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2024.05/23 人材育成の難しさ

中日根尾選手が二軍落ちしたところ、その育成方法に批判が出ている。本来はショートとして育成予定だったところ、ピッチャーもできるということで二刀流をやりたいと本人が言った、という記事やショートをやりたいとドラフトの時に主張した、とかいろいろ出ている。


どの記事が正しいのか知らないが、大谷選手のような活躍は、根尾選手にできないと思う。素人が見ても、前回のピッチングはプロの選手に見えなかった。なぜコーチは投げさせたのだろうか。


野球評論家ではないのでこれ以上書かないが、もし、本人に納得させるための登板だったとしたら無茶苦茶である。おそらくそうではないだろうと思うが、そのような記事もあるから大変だ。


どの記事が正しいのか知らないが、共通しているのは、最初に述べたように新人育成の問題である。これはプロ野球でなくても難しい問題であるが、本人の気づきをうまく導くことが最初だろうと思う。


このとき、調子のよい時に気づきを導けると一番好ましいが、調子のよい時にはなかなか他人のアドバイスを聞けないものである。そこで失敗した時とか調子の悪い時にコーチングとなるのだが、このコーチングが意外と難しいことに気づいていない指導者が多い。


これまでの根尾に関する記事を読んでみると、清宮選手とかすでに引退したハンカチ王子のように人の意見を無視する選手ではなさそうなので、是非ここは二軍で調子のよい時に本人にどのような選手を目指すのか気づきをうまくさせてほしい。


若い選手が、指導力不足でダメになってゆくのを見ているのは野球ファンとして辛い。ゆえに、百家争鳴のようになるのだろう。立浪監督は外部からコーチングの達人を招聘した方が良い。


清宮選手についてネット情報を見る限り、ハンカチ王子と同じ運命となる可能性が高いが、根尾選手は良いコーチングを行えば、恐らく大化けする選手かも知れない。


カテゴリー : 一般

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2024.05/22 EV車普及の失速

今更取り上げる必要はない話題だが、テスラの株価下落はじめ様々な関連事象が報じられるようになった。面白いのはコロナ禍の時にトヨタの全方位戦略が批判され、株価にも影響が出たにも関わらず、ここにきてトヨタの全方位戦略が見直され、株価が上がり始めた。


当方は高分子の環境問題セミナーやCASEのセミナーで、トヨタとホンダの全く異なる戦略、すなわちホンダは、時代背景からエンジンを捨てて極端なEVシフト戦略を打ち出しているが、トヨタはエンジンを残す、すなわちHVに注力する戦略を解説し、時流に逆らうトヨタに軍配が上がると主張してきた。


そして、日産のe-powerのコストダウンが進み、日産が国内で2位に浮上するという予測シナリオを講義している。実は自動車の開発戦略として、今日産が極めて効率の良いビジネス展開を世界で行っている。


先日部品会社に無理なCDを強いる問題が報じられたが、そのようなことをしなくても国内市場に関しては、トヨタやホンダよりも利益率の高いビジネスを展開できているはずである。


かつての日産の自動車ラインアップに対して現在の品ぞろえはマツダと比較しても寂しいが、これは国内だけで、今や日産はグローバルカンパニーなので世界市場におけるラインアップを評価する必要がある。


日産と言えばリーフやアリアがEV車として知られているが、国内において軽のジャンルのサクラが好調で、世界でEV車販売の失速が伝えられる中、日産のEV車に関しては順調である。リーフがモデルチェンジ前で売り上げが落ちているが、国内で新車が出れば持ち直すはずである。


すなわち、EV車の販売がここにきて伸び悩むどころか急ブレーキがかかっているのは一時的であり、5年後には、またEV車の販売量は増加に転じると思われる。その時のEV車は今よりも進化し、家電量販店までもが扱っている時代になっているかもしれない。すでにヤマダ電機がEV車の販売を発表したがーーー

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.05/21 高分子材料の難燃化技術開発

高分子材料を難燃化する時に問題となるのは、難燃剤の添加により、他の力学物性が低下することである。この問題をどのように克服したらよいのか。


力学物性と難燃剤の添加量との関係をグラフ化すると力学物性が低下するが、その時に線形性をもって低下する場合とそうでない場合がある。


少量の添加で1割以上急激に低下後緩やかな減少を示すグラフとなる場合が多いのではないか。これが難燃化しようとするプラスチックの可塑剤としても用いられている難燃剤であると、少量の添加で急激な低下ではなく緩やかな低下となる。


