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2024.03/22 高分子のトラブルを解析したい方へ

当方のノウハウでさらに社会に貢献しようと形式知の部分について学会活動も始めました。経験知につきましては、トラブル解析の実務について概略をまとめてみましたのでご活用ください。今後高分子材料の寿命耐久性評価法や破壊に対する考え方についてもまとめる予定でいます。また、セミナーも皆さんのリクエストにより行ってゆきますのでご相談ください。


2024年3月現在、Amazonの電子書籍Kindle限定で販売中です。

価格は2,000円となっております。
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カテゴリー : 一般 電子出版 電気/電子材料 高分子

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2024.03/21 ゴム・プラスチックのトラブル(破壊)

金属やセラミックスでは非破壊検査が可能なので市場におけるトラブルを防止できる。また、その努力を怠ったときには、それなりのペナルティーを受ける。


いわゆるPLの問題なのだが、破壊に関する形式知の成果として、圧力隔壁の破壊により御巣鷹山で墜落した飛行機事故における裁判がある。


この裁判では金属のフラクトグラフィーが証拠として活用された。すなわち、材料の破壊に関する科学の偉大な成果である。ところが、高分子材料では未だにこのような成果が出ていない。


出ていないというより、未だ出せないのだ。そのあたりの話を来週火曜日に開催される技術情報協会のセミナーで詳しく解悦する。また、デンソーのガソリンポンプのトラブルで発生したホンダのリコール問題についても触れる。


PPS成形体の密度管理を怠ったために発生したリコールだが、実はそれだけではない問題についても解説する。弊社の開発したPh01という添加剤は一つのソリューションだが、来週火曜日(3/26)のセミナーに参加希望の方は弊社へ問い合わせていただきたい。割引券がございます。

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.03/20 データサイエンスの効果的活用方法(7)

日本でマテリアルズインフォマティクスが流行して10年になるが、うまく活用されているだろうか。マテリアルズインフォマティクスと舌を噛みそうな分野名だが、要するにデータサイエンスで材料科学に新たな知を確立しましょうという意味である。


この10年は第3次AIブームでもあり、深層学習の手法花盛りとなったが、必ずしもその手法がベストではないことを御存じだろうか。


もし、現象に潜んでいる機能が単相関でグラフ化できるならば、多変量解析でさらっと問題を解いた方が良い。またデータも少なくて済む。


当方が、科学で否定証明された電気粘性流体の耐久性問題を主成分分析で解いたのは、300個ほどのデータを使っている。一番時間がかかったのはMZ80Kにデータを打ち込む作業だった。


8ビットCPUで300個のデータを多変量解析するのに1時間もかからなかった。これを例えば深層学習で良く用いられるアルゴリズムを使用するならば、その最適化のために1週間はかかったかもしれない。


本日日本化学会の年会で昔開発したホウ酸エステルとリン酸エステルの組み合わせ難燃剤の解析について、今の時代考えられるデータサイエンスの手法3種で行った結果を発表している。


この時、深層学習のアルゴリズム最適化には1日もかからなかった。1週間程度の研究成果をB講演で行っては顰蹙を買うかと思っていたら、それなりに関心を持っておられる方から挨拶を受けて感動しました。


若い時に小生が学会で発表した講演では、必ず部屋が満員になってそれなりに満足していましたが、本日は休日の朝いちばんの影響もあるかもしれないが、まばらでした。それでも丁寧に聴いてくださった方がおられ聴講者の数ではないことを改めて納得しました。


若い時には、ゾルゲル法やセラミックスフィーバーの最先端研究をテーマとしていたのでそれなりに小生の研究に関心が集まっていたと思われる。またセミナーを依頼された時にも40人以上集まるほどの人気者でした。


コニカへ転職後、部下にもこの感動を、と思って学会活動に力を入れようとしましたが、ゴム会社とは異なる風土のため、少し遠慮しました。それでも部下の一人が講演賞を受賞してくれたり、写真学会の招待講演のきっかけを作ってくれたりと、あまり書きますと自慢話になりますのでここまで。

