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2015.12/23 AVに見るコモディティー化(4)

B&Wというスピーカーメーカーで今年の上期モデルチェンジが行われた。商品のシリーズはそのままで、低価格帯のスピーカーの性能が向上したのだ。高価格帯のスピーカーは従来通りの音を奏でているが、低価格帯のスピーカ-で高価格帯並みの音がする製品がある。
 
このスピーカーメーカーの特徴はツイーターにあり、高価格帯のスピーカーにはダイヤモンドが使用されている。ダイヤモンドが使用されているから高価格というわけではなく、高い弾性率で内部損失の大きい素材ということでダイヤモンドが選ばれているのだ。
 
しかし、パンフレットを読むとダイヤモンドはCVDで形成されたダイヤモンドで、この程度の物性であれば、無垢の金属材料でも実現できそうである。実際に新製品の低価格帯のスピーカーでダイヤモンド並の音を出すスピーカーのツイーターには、アルミニウム振動板が使用されている。
 
当方の耳には、20万円台のスピーカーと60万円台のスピーカーは同じ音色に聞こえる。大変コストパフォーマンスの良い耳だ。しかし、この20万円台のスピーカーと同じ価格帯にある他社のスピーカーとは明らかに解像感が異なる。
 
現在販売されているスピーカーの動作原理は40年前の技術と変わっていない。しかし、スピーカーの性能には形式知で語れない要素があるという。我が家では、ボーズのスピーカーとオンキョーのスピーカーとを組み合わせ4台で音楽を聴いているが、80万円台のスピーカー並みの音がしている(ような気分でいる)。ただし少し音像が大きい不満は残っているがコストパフォーマンスは高い。
 
4台を同時に駆動するのでアンプにはそれなりの負荷がかかる。しかしローテルの20万円台のアンプは十分にその能力を備えていた。オーディオ装置は価格ではないのである。自分の満足する環境を整えるのにずいぶん時間がかかった(注)。しかし、それほどのお金はかけていない。レコードやCD代にはるかにお金がかかった。
 
オーディオマニアではないが、マニアの気持ちはそれなりにわかるような気がする。CDやレコードに記録された音をそのまま聞きたいという願望である。形式知では数値化できない世界がそこには存在する。
 
オーディオ市場はかつてほど大きくはないが現在もそれなりに存在し、生き残っているメーカーの商品には、各社の音の哲学が盛り込まれている印象を受ける。それらは実践知や暗黙知の世界である。
 
(注)おそらく耳の劣化が満足のゴールを引き寄せたのだろう。
  

カテゴリー : 一般

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