この二つのグラフが得られると、力学物性の低下を最小限にしてプラスチックを難燃化するアイデアへとつながる。すなわち難燃剤を組み合わせて用いるアイデアである。


もし難燃化しようとしているプラスチックに芳香環を持った化合物が分散しやすいならば、芳香環を有するポリマーとブレンドして難燃剤を添加するアイデアを思いつくが、これが意外と期待された結果とならない場合がある。


期待された結果とならないが、何となくよさそうな結果が出たりすると大変である。それなりの考え方をもって検討しないと開発の無限ループに落ちる。


特許を調べていただければわかるが、プラスチックを難燃化しようとしたときに考えられるアイデアについては、ほとんど公開されている。


そしてよさそうな特許の実施例を実験してみて、大した結果とならないことがあるとペテントとして処理したりするが、ちょっと待った!である。特許出願にもお金がかかるのでインチキ特許とは限らない。隠れたノウハウが存在する可能性がある。


難燃剤と力学物性の問題に限らず、二律背反問題では、科学的なアプローチが誤った判断へと導くことがある。それを防ぐためには、タグチメソッドは一つの良い方法であるが、この手法は科学と非科学の境界に位置する手法である。


なぜなら、あるシステムで成立した条件が他のシステムでは成立しないことがあるからで、故田口先生は、「システム選択は技術者の責任」と言われていた。


最初に問いを投げかけた一つの答えは、タグチメソッドで開発を行う、であるが、それ以外にもデータサイエンスによる様々な手法を使って最適化する、という考え方もある。詳細は弊社へお問い合わせください。

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.05/20 高分子の劣化

高分子成形体のトラブルで劣化は厄介な問題である。なぜなら金属やセラミックスのように破壊力学の形式知が整っていないからである。


今でも1-2件時代遅れの研究発表として、劣化と結び付けた高分子の酸化分解の研究がある。自動酸化という現象があるので、高分子の劣化が酸化分解で進行する、という説明は分かり易い。


しかし、500年以上前のゴムの塊について表面付近のゴムは酸化分解して低分子量化していたが、内部はそれほどの酸化が進んでいなかった事実を知ると、酸化劣化という現象を溶媒中で実験することにいくつか疑問が出てくる。


30年以上前にポリウレタンの加水分解が大問題とされたことがある。ポリウレタンの劣化現象は即座に解析され、対策の効果もすぐに現れたが、他のプラスチックについて未だに劣化現象の理解が進んでいない。


古いところでは、井上靖の「氷壁」を是非読んでいただきたい。これが高分子の劣化とどのように結びつくのか、一読していただければご理解いただけるが、これは作品が発表される1年前に起きた事件、実話をモチーフにしている。


すなわち、ナイロンザイルが結晶化して脆くなり切断し遭難した、あの事件である。当方が生まれて間もないころに起きた事件だが、その後何度も映画化されTVドラマも作られた。


滑落して死亡する小坂はその時代の二枚目が、魚津はニヒルなあるいは個性派の俳優によって演じられる形が定番となったドラマだが、ドラマ以上に実話はどろどろと展開している。


東洋レーヨンのナイロンを東京製綱がロープにした製品で事件が起きたのだが、安全基準ができるまでに20年以上かかっている。その間に20人以上もの登山者が安全基準のないナイロンザイルの犠牲になった。


次週火曜日に大阪で高分子の破壊と寿命予測に関する日刊工業新聞主催のセミナーでこのあたりの話も少し致します。最近の話題ではホンダのリコール問題を取り上げます。ご興味のあるかたはお問い合わせください。


上記セミナー詳細はこちら

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.05/19 新たな価値を生み出す方法

バブル崩壊後30年日本のGDPは上がらず、高齢者社会に突入した。70歳定年論まで出てきたが、1970年以前は55歳が定年年齢だった。


ここで日本人に少し考えていただきたいのは、70歳まで定年を伸ばす必要があるのかどうかである。むしろ55歳定年制に戻した方が良い、と考えている。


55歳になったら自由契約とし、定年延長などしない。人手不足だから心配する必要はない。55歳ならば採用を希望する企業はたくさんある。そして、55歳以上で採用した企業はその人材の定年を設けないルールにすればよいのだ。


政府は異業種から採用された人に補助金を出せば、同じ会社で55歳以上勤務するよりも他の会社へ異動する人が増えると思う。55歳以上で改めて組織で働きたいならば、覚悟も異なるだろう。


