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2026.03/07 ニデックの問題

ニデック創業者永守氏のパワハラが問題となり、永守氏が経営を退いたという。永守氏だけでなく役員まで含めてパワハラ風土という説明もされている。


例えば、夜10時まで利益を積み上げるための検討をしていたと釈明する幹部に対し、執行役員は「朝まで何でやらんねや!」などと怒鳴りつけたケースもあったようだ。


しかし、40年以上前はもっとひどかったのである。ニデックは怒鳴られただけであるが、当方は、初任給10万円の時代に研究所のOA化のために80万円のローンをさせられている。


また、始末書を書くまで仕事を止められ、毎朝始末書ができているのかチェックされ、図書室へ向かう、そのような新入社員時代だった。


この時の始末書は、世界初の難燃化技術を発明せよと発破をかけられ、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの工場試作に数か月で成功したことによる。工場試作など新入社員が調整して実施できるほど甘い会社ではなかった。


本来徹夜してまで工場試作用ホスファゼンを合成させた人物が責任をおうべきであったが、そもそも当方には何のための始末書なのか全くわからなかった。


ニデックの場合には、売り上げをあげられなかった役員がパワハラを受けていた、と記事にあったが、新入社員が成果を上げたのに、訳の分からない始末書を書かせられている事案より幸せである。今は成果をあげられない役員を経営者は優しくしなければいけない時代?

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2026.03/06 ラテックスとシリカゾルの複合技術

1990年代にゼラチンを硬く、割れにくくする技術として、コアシェルラテックスが開発された。このラテックスは、シリカゾル粒子1個の表面でラテックスの重合反応を行い、芯にシリカ粒子を抱えたラテックスを合成する技術である。


すなわち、このラテックスをゼラチンと複合化してシリカゾルの高い弾性率を活かし、ラテックスの柔らかさで靭性を稼ぎ、ゼラチンを硬くても割れにくくする優れた技術である。


この技術について、特許出願が網の目のようになされており、転職時この技術を凌駕する技術開発が重要なテーマとなっていた。そして数名が新規のコアシェルラテックスの研究開発を行っていた。


当方は、同じコンセプトの技術を指向しても面白くないから、オブジェクト指向で異なるプロパティーのラテックスを開発したら、と提案したら、それが難しいからコアシェルラテックスを開発している、と否定された。


コアシェルではなく単純にシリカゾルをミセルにしてラテックスを重合するアイデアはどうかと言っても、コロイド科学のことを知らない素人扱いをされたのである。


このような問題を考える時に、とりあえず、科学を忘れアイデアやコンセプトを思考実験で練ってはどうか、と言って、ホワイトボードに漫画を描いたら、一人のスタッフが、それなら合成経験があると叫んだ。


そして新たなシリカゾルをミセルにしたラテックス重合技術で、コアシェルラテックスよりもゼラチンを硬くでき、靭性を1ランク向上できる技術が完成し、写真学会からゼラチン賞を頂いた。


科学の弊害として、当たり前の技術しか考えない、という問題がある。科学では一つの真理が求められるためで、例えばコアシェルラテックスは、シリカゾルを凝集させない科学的に正しい一つの方法である。


しかし、ゾルをミセルに見立てラテックスを容易に合成できるのかというと、科学的にはできないという否定証明が容易な解答となる。しかし、ゾルをミセルにしてラテックスを合成できたなら、それは新技術であり、新しい科学のシーズが誕生する。


科学の時代が、新しい科学のシーズを生み出す時代から、いつの間にか、科学的に正しい技術を、すなわち当たり前の技術を開発する時代になってしまったことに気がつくべきだ。

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2026.03/05 ラテックスのポリマーアロイ

ポリマーが相溶するためにはχ=0という条件が必要というフローリー・ハギンズ理論は有名である。また、低分子のSPからこれを論ずる人もいる。


それではχ>0ならば相溶しないかとというと、すでにこの欄で書いたように非平衡状態で実現することができ、急冷すればそのまま相溶状態を5年近く維持できる組み合わせも存在する。


