フィラーを高分子に分散するときには必ずマトリックスとなる高分子とフィラーとの間に相互作用が働く。フィラーのサイズが小さかったり静電気を帯びやすかったりしたなら、フィラーどおしの相互作用も問題になる。
このような相互作用を考えて科学的にこの問題を解こうとすると複雑になり難しい問題となる。科学の世界では、真理をわかりやすく導くために、しばしば現象を簡単にして議論が見えるようにする。
これをモデル化と言ったりしているが、パーコレーションの数学的取り扱いでは、最初に一切の相互作用を無視して統計的にパーコレーションが生じるモデルで議論している。そして今ではn次元のモデルまでパーコレーション転移の閾値が計算されている。
科学の世界は楽しく、何に活用できるのか分からないn次元までパーコレーションという現象が解明されているのだ。そしてモデルにより閾値が微妙に変わることまで確認されている。
すなわち、フィラーと高分子材料との間にまったく相互作用が無い、と仮定してもその閾値は、現象のモデル化すなわち現象のとらえ方で変化するのがパーコレーション転移である、と正しく理解していることは重要である。
具体的な知識として、導電性微粒子が真球でマトリックスとの間で相互作用がないと仮定したときに、体積分率で30vol%から60vol%の間で、閾値はばらつくということである。微粒子に異方性が出てくれば、それが20vol%あるいは10vol%さらにはそれ以下になる場合がある。
導電性のカーボンを高分子に分散して10の9乗Ω前後の体積固有抵抗で安定に作るという技術は、配合やプロセシングで工夫しなければ不可能に近いことだと容易に想像がつく。またもしこれがうまくいっているのなら、それは運がよかったということになる。
PPSと6ナイロン、カーボンという配合を変更せずにそのような体積固有抵抗で安定な無端ベルトを半年で完成してください、という要求は、パーコレーションという現象を正しく理解しているなら神頼みと同じことなのだ。引き受けた当方もプロセシングに一縷の望みをかけてサラリーマン最後の仕事としておみくじを引くつもりだった。
それがカオス混合技術という大吉のおみくじを引くことになっただけのことだ。ここまでは運がよかったが、退職日を2011年3月11日に決めたことは運が悪かった。当方のために用意された最終講演会も送別会も吹っ飛び帰宅難民になった。
現在パーコレーション転移シミュレーションプログラムを作りながら学ぶPython入門セミナーの受講者を募集中です。
PRセミナーについてはこちら【無料】
本セミナーについてはこちら【有料】
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
フィラーを高分子材料に分散しようとすると、フィラーと高分子材料との間には必ず何らかの相互作用が働き、思うような高次構造を実現出来ない、というのが材料屋の悩みで古くから混合則が議論されてきた。
混合則では、例えば導電体を高分子材料に分散して抵抗を制御しようとする問題において、その抵抗変化の関係がR=n1xR1+n2xR2(直列接続)と書き表されるのか、1/R=(n1/R1)+(n2/R2)(並列接続)と書き表されるのか、といった議論となる。
すなわちフィラーが直列接続的に高分子材料に分散しているのか並列接続的に分散しているのか、という議論である。そのままこの議論を聞いていると科学的な議論に聞こえる。
電子顕微鏡など直接高次構造を見ることが可能となってもこのような議論がなされており、さらに、フィラーの分散状態について混合則の式を改良してより近似式として「自分の実験データ」をうまく説明できる式が幾つか提案される始末である。
この混合則の議論について歴史的に調べたなら、科学が重箱の隅をつつき始めたときにどうなるかが見えてくるのではないかとさえ思いたくなるぐらい幾つかの近似式が過去に提案されている。
複合材料の世界では、混合則による議論が30年以上続けられており、それをまじめに扱った学位論文を読んだときには、思わず吹き出してしまった。重回帰式で式を求めるだけの仕事で学位が取れた時代がこの半世紀の間にもあったのだ。
現在パーコレーション転移シミュレーションプログラムを作りながら学ぶPython入門セミナーの受講者を募集中です。
PRセミナーについてはこちら【無料】
本セミナーについてはこちら【有料】
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
