活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2019.05/20 混練の講演会

6月7日に都内で混練の講演会を予定しています。ゴムタイムズ社の企画ですが、弊社で割引のお申し込みを受け付けています。

 

ところで、この講演会では、特許が公開されたばかりのPH01についても使いこなしを解説します。従来の添加剤と異なる点が見つかっており、従来の混練の概念では性能を引きだせません。

 

樹脂の混練技術は、二軸混練機の開発の歴史のように思います。1980年以降二軸混練機の性能は著しく向上しました。ローターの発明が一役買っているのですが、ニーディングディスクでは実現できない混練が可能になりました。

 

しかし、問題はトルクが高くなるため非力なモーターでは、ローターを使えないケースもありました。中国ローカル企業を指導していた時にこの問題に遭遇しました。

 

カオス混合技術は一つの解であり、非力なモーターの二軸混練機にも取り付けることが可能です。しかしそれは内部構造が設計されていることが必要で、うまく設計されない場合には十分な効果が出ません。

カテゴリー : 宣伝 高分子

pagetop

2019.05/19 二軸混練機の回転数

二軸混練機の回転数を上げると吐出量はそれに伴って増加する。しかし、スクリューセグメントの工夫である程度はその増加率を制御できる。

 

吐出量を抑えて回転数を上げると混練が進むと考えがちであるが、コンパウンドの基本機能を評価しタグチメソッドを行ってみると、単純に回転数と一次相関しない場合がある。

 

ひどい時には、上に凸のグラフになったりする。これは、回転数を上げても混練効果が上がらなかったためである。

 

タグチメソッドでは、制御因子について幅広く振るように指導されるが、二軸混練機では、自分が使用したい回転数の範囲で振ったほうが良い。このようにすると一応は増加関数的になる。

 

しかし、配合処方によっては、それでも線形性が崩れて、その結果に悩むことがある。この場合にはスクリューセグメントを剪断流動重視にして組んでみることだ。単位時間当たりの吐出量は減るが、回転数に対して増加関数的になる。

 

剪断流動重視では無機フィラーの分散が、とか、ポリマーの切断が起きるのではないかとか、いろいろ不安が出てくる。二軸混練機は意外と使い勝手が悪い混練機であり、ロール混練が優れたプロセスであることを気づかせてくれるが一台当たりの生産性が悪い。

 

中間転写ベルトの開発を担当したときに最初はロール混練やバンバリーミキサーを使ってコンパウンドを混練し、あたりをつけてからカオス混合装置を開発している。これは混練機を扱うときのノウハウかもしれない。

 

ロール混練機は小平製作所がよいものを持っている。たかが二本のロール、と見ていてはいけない。二本のロールであるがその奥は深い。カオス混合装置も小平製作所と性能アップを図ってきたが、6月の講演会で説明する。

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/18 粘弾性測定

高分子のレオロジーについて調べようとすると粘弾性測定装置が必要になる。粘弾性測定装置には、歪制御の装置と力制御の装置がある。

 

すなわち、歪制御の装置では、歪を一定にするように動作し、力制御の装置では、力を制御して歪を一定にしようと動作している。

 

10年ほど前の価格では、力制御の装置のほうが安かった。コンパウンドの品質管理用に購入したのだが、普通に温度分散を測定している分には問題なかった。

 

しかし、品質管理用にある特殊な測定をしたときに困った。少し挙動が異なるのだ。少し特殊な手順で弾性率の乱れ(偏差)を見ていたのだが、それが小さいのだ。

 

歪制御の装置で計測される偏差の20%ほどしかなく、品質管理用には感度不足となった。面白いことに測定モードを変更したところ、感度が上がった。

 

粘弾性装置だから変更すると言っても時間のファクターである周波数(振動数)だが、これを変更して歪制御の装置と測定結果が一致したのだ。

 

品質管理用なので、とりあえずこれで仕様を決めなおし、ことなきを得たのだが、測定データに対して時間温度換算則を使う時に問題が起きることに気がついた。

 

退職後聞いた話では、コンパウンド工場を移転した時にコンパウンドの品質基準を見直し、粘弾性評価を廃止したと聞いた。すなわち、5年間の品質検査で異常が起きなかったから不要な検査と判断されたらしい。

 

CDのために品質規格を見直し、不要な検査を廃止するということは常套手段である。しかし、品質評価項目の中には、機械の寿命とも関係している項目があることを知っておくべきだ。

