科学誕生以前から化学という学問が存在していた。化学に限らず物理学も数学も科学誕生以前から存在していた。この当たり前の事実に気がついていない人が多い。
このようなことをあえて指摘する理由は、科学的方法以外の考え方が存在すること、そしてその方法が現象の理解や問題解決に科学的方法と同じように役立つことに気づいてほしいからである。
学校では科学的方法が唯一の方法のように教えられている。それが戦後長らく続いてきたが、最近はプログラミング教育が導入されたのでそれを通して非科学的方法を学べる環境ができてきた。
実はプログラミング教育以外でも科学によらない考え方を教える機会があっても教育指導要領の制約から教えられてこなかった。
高校生の時に、数学でユークリッド幾何学を学んだ。教科書は教師の手作りによるところが新鮮だった。物理でもニュートン力学として学んでいる。ところが化学はまるで暗記課目のような授業だった。
「水兵リーベーー」から「ふっくらーー」などただひたすらお経のように唱えながら周期律表を記憶している。本当はもう少し面白い教え方があったはずである。生徒として不満だった。
第二次オイルショックもあり、就職先の心配があったので教職の単位も学生時代取得している。高校で教育実習を行ったとき、2週間教科書を離れた教材の授業が許された。
しかし、結局化学の何たるかを今ほど考えていなかったので、生徒に迷惑をかけた授業になった、と反省している。化学で重要なことは、現象の変化をよく観察して、そこに機能している物質の変化(これが化学である)を見出すことだと大学院を修了する頃より考えるようになった。
大学4年の時にシクラメンの香りの合成経路について開発でき、アメリカ化学会誌に紹介されているが、それができて化学という学問について科学的でない側面に気がつき、大学4年から考えるようになっていたのかもしれない。
科学的には物理的変化と分類されても化学変化としてとらえた方がアイデアを発展できる現象がある。例えば吸着では、物理吸着と化学吸着がある。
物理吸着だけを扱っていては面白い製品開発が難しいが、化学吸着まで広げてアイデアを展開するという事例を説明すれば申し上げたいことが伝わるだろうか。
大学4年時に有機金属錯体の研究をしており、その時当時の触媒化学が前時代的学問のように感じられた。学会で議論を聞いていても有機金属化学における議論よりもレベルが低かったように思われた。
今はどうか知らないが、そんなこともあり、研究室がつぶされたときに大学院進学が決まっていたので思い切って無機化学の勉強をしようとSiCウィスカーを研究している講座へ進学している。
ただ、SiCウィスカーというものを本当に理解できたのは無機材質研究所に留学した時であり、ここでも学問の進化を実体験することになった。40年近く前は、同じ化学という領域内でも研究者によるレベル差が存在し、そこから学問の進歩を感じることができた時代である。
今も学会の発表を聞くと研究者による研究のレベル差が存在するが、それが学問の進歩ではなく不勉強によるものだと感じるのは年を取ったせいだろうか。
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PETは結晶化速度が遅く、射出成形に不向きなためフィルムやブロー成型、インフレーション成形用に使用されてきた。
フィルム用途では一軸延伸や二軸延伸により結晶化を行い、それなりの腰のあるフィルムを提供できるので、印刷用写真フィルムやレントゲン写真用フィルムとして使われてきた。
最近PETを射出成形に使用したいという希望が増えている。PETは射出成形しにくいが、結晶化速度を速める添加剤を添加すれば、狭いオペレーションウィンドウながらそれなりの射出成形体が得られる。
10年ほど前に結晶化速度を速める添加剤を用いずに良好な射出成形体を得ることに成功し、電子写真用部品として実用化された。
PETボトルのリサイクル材を用いた技術で、退職後に社長賞を受賞した、と言うことで記念品のPETボトルを1ダース送られてきたのでびっくりするとともに当方のことに気遣ってくれたメンバーに感謝した。
高純度SiCの事業化ではこのような良い思い出は無いが、写真会社の早期退職では、退職日が2011年3月11日であった不運が引っ掛かる思い出だが、FDを壊されるという人為的な災害ではないのでPETボトル1ダースを受け取った時には涙が出てきた。
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日本では桜の季節に新年度が始まる。本日新入社員の出社式をWEBで行う会社もあるかもしれないが、気になるニュースがある。第二新卒が話題となり、若者の転職が問題にされてかなり経つが、当時に比較して最近の若者の退職理由が大きく変わったという。