ポリカーボネートなどの光学的に透明な樹脂へポリアクリロニトリル樹脂球やシリコーン球を2-3%添加してLED電球に用いられる光散乱樹脂(電球の白く光っている部分)を製造する。20年以上まえに特許は公開されており、誰でもこの材料を製造することが可能である。
しかし、難燃性の光散乱樹脂となると、まだ生きている特許が多数あるのでどこでも製造できるわけではない。光散乱樹脂の難燃化で難しいのは、難燃剤の添加により光透過性が悪くなることである。ゆえに用いる難燃剤に制約があり、特許もその点に着眼した発明となる。
難燃性光散乱樹脂の技術開発は、まだ科学的に技術開発可能だが、熱伝導性光散乱樹脂になってくると、科学的にその達成手段が難しくなる。
なぜなら、熱伝導性を実現するためには、熱伝導性粒子をパーコレーション転移が起きるぐらい添加しなければいけない。すなわち微粒子を20vol%前後は添加しなければならず、そこまで微粒子を添加すると樹脂の光透過性は無くなり、光散乱樹脂の機能は消失する。
熱伝導性と光散乱性を同時に樹脂に賦与する方法は、公知の情報から科学的に導き出すことは不可能で、技術の問題として扱い初めて解くことができる。すなわち、この二律背反問題は技術で解決する。一度技術で解決できると、その解明を科学で行うことが可能となる。
このあたりの手順はiPS細胞と似ている。科学でまともに扱うと生きている間にヤマナカファクターは見つからないと思われたので、非科学的方法で見出し、その後科学的にその機構を解析し応用技術の開発を研究者は盛んに進めている。
当方も非科学的方法で熱伝導性光散乱樹脂をあっと驚くタメゴロ―方式で作ってみた。そこそこのモノが出来上がったが、まだ完璧ではない。それでも一応光散乱性能と光透過性があり、さわるとひんやりと感じる程度の熱伝導性がある。まだ改良の余地があるのでその努力をしているが、従来の技術と全く異なるコンセプトで機能を実現している。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
昨日音工房Zで開催されたスピーカーの視聴会に参加した。視聴したスピーカーはZ1000-108sol(以下Z1000)とZ800-FW168HR(以下Z800)の2機種で、前者は完成品として後者はキット販売されている、いずれも20万円前後のスピーカーである。結論を書けば、「驚いた」の一言で、この会社のホームページに書かれているスピーカー評価は嘘ではないようだ。
音工房Z(http://otokoubouz.com/)という会社の詳細についてはそのホームページを見ていただきたいが、オーディオマニア向けスピーカー自作をサポートしている会社だ。その昔、当方が学生の頃オーディオブームがあった。そのブームを支えていたのは、高度経済成長で毎年給料が上がっていた団塊の世代である。今その団塊の世代がリタイアし、潤沢な退職金と豊富な時間を手に入れている。
当方が会社設立時に音工房Zという会社を知ったのだが、必ずヒットする事業だと感じた。しかし、届くメルマガとホームページの内容はやや胡散臭く、一部のマニアには支持されるかもしれないが、多くの団塊の世代の心を捉えるには程遠い表現である。一度ご覧になっていただくとわかるが、自画自賛の内容が多い。また、誤字脱字や怪しい表現も散見し、せっかくの実験結果公開もどれだけの人が参考にしているのか疑問を持ってしまう。
しかし、100聞は一見にしかず、だった。やや誇張な表現も多いが、ホームページ書かれているスピーカー評価が正しいと感じた。当方の年齢を考えると高域がどうのこうのと言われても聞こえていないので関係ない、と思っていたが、その聞こえていないはずの高域を感じることができたのだ。特にZ800の音の輪郭表現はすごい。すごすぎてその辺のホールで聴くコンサートの生音とは別次元の音である。むしろ録音状態のそのままを聴いているのでは、と思いたくなる音だった。市販のスピーカーでは聴けない音である。
それに対しZ1000は、音の定位感や音の響きが自然でロンカーターの「ザ・マン・ウィズ・ザ・ベース」を気持ちよく感じることができた。JBLの100万円ほどのスピーカーと比べてもこちらの方が自然の音に近いという点で好みの音である。JBLの大口径のウーファーから出てくる低音はすごいが、Z1000の自然な響きを聴いてしまうと、どちらのスピーカーがよいのか迷う。