カテゴリー : 一般

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2024.03/19 データサイエンスの効果的活用法(6)

ダッシュポットとバネのモデルシミュレーションから、ゴムを樹脂で補強すると架橋密度とカーボン量の調節では難しい物性を実現できることが分かっていた。しかし、ゴムと樹脂を組み合わせてもTgが大きく異なるので、混練で樹脂をゴムに分散するには工夫が必要となる。


工夫して樹脂をゴムの中にうまく分散できても耐久寿命まで満たした良い物性のゴムとするためには、ゴムに適した樹脂の選択が重要だった。


うまく分散できるゴムに適した樹脂とはどのようなものかはシミュレーションからは出てこない。フローリー・ハギンズ理論から相溶性の良い樹脂がよさそうなことは想像でき、いくつか樹脂の候補を選択することはできる。


しかし、それ以上の情報をえるためには、やってみなければ分からない世界である。この時、科学にこだわれば仮説を立てながら実験を進めることになるのだが、仮説が外れたときのデータは無駄になったりする。


ところが、仮説が外れたデータにも役に立つ情報が隠れている。それは、うまく物性を満たしたデータとダメなデータを主成分分析すると予期せぬ分類がなされた因子として見えてくる。これが、新たな仮説を立てるためのヒントになる。

カテゴリー : 一般

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2024.03/18 進歩か衰退か?

本日から日本化学会春季年会が始まる。当方は20日9:00の発表に備えて、本日は手続きのみで帰宅予定だが、学会の参加手続き等がこれほど面倒になったのか、とため息をついている。


発表申し込みから何もかもがインターネットでできるので便利に感じる。また、予稿集その他もインターネットからダウンロードでき、重たい冊子を持ち歩かなくても良い。


一見良くなったように見えるが、実はこれが不便なのだ。いや、以前より不便になったことに気がついた、と言った方が正しいのかもしれない。


以前は郵便を投函し参加申し込みすれば、参加証も含めすべて郵送されてきたが、この参加証を自分で印刷しなければいけないのだ。


また、事前に参加申し込みをした場合に限るが、当日の会場その他の情報が記された冊子が送られてきて、それを見れば発表当日までの行動について、情報の漏れなど気にする必要は無かった。


今は、それらをインターネットのしかるべきサイトで調べなければいけない。また必要に応じて自分でプリントアウトしなければいけない。便利になったように見えるが、いくつかのサービスが無くなっている。


それを合理化と言ってしまえば聞こえが良いが、実は「不便」になっている。一つ一つは少しの不便だが、学会の参加に関わる個人の処理を見てみると大変不便になっている。


久しぶりに学会発表をやろうと燃えて準備をしてきたが、過去の手続きとの比較でサービスが極端に悪くなっていることに気がついた。


おそらく大学の先生方は毎年手続きをされてきたので、少しずつの変化だったかもしれないが、20年ぶりの手続きでサービスの低下ばかりが気にかかる。


学会のサービスに驚いたついでに、日々の生活について見渡してみると、郵便事情が極端に悪くなっている。昔1日か2日でついた手紙が今は最低3日かからないと都内でも届かない。


子供のころ東京から名古屋までの郵便物は3日かかっていた。それが郵便番号の導入でいつの間にか1日となった。この時は技術の進歩の恩恵を感じたが、最近の郵便事情は何と表現したらよいのだろう。


DXの進展で世の中サービスが進歩しているような錯覚に陥るが、細かく見てみるとサービスが悪くなったり、知らずにいると何もできなくなる社会に向かっているような、そんな錯覚を学会の手続きで味わった。錯覚であってほしいが。

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2024.03/17 データサイエンスの効果的活用法(5)

データサイエンスを用いると大量の数値データに存在する隠れた機能なり因子を見つけることができる。すなわち、データに対して処理を行い、回帰式を求めたりデータの分類を行うことによりそれが可能となる。


