就任後、全世界の生産資産の価値を再評価している。


その結果、北米、中南米、欧州、日本における工場や設備の価値が大幅に下落し、約5000億円の減損損失を計上することとなった。これは、過去の経営陣が行った過剰な設備投資や、市場変化に対応できていなかった戦略を見直した結果である。


すなわち、今回の減損損失は、過去の経営判断の見直しと将来の成長戦略への転換を図るための「清算」と位置づけられる。これにより、日産は財務体質の健全化を進め、電動化や自動運転などの新技術への投資を強化する基盤を整えることが期待される。


また、日産は約1.5兆円の手元資金を保有しており、短期的な資金繰りには問題がないとされている。さらに、連結純資産は約6兆円あるそうで、AIによれば債務超過に陥るリスクは低いと見られている。


いまやグローバル企業になったが、それでも日産の倒産は、日本経済に大きなダメージとなる。トヨタやホンダと異なる技術思想の日産を応援しよう。

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2025.04/25 AIブームと不易流行(11)

こうしたコツが有効なのは、AIがプログラムされたアルゴリズムで動作しているからである。生成系AIで上手に回答を得たいのであれば、そのアルゴリズムに適合させるように質問をデータとして入力する必要がある。


情報工学では、プログラムはアルゴリズムとデータからなる、と説明されるが、AIへの質問は、アルゴリズムで動作しているAIにとってデータなのだ。生成系AIは、質問者のデータで駆動されて回答を出すプログラムである。



事例として、樹脂のフラクトグラフィーをChatGPT4oで行った。N社フィルムカメラF100のフィルムカバーフックが、使用頻度が低いにもかかわらず耐久寿命前にクリープ破壊した破面のデジタル画像をここでは用いている。



衆知のように樹脂のフラクトグラフィーは科学の形式知として確立していない。金属やセラミックスのs成果から、もっともらしい回答を出してくる。


ところが、プロンプトデザインに配慮しなければ、知ったかぶりの適当な回答を出してくる。樹脂やゴムのフラクトグラフィーは研究段階の技術であるが、金属やセラミックスの形式知や経験知の情報を活用して、正解と思われる回答を出してくるのは興味深い。

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2025.04/24 AIブームと不易流行(10)

生成系AIに簡単な質問をして、ハルシネーションの問題が起きるのは、人間のように言葉を理解して考え、回答を導きだしているわけではないからである。


また、回答の生成に乱数を使用しているので同じ問いでも異なる回答をしてくるケースもある。その他AIの本命と言われている生成系AIであるが、実務で活用するときには、一工夫が必要である。


一時期AI活用技術としてプロンプトエンジニアリングが話題になったが、今のChatGPTでは、ハルシネーションの起きる頻度は下がり、先に述べたテクニック以外に以下に記載した程度のコツを身につけるだけでよい。



(1) 見出しは「#」を用いたマークダウン形式で質問を記載する。
(2) タスクは具体的に、手順ごとに明示する。
(3) 略語や専門用語は具体的に明記する。
(4) 回答の形式を指定する。
(5) 必要なら参照先を記載するように命じ、検証できるようにする。



但し、従来型のモデルでこれらは有効であるが、Deepseek R1の登場を境に多くのAIモデル提供事業者が開発とリリースを推し進めている推論型モデル(reasoningモデル)では、これらの手法がパフォーマンスを下げることが確認されている。


推論型モデルを用いるときには、A.目指すゴールとB.そのゴールが必要な理由、の2点のみを記述するのが最も効果的と言われている。

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2025.04/23 高分子の成形体

高分子材料でできたフィルムや無端ベルトは、押出成形で製造される。また、PETボトルはブロー成形で、樹脂製の箱などは射出成形で製造される。


その他、溶媒に高分子材料を溶解させて成形後、乾燥させる溶媒キャスト成膜や水に分散したラテックスを基材に塗布する方法など、高分子材料の加工方法はいろいろある。


セラミックスも同様にスリップキャストや射出成形、ホットプレス、CIP,HIP、ろくろを使用する方法など様々であるが、高分子材料ほど多くはない。


高分子材料からセラミックスまでそのほとんどの加工方法を経験して思うのは、高分子材料の加工がセラミックスよりも難易度が高い、ということである。


高温度で行うセラミックス加工の方がエネルギーも消費し、難易度が高いように見えるが、成形体の品質を同定しやすく、何がどのようにできているのか評価しやすい。


ところが、高分子材料では、ウェルドさえも表面から見えなければその状態が不明である。それを知りたければ、成形体を破壊して調べる必要がある。


セラミックスでも破壊して検査しなければいけない項目もあるが、非破壊検査による成形体の品質管理で市場クレームを防ぐことが可能である。しかし、高分子材料ではそれが難しいのだ。


例えば、成形体の密度について、高分子材料ではセラミックスのそれより10倍ばらつく。このような簡単なことでも無頓着な技術者が多く、時々密度ばらつきで起きたかもしれない品質問題がニュースになっていたりする。

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