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2012.09/15 樹脂補強ゴム(4)

自動車タイヤなどに用いられるような動的性能に厳しい条件がつくゴム部品は、バンバリーとロール練りを用いて混練した加硫ゴムを用います。しかしゴム部品を低コストで市場に供給するために、二軸混練やニーダーなどの混練機でゴムのコンパウンドを製造したい、というニーズは以前からありましたが、バンバリーとロール練りによるコンパウンドから製造した加硫ゴムとの性能差を埋めることができませんでした。

 

また、混練というプロセス以外に、ゴム製品の成形を行う加硫工程も成形に長時間かかるため、コストアップの要因となっており、この工程を短くし、樹脂と同様の射出成形でゴム部品を製造する技術開発も試みられました。

 

ポリウレタンゴムのRIMは、1970年代に登場した加硫ゴムに匹敵する(と言われた)成形体を製造できるソリューションで、乗用車用タイヤをRIMで製造する研究も世界中で行われました。子供用のレーシングカートのタイヤを作ることに成功しましたが、一般の乗用車用タイヤをRIMで製造することは不可能という結論になりました。技術的に不可能な理由は幾つか挙げられていますが、加硫ゴムの信頼性の高さという因子は重要で、21世紀になりました現在でも昔ながらの加硫ゴムでタイヤが作られている理由でもあります。かつてタイヤのCMに、「タイヤは命を乗せている」というコピーがありましたが、まさにその目標を達成するために加硫ゴムが使われているのです。

 

自動車タイヤほどの信頼性が要求されない分野には、RIMをはじめ、LIMS、TPEなど射出成形でゴムの成形体を製造できる技術が幾つか開発されました。最近ではTPEよりも低コストにできるという動的加硫技術を用いて樹脂に加硫ゴムを分散し、加硫ゴムの射出成形を可能にした技術も登場しています。この技術で製造されるゴムの高次構造は1979年に開発された樹脂補強ゴムと同じ海島構造ですが、海となっている樹脂の構造は異なっています。1979年に開発された樹脂補強ゴムの樹脂は、一部の樹脂はゴムとの架橋が進行し、ゴムと一体になっているナノ制御構造です。

 

ナノテクノロジーは、1980年代に起きました材料革命、ファインセラミックスフィーバーの流れを受け継いだ20世紀末から21世紀への技術革新のキーワードですが、ブリヂストンでは、1970年頃からゴム材料のナノテクノロジーに取り組んでいたように思います。ポリマーアロイの初期の世界的な研究も西敏夫先生始め諸先輩の成果です。このような風土で樹脂補強ゴムの技術開発ができましたので、製品開発というよりも高分子の勉強をしていた印象が大きいです。

 

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カテゴリー : 高分子

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