ただしZ1000の驚くべき特徴は、10cm前後の小口径のスピーカー一発でJBLに負けない低音を出している点だ。自作スピーカーファン向けにデバイス販売を行っているフォステックスの8000円前後のスピーカーが使われており、Z1000の価格の大半はスピーカーの箱の値段と言うことになる。Z1000では、木の箱に20万円前後のお金を払うことになると気がつくとその瞬間にこの会社がナレッジの会社と理解できる。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料
pagetop
創業から5年たち、いろいろな業務を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
(1)日時 10月4日 10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
2.高分子難燃化技術の実務
(1)日時 10月27日 10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
3.11月度開催予定の講演会は下記
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116
カテゴリー : 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子
pagetop
高分子材料は熱伝導性が悪い。ゆえに熱伝導性を向上するためには、熱伝導性の良好な微粒子を添加することになる。この時にもパーコレーション転移が問題となる。ただ、絶縁体である高分子に導電性を賦与する場合と異なるのは、微粒子の物性があまり大きく影響しない(注)。
すなわち、ある微粒子Aと熱伝導性が20倍30倍良好な微粒子Bとを高分子に添加してその熱伝導性の変化を比較しても、同じような挙動を示す。あたかも微粒子の熱伝導性の差の影響が無いような変化である。
あるセミナーに参加した時には、熱伝導性樹脂を設計する時に微粒子の熱伝導性はあまり影響しない、とはっきり言われた。熱伝導性樹脂を開発された経験のある方は、大抵は同様の体験をしている。
導電性の場合とどこが異なるのかと言うと、電子伝導ではトンネル効果で微粒子の接触抵抗の影響が小さくなるが、すなわち接触していなくてもホッピング伝導で電流は流れるが、フォノンではトンネル効果を利用できないので、十分な接触が無いと伝熱ができないという説明がもっともらしい。
すなわち、熱伝導性樹脂では微粒子どおしの接触状態が重要になる。そこで、粒度分布を制御したりして熱伝導を改善する、というアイデアが生まれ、過去にそのような発明が公開されたりしている。
しかし、それでも大きな改善は難しいし、このアイデアでは力学物性の制御が難しくなる場合も出てくる。そこで高分子そのものの熱伝導性を改良しようというアイデアが生まれ、幾つか熱伝導性の良好な高分子が開発されている。ただこのような高分子はえてして他の物性がダメな場合があり、結局汎用高分子に熱伝導性フィラーの分散技術の開発となる。またコストも安くなる。
(注)絶縁体と導電体では、材料の電気抵抗は10の14乗倍異なる。しかし、材料の熱伝導率の差はせいぜい10000倍程度である。ここでは、フィラーの電気抵抗を10倍、1000倍と変えるとパーコレーション転移の様子が大きく変化するが、フィラーの熱伝導率を10倍、1000倍と変えても同じようなパーコレーションの様子を示すという意味である。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
高分子の大半は絶縁体である。ゆえに世界で初めて導電性高分子を発明した白川先生はノーベル賞を受賞された。絶縁体高分子に導電性を与えるためには、導電性のフィラーを添加すればよい。多くの場合コストが安いカーボン粉末が使われ、1000Ωcm程度まで抵抗をさげることができる。
ところが、10の10乗レベルの抵抗を有する半導体をこの方法で製造しようとすると大変難しい。パーコレーション転移が起きるために、抵抗が下がり過ぎたり、抵抗があがったりするからである。もしカーボンの導電性が低く、10の5乗前後であればこの変動を小さくできる。
この微粒子を高分子に分散し、目標とする抵抗の半導体物質を安定に製造するための微粒子の抵抗やその分散状態については、科学で推定可能で、技術目標まで科学的に立てることが可能である。すなわち、パーコレーション転移のシミュレーションプログラムを科学的に作ることが可能で、現実の現象をコンピューターで予測することができる。
