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2014.10/19 テーマ依頼

研究開発では自部門で取り扱えない問題を他部門に依頼するケースや、社内の横断的プロジェクトを組んでいるときにテーマ依頼をするケースが出てくる。このときドラッカーが教えるように「何が問題か」を議論したほうが良い。正しいテーマを依頼していない場合もあるからだ。

 

写真会社に転職したばかりの頃、工場から「工程汚染の改善」というテーマ依頼があり、調べたところ毎年依頼されているテーマだった。担当者から説明を聞いたところ、モグラたたきのような状態になっており、対策をとると問題になっていた物質による汚染は無くなるが、他の汚染が新たに発生している、という状態だった。

 

この問題はフィルムの表面処理工場の現場から見れば「工程汚染の改善」だが、本質的には表面処理技術のレベルが低いことが問題だった。ラテックス下引きと呼ばれる表面処理技術では硬膜剤が必要でその硬膜剤が工程汚染を引き起こしていたのだ。

 

毎年の依頼テーマでは、硬膜剤の変更を行うことがルーチン業務になっており、依頼された物質の汚染を0にする成果が出ていた。しかし、翌年には新たな硬膜剤の汚染対策と言う問題が依頼されていた。

 

この問題では、「硬膜剤を使わないラテックス技術の開発」が正しい問題である。担当者から、「それはできない。あなたは技術を知らないから簡単に言えるのだ」と言われた。先月まで高純度セラミックスの技術開発をやっていたので、担当者の指摘は外れていないが、「何が問題か」考えるのは、素人の方がうまく問題を見つけられるのかもしれない。

 

昔から岡目八目と言う言葉がよく言われるがこのことを言っているのだろう。他部門からのテーマ依頼を検討する時に全く関係ない企画部門のマネージャーも加えて「何が問題か」議論するのが良いかもしれない。正しい問題を解かない限り、正しい答えは出ない。

 

「硬膜剤を使わないラテックス下引き技術」は、若手を抜擢し、T大N先生のご指導を仰ぎながら進め、無事開発できた。N先生のご指導も「何が問題か」を考えるご指導だった。硬膜剤の反応という問題を考えるのではなく、レオロジーで解決するという具合だった。またご相談内容も下引きという問題ではなかった。「何が問題か」という問う作業は本質を問う良い質問である。

カテゴリー : 一般

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