DSCの測定装置の試料室には、独立に制御されるヒーターが3組存在する。
Aのヒーターで、Bのヒーターの上に置かれた試料(アルミナ粉と混ぜ合わせるとよい)とCのヒーターの上に置かれた参照試料(一般にアルミナ粉を用いる)が常に同じ環境で加熱されるように設計されている。
Aのヒーターで炉の温度が制御されているときに試料に熱的変化が無ければ、チャートに変化は現れない。しかし、試料が吸熱的変化をした場合には参照試料との間に温度差が生じないようBのヒーターで試料を加熱する。
この時チャートには吸熱側へヒーターに流れた電流変化が現れる。試料が発熱的変化をした場合には、同様の動作として参照試料側のヒーターCに電流が流れそれがチャートに発熱変化として記録される。
測定結果の概念図を描けば、結晶化温度(Tc)と融解温度(Tm)は、それぞれ相転移に伴う熱量変化を示し、ガラス転移温度(Tg)は、単なる比熱変化によるベースラインの移動現象として記録されている点に注意してほしい。
なお、Tgについては、試料の熱履歴とDSCの昇温速度との関係で、吸熱ピークが現れたりする。まず、DSCで測定されたTgにこのような現象が生じる理由を説明する。
徐冷ガラスあるいは急冷後アニールされたガラスでは、昇温した時に、徐冷ガラスのT-V曲線に従い体積は膨張してゆく。
この時、溶融状態から冷却した時のT-V直線との交点や、さらに急冷ガラスのガラス転移温度よりも高い温度で急激に体積膨張し、溶融状態のT-V直線に合流する。
この急激な体積の増加では、徐冷あるいはアニール処理により生成した安定な構造を壊すために過剰な熱が必要になり、高い温度でガラス転移を起こすことになる。
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混練の実務で役立つ熱分析装置には、先に紹介した機械的熱分析(TMA)と熱重量分析法(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、粘弾性測定装置などがある。
TMAは熱膨張の測定だけでなく、粘弾性測定も可能な装置が市販されている。試料に押し棒を乗せ、温度を上昇あるいは下降させて押し棒の変位を計測するTMAの熱膨張測定では、各温度における線膨張率が求まり、そこには、主に高分子の一次構造や高次構造因子の情報が含まれている。
天秤と加熱炉を組み合わせたTGAは、試料を加熱してその重量減少を調べる装置だが、高分子の一次構造因子が測定データに反映される。昇温速度を変えて測定して熱分解の動的解析もできる。この原理を理解できると、TGA曲線の変化から混練時に化学反応の有無を予測できるようになる。
また、熱天秤の精度も高いので混練時の熱による微量ガス発生の有無を調べることが可能である。特に高分子の難燃化技術を検討するときには、経験知的方法になるが難燃剤の作用機構を調べる簡便な実験もできる。
TGAもTMAも測定装置を実際に使用すれば、その機構と原理をすぐに理解できるが、DSCは、外観からその測定原理が分かりにくい。
TGAは昇温条件で測定し、TMAやDSCは一定速度で昇温あるいは降温の両方向で測定できるが、TGAもTMAも試料で生じる現象を直接観察しているのに対してDSCでは比較サンプルに対する熱量変化を観察している点が異なる。
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情報通信分野で5Gが注目を集めています。5Gで世の中がどのように変革されるのか。
高分子材料の誘電率制御に関して、下記のようにセミナーを開催します。
弊社へ申し込まれますと、36,000円(消費税含まず)となります。
また、7月中に弊社へ申し込まれますと、弊社にて高分子材料の基礎についてセミナーを1時間無料で受講可能です。
記
1.主催 サイエンス&テクノロジー
2.日時 2019年8月30日(金)10時30分-16時30分
3.場所 品川区大井町きゅりあん
4.詳細 https://www.science-t.com/seminar/B190850.html
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自由体積部分では動ける範囲の運動が行われている。その他、高分子鎖が積み重なり運動が凍結された部分でもレピュテーション運動が起きているかもしれない。
その結果、分子同士のあたかも忖度が働いたような運動、すなわち、より構造的に全体が安定な状態になろう、あるいは歪を緩和しようとして全体で動く。この構造緩和現象により体積収縮が起きる。
ここで、急冷ガラスのTgをTgqとし、徐冷ガラスのそれをTgaとすると、Tgq>Tga。すなわち、冷却速度と高分子材料のTgは関係しており、高分子がプロセスの履歴をひきずる、と言われる原因の一つである。