別の日にこのあたりのアイデアについて、詳述したいが、本日はラテックスでχ>0の高分子をブレンドすると、とりあえずナノオーダーの構造で光学的に透明である混合状態の高次構造のポリマーアロイを製造可能である。


感材用PETフィルムの下引き処理は、感光体層の弾性率が様々に変化するので、感光体層に合わせた弾性率の下引きが必要である。これを実現するために、アクリル系ラテックスとポリスチレン系ラテックスとの混合により、弾性率の制御を容易にした技術を開発した。


しかし、ハロゲン化銀のフィルム技術は過去の遺物となった。しかし、他の技術分野でも活用できるこの技術についてご興味のあるかたはお問い合わせください。

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2026.03/03 PC/ABS

PC/ABSは、良好な成形性と化粧外観の得られるよく知られたポリマーアロイであるが、意外な盲点がある。例えば、大きな成形体を製造した時に、成形体の各部で強度が大きく異なっている場合がある。


大きな成形体について、サンプルを切り出し曲げ強度を計測してみると、成形体の各部で強度が異なっていることに気がつくが、この偏差が10MPaを越える場合もあり、驚く。


これは、金型の設計で解決できそうに思えるが、コンパウンド側に問題がある場合には、金型を工夫しても問題解決しない。


混練プロセスが設計されていない場合に、コンパウンドの問題が発生するが、混練プロセスの設計と言われても何を検討したら良いのか分からない人もいる。


スクリューセグメントが最適化されている場合には、スクリューの回転数と各シリンダー温度ぐらいしか検討する部分が無い、と思っている人がいる。


混練プロセスの設計を問われた時によくわからなかった人は、当方の著書をご一読いただきたいが、PC/ABSでは、混練プロセスの設計により、高次構造の緻密さが変化するだけでなく、レオロジーまで変化する。


その結果、強度に影響が出るだけでなく、大物成形を行った時に、外観は問題なくても、部位による強度ばらつきが大きくなる場合が出てくる。

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2026.03/02 新規ポリマーアロイの開発

ポリマーアロイについて、2000年頃の高分子精密制御プロジェクトでかなりの成果が出ていると思っている。ただし、ウトラッキーの伸長流動装置は量産用までスケールアップできなかった。


ところが、当方が開発したカオス混合装置は、500kg/h規模の装置までスケールアップでき、高次構造の緻密なコンパウンドを製造している。当方はプロジェクトには参加していなかったが、成果報告会を拝聴している。


当時東工大中浜先生がリーダーで進められたこのプロジェクトは、実用化を目指したテーマがいくつか検討され、良質な基礎的成果が公開されたが、あまり評判は良くなかった。


当方は、このプロジェクト成果で十分に勉強させていただき、カオス混合技術を開発し、PPS・6ナイロン・カーボンの配合を変えず、国内トップメーカーが供給していた押出成形歩留まり10%前後のコンパウンドを100%にできるプロセスラインを立ち上げている。


高分子精密制御プロジェクトで注目された伸長流動は、ポリマーアロイ設計に重要なプロセシング技術であるが、PPS/6ナイロンの高次構造変化で、同一配合でもプロセシングを変えると力学だけでなく電気電子物性までも変化する現象を見出せなかった。


そのため、その後の国研で、配合と1:1に対応する高分子物性を目標としたプロジェクトが推進されると言った頓珍漢なことが起きている。


高分子では、配合因子だけでなくプロセス因子も材料設計で重要なふるまいをする。このような重要な事柄を軽視する材料技術者がいたことに驚いた。


ゆえに、新規ポリマーアロイを開発したいなら、最初からカオス混合装置を用いて検討した方が早く良い結果を出すことができ、さらに混練機の使い方も従来とは異なる「ある条件」で行うと良い。


高分子材料は、配合とプロセシングで物性を制御する、という基本をご存知ない方は弊社に問い合わせていただきたい。

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2026.03/01 PythonとEXCEL

最近はEXCELをほとんど使わなくなった。データ整理はすべてPythonである。クライアントにEXCELの表が必要になれば、Pythonで数行コードを加えるだけで、EXCELの表データができる。


