高分子の劣化がどのように進むのか。これは、一言でかたずかない問題である。高分子の種類により様々だからである。
かつて高分子の劣化研究と称して溶液中で酸化速度の計測を行ったり、分子量変化をモニターしたりした研究報告があった。しかし、バルクの成形体の劣化はそのような単純に劣化しないことが分かってきた。
屋外暴露試験を行っても、再現性が無かったりする。かつて400年近く前の天然ゴムに関する研究をゴム会社でやっていた。天然ゴムの塊の表面はさすがに酸化でゲル化していたが、内部は期待していたほどの酸化がされてなくてびっくりした。
さらに、表面を削り、内部のゴムについて加硫し物性測定を行ったところ、バージンの天然ゴムの場合と変わらない結果となったのには驚いた。
ゴムにせよ樹脂にせよ市販されている高分子成形体には、劣化防止剤が添加されている。混練時の劣化を防止するための熱劣化防止剤も開発されている。
科学的研究の結果、効果があったことが確認されて実用化されている耐久劣化を防止する目的の添加剤について、その効果を評価するのは難しい。このあたりに疑問を持たれた方は弊社へお問い合わせください。
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あらゆる材料で密度は弾性率に影響するのでその成形体の強度を左右する。ゆえにセラミックスや金属では、成形体の密度管理が研究開発段階から行われている。
しかし、高分子の成形体では密度というパラメーターに、あまり関心がもたれていない。高分子には部分自由体積というその量を制御することが難しい構造が存在する。
その結果、高分子成形体密度が1割以上ばらつくケースもある。そのような場合に、成形体をアニールすると大きく変形する。射出成形では圧力をかけるので多くの場合数%程度が観察される最大値かもしれない。
しかし、1-2%でも密度がばらつくと、高分子成形体ではクリープ速度が2倍以上に変化するので構造体のような常に応力がかかる部品に応用するときに注意しなければいけない。
セラミックスでは、密度のばらつきで欠陥サイズのばらつきを疑ったりするので、強度データに対して注意を払う。しかし、高分子成形体では密度が1-2%ばらついても強度データのばらつきの大きさに大きく現れない時がある。
その結果、市場でクリープ破壊による品質問題を起こすことがある。クリープ破壊による品質問題ではフラクトグラフィーの知識がないと原因不明の破壊として処理されたりするので厄介である。
また、クリープ破壊ではなく、原因不明の変形として市場で品質問題を起こしたりする。最近では、自動車の燃料ポンプの部品の変形でリコールが起きたりしている。
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高分子材料に限らず、金属でもセラミックスでも成形体の品質管理において、外観検査は、その成形体の用途や価格に応じて行われている。全く外観検査など行われていない製品も存在する。
例えば100円ショップの射出成形体には、稀に外観のひどい製品に出会ったりする。しかし、それが気にならない用途なので、クレームをつけたりしない。
40年以上前に秋葉原では、梱包されていないパソコン部品がワゴンで販売されていたりした。ハードディスクの入っていないハードディスクケースや、キーボードまでバルク価格として、恐らくブランド品の半値近くで販売されていたように思う。
ビニール袋に入った状態で、成形体にも品質管理の証紙も貼られていない製品の外観は、どこかに問題があった。恐らく製品の外観検査ではじかれた部品なのだろう。
外観に問題を抱えていたが、購入して使用してみると、電気的機能には問題なく使用できた。やや色むらのあるハードディスクケースにバルクで購入したハードディスクを入れて、5年ほどトラブル無しで使用できた思い出がある。
このような部品が大量に秋葉原に並んでいる状況から、射出成形体の外観検査は、成形プロセスの途中で行わず、半製品あるいは完成品になってから行われていることが推定された。
MS-DOSの時代には、このような怪しい製品が秋葉原に売られていたのだが、20年ほど前あたりからこのような製品を見かけなくなった。完成品が安くなったので、怪しい部品は売られなくなったのだろう。
10年ほど前にキーボードにお茶をこぼしダメにしたので、ヤフーオークションで探したところ、メーカー不詳の500円キーボード新品を見つけた。
送料1000円かかったので、1500円のキーボードなのだが、裏面の樹脂の引け模様以外難点は無く、10000円以上のキーボードと遜色のない使い心地である。
