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2014.02/26 「混ぜる」と「練る」(混練について)

昨日まで中国のローカル企業を指導しつつ新しい環境対応材料の試作を行ってきた。そこで目が点になる現象に遭遇し、表題の違いを改めて認識した。日本の混練装置を使用している場合には遭遇できない現象と思われるが、それに近い現象を見ても意外と気がつかないのではないか。

 

現象は難燃剤を少し多めに樹脂へ混練していたときに発生した。混練を開始して10分ぐらいしたら難燃剤が投入口の方へ流れてきた。ストランドに火をつけると消火するので練り込まれなかった一部の難燃剤が逆流してきたのだろう。初めての現象である。

 

試作に用いているのは中国製の二軸混練機であるが、この装置は、ただ樹脂を混ぜる機能しか無いように思われる(注)。すなわち低粘度の液体と高粘度の液体の組み合わせを混合するのは難しく、練り込みが行われなければこの2種の液体を均一にすることはできない。

 

「混ぜる」と「練る」とは機能が異なるのだ。難しい理論はともかく、感覚として身につけておかないと高分子の混練実験をうまく進めることができない。ただし混ぜられた材料とよく練り込まれた材料がどのように異なるのか問い合わせて頂きたい。

 

SP値が大きく異なる組み合わせでは、混ぜることすら難しくなる。例えばフェノール樹脂とポリエチルシリケートを無溶媒で混ぜるには、SP値が大きな組み合わせの混合になるため技術を要する。そのノウハウを公開していないのでアルコール溶媒を用いてこの組み合わせの混合を行う研究者は多いが、それでは実用性がない。しかし、技術は無くても溶媒があれば簡単に混ぜることができる。

 

混ぜにくい系を混合する時に溶剤をうまく選択することで問題解決できるのは知られている。その時の溶媒の選択にもSP値が用いられる。樹脂と難燃剤の混練でも溶媒の機能に相当する材料を添加すれば、今回の現象の問題を解決できる、というアイデアが浮かぶ。

 

ただし今回はSP値を合わせた難燃剤を選択しているので一部は樹脂に取り込まれたのであろう。もしSP値のずれた難燃剤を使用していたのなら、もっとひどい状況になっていたのかもしれない。

 

混合も難しいが練りはもっと難しい。しかし、混合を簡単に考えている人が多いのでなかなか混練技術の難易度がうまく伝わらないが、現在多くのポリマーアロイの開発に成功しているのは、混練装置の技術開発が進んでいるからである。ポリマーアロイのさらなる進化のためにはプロセシング開発は重要である。

 

(注)スクリューセグメントは練りを重視したセグメントにしているが、装置のある問題のためこのような現象が発生した、と推定している。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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