人材には創造的な仕事ができる人とそうでない人がいる。そうでない人が圧倒的に多いのでGDPが上がらないのだ。特許を調べていただければわかることだが、弊社は創造的な成果を出すことを得意とする。


今まで「50円のコーラを1000円で売る方法」などという本がもてはやされる時代だったので、創造的な仕事を真剣に考えない人が多かった。


「50円のコーラ」はどうみても50円である。当方は1000円で売られているコーラなど買わない。やはり、本当の価値を生み出すことを社会は考えなければいけない。


その時に55歳以上の人材は役立つ。創造性の必要な仕事に年寄りはダメだ、という人がいる。それはマネジメントが下手な人である。55歳以上の人材にも若い人と同じ割合で、創造性のある仕事ができる人がいるのだ。


これ以上は書かないが、とにかく社会システムとして55歳になったらもう一度働く内容を考える工夫が必要で、高齢者でも創造力のある人材を集めて新事業を企画させるような企業が出てきても良いように思う。


高齢者にどのようにマネジメントして創造力のある仕事で成果を出すのか、ご興味がございましたら弊社へお問い合わせください。

カテゴリー : 一般

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2024.05/18 融体

PPSの押出成形で気になっていたことがある。当方以外にも気にしていた人がいたが、こんなものでしょう、という会話で終わっていた。順調に成形技術が完成していたのでラインを触りたくなかった。


あれから20年近く経った。中国でPPSコンパウンドの開発を指導したりして、この時と関係するような現象を見てきた。レオロジーの測定装置を販売している会社にお願いして一日機械を借りて実験した。


楽しかった。想像していた結果となったのだ。それから10年経った。以下は想像の話で、妄想程度にご一読いただければと思う。


まず、PPSの押出成形において金型と押出機の中間ネックの温度安定性が悪かった問題。規則正しい揺らぎならばPID制御の影響だが、最大10℃前後の範囲で変化している温度の揺らぎとヒーターで加熱しているのに設定温度よりも5℃低い状態が続いたり、と気持ちの悪い変化だった。


このような変化があったにもかかわらず、押出成形は安定だった。この時の変化は、PPSの球晶がラメラに崩れ、その崩れたラメラが溶融していた時の変化ではなかったろうか、と想像している。


DSCの計測結果では、Tm付近でブロードに吸熱ピークが現れる。この時のピークトップを樹脂のTmとしているが、実は完全に融解した状態ではない。5月28日大阪で開催される日刊工業新聞社主催のセミナーではデータとともにご説明いたします。


セミナー詳細はこちら

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.05/17 トランスサイエンス時代の技術開発

日本でセラミックスフィーバーが吹き荒れた1980年代に、アメリカではトランスサイエンスという言葉が生まれている。ところがバブル期の日本では、これがうまく伝わらず、セレンディピティーという言葉だけ広がった。


セレンディピティーは犬も歩けば棒にあたる的意味だ、と科学的な視点の技術開発で遅れていたセラミックス分野の技術開発を揶揄するような意味で受け取られた。


アメリカで問題とした点は、「科学で問うことができても、科学で解けない問題」が増えてきたことに対する警鐘である。ところが日本ではこの重要な意味がうまく伝わらず、ようやく最近話題になり始めた。


弊社では創業時よりこの問題に取り組んできた。例えば5月28日に開催される日刊工業新聞社主催のセミナー( https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/7148 )では、経験知による対応でどこまで問題解決できるのか、解説している。


単なる高分子材料に関するセミナーではないのだ。トランスサイエンスの問題をどのように解決したらよいのか、という問題解決法の視点でセミナーを構成している。


弊社が提供するセミナーは、皆このような視点で、アカデミアの先生が行う形式知のセミナーと大きく異なるトランスサイエンス時代のセミナーである。

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2024.05/16 「虎に翼」に描かれた恋愛観

火曜日に放送された朝ドラ「虎に翼」のデートシーンでは、かっこいい男が描かれていた。彼には理想とする女性像があり、彼女には高い志があった。


彼氏が、その志を認め、彼女の志実現に向けて理解ある結婚生活を実現できる自信があれば、恐らくプロポーズしただろう。そして、振られたかもしれない。


彼女は、もし、プロポーズされて、自分の志まで受け入れられたらどうしよう、という戸惑いがあった。しかし、彼女は男に負担をかけてまでも結婚したいという気持ちは無かった。


