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2013.09/09 科学と技術(48:アイデアを出すコツ6)

ヤマナカファクター発見でノーベル賞を受賞された山中博士もKKDを活用していたことをNHKで語っておられた。KKDと明確におっしゃっていなかったが、ヤマナカファクター発見のキーとなる実験は、いわゆるKKDの賜物である。さらに「うまくいくかどうか解らないがやってみた」実験で大きなヒントが生まれている。

 

KKDで行った非科学的な実験でiPS細胞ができたことを確認すると、これまた消去法という非科学的手段でヤマナカファクターを決定している。放送では、このあたりの手順を特許との関係でそれまで隠していたが初めて番組の中で発表した、と述べておられた。おそらく、特許と無関係であっても、テレビ番組でなくては、あるいはノーベル賞受賞後でなければ語れないことだと思う。そうでなければ、非科学的な手法について批判されていたかもしれない。学会だったら高純度SiCの新合成法を発表したときのようにボロクソに言われたかもしれない。

 

ヤマナカファクター発見に至る詳細な手順は以前活動報告でも紹介したが、非科学的ではあるが極めてうまい方法である。まるで弊社のK0チャートとK1チャートを用いたような実験手順で行っている。すなわちK0チャートやK1チャートは非科学的ではあるが、アイデアをひねり出すには良い方法である。山中博士は実験を推進した学生を褒めていたが、K0チャートとK1チャートの扱いを学べばその学生と同じような仕事の進め方でアイデアを出すことが可能になる。

 

アイデアを出すには科学的方法でなくてもよいのである。非科学的な方法でも機能を実現できるアイデアを出すことができればそれを褒めるべきである。産業界ではTRIZやUSITが普及しているが、これは科学的方法でアイデアを出すツールである。当たり前の結果しか出ない、というのは現場の声だが、その原因は科学的に導くからである。科学的に導かれた答で当たり前でない場合には、間違っているか、大発見である。科学の進歩した時代に科学的大発見に凡人が出会う確率は低い。しかし、非科学的方法であればセレンディピティーがうまく機能し、こなした実験の数に比例しその確率はあがる。

 

さらに周囲が「驚くべき」アイデアを凡人が科学的に導くには相当の勉強が必要になるが、非科学的方法であれば、今の実力で充分である。科学的な方法では思いつかないアイデアが浮かぶ確率も、非科学的方法が高い。山中博士も非科学的方法でヤマナカファクターを見つけた。ただしヤマナカファクターを見つけてからは科学的に考察している。ここが大切である。

カテゴリー : 一般

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