ところで、高分子材料を混練できる温度領域について。二軸混練機を用いた熱可塑性樹脂の混練では、よくTm付近の温度がシリンダー温度として設定されるが、Tm以下でTg以上の低い温度に設定しても、モーターの能力さえあれば混練可能である。
ちなみに結晶性樹脂では、Tc前後の温度設定でも分子量低下を起こさず混練可能である。ゆえにシリンダー温度は、Tg付近に設定しても混練可能で、そのような特許出願もされている。
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このガラス化過程の歪について、昇温条件でDSCの測定を行うと、冷却時の履歴がTgに反映されてピークとして現れることもある。
この現象は、例えば結晶化速度の速い結晶性高分子で観察される。この時、体積が減少して高分子鎖の一部分が規則正しく並び、折れ曲がりながらラメラ晶を形成していく。
混練された高分子からペレットを製造するときの熱的変化は、急冷過程となる。このように溶融状態から冷却速度を早くした場合には、体積の収縮が冷却速度に追いつかず、そのままの構造が凍結されるので自由体積が多くなり、その結果密度は低くなる。
この時生成されるのは急冷ガラスであり、結晶化速度の遅い高分子であれば、全く結晶化しない場合もある。
結晶化速度が早い高分子でも結晶化しない場合や部分結晶化で止まる場合などまちまちで、これがペレットのばらつきの原因となる。
もし、これをゆっくりと平衡状態に近い条件で冷却をしたならば、徐冷ガラスとなる。厚みのある成形体の中心部はこのようになる可能性がある。
結晶性高分子であれば、昇温条件でDSC測定を行ったときに結晶化ピークが現れないほど結晶化が進む。
ここで注目していただきたいのは、急冷した場合と徐冷した場合では体積が異なる現象である。もし、急冷ガラスについて、Tg付近でアニールしたならば収縮して徐冷ガラスの密度に限りなく近づく。
余談だが、一般にアニールを行う時にはTg以下Tg-20℃以上の温度領域で長時間かけるが、Tg以上で急速アニールする特殊な技も開発されている。この場合も徐冷ガラスの密度に限りなく近づく。
いずれの条件で行っても、アニールにより急冷ガラスの体積収縮は生じる。もし結晶性高分子であれば、ラメラ間の非晶部分のパッキングが進み密度が上昇する。この現象を観察するための実験はガラス状態を理解するのに役立つ。
すなわち、ガラス状態はマクロな視点(通常の観察時間)で見る限り固体と同じであるが、紐のモデルの如く高分子鎖一本一本のレベルで見ると、高分子材料の温度に相当するエネルギーレベルで運動している融体(液体)の状態と同じである。
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大船渡(岩手)最後の夏は、不完全燃焼で幕を閉じた。花巻東との決勝で、2-12と大敗した。昨日の高校野球情報は、このニュースが一面に来ていた。
そして、お決まりのことだが、賛否両論の意見がネットに上がっていた。理由は佐々木投手を温存した監督の判断にあった。
続投が続き、腕に違和感を感じていた佐々木投手を決勝戦で使うかどうかについて、今の時代でなければ、ベンチ入りの判断にはならなかったろう。
高校野球という舞台を考慮すると、これは正しい英断である。某高校の監督は、甲子園を目指していたのだから、佐々木投手を使うべきだった、と述べていたが、これは時代錯誤の判断というしかない。
例え英断であったとしても、結果が悪い場合に批判は避けられない。それが分かっていても、ベンチ入りを命じた監督を当方は優れたリーダーだと思う。
当方は退職前、事務機の部品開発(内製化)を中途で引き継いだ。半年後には製品化という仕事だった。しかし、コンパウンドが原因で歩留まりが10%に満たないような仕事であり、内製化をあきらめ部品そのものについて外部調達という判断をすべき状況だった。
しかし、経験知からコンパウンドの問題を理解できて、混練さえうまくできれば歩留まりが上がると判断できた。
そこでコンパウンドメーカーに解決策をお願いしたところ、コンパウンドメーカーは、形式知からコンパウンドについて問題の無いことを説明し内製化技術に問題がある、と突っぱねてきた。
仕方が無いので、中古混練機を購入しコンパウンドの内製化まで行う決断をしたが、部下の課長から戦力の観点で猛反発された。
部下の課長に、外部のコンパウンダーと同等の扱いをしてもよいから、君が良いコンパウンドを選ぶように、と告げて、中途採用1名と現場の作業者1名でグループを編成しコンパウンド開発を進めた。