最近はぬるま湯的な会社の雰囲気に社会人としての成長ができないので、より厳しい会社へ転職するというニュースを読んだ。
このニュース以外に、最近若者の自己実現意欲に関わる話題が多い。偽りのない自分の姿で好きなことをして、それが社会貢献につながる状態が自己実現であるが、現代においてこの状態に至るにはそれなりの知識や経験が必要となる。
ゆえに、若者はそれを身につけることができる環境を求めて転職するという解説を最近読んだが、本当だろうか。石の上にも3年というが、現代の高度なキャリアが要求される社会ではとりあえず1か所に3年がむしゃらに努力してみることをお勧めする。
当方の新入社員時代、4月に入社し、半年間の集合研修をえて10月に配属された。初めて担当した1年間の新入社員テーマ、樹脂補強ゴムの開発をがむしゃらに仕事をして3か月でまとめた。
指導社員が極めて優秀な人で、毎朝3時間座学で高分子の基礎を指導してくださったおかげだが、この3か月の仕事のおかげで写真会社でカオス混合技術を開発できた。当方は新入社員の時に運が良かったのだろう。
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昨年6月に公告となった高分子材料の環境問題に対する日本政府の回答が施行される。環境省のホームページにはRenewableと4つ目のRが示されている。
2015年に海洋ゴミの問題が世界で認識され、その30%前後が日本製だったため、日本に対する風当たりが強くなるとともに、「脱高分子」が叫ばれるようになった。
それまで、3Rが環境問題解決のキーワードとされたが、そこに新たな「R」、Refuseが加えられた。日本では、ポリエチレン製買い物袋が有料化あるいは廃止されたため、買い物袋の携帯が必須となった。
それだけではない。プラ製トレイは紙製になるなど、高分子材料排除の動きが世界の潮流となった。しかし、これが経済的にも技術的にも環境問題解決に最適な解となっていないことは明らかで、Refuseに代わる新たなRの提案を当方は環境と高分子のセミナーで訴えてきた。
今回の法律ではRenewableが4つ目のRの提案となっており、これから海洋ゴミ削減の国際ルール作りが始まるので、日本の提案がどこまで国際的に評価されるのか注目される。
実は15年以上前に名古屋市は、プラごみに関して細かい分別回収を行い、日本政府に各自治体も見習うように提案したところ、環境省からそこまでやらなくてよい、という回答が返されたので、時の河村市長が噛みついた歴史がある。
最近は金メダルに嚙みついて有名になった河村市長だが、今回の法律についても是非噛みついて頂きたい。なぜなら今回の法律では河村市長が目指された目標が単なる努力目標にされているのだ。
河村市長は軽い人物と誤解されているが、実は広い視野で先進的な思考ができる数少ない政治家である。15年以上前に明日からの法律に適合する取り組みができたのもその表れであり、河村市長の環境省への突っ込みに期待したい。
恐らく、Renewableに関しては、これまでの実績から河村市長が自治体の首長の中で最も造詣が深いと思っている。弊社に一声かけていただければ、いつでもご協力いたします。
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SiCの引張強度あるいは曲強度は、成形体(焼結体)製造のために用いた粉末の結晶系により左右される。ただし、成形体密度が99%前後の成形体密度のときであるが。
また成形体製造温度が2000℃以上であると3CのSiC(βSiC)は6Hへ転移するためにその差も分からなくなる。1960-2000℃の温度で制御した場合に原料粉末の結晶系の差が見られる。
成形体製造に高度な技術が要求されるが、注意深く制御しながら成形体を製造すると、3Cの結晶系の原料を用いた場合に6Hの結晶系の原料を用いた場合よりも強度は1-2割ほど向上する。
この原因は、3C結晶系が熱膨張に関し等方的であるのに対し、6H結晶系が異方性であるためだ。これは40年以上前に科学的に確認され、当方の学位論文に6H結晶系の異方性について実験データとともに考察している。
高分子材料も含め、材料強度評価は、成形体製造技術や評価技術の影響も受けるので、原材料の影響だけを正しく評価することが難しい。しかし、すべての材料物性は原材料製造プロセスから成形体製造プロセスまですべての履歴の影響を受ける、ということを知っておくことは重要である。