Pythonでデータを保存しておけば、EXCELのように後日困ることは無い。EXCELの使用で何が不自由かと言えば、後日異なるデータ解析をしようと思ったときに、表を作り直さなければいけないことである。


それがPythonの使用で解放されたのだ。マイクロソフトがEXCELにPythonを搭載してから2年経過した。EXCELにはご存知のようにVBが搭載されている。


自社のプログラミング言語が搭載されているのにさらにPythonをマイクロソフトがEXCELに搭載した意味を理解していただきたい。


理由は簡単である。当方のようなユーザーが現れることを懸念してのことである。Pythonが搭載されたEXCELが便利か、PythonでEXCELの表を出力する方が便利か、と言えば後者である。


EXCELを使ってデータ整理しなくなって5年過ぎた。コロナ禍の初めの頃は少しEXCELを使用していた記憶があるが、最近はあのセルの画面を見なくなって久しい。

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2026.02/27 何を学ぶか

昨日データ構造とアルゴリズムの知識について、悩ましい、と表現した。プログラミング言語を学ぶときに、何をどこまで学ぶのかは難しい問題である。


Pythonの指導講座は、無料で多数公開されているが、技術者が学ぶに適した講座は無い。理由は簡単で、Pythonを単なるプログラミング言語として教えている。


Pythonの特徴は、スクリプト言語であり、構造化プログラミングが可能で、オブジェクト指向言語である点だ。これを意識し、うまく技術者がサクサクプログラミングできるように指導するためには、教える内容を吟味しなければいけない。


とりあえず使えるレベルであれば、スクリプト言語の側面を強調して指導することになる。しかし、技術者にはこれでは不足している。


マルチパラダイム言語のPythonについて、どこまで学んだらよいのか、ご興味のあるかたは弊社にお問い合わせください。

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2026.02/26 データ構造とアルゴリズム

今や技術者は皆Pythonのスキルが常識となった。Pythonって何?と感じた技術者は、給与を返上した方が良い時代である。10年前と技術者の仕事のやり方は大きく変わり、データサイエンスをバリバリ使う時代になった。


新しいテーマを担当した時に、フロントローディングで業務シミュレーションを行う時にPythonは不可欠である。もし、過去の実験データを活用できるならば、それを利用して精度の高い予測が可能だ。


ゴム会社で、京大や大阪大学の博士が1年かけて結論を出した問題をデータサイエンスによりその結論を一晩でひっくり返したところ、FDが壊れ始め、怖くなって二人転職し、結局狙われていた当方も転職している。


これは40年近く前の実話で、当時はBASICでデータサイエンスを活用していた。マテリアルズインフォマティクスを先駆けて実践していたのである。この時代、データ構造とアルゴリズムの知識はプログラミングスキルとして重要だった。


しかし、今の時代、Pythonのモジュールを使用しスクリプト言語としてPythonを活用する限りにおいては、アンパックのようなその記述の仕方が独特な表現となる部分を勉強すれば不自由しない。


もちろん、今の時代でもデータ構造とアルゴリズムの知識があっても邪魔ではなく、Pythonのモジュール理解に役立つ。しかし、オブジェクト指向でプログラミングをする限りにおいて、知らなくても良い分野となりつつある。


ただし、Pythonで独自クラスを作成するなど自由自在にプログラミングしようとすると途端に重要な知識となるので、不要になった、とまで言えない悩ましい知識である。

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2026.02/25 オリンピック選手団の座席

「The DIGEST」の記事に、スノボ選手団がエコノミーシートで帰国したことについて、成田童夢氏が次のような意見を述べたことが記事になっていた。


「『国の英雄』が心身ともに疲弊した状態で相応の待遇を受けられない。本当にこのままでいいのでしょうか? この現状を変えていくべきではないのでしょうか? これは単なる予算の問題ではなく、日本における『アスリートへの敬意』の現れだと思うのです」