 

すなわち、一般に設備が劣化すると品質のばらつきが大きくなってくる。当方は、それも管理できるように粘弾性装置をややトリッキーな使い方で品質評価するように決めたのだ。

 

残念であると同時に中古で導入した二軸混練機が心配になってきた。ゴム会社でQCの心得を学び、その思想でカオス混合という世界初のプラントを約13年前に稼働させたが、トラブルは何も起きていない。

 

しかし、その安定なプラントも管理技術が骨抜きになっていったらどうなるか。今のところ何も問題が起きていないので、過剰な品質検査だった、という評価になっている。しかし、この粘弾性を活用した品質検査を当方は過剰とは思っていない。

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/17 混練の講演会

6月7日に都内で混練の講演会を予定しています。ゴムタイムズ社の企画ですが、弊社でお申し込みを受け付けています。

 

ところで、この講演会では、特許が公開されたばかりのPH01についても使いこなしを解説します。従来の添加剤と異なる点が見つかっており、従来の混練の概念では性能を引きだせません。

 

すなわち混練技術依存性のある面白い添加剤です。これを欠点とするのか、ブラックボックス化技術とするのかは技術のとらえ方になりますが、これまでにない性能を実現できます。

 

PPSやPEEKは加工温度が高く混練や成形が難しい材料ですが、PH01の添加で加工温度を下げることが可能になります。

 

さらにPPSでは結晶成長を抑制する機能も見つかっており、PPSの結晶成長による物性低下でお困りの方はぜひセミナーにご参加ください。

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/16 混練の混乱

混練の教科書を読むと分配混合と分散混合の説明がなされている。たしかに混練はフィラーなどの添加剤を高分子に混合し分散するプロセスである。

 

ただし、混練はセラミックス粉末のような混合ではない。練が重要になってくる。分配混合と分散混合の説明には、この練の意味が入ってこない。

 

単身赴任して外部のコンパウンド技術者と話していたら、強練と弱練という言葉が飛び出した。初めて聞いたときに意味不明だったが、その言いたい気持ちは分かった。

 

しかし、間違っていた。その技術者が6年かかっても満足なコンパウンドができなかったから、間違っていた、と判断している。

 

当方は、8万円前後の教科書を4冊購入し読んでみた。しかし、その教科書も過去にゴム会社で指導社員から教えられた内容と異なっており、間違っている、と判断した。

 

結局30年ほど前に指導社員から習った内容を思い出し、中古の二軸混練機を購入し組み立ててそれでコンパウンドを製造してみたら、狙い通りのコンパウンドができた。おそらく考え方が正しかったのだろう。

 

ゴムの混練における経験知と、二軸混練機を中心にした混練の教科書では、整合がとれない。経験知で混錬したほうがゴムも樹脂も良い結果が得られる。今画期的な混練の本を書いている。

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/15 物理化学の教科書

学生の頃、分子論がすでに形式知として定着し、バーローの書いた物理化学の教科書が標準教科書として選ばれていた。困ったのは、教授によりバーローではなく、ムーアの教科書を勧める先生がいたことだ。

 

結局、バーローとムーアの物理化学の教科書を上下4冊購入することになるのだが、さらに困ったのは、ご自分の著書を勧めた先生もおられた。ただ、その先生の著書を読んで買うのをやめた。

 

理由は簡単で、バーローとムーアのいいとこどりをしているような教科書だった。バーローとムーアの教科書については、1年生の夏休みの時にすべて読破し、問題も解いていたので、二年生になりこの先生の教科書を購入することをやめた。

 

単身赴任した時に、手元に物理化学の教科書が欲しいと思い本屋に行ったところ、マッカーリとサイモンの著による物理化学の教科書があり購入したが、バーローとムーアの3倍以上の価格がついていた。

 

今時の学生は教科書が高いから大変だと思ったが、昔はカレーライスが150円で食べることができて、バーローの上巻は1800円だったことを思うとマッカーリーとサイモンの著による物理化学は、カレーライス10杯分よりも安い。しかし、今は吉野家の牛丼を基準に考えた方が良いかもしれない。やはり高すぎる。

 