このプログラムでカーボンのような導電性が良い微粒子を用いて、安定に10の10Ωcmの半導体を製造するには、微粒子の弱い凝集体を高分子中に発生させればよいことが示される。すなわち、弱い凝集体が10の5乗Ωcm程度の半導体微粒子として機能し、パーコレーション転移による変動を小さくする。
科学では、このようにパーコレーション転移を制御し高分子の高次構造設計目標まで示すことができるが、実際にこの高次構造を実現しようとすると大変である。科学では易しい問題でも技術ではかなり難しい問題となる。混練技術が科学で完全に解明されていないからだ。
カーボン超微粒子の弱い凝集体を均一の大きさで高分子中に均一に分散させるためには、分配混合を進めればよいことが教科書には書かれている。そのためのスクリューセグメントも経験的に知られている。しかし、それでもうまくゆかないのだ。
10年ほど前、日本を代表するコンパウンドメーカーの技術者から「素人は黙っとれ」と言われた。すなわち素人では理解できない世界であるというのが当業者の認識である。ところがそのコンパウンドメーカーを信頼していたら、とんでもないことになり、半年で自前の混練工場を建てなければいけない事態になった。
教科書に書かれていた混練技術は役に立たなかったが、ゴム会社で3ケ月間担当した樹脂補強ゴムの開発経験は大変役立った。残業代も出ない新入社員時代であったが、徹夜したり、サービス残業の毎日が定年前の開発で役立った。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
研究テーマの設定は難しい。特に企業においては商品開発テーマと同等評価が得られるような研究テーマ企画と言うのは、それなりの実務経験がないと企画できないのではないか。
10年後を見据えた基礎研究です、というのは怪しいテーマが多い。しかし30年前はこのような企画を多く見かけた。ゴム会社だけでなく多くの企業でこのような研究企画が多数推進されていたのではないか。
高純度SiCの企画も最初提案した時には、怪しい企画が多く推進されていたにもかかわらず、それらの企画以下に扱われた。最初に提案してから3年後に無機材質研究所留学として実現したのだが、昇進試験の答案に書いたところ0点をつけられたので留学が島流しではないかと不安に思ったりした。
この企画は30年以上たった今でも事業として継続されているので、企業の研究企画としては優れた企画だと思う。また、この企画の中の小テーマの一つにSiC合成の反応速度論があり、2000万円かけて超高速熱天秤を開発し、生産に寄与する研究成果を出している。そして学位論文にもなっている。
しかし、ゴム会社の研究部門では、この企画は全然評価されなかった。評価されなかったどころか、昇進試験に落とされるぐらいのマイナス評価だった。
昇進試験に落ちた結果、研究を完成させる機会が得られたのだから、複雑な気持ちだが、とにかく研究部門における研究テーマの評価として低かったことは確かだろう。
しかし、無機材質研究所長はじめ留学でお世話になった先生方には、研究テーマとして高い評価を頂いた。当時セラミックスフィーバーの最中で留学希望者が多く、この評価が無ければ無機材質研究所への留学は実現しなかった。
ゴム会社の研究部門では散々な評価だったが、ゴム会社の故服部社長には大変褒めていただいた。「なぜ研究部門でこのような企画ができないのか」とまで酒の席で言われた。不思議に思い後日上司に尋ねたら、新事業部門の企画として最初説明されたらしいとのこと。
早い話が、当時の研究部門管理職の方々は、この研究テーマに関わりたくなかったと思われる。この研究テーマに関しては30年以上事業が続いている「不思議さ」以外にFD事件も含め奇妙な体験は多い。ただ、若い時の企業に貢献したいという「思い」の強さが成功に結び付いたと思っている。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
少し驚いたのは、ソニーがリチウム二次電池事業を村田製作所へ売却したと28日のニュースで報じられたことだ。ただ、そのニュースで複雑な気持ちになったのは、ソニーがリチウム二次電池を世界で初めて開発した、と書かれていた点である。