なるほど、と。サラリーマン時代に、ある役員格ではない研究所長がビジネスシートに座っていたら、社長と役員が同じ飛行機に乗ってきてエコノミーに座ったので慌てた、という話を聞いたことがある。


部長以上はビジネスシートでもよいことになっているので問題ないのだが、飛行機の中で落ち着かなかった、という笑い話でもある。


もっとも、当時会社は赤字で、全社で節約が合言葉になっていた。ゆえに社長以下役員がエコノミーシートで海外出張に出かけているというのは、当たり前とも受け取れる。


一方、会社が赤字で節約が叫ばれているときに、規程通りビジネスシートに座っていた研究所長は、会社の事情を理解していないリーダーと評価できる。


航空機のシート問題について、ビルゲイツ氏は、同じ飛行機で同じ時間乗っているのに料金が異なるのはおかしい、といって、MS社長時代にエコノミーを選んで乗るので役員が困った、という逸話がある。


もし、JOCの役員がビジネスシートに乗っていて、選手がエコノミーならそれは大変おかしい話だが、JOCの役員がエコノミーを利用しているならば、選手がエコノミーでもおかしなことではないように感じる。


飛行機のシートで選手に対する敬意を表せる、と考えるような安っぽい問題をこれ以上議論するつもりはない。確かにビジネスシート以上は、CAからのサービスも異なり、リッチな気分になったりするが、これは敬意とは異なる問題のように思う。


エコノミーとビジネスシートの違いは、スペース以外にサービスの違いがある。しかし、その価格差が妥当なものか考察すると、ビジネスシート以上はエコノミーよりも異常に高いような気がする。


今LCC以外のJALやANAのエコノミーシートは、50年前よりも少し快適になっている。選手団の飛行機がLCCならば当方も同情するが、JALやANA同等の便であればエコノミーでも問題ないと思っている。


ビジネスシートに座るかどうかは、スポンサーが判断すればよい。これを国民が判断すれば、メダルを取った人はビジネスシートでそうでない人はエコノミーシートという問題を考えることになる。


オリンピック精神が参加することに意義があるならば、メダル取得者とそうでない人で、飛行機の座席に差をつけるべきではない。ましてや、JOC役員がもしビジネスシートに座っていたりしたなら、そのほうが議論すべき問題かもしれない。JOC役員は選手のサービス係と国民は理解している。

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2026.02/24 EVの普及

8ビットマイコンが登場し、それが普及し始めた頃の世界的な研究所における風景を昨日書いた。科学こそ唯一の哲学で、それ以外を排除する風土だった。しかし、データサイエンスの講座設立ブームが日本で起きていた時代でもある。


今環境問題の影響で急速に進んだEV車の普及に急ブレーキがかかった。トヨタ自動車はハイブリッド車を今の3倍以上生産する方針を発表している。


乗用車がすべてEVとなる時代は、夢と終わるのか、そのように思わせるような世界の動きである。しかし、ハイブリッド車や日産ePowerの貢献もあり、エンジン車よりも快適なモーター駆動の世界を人類は知ってしまい、ガソリン車に戻るとは思えない。


このような歴史の歯車の動きがスムーズではない時代とは、新たなイノベーションが求められている時代なのだ。これはコンピューターの普及から50代以上の人は経験しているはずである。


16ビットコンピューターが登場した時にIBMは、パソコンのアーキテクチャーをすべて公開した。このIBMの英断により、一気にハードウェアーはIBMのアーキテクチャーが標準となり、IBMはソフトウェアーで稼ぐ道を選んでいる。


この時にマイクロソフトが急成長し、W95が世界の標準となった出来事にびっくりした人は多いのではないか。そしてLINUXやPythonなど無料の良質なソフトウェアが登場し、現代にいたる。


EVの普及に何か足りないと感じている人は、イノベーターになれる可能性がある。未来がエンジンとモーターを動力とする時代なのか、100%EV車なのか、これは今更語る必要のない結論が出ている。

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