ところでこのマッカーリーとサイモンの著による物理化学の教科書は高いだけあって、厚みはバーローやムーアの本のおよそ1.5倍である。価格も高く、本の厚みも分厚くなって、今時の学生は大変だ、と思った。これでは夏休みに全部読もうなどという気持ちは起きない。

 

さらに、教科書の最初は、熱力学ではなく、量子力学から始まっている。とてもじゃないが、夏休みに寝転がって読めるような本じゃない。しかし、読むと面白い本であり、もし昔物理化学が好きだった人は一読をお勧めする。

 

疑問に思ったのは、なぜ最初に量子力学なのか、という点である。確かに形式知の体系としては正しい。ただ、学ぶ側からすれば、最初に熱力学のほうが、学びやすいのである。今時の教科書は皆そうなのかと思い、5年ほど前に学会でアトキンスの物理化学の教科書(英文)を見つけたので読んでみたが、これは熱力学が最初であった。

 

 

カテゴリー : 一般 高分子

pagetop

2019.05/14 混練温度と経験知

昨日、高分子の融点(Tm)の話を書いた。高分子のTmは、無機材料のそれと異なり、必ずしも結晶の融解温度(Tc)と一致しない。さらにTmとTcが別々に観察される。

 

高分子技術者は、ここで高分子を高分子として感じなければいけない。「感じなければいけない」と書いているのは、未だ高分子の形式知の体系は出来上がっていないので、カンが必要だ、ということを指摘している。

 

カンを否定する人がいるが、技術開発において「カン」は重要である。ヤマカンだろうがドカンだろうが第六感には暗黙知の情報が含まれている。

 

テルマエロマエのように未来へワープしてカンニングできるならば話は別だが、さすがにカンだけでは実際の技術開発は無理で、それに成功するためには形式知を頭に蓄積しておく必要がある。そのうえでカンを働かせよ、ということだ。

 

高分子でTmとTcが一致しない点に気がつくと、Tm以下で混練できるとカンが働く。少なくともTcまで下げても混練できるはずだ、とカンをよく働かせてほしい。

 

ここで実験を行う人とそうでない人でカンが大切な暗黙知の情報提供になるのか、ドカンで終わるのかが分かれる。また、実験を行ったとしても幸不幸もそれが経験知の蓄積につながるかどうかに影響する。

 

不幸な人は実験でトルクオーバーという事態に遭遇しびっくりして、やっぱり無理だとなる。しかし、幸運な人は無事混練することができ、できあがった組成物がTmで混練した生成物よりも良好な結果でにっこりすることになる。そして経験知が一つ増える。

 

GPCを測定しても分子量低下が起きていないので、感動する。粘弾性測定を様々な高分子について行い、この時の経験知がどうしてなのかを間接的に探ってゆくことにより、経験知はさらに汎用知識となってゆく。

 

形式知の体系ができていない知識は現象を直接見ることにより、形式知に近づいてゆく。天才ならば、そこから新たな形式知を創り出すが、凡才ならば高度な経験知として蓄えられる。

 

結果を聞くだけで満足しているのは凡才以下である。耳学問も大切だが、知識をどこかで確認する、あるいは直接現象を眺めてみる、自然の中でそれを確認しようと努力することはさらに大切である。

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/13 高分子の熱変化

高分子材料のプロセシングでは、溶媒に高分子を溶解したりラテックスとして用いたりしない限り、それが流動性を示す状態まで加熱しなければいけない。

 

しかし、高分子が溶ける温度、融点(Tm)についてその現象は無機材料と大きく異なる。無機材料のTmは、結晶の自由エネルギー(G)変化と融体のGの変化との交点に現れる。融解は1次の相転移である。

 

ちなみに、エンタルピーをH、エントロピーをSとすると、     G=H-TS   δG=δH-TδS  となるが、これはエネルギー保存則の自由エネルギーについての定義だが、熱力学第一法則やその周辺の定義式は覚えておいてほしい。

 

なぜ、と深く考えることは重要だが、法則や定義など形式知から考えると時間の短縮になる。それが大人の「なぜ」である。世の中には、完璧な答えの出ていない形式知も存在するが、そこを凡人が考えていても答えを得るまで生きていられるかどうかわからない。

 

ゆえに形式知から考える習慣が大切である。若い時には気持ちが悪かったかもしれないが、残りの寿命が短くなってくると、この形式知のありがたみがひしひしと身に染みてわかってくる。G=H-TSそしてその形式微分などは、配偶者の言動と同様にすべて受け入れる、それが幸せの愛の道である。年を重ねるとよくわかる。