3ケ月後には歩留まり99%を実現できるコンパウンド技術が無事完成し、外部のコンパウンダーには状況を説明して諦めてもらった。決断で明暗は分かれる。判断を間違えないようにしたい。
今進められている働き方改革の思想を尊重すれば、部品の内製化そのものをあきらめ、外部調達するという判断が正しいのかもしれない。ただし、この判断は正しいが、コストダウンもできなければ新しい技術も何も生まれない。すなわちGDPで表現すれば0かマイナスの状態である。
3ケ月でコンパウンドプラントを作るために当方は土日返上、時には徹夜までした。明らかに働き方改革に反する判断である。また、このような働き方で成果を出しても退職前の当方は成果に見合う報酬が得られるわけではない。それが分かっていても貢献を第一にGDPの向上を目指し新技術にチャレンジして成功させた。
退職前のリーダーとして働き方改革の思想による判断が正しかったのだろう。しかし、世の中の流れや会社の風土に反した判断をしても、成功したので誰も何も言わなければ報酬も無い。判断が良かった、悪かったなどの批判も出ない。すべて何もなかったように時が流れ、2011年3月11日に最後の日を迎え、帰宅難民となり、最後の日に会社に宿泊できる幸運となった。天だけが応えてくれた。認知症になったとしても、地震が来るたび思い出す一生忘れることのない退職記念日である。
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これは、高分子材料では必ず非晶部分が存在するためである。すなわち、高分子材料について熱分析を行うと、測定条件の影響で相転移である結晶化は観察されないことはあっても、相転移ではなく緩和過程の現象を示すTgは、結晶性高分子でも必ず観察される。
Tgの理論的取り扱い方について、粘度が1012Pa・s付近になるとガラス転移が起きる、という等粘性状態の考え方や、自由体積分率が0.025になった時にガラス転移が起きる、という等自由体積状態の考え方、その他等配位エントロピーの考え方など多数存在する。
等自由体積状態の考え方ではVhが自由体積となり、Tg以下に冷却された時に一定値Vhgとなる。
ところが、混練して得られるペレットの密度ばらつきや成形体の密度ばらつきなど同一配合処方でも自由体積の量がばらついている、と考えなければ説明がつかない現象は多い。
これは、グラフが平衡状態における現象を示しており、混練で得られるペレットは非平衡状態で冷却されて作られるから、として説明できるが、Vh+ Vlを自由体積とする考え方も存在したりするので、形式知によるTgの理解は難しい。
経験知的には、溶融糸まり状の高分子が、冷却により体積が減少し、隣り合っている高分子のヒモ同士がぶつかり、歪を抱えたまま動けなくなる温度がガラス転移点Tgである。
これは、満員になっていない80%程度の乗車率の電車で急ブレーキがかかった瞬間を想像してみると理解しやすいかもしれない。高分子を急冷したときには恐らく悲鳴を上げる様な分子も存在するかもしれない。
ただし、電車がゆっくり停車するような状況では、乗客は皆自分の快適なポジションを探しつつ、それぞれの位置で落ち着く。高分子も同様で、溶融状態から平衡を維持しつつ冷却していったなら、結晶性樹脂の場合にはラメラができてそれが球晶に成長し、そしてガラスを生成して固まる。このガラスを生成した時の温度がTgである。
混練プロセスで平衡を維持しつつ冷却するのは困難であり、ガラス化過程で何処かの高分子に歪が残っている。ゆえに、Tg付近で試料の熱処理、アニールを行うと歪が緩和されて密度が上ったりする。
あるいは、溶融状態からフィルムを製造した時に、表裏で冷却速度が異なると、歪も表と裏で異なる。その結果、室温で放置した時に内部の歪が緩和してフィルムが反ったりする。
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21世紀になり、日本のモノづくり力の低下を嘆く投稿を見る機会が多い。3年前には、現場のデータ改ざん問題などが噴出し、社長の謝罪会見が続いたこともあった。
これらは、いわゆる現場力の低下を意味しているが、働き方改革が影響していないか心配になってきた。
実は今年の初めに、我が家の2度目の外壁塗装を行ったのだが、1回目に比較しあまりにもひどい工事で、外壁の所々が破損していたため料金を支払う時にクレームとして監督者に修繕を伝えた。
ところが半年間音沙汰無し。日本を代表する企業なのでお客様よりも働き方改革を優先しているのだろう、と静観していたのだが、まったく電話も無いので次第に忘れているのではないか、と疑うようになった。
我慢しきれず電話をしたところ不在だったので電話を取りついだ人に、半年前に工事を完了し不具合点を直してほしいと伝えたがまだ来ない、と伝言した。