多数のデータの中から因子を見出す方法としてマハラノビスのタグチメソッドが有名であるが、因子に優先順位をつけて整理したい時には、主成分分析が便利である。


研究所で集められたデータは、ある仮説に応じて実験が組まれ、その結果得られたものである。そのような、データ群に対してもデータサイエンスは有効であり、仮説に隠れていた因子を見出してくれる。


新入社員のスタートをゴム会社の研究所で研究員スタッフとして配属された。初めての指導社員は優秀なレオロジストで、ダッシュポットとバネのモデルを使ったシミュレーションにより新しい防振ゴム用のゴムを設計し、その実際の配合を行うのが小生の仕事となった。


シミュレーションデータから防振ゴム用のゴムのあるべき姿が描かれた。それを実現するために従来技術であるカーボン量と架橋密度のコントロールが行われるが、この方法では限界があるので、樹脂とゴムのポリマーアロイを開発するのがテーマの目標だった。


しかし、樹脂とゴムをただブレンドしただけで、いつでもあるべき姿を実現できる配合とはならなかった。そもそもTgが大きく異なる樹脂とゴムを均一に混練するスキルが必要だった。


スキル向上のため混練を繰り返すことになる。同じ配合だけ練っていてはもったいないから、様々な樹脂との混練を繰り返した。データが多数集まった。


このデータの中には、スキルに関する因子以外に樹脂の種類やその他の因子が含まれている。ばらつきも含め、ただデータ群だけを分類するならば、判別分析やマハラノビスの距離を求めることになる。


しかし、全体の変動に大きく寄与している因子を探すならば主成分分析となる。混練の練習を2週間しただけで、樹脂補強ゴムの特性やその設計因子がデータサイエンスにより見出された。

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2024.03/16 データサイエンスの効果的活用法(4)

現象を眺め、そこから新しい機能を取り出したい、あるいはそこに関わる未知の因子を見つけたい時には、現象から得られたデータについて回帰と分類ができれば目標を達成できる。


そのために、重回帰分析と主成分分析を学ぶのである。回帰と分類であれば、機械学習という説明をしているデータサイエンスの教科書もあるが、それは偏り過ぎである。


このあたりの考え方について実例をもとに来週の日本化学会春季年会で発表する。多くの現象から機能を取り出したいときに線形一次で機能する現象以外を取り出しても使いにくい。タグチメソッドでも線形一次の現象を暗黙に前提にしている。


それでも要因効果図には不思議なグラフが現れたりするので、自然現象を把握し解明することは難しい。難しいので、それを解けるようにモデル化する考え方が大切になってくる。


このモデル化は仮説立案作業とは同義ではない。自由に現象を捉え、みたままをモデル化するのである。キャンパスに向かう画家は、いつも自由であるので名作の鑑賞はこの訓練となる。

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2024.03/15 データサイエンスの効果的活用法(3)

重回帰分析と主成分分析を理解するだけで、日々の仕事のやり方が変わる、というよりも、科学の視点だけでなく技術の視点で現象を眺めることができるようになる。


大量のデータを処理する目的として、回帰あるいは分類の2種類が考えられる。分類では、分類されたものを均等に扱う方法から、好ましい順に分類する方法があり、技術開発では好ましい因子を見出したい場合が多いので、分散の大きい順に分類を行う主成分分析がよく用いられる。


回帰では、多数の説明変数を用いて目的変数を説明する重回帰分析が用いられ、各説明変数が一次従属であることが強く求められる時には、段階式重回帰分析を使用する。しかし、技術開発では、その技術に必要とされる説明変数を採用したいので、説明変数間の相関係数を見ながら技術者が選ぶ方法が良い。


50年近く前は、多変量解析ぐらいしかなかったが、今ならば深層学習により回帰や分類のプログラムを容易に開発することができ、この方法が流行している。ただし、現象を一次回帰で説明できるならば、多変量解析の方が早く結論を出せる。