 

ここで高分子の熱運動について結晶状態と融体状態で比較すると、融体状態のSが大きい。このときSは場合の数として捉えると理解しやすい。

 

結晶状態は規則正しくなっていなければいけないことを理解できればdS(結晶)<dS(融体)を形式知まで遡らなくても感覚としてあるいは暗黙知や経験知を活用して理解できる。

 

もし、自由エネルギー変化を温度の関数としてグラフを書いたならば、結晶と融体についてその傾きは-dsとなり両者負で、結晶よりも融体の直線の傾きは大きくなる。ゆえに両者のグラフはどこかで交わることになり、その交点がTmとなる。

 

無機材料では、結晶化の温度(Tc)とTmは一致するが、高分子ではこれが一致しない。そのうえ高分子の種類によりTmとTcには、ずれが生じTc<Tmとなる。

 

例えばPEでは、最大のTc(Tcmax)は、Tmの0.8から0.9倍であるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)では、2Tcmax=Tm+Tgの関係があることが知られている。

 

 

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/12 架橋型PPSで紡糸ができた

PPSにはリニアタイプと架橋タイプがある。後者が最初に開発され、前者は後者の問題解決技術として登場している。架橋タイプのPPSは射出成形は可能だが、フィルムや繊維を製造することができなかった。そこでリニアタイプのPPSが開発されている。

 

リニアタイプのPPSでは、射出成形もできて押出成形も可能で架橋タイプのPPSに比較して圧倒的なアドバンテージがある。ただし、架橋タイプのPPSにも長所があって、低分子量体を製造することが可能で流動性の制御がリニアタイプPPSよりも容易なのだ。

 

今リニアタイプのPPSの需要が伸びているらしい。製造コスト面ではリニアタイプも架橋タイプも変わらないらしいが、東ソーは架橋タイプのPPSだけを生産している。

 

基本特許も切れているのに、なぜリニアタイプのPPSを製造しないのか不思議だが、特許を見てみると独自の事業展開をされている。昨年架橋タイプのPPSを少し分けていただき、信州大学で紡糸の実験を行ってみた。

 

常識通り、架橋タイプのPPSではすぐに糸切れを起こし、紡糸できない。比較に中国製のリニアタイプPPSで紡糸したところ、うまく繊維化できたので、やはり、架橋タイプPPSでは紡糸できないようだ。

 

この紡糸できない原因として、架橋タイプのPPSでは分子量が小さいため、という形式知からの結論がある。この形式知にチャレンジするつもりで、新たに開発したPH01という添加剤を架橋タイプPPSにカオス混合で混錬したコンパウンドを製造し、紡糸実験を行ったところ、見事に紡糸できたのだ。

 

これは、当方の経験知に基づき、この結果を狙ってやった実験だが、信州大学の先生もびっくりされていた。PH01の分子量は紡糸に必要な分子量ではないが、また、PPSも架橋タイプであり分子量は低い。関係する特許出願も終えたので書いてみた。今日は母の日。

 

 

カテゴリー : 高分子

pagetop

2019.05/11 可塑剤

高分子の添加剤に可塑剤と呼ばれるものがある。低分子化合物は効果の大小はあるが皆可塑剤になりうる。可塑剤を高分子に添加すると弾性率が下がることが知られている。

 

また、可塑剤の添加により高分子の融点(Tm)やガラス転移点(Tg)も低下する。一般に可塑剤は、弾性率を低下させたり、耐熱性を低下させたりして悪い作用をする添加剤と考えている人がいる。

 

ただ、可塑剤の添加で加工性が上がるので、こうした物性への影響があったとしても高分子の配合剤として使われている。最近Tmを下げるがTgを下げない添加剤を開発した。

 

この添加剤は面白いことに高分子の結晶化抑制効果もあり、結晶性が高い樹脂で靭性が落ちるのを改善することができる。今PPSについてデータはそろったのだが、面白いのはカオス混合を使用することが前提の添加剤なのだ。

 

このカオス混合が前提という条件からこの添加剤の効果発現機構が見えてくる。すなわち、コンパウンド段階では相溶しており、成形体になると球晶として析出している可能性がある。だからTgに影響を与えない。

カテゴリー : 高分子

pagetop