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プログラミングスキルが研究者や技術者に全員に必要かどうか、疑問に思っている方がいるかもしれない。プログラミングなど日常行っていなくてもMS-エクセルをほとんどの人が使用していると思う。
その時、計算式を表に埋め込んだりしていないか。あるいは、VBの簡単なプログラムをカラムに埋め込んだりしていないか。これらは、日常知らずにプログラミングを行っていることを示している。
DXにいち早く反応したのは、マイクロソフトである。エクセルにはVBが搭載されているのに、Pythonを実装したエクセルを販売している。
当方は、この10年エクセルは、クライアントから送られたデータを見る時以外は使用していない。Pythonが表計算ソフトの代わりになっている。
データは一つのデータベースにすべて格納されており、そのデータを用いてシミュレーションなどを行っている。
データの出力はエクセルの表だけでなく、HTML形式でも可能で、エクセルよりも便利である。もちろんグラフもPythonで簡単に出力できる。
このときプログラミングを少し行うが、エクセルよりも短時間にグラフ出力できる。データ量が大きくなった時にエクセルのグラフ作成が結構不便だと感じていないか?それが簡単になるのだ。
その他Pythonがエクセルよりも便利に使える、という事実に多くの人が気がついて頂きたい。するとエクセルの一番の問題が、メタデータの扱いが結構不便であることにうんざりするはずである。
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10年以上前に、Pythonの教科書をいろいろ探したが、適当な教科書が無かった。コロナ禍前にセミナー講師を依頼されたので、改めてPythonの教科書を調査した。
それでも適当なものが無かった。気がついたのは、プログラミング言語の教科書には一定のパターンがあるということである。
しかし、Pythonについては、昔のBASIC言語のような教え方は適切ではない。PythonにはPython独自の教え方があり、それを書いた教科書を見たことが無いので来年あたり書いてみようと思う。
今すぐ書かないのは、幾つか書き残したい本があるからである。今DXについて書いているが、これも満足な本が世の中にないからである。
おそらく、もう10年もすると、皆がエクセルの問題に気がつくかもしれない。あるいは、仕事のやり方が大きく変わり、優秀な研究者が右往左往している時代になるのかもしれない、そのようなことを書いている。
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Pythonの学習がBASICより易しい、と昨日書いた。それは、Pythonがマルチパラダイム言語だからである。単なるスクリプト言語としての使い方から、高度なオブジェクト指向言語としての使い方まで、プログラマーの力量に応じて対応できる言語設計がなされている。
むかし、MS-DOSのバッチファイルを使った経験があれば、MS-DOSのバッチファイルより高度なことが、バッチファイルと同様の手軽さで記述できる。
エクセルファイルの整理やグラフ作成までモジュールを使い、手軽にできるのだ。モジュールについては、chatGPTにやりたい業務についてプログラムコードを質問すれば、答えてくれるので、それを貼り付ければよいだけである。
Pythonはオブジェクト指向言語なので、すでに開発されたオブジェクトが多数あり、その使いこなしは、AIで行う、というスタイルでプログラムを開発すれば、誰でもすぐに難易度の高い業務を処理可能である。
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小学校でもプログラミング教育が始まり、今やプログラミング能力は常識となった。しかし、その要求レベルは20年前と大きく変わった。
今は早い人ならば、2-3時間でPythonを使いこなせるようになる。これは昔BASICならば2-3日かかったことを思うと驚異的である。
但し、同じPythonでも2010年前後であれば、1-2日かかったかもしれない。当時弊社が指導しておれば6時間で使えるようになっただろう。これが今弊社の指導ならば、3時間に短縮できるのだ。