Pythonでプログラミングすれば重回帰分析の場合に数行でプログラミングできるだけでなく、弊社のサイトを使えば、エクセルのデータ表を貼り付けるだけで答えを出せる。


とにかく、こうしたデータサイエンスの手法を自由に使えれば、時々この欄に書いている、電気粘性流体の耐久性問題を完璧な否定証明するような、科学一色で染まった偏りのある頭脳とは異なるアイデアを出すことができるようになる。


すなわち、仮説ではなく、データ駆動で現象を眺めようとする習慣が身につく。これが大切である。仮説を立てる習慣は、小学校からの教育で身についているが、データを中心に考える習慣は、意外にもできない人がいる。


これは科学の弊害だと思っている。データを現象の鏡として見るのではなく、自分の仮説の視点だけで見ようとする人がいる。そして、仮説に合わなければ(注)データに屁理屈をつけて否定証明に持ち込む。STAP細胞の事件でも明らかとなったように、このような科学に毒された人は多い。


(注)実験の失敗から思いがけない発見をする経験を重ねると、仮説に合わない実験データも重要であることに気がつく。この実験の失敗による発見の逸話をどのように人生の学びとするかは、研究者により異なる。弟子のアチソンがSiCを偶然合成できた実験を成果としただけでなく、その製造法にアチソン法と名付けたエジソンの偉大さは、今更説明する必要はないだろう。最近の話では、白川先生のポリアセチレンやヤマナカファクターとして名前が残った山中先生の実験の逸話がある。仮説に合わなければ、残業させてでも仮説に合う実験データを求める姿勢が美化される研究所は、今更コメントしないが、このような研究所のゴム会社でもタイヤ開発部隊は研究所と異なる現物現場主義であるところが面白い。世界一のタイヤ技術の会社になれた所以だろう。研究所は世界初のLi二次電池の実用化を行ってもノーベル賞を取れていない。電気粘性流体も世界初の実用的な防振システムやアクティブサスの開発を行っても事業の継続ができていない。当方が0から企画し住友金属工業とのJVとして立ち上げた高純度SiC半導体治工具事業は、30年近くゴム会社で事業が行われ現在は愛知県のセラミックス企業で継承されている。いずれのテーマにも当方は関わっているが、0から企画し事業を立ち上げるまで関わった高純度SiCの技術だけ、今でも事業として残っている。なぜこの事業がこれほど成功したのかは問い合わせていただきたい。事業として成功する必然があった。当方も事業として成功させるためにFD事件の早期収束のため被害者でありながら転職の道を選んでいる。転職後も当方は技術サポートのため1年近く研究所へ定期的に通っていた。このあたりの状況は一部関係者の手紙が残っているのでいつか公開したいと考えている。事業というものは誠実真摯に遂行しなければ成功しないのである。

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2024.03/14 風俗の問題

風俗とは、ある時代や社会、ある地域や階層に特徴的にみられる、衣食住など日常生活のしきたりや習わし、風習のことを意味するが、特殊な接待を伴う飲食業に対しても使われたりする。


自民党青年局の近畿ブロックの会議後の懇親会の内容が問題とされ、自民党の3人の女性閣僚が語ったコメントが昨日のニュースとなっていた。


3人とも厳しい意見が飛び出すかと思っていたら、高市議員は、服装に関して一定の理解ある見解を述べていた。2人の女性議員よりも、まともな感覚だと感じた。しかし、一番の問題はそこではないのである。


仮にダンサーを呼んでいなかったとしても、口移しのチップなどの行為があればアウトという視点が重要である。昭和の時代でも、官僚のノーパンしゃぶしゃぶが事件になっている。


そもそも、公僕の懇親会だから堅実に行おうという発想は無かったのだろうか。何かの会議が行われ、その労をねぎらうために懇親会に「風俗」を持ち込むのは、昭和の時代の発想である。