およそ結婚がゴールとならない男女のデートは、いかなる形が良いのか。それを描いていたのが火曜日の食事シーンだった。


無機材料の結晶化は、揺らぎの中から始まり、その開始点となる核を観察することはできない。そして、まず結晶化しうる多数の核を生成する段階が律速となり、結晶成長する現象についてアブラミ則で解析可能である。


ただし、無機材料の結晶化反応速度論には、多数の速度式が提案され、アブラミ則はその一つに過ぎない。花岡は、女性の細やかな配慮にも気がつく一握りの男であり、寅子が志を捨ててその胸に飛び込んでも幸せになれたかもしれない。


しかし、「虎に翼」はそのような安っぽい恋愛物語を描かなかった。高分子の結晶化速度式が、アブラミ則一色であることに不満を感じる。


球晶の成長が成形体の寿命に影響を与える、このような話を5月28日に日刊工業新聞主催の対面セミナーで行います。高分子の破壊と寿命について関心のあるかたはお問い合わせください。花岡と寅子の破局は、今週新たな展開になります。

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2024.05/15 不均一構造の高分子成形体

セラミックスから高分子材料までありとあらゆる材料の研究経験があると、高分子材料の専門家の問題が気になってくる。


高分子成形体は、未だに形式知で議論していると誤った判断や誤った仮説を設定したりする。大学の先生の中にもそのような間違いをされる方がいるので困る。


分からないことがあれば、弊社に相談していただきたい。間違いで多いのは、高分子成形体の均一性に関する問題である。例えば成形体の力学物性には、それがばらつきとなって現れる。


セラミックス成形体の力学物性もばらつきが大きく、プロセス条件によりそのばらつきの大きさもバラつくので厄介である。


CIPやHIPの効果をワイブル統計で論じた研究が1980年代たくさん発表されている。ゆえにセラミックス成形体の強度ばらつきは、成形プロセスを制御すると改善できることが知られ、主原因が欠陥であることまで科学的に明らかになっている。


しかし、高分子材料の成形体強度についてこのような研究が少ないのだ。最近再生材の強度に関する間違った仮説の論文が発表された。明らかに誤っているのだが、まことしやかな仮説を展開している。


5月28日に日刊工業新聞主催のセミナーが大阪で開催される。そこでこの間違いを解説する。久しぶりの高分子のトラブル対策と寿命に関する対面セミナーであり、日々の質問もその場で回答します。お問い合わせください。

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2024.05/14 開発無限ループ(1)

研究開発を進めていると、二律背反問題で無限ループに陥る場合がある。例えば、導電性微粒子を用いて高靭性の高分子導電体もしくは半導体を設計しようとするときである。


高分子に導電性粒子を添加すると抵抗は下がるのだが、目標となる導電性を得るために粒子の添加量を増加すると脆い材料となる。


パーコレーション転移に注意しながら、繊維状の粒子に代えたりとかいろいろ苦労して開発に成功すればよいが、粒子にこだわっていると、いつまでたっても導電性と脆さの設計値を満たす材料にたどり着けない。


すると、無限ループに陥るのだが、担当している本人は、もう少しでたどり着けそうなデータが出たりするので、いずれ成功すると信じている。


PPS/6ナイロン/カーボンの配合で設計された半導体無端ベルトの開発では、6年間開発が進められ、半年後にようやく製品化にたどり着いたから、前任者から交代してほしいと言われた。


おそらく前任者は半年後に製品化は無理だと思って依頼しに来たのだろうが、一流コンパウンドメーカーと6年間開発してきたのでうまくゆく、と気楽に説明していた。


本当にうまくゆくならば自分で最後まで担当すればよいのだが、本音では難しいと思っていたのだろう。話を聞くだけ、と応えていたら、リーダーを交代してほしい、と何度も懇願してきた。


6年間の開発で蓄積されたデータを解析したところ、3パターンで技術的には同じことを繰り返し、無駄な開発を進めていたのだが、一流コンパウンドメーカーも含め誰も気がついていなかった。


このような開発は何度も見てきたので、自分でコンパウンド工場を立ち上げ、半年後にはそこで生産されたコンパウンドで半導体無端ベルトの生産を開始している。その時に用いた技術は、6年間の開発で検討されてこなかった、全く異なる芸術的なコンセプトだった。

(注)科学的に開発を進めると無限ループに陥ることがある。このことにすぐ気がつくかどうかが重要である。なんでも科学で明らかになっている、と盲信すると、無限ループから抜け出せない。高分子材料では科学で不明確なことが多いと悟ることが重要である。経験知の体系を作成してみると理解できる。

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