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2013.03/29 三菱自動車のハイブリッド車問題

三菱自動車はかつてリコール隠しを行い、国内でシェアーを大きく落としそのまま回復していないメーカーである。そのメーカーのハイブリッド車のバッテリーが異常を起こして問題となっている。バッテリーは、ボーイング787のバッテリー問題で有名になったGSユアサのLi二次電池である。

 

原因の分かっていない段階でバッテリーのメーカー名まで明確に公開されてGSユアサも大変だろうと思う。現在のところ原因が不明ならば、バッテリーのメーカー名をふせるべきではないかと思う。自動車部品の問題はまず自動車メーカーの責任である。トヨタはバッテリーの問題が起きたときに必要が無ければバッテリーのメーカー名を公表しない。あくまで自社の責任として対応している。潔い。

 

三菱自動車はランサーエボリューションのような自動車好きには歓迎される車を最近作っているが、かつて一世を風靡したミラージュの復活では失敗している。新しいミラージュは安いだけで魅力の無い車だったから、と言われている。ハイブリッドブームで出した車で今回の問題である。外から見ていると会社の企画部隊に大きな問題がありそうな気がする。

 

トヨタ自動車は、ハイブリッド車を出すにあたり、Li二次電池採用に慎重であった。コストの問題、と思っていたらかつてアメリカで販売したプリウスでバッテリー火災を起こしており、それを扱った論文を見つけた。国内ではニッケル水素電池搭載車が販売されていたが、同じ時期に海外でLi二次電池車が販売されていた、と知って、トヨタ自動車の戦術のうまさに感心した。

 

有機電解質が使用されているLi二次電池に比較してニッケル水素二次電池の方が遙かに爆発リスクは小さいと言われている。このあたりの感覚は実際に開発を担当した人とそうでない人の間で差が大きいと思う。ブリヂストンではいち早くホスファゼン系難燃剤の特許出願を行っている。電気粘性流体用絶縁オイルの技術が生きた。

 

そもそも蓄電池というデバイスはエネルギーを貯めるデバイスなので爆発リスクを抱えている。電解質が水の場合には発熱で膨張するリスクぐらいであるが、有機電解質の場合には酸化して燃焼というリスクを考えなければならない。

 

Li二次電池の特許にはこのリスクの問題回避に関する内容が多い。例えば電解質に難燃剤を添加したり、不燃性のイオン性液体を用いたりする技術が公開されている。GSユアサのLi二次電池も同様の技術を採用しているようで、発火爆発という大事には至ってないようだ。まだそのようなニュースを聞いていない。この点でGSユアサはそれなりの技術蓄積を持っており信頼できるメーカーだと事故の新聞報道を読んだ今でも思っている。

 

一般的に二次電池の事故の場合に二次電池そのものが原因なのか使用方法が原因なのかわかりにくい。リンゴのマークのノートPCのバッテリーが春先に大きく膨らみ始めたので、クレームとして店頭に持って行ったら当方の使用方法に問題があったから有償修理だという。お客さんが悪い、と言うのである。当方はパワーマネジメントの仕組みが悪いと思っているが大人の対応をした。

 

PCを家庭用電源につなぎぱなしで使用してはいけない、と注意書きに書いてある、と言われた。分厚い注意書きだけの冊子など2年前に捨てたので記憶にないが、二次電池のことが分かっていたので素直に納得した。ようするにリンゴのマークのPCのパワーマネジメントシステムでは、過充電対策がされていないのであろう。

 

10年以上前に超薄型のノート、ということで飛びついて購入したら同様の体験をした。液晶で揺れているメーカーの製品だが、二度とそこのPCを購入しないことにしている。これら以外に二次電池の品質問題には何度も遭遇しており、その時対応が良かったのはパナソニックだけである。2年前のバッテリーでも異常の状態を見て無償交換してくれた。パナソニックは信頼できるメーカーの一つである。

 

三菱自動車のハイブリッド車では、まだ原因が解明されていない。ボーイング社の場合には二次電池に問題の無いことを早々と公表した。事故の状態から賢明な処置だと思う。今後三菱自動車がどのような対応を行うのか興味深い。対応の仕方が悪ければお客は二度とそこの製品を購入しなくなる。GSユアサの責任にするのかどうかが注目ポイント。もしGSユアサの責任となればLi二次電池の市場からGSユアサははじき出される可能性もある。GSユアサは日本を代表する蓄電池メーカーである。

カテゴリー : 電気/電子材料

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