セラミックフィーバーの時に、ある装置メーカーのセミナーに初めて参加したところ、懇親会があった。そのとき、会場にはコンパニオンが参加者2名に対して1名の割合でいたのでびっくりした。


そもそも、名刺交換してわかったのだが、セミナーの参加者は管理職以上で30前後の若僧は小生一人だった。セラミックスフィーバーの時代に、この類の無料セミナーが多数開催されていた。


平成以降は2次会で令和には3次回以降趣味の人たちで、と時代が変わった、という見解をどこかで読んだが、バブル崩壊後そもそも懇親会そのもが地味になっていった。


昨年、久しぶりに参加しようとしたある学会の研究会が、風俗で有名な三大温泉の一つで行われるというので、参加を取りやめている。公職にあるかたもそのくらいの判断をしていただきたい。


今回の問題は、公的な会議の懇親会では、懇親会と言ってもそれなりの品位を保ったものを企画する必要がある、という判断ができなかった点にある。そこが一番問題だったような気がする。

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2024.03/13 データサイエンスの効果的活用方法(2)

優秀なA君の一声で英文のマニュアルを前に当方が紀伊国屋書店へ走った話は、以前この欄に書いてあるので、技術データの集約に主成分分析と重回帰分析が使えそうだ、という結論を出した理由を公開する。


多変量解析には様々な手法があるが、日々の開発業務に多変量解析を導入したいと思ったなら、主成分分析と重回帰分析をマスターしておくと良い。難しくない。


その他の手法も実務に使えるが、ほとんどはこの二つの手法で問題解決できる。あとは、マハラノビスのタグチメソッドでも勉強すればよい。判別分析の代わりに使える。


このような観点から、弊社のサイトで主成分分析と重回帰分析のプログラムを公開しているので活用していただきたい。無料開放している理由は、Pythonを使えば数行でプログラミングできるソフトウェアーだからである。


但し、弊社のサイトの手法では、IBM3033の統計パッケージの計算方法に合わせてある。実は行列演算のアルゴリズムの違いで固有値の値が少し変わる。大勢に影響はないが、MZ80Kを買うまでお世話になったIBM3033(注)に敬意を払ってそのアルゴリズムを真似ている。


ただし、弊社のサイトのプログラムはJAVAスクリプトで作成している。だからIBM3033と同じプログラムではない。同じプログラムではないが、学位論文を書くときに用いたデータを使って、計算結果が同じになるのか検証している。


(注)配属された研究所では、仮説に基づく実験が強制された。誰でも仮説を立案できるわけではない、という思想があり、仮説立案能力が研究者として必須の能力とまで言われる管理職もいた。さらに高卒がダメなのはその能力が無い、という誤解もあった。義務教育では数学や理科でその方法を学んでいる。このような風土だったので、実験データは仮説に基づき集められていた。

しかし、実験データというものにはばらつきがつきもので、そのばらつきの中には、仮説立案の時に気がつかなかった情報が入っていることがある。それは、未知の機能であったり、仮説に反する現象を引き起こす因子であったり、有象無象の情報である。仮説に基づく実験結果をただグラフ化して満足しているのは二流以下の研究者である。

入社した時には某大学の教授になられていた方の逸話が残っていた。その部長は、自説に合わないデータを受け付けなかったという。ある担当者の話では、理論曲線から外れた実験データをグラフに書き入れていたら、その点が理論曲線に合うまで残業で実験をさせられたという。この部長に指導される学生は不幸だと思った。

STAP細胞の事件で不思議に思うのは、STAP細胞の再現をできなかった話はニュースとなったが、実験の中で観察された現象について詳細なコメントが公開されていない。自殺された方が、STAP現象というものが観察された談話をインタビューで述べておられたが、その詳細は語られなかった。これからの科学をささえてゆく若い人は、この事件について検証した方が良い。特に科学ライターを目指される方には否定証明なるもののいい題材である。仮説により集められた実験データには、現象に潜む仮説以外の機能なり因子なり未知の知識も隠されている。

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