高分子材料については製造プロセスの履歴の影響が良く知られているが、セラミックスや金属では、高分子よりもその影響が小さくなるので話題にならない時もある。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料
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高分子の成形体を製造するにあたり、高分子には何らかの添加剤が混合される、と以前この欄で書いている。その時、重要となるのは混練技術である、と説明している。
混練技術とは、混ぜることと練ることの両方で高分子を変性し機能を向上する技術なのだが、その説明が難しい。難しい理由は、形式知よりも経験知の占める割合が大きいからだ。
この経験知が占める割合が大きい、ということさえ、理解していない技術者も多いので困る。原因は適当な混練機で一応コンパウンドができてしまうからである。
高機能を要求しなければ、そのように製造された適当なコンパウンドでも成形体を製造可能なので、混練技術をあまく適当に捉えることになる。
謙虚に現象を眺めれば、高機能を要求されないコンパウンドでも、十分な混練ができていないことを物性の計測から知ることができるのだが、物事を甘く考える技術者には成形体物性の評価もいい加減である。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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99歳で大学卒業、という朝のニュース。放送大学を17年かけて卒業をされた、大正11年生まれの99歳の学生が紹介された。インタビューに”勉強に終わりはないのでこれからも勉強したい”、と答えている。頭が下がる。
11年前に100歳で父が亡くなったが、亡父の口癖も同じような内容だった。亡くなった時にも机の上には、新聞に入っていたチラシの裏に書きかけのお経があった。写経を行っていたようで、遺品を整理したところ段ボール二箱以上の写経が出てきた。
紙の変色状態から10年20年前ではないことが伺われた。大量の蔵書とともに改めて知への飢餓感を知った。恐らくニュースで紹介された99歳の学生も知への欲求が高いのだろう。
放送大学は卒業証書も発行されて、知を学ぶ目標が明確であり、学びには数少ないよい制度である。情報化が進行した結果、書店がかつての半分に減少しただけでなく、知に関する雑誌も少なくなった。
かつては、雑誌”工業材料”はじめ、技術関係だけでも10誌以上あったように記憶している。少年ジャンプの5倍から10倍程度の価格だったが、読者がいたのだろう。発刊日に書店にはそれぞれ2-3冊おかれていたように思う。
当方は工業材料をよく購入していたが、定期購入ではなく、書店で他の雑誌を物色した後購入するのが習慣だった。ゴム会社の図書室にも同様の雑誌は置かれていたが、図書室に並ぶのは1か月遅れであった。
すなわち、新刊は管理職に回覧された後に図書室に並んでいたのだが、せっかく回覧されていてもそれを読んでいない管理職もいたので、知への欲求には個人差があることを上司の姿から知った。
当方の新入社員当時の上司は、知への欲求が高いようなそぶりをしていたが、本を読むのが嫌いだったようで、英文の雑誌だけでなく和文の雑誌についても、要旨を報告する役目をよく指示された。
本人が読んでいないだけでなく、部下育成の目的と言いつつそうでないことは、部下育成と明らかに無関係の記事などもあって迷惑だった記憶の方が多い。
ただし、今思いだしてみると知識の幅は広がったので、勉強嫌いの上司は部下育成がうまいという法則になるのかもしれない。しかし、要旨を報告してもそれが右から左へ受け流し状態ではモラールも下がったので、マネージャーとしての力量は他のメンバーの評価どおりだったのだろう。
ただし、当方は右から左へ何でも鮮やかに受け流す技には感心していた。右から左だけでなく、上から落ちてきた責任までも、見事に下へ受け流していた。
入社間もない時に訳の分からない始末書を書かされた記憶は今でもこの上司の秀逸な能力として思い出す。ホウ酸エステル変性フォームはこのおかげで誕生している。
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ワイブル統計は、最弱リングモデルで導かれている。最弱リングモデルとは、製品品質の最も壊れやすいところで品質劣化が起きれば、製品の機能の寿命であるという考え方だ。
大変わかりやすいモデルで、製品の故障解析手法として普及している。また、このモデルの統計的扱いと式の導出方法は、高校の数学の知識があれば理解できるので、統計手法として易しい部類である。