リチウム二次電池の実用化であれば、ポリアニリンリチウム二次電池の開発として、昭和63年に日本化学会化学技術賞をブリヂストンは受賞している。すなわち、ブリヂストンが世界初である。
なぜ、ブリヂストンが世界初と報じられないのかご興味ある方は問い合わせていただきたいが、ブリヂストンではリチウム二次電池の火災の問題にも早くから取り組み、電解質の難燃剤であるホスファゼンを実用化している。この電解質に添加するホスファゼン化合物については、日本化学工業で事業が継承されている。
このようなことから、ソニーのニュースについて本欄で触れるかどうか悩んだが、リチウム二次電池事業の状況を示す重要なニュースとして書くことにした。
ハイブリッド車そして次世代の電気自動車に必要な軽量二次電池の開発競争は激しさを増している。また、その二次電池新製品の商品としてのライフサイクルは短い。次から次へと高性能の電池が登場している。このような状況では体力勝負となり、メーカーとして体力が落ちてきたソニーには少々きつい事業となったのだろう。
ブリヂストンでは、日本化学会から技術賞を受賞すると早々と事業を辞めてしまっている。社内では酸化物系セラミックスの正極開発も進められていたので当時は残念に思ったが、今回のニュースを読む限り、経営の判断として正しかったのだろう。
当時のブリヂストンでは、電池とメカトロニクス、ファインセラミックスを3本の柱として位置づけ、新事業開発に取り組んでいた。高純度SiC事業を提案した当方は、最初にテストマーケティングを始め、駄馬の先走りと言われたりしたが、おかげで大きな市場は無いが将来必ず成長するという確信を得ることができた。
そして、いわゆる開発の死の谷を一人で歩くことになるが、死の谷を歩きながら、他の二本柱の技術開発のお手伝いをしていた。どのような技術を開発したかは自慢話になるのでここで書かないが、電池や電気粘性流体の仕事でいくつか成果を出したために、住友金属工業と高純度SiCに関するJVを立ち上げながらも写真会社へ転職することになった。
ブリヂストンの三本の柱の方針は、半導体治工具用高純度SiC事業として化工品部門に移管され現在も続いている。また、リチウムイオン電池電解質の難燃剤は、日本化学工業で事業が続いている。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料
pagetop
一般に高分子材料は導電性や熱伝導性がわるい。ゆえに樹脂の導電性の改良には、カーボンなどの導電性フィラーを添加し、熱伝導性の改良にはダイヤモンドやBNなどの熱伝導性フィラーを添加する。
このような高分子材料へフィラーを添加する物性改良方法では、パーコレーション転移が観察される。面白いのは導電性の改良時に現れるパーコレーション転移の挙動と熱伝導性材料で観察される挙動が異なることだ。
熱伝導性材料で観察されるパーコレーション転移の挙動は、弾性率の変化で観察されるそれと近い。理由を知りたい方は弊社へ問い合わせていただきたいが、古典的には、複合材料の教科書には、混合則として十把一絡げで説明されている。
また、少し手の込んだ方法としてMaxwell-Euckenの理論式やNielsenの理論式が知られている。しかし、高分子材料にフィラーを添加したときには、クラスター生成を確率的に捉えるスタウファーらによるパーコレーションの考え方で、統一的に理解可能である。
面白いのは、導電性材料で観察される不安定さでは、パーコレーションという現象を直感的に理解していただけるが、熱伝導や弾性率の問題では、ぴんとこない人が多い。
この理由は、例えばフィラーの熱伝導性が大きく変化しているのに、添加量と複合材料の熱伝導率の関係が一つの曲線上にプロットされたり、アスペクト比の効果が導電性ほど顕著に現れなかったりと導電性材料とは少し異なった挙動となるからだ。
現象を科学的に正しく理解できないと材料開発を進めることができないので、年に2-3件はこの関連の質問がある。科学的にはフィラーの分散をパーコレーションで説明でき、パーコレーションによる考察が可能となれば、あとは技術で改良するだけである。
ただし、科学的な美しいデータが得られないこともある。科学と技術の違いを理解できておれば難しい問題ではないのだが。また、熱伝導性フィラーとしてダイヤモンドが要求される場面は少なく、シリカやアルミナ程度でフィラーとして十分目的を達成できる場合が多い。
カテゴリー : 電気/電子材料 高分子
pagetop