そうしたら、昨日ようやく来た。実は料金支払い時にクレームとして伝えたのは、1.外壁塗装でヘーベル板の痛みが激しいことが心配、と2.養生していなかったために玄関扉が汚れた話だった。
2については、料金を支払う前だったので、扉の張替えを行ってもらったのだが、料金はしっかりと支払わされた。
扉を汚したのは工事側なのにおかしい、と言ったが、発注されたのはお客様と押し切られた。工事についても会社***の基準を満たしています、とつれない回答。品質検査を行っていても傾いたマンションでくい打ち不正が発覚したことをもう忘れている。
昨日ようやくヘーベル板の傷み具合を調べきに来てくれたのだが、作業の様子を話したら、現場監督者が驚いていた。なんと監督者は現場の作業の様子を見ていなかったのだ。
「**のようにしていなかったんですか」と作業標準の説明を当方にされても困るのである。もし、監督者が言うような作業標準通りに行っておれば、ヘーベル板が見苦しく欠けることも無かったはずである。
ヘーベル板の痛みの話で頓珍漢な応対が続き、扉の養生忘れの問題を忘れていたら、帰り際に、きれいな一部分の玄関扉の写真を見せながら、汚れていなかった、と伝えてきたので、びっくりした。
議論するのもばかばかしかったので、当方が撮影した汚れた部分の写真を見せたら、担当者は証拠を撮っていたのかとびっくりしたのか絶句していた。
くい打ち不正の謝罪会見は何だったのか、と言いたくなったが、これ以上書かない。早い話、汚れていないところだけの写真を見せる恥ずかしさを感じないだけでなく対応に誠実さが無いのだ。
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吉本興業の問題について展開が笑えない状態になってきた。最近のお笑い界がつまらなくなってきたと思っていた。それは、芸人も含めてサラリーマン化してきたことが原因ではないか。
芸人が芸のために人生をかける、という姿勢は古いもののようだ。今働き方改革が世の中の流れだが、技術でも芸術でも、並外れた優れた結果を出すためには、血の滲むような努力が必要だ。
それを組織で働く人が健全な状態で行おうというのが現代の会社の役割だが、現実の成果をよく見ると、大抵は無名の犠牲者の上にそれが生まれている。
犠牲者と言う表現を用いたのは、組織で本当に努力した人が報われない事例の方が多いからだ。名前すら組織の中で抹殺される場合もある。
上に立つ経営者が働く人の苦労に報いようとしていないためだが、吉本興業ではその搾取の構造が丸見えになってしまった。
おそらく今噴き出している処遇の問題はギャグではなく真実に近いのだろう。芸人は現場の作業者ではなく、部品に過ぎない扱いである。それで納得できてしまうところも笑えない。
さらに良くないのは、そこで働く人も搾取する立場を指向しているところが見え隠れしてやりきれない。誰でも少しでも収入が多い仕事をしたいかもしれないが、やはり働くときには「貢献」をまず考えて働く姿勢が重要なのだろう。
お笑い芸人がお笑いを目標とせず、お金を目標としているところに現代のお笑いが笑えない芸になっているような気がする。
働くときに、お金を目標とすることが良いか悪いか、という議論は無意味で、本来それは公平に保証されている前提が当然であるのが今の社会の理想である。
それが保証されていると信じて働かなければいけないが見えてくるのは不公平ばかり、という状態では良い社会とは言えない。
共産党に対して一定数の支持者は必ず残る、と言っていた評論家がいたが、それは良いことではないだろう。今回の参院選挙の結果で新たな左派ポピュリズムの誕生に驚いている。
日産のゴーン事件や、今回の吉本の騒動を見ていると、労働対価の搾取とか資本家と労働者と言う、前時代的な対立用語がゾンビのように溢れてくる。弊社は社長よりも従業員の給与が高くなる給与体系で運営している。
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情報通信分野で5Gが注目を集めています。5Gで世の中がどのように変革されるのか。
高分子材料の誘電率制御に関して、下記のようにセミナーを開催します。
弊社へ申し込まれますと、36,000円(消費税含まず)となります。
また、7月中に申し込まれますと、弊社にて高分子材料の基礎についてセミナーを1時間無料で受講可能です。
記
1.主催 サイエンス&テクノロジー
2.日時 2019年8月30日(金)10時30分-16時30分
3.場所 品川区大井町きゅりあん
4.詳細 https://www.science-t.com/seminar/B190850.html
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