ただ、セミナーを通じて感じることは、品質管理部門に比較して研究開発部門で普及していない不思議さである。そこで、弊社はこのホームページにワイブル統計のプログラムを無料公開して普及に努めている。
製品品質のデータ処理だけでなく、引張強度データについても処理を行うと、強度データのばらつき構造を整理できる。
例えば高分子材料の引張強度は、弾性率と靭性が影響するが、それ以外にサンプルの取り扱いプロセスも大きく影響する。
ワイブル統計でデータ処理を行い、傾きの大きな1本のグラフが得られれば良いが、複合型のグラフが得られたならば、弊社へご相談ください。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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昨日は成形体の電気特性がコンパウンドの電気特性に影響を受ける話を書いた。力学特性も同様である。ただし力学特性は、電気特性に比較して物性評価時におけるばらつきが大きいのでコンパウンドの影響を議論しにくい問題がある。
引張強度の測定を事例に物性評価のばらつきについて説明する。まず、物性評価時にサンプルを評価装置へ取り付けるときのばらつきが存在する。これは5人ほどに同じサンプルについて引張強度測定を実施してもらうと明らかに有意差として観察される。
測定時の注意点を細かく指導し、測定時に監視しながら実施するとそれが小さくなるか無くなるので、こうした物性評価に不向きな人がいることにも配慮する必要がある。
高偏差値の大学を出ていても精度の良い力学特性評価をできない人がいることも知っておいた方が良い。力学特性評価は、個人のスキルが出やすい項目である。
次にサンプルの形状の影響である。射出成型時の歪が形状に現れることもあれば、サンプル保管時に形状ばらつきが生じることもある。新入社員の時に当時最先端の樹脂補強ゴムを開発していた。
その時、引張強度サンプルについては測定本数よりも1本多く作成することを指導された。さらに、シートサンプルから切り出した後2日ほど静置して評価サンプルを選び出すように、とも指導された。
たいていの場合に予備の1本は無駄だったが、まれに変形していることがあった。このような場合に1本だけでなく2-3本ダメになることもあったので、予備の本数を増やした記憶が残っている。
力学特性について電気特性よりも測定技術上の問題の影響を受けることが意外と知られていない。測定技術上の問題を解決してから成形体の不均一性を評価すると成形ロットや位置の影響などを検出できる場合がある。
カテゴリー : 一般 連載 高分子
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成形体の均一性にペレットの均一性が影響を及ぼすことが意外と知られていない。高分子の混練技術の目的に成形体の均一性を実現できるコンパウンドの提供という項目があることをご存知ないコンパウンドメーカーも存在する。
これは絶縁体である高分子にカーボンなどの導電体をブレンドし半導体シートあるいは半導体ベルトを製造して平面の表面比抵抗を数点計測して確認できる。
コンパウンド段階で電気特性が均一であると、押出成形あるいはインフレーション成形を行ったときにシートなりベルトの面内の電気特性が均一となる場合が多い。
ここで、コンパウンドの電気特性が均一ならば確実に成形体で均一になるとは限らないことに注意する必要がある。パーコレーション転移という現象が起きるためだ。
すなわち、コンパウンドの電気特性を均一にしただけでは不十分で、パーコレーションが安定化されていることも要求される。
パーコレーション転移については後日説明するが、混練技術の重要性を示す現象の一つが半導体高分子の成形プロセスで起きる。半導体シートや半導体ベルトを製造するときに、コンパウンドの電気特性が不均一であると電気特性を均一化できないことを知っておいてほしい。
ただし、コンパウンドの電気特性についてどこまで均一性とパーコレーションの安定性を実現すべきかは、求められる成形体の電気特性により変化する。
コンパウンド段階で10%程度のばらつきがあっても成形体で5%程度のばらつきに抑えることも可能である。このあたりはコンパウンドの配合設計にも依存する難しい問題である。ただ、成形体の均一性に混練技術が影響することを知っておいてほしい。
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