理由を知りたい方は弊社へお問い合わせください。また、実際にPythonプログラミング能力を取得したい方もお問い合わせください。3時間ですいすいと使えるようになります。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)は、コンピューターが登場して始まった、と考えるのが妥当である。20年ほど前にストルターマンが宣言して始まった、というよりも、彼はそれに気がついていない人たちに警鐘を鳴らしたのだろう。
例えば、トランスサイエンスについて20年ほどまえに大阪大学の教授が書かれた書籍がベストセラーとなって、日本でよく知られるようになったが、当方は1970年代にアメリカでトランスサイエンスの問題が議論されたことや、イムレ・ラカトシュの論文を読むことで早くからその問題に関心があった。
DXが、コンピューターが登場してから始まった、と書いているが、コンピューターの登場以後のプログラミング言語の発展を勉強すると、DXの進展を理解しやすい。
すなわち、DXがどのように進んできたかは、コンピューター用の言語、プログラミング言語のパラダイム変化を整理してみると、分かり易いのである。
例えば、科学技術用言語FORTRUNからC、C++への変遷では、構造化からオブジェクト指向へ、プログラムの再利用性を高めるためにパラダイムが大きく変化している。これがどのような意味があるのか、ご不明な点は弊社へ。
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日本では研究力低下が話題になっている。GDPがこの30年間欧米に比較し伸びていないことが大きいとも言われているが、資金の問題だけでなく、研究者が古い科学の考え方に囚われていることも原因ではないかと感じている。
トランスサイエンスが問題となって半世紀経過し、科学の視点以外の考え方やパラダイム転換がアカデミアの研究者にも求められているように思う。
自然科学の伝統的手法にとどまりがちで、異分野融合(たとえば生命科学×情報科学×社会科学)が進みにくい、社会や倫理との対話を軽視してきた、などアカデミアを外部から眺めてきて申し上げたいことは多々あるが、批判ではなく少し前向きの提案をしてみたい。
例えば、材料技術分野は、1980年代日本が世界をリードし、ファインセラミックスフィーバーが起きている。これがクリントン大統領を刺激し、ナノテクノロジーの国家プロジェクトがアメリカで起きているが、それだけではなかった。
クリントン大統領は、現在の環境問題、持続可能な社会も見据えて、バイオリファイナリーの国家プロジェクトを同時に承認しているのだ。ここで日本は負けてしまって、今がある。
バイオポリマーの主流はアメリカ企業であって、日本はその後追いとなってしまった。また、リサイクルプラスチックでは、中国に先を越されたのだが、それに気がついている日本人は少ない。
ここで、アカデミアの研究者は一念発起していただきたい。ポスト環境問題の材料技術研究を提案していただきたいのだ。人工光合成はもう古いパラダイムで、少し先の発想として、建築物で二酸化炭素を吸収する、とか舗装道路でヒートアイランドを解消する材料とか、パラダイムを日常x自然x人工と言った変換を行って研究テーマを考えていただきたい。
そうすると、自己修復材料から自然回復材料とかマイクロプラスチック問題解決材料とか、いまなら荒唐無稽のアイデアが幾つか生まれるかもしれない。
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高分子材料のクリープ破壊の事例を2日ほど書いてみたが、日常的に起きているのはパンツやブリーフ、トランクスのゴムひものゆるみがある。これは加硫ゴムのクリープであり、応力をかけ続ければ、やがて切れるが、緩んだ状態で気づくので破壊までに至らないだけである。
すなわち、N社の高級カメラでも破壊する前に気づくことができれば壊れなかったのだが、それが難しかった。非破壊検査の目的はここにあるのだが、金属やセラミックスではその方法が確立していても高分子材料では不可能なのである。
高分子材料の破壊が、金属やセラミックスと大きく異なる点は、ほかにもある。例えばクリープ破壊速度の密度依存性が大きい点である。
高分子材料の場合、クリープ破壊以外でも密度依存性の大きな現象として、経時による変形がある。成形体製造時の内部歪による変形だが、これについてH社のエンジンポンプの事例について書いたのでそちらを参考にしてほしい。
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