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2015.04/04 実験のやり方(3)

否定証明を展開する場合に、実験のやり方が問題になる。過去の科学の成果を用いて論理で展開する場合には、過去の科学の成果の信頼性が問題になる。完璧な真実だけを用いた否定証明だけが正しい結果を導き出す。過去の科学の成果のいくつかは実験で得られたものもあるはずで、それで成果の信憑性が左右されるので、実験のやり方は極めて重要である。

 

ところで技術開発の現場では、どのような実験のやり方が指導されているのだろうか。恐らく多くは科学と同様の方法が指導されているだろう。タグチメソッドの普及で実験のやり方を見直している現場もあるかもしれないが、せっかくタグチメソッドを導入してもその哲学を正しく理解せず、科学の実験のやり方だけで作業を行っている現場もある。

 

これはその哲学と科学の相違点を説明しなかった故田口先生にも責任の一端があるが、科学の時代においてタグチメソッドが科学と異なる哲学とは言いにくかったのだろうし、そのように表現していたらこれほど普及しなかったかもしれない。当方の習ったタグチメソッドは、科学と同様に哲学のカテゴリーに感じた(宗教かもしれない)が、本来は問題解決のための一手法にすぎない。問題解決法の一つとして、さらりと指導すれば、その内在する矛盾、科学的完璧性に欠ける点を解決できたはずである。

 

故田口先生は、基本機能さえ正しく選べばタグチメソッドは正しい結果を与える、と明言されていたが、未だ科学が自然を完璧に記述していない以上、ここまで言ってしまうと宗教のような怪しい哲学になる。宗教では神様に責任を転嫁する場合が多いが、基本機能を選択する責任は技術者にある、とちゃっかり責任を技術者に転嫁されていた。タグチメソッドを使うかどうかも実は技術者の責任のはずで、それをいつも使わなければいけない、というのでは、もはや宗教である。

 

技術開発の現場では、この方法だけでやれ、というのは禁句である。そこでは、ロバストの高い新しい機能を生み出さなければならない使命がある。ロバスト設計にタグチメソッドは必要だが、それだけで技術開発はできない。なぜならタグチメソッドは、技術開発における実験のやり方の一つにすぎず、何か新しいものを創りだそうとする時には、タグチメソッドは使いにくいからだ。但し、それでもうまく活用すると技術開発のスピードと得られる成果のロバストは高くなるシーンもあるので、技術者ならば頻繁に活用すべき実験のやり方の一つだと思っているが。

カテゴリー : 一般

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