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2019.12/02 パーコレーションの制御例

15年ほど前に開発した中間転写ベルトでは、1Ωcm前後の体積固有抵抗を示すカーボンブラック(1次粒子径2nm、比重2)を使用していた。


それを特殊な分散状態(凝集粒子径400nmから800nm)に制御して109ΩcmのPPS製無端ベルトの押出成形を実現している。


出願した特許に書かれているように、凝集粒子径が50nm前後と小さい場合には、押出成形時にパーコレーション転移が安定せず、表面比抵抗の偏差は100倍までばらつく。


この問題解決については、抵抗の低いカーボンをソフトな凝集粒子として分散させて、パーコレーション転移を制御した。


すなわち、凝集状態のパーコレーションと分散状態のパーコレーションの両者を制御する技術を混練で実現しようと設計した。


設計どおりにペレット段階で安定に凝集粒子内でパーコレーション転移を起こした凝集体がパーコレーション転移をしており、その高次構造は押出成形しても変わらなかった。


凝集粒子の体積固有抵抗は、104Ωcmであり、ペレットの体積固有抵抗は109Ωcmとなっていた。この体積固有抵抗の関係は、押出成形されたベルトでも同様だった。


パーコレーション転移を考えるときには、重量分率(w.r.)よりも体積分率(V)で考える。凝集粒子の分散を考えるときに問題となるのは、凝集状態により凝集粒子の比重が変化する。


そこで、カーボンの見かけ比重(カーボン凝集体の比重)と体積分率、重量分率の関係を求めた。

この関係からカーボンを疎な凝集状態で分散させると、同じ重量分率でも体積分率を稼げることがわかる。


また、カーボンの凝集密度を下げれば、すなわち疎にすれば、見かけの凝集体の体積固有抵抗は下がるので、パーコレーション転移が起きたときの大きな抵抗変動を緩和することができる。


すなわち、高い導電性の粒子で引き起こされるパーコレーション転移は、その変動が大きくなるが、低い導電性であれば、パーコレーション転移による変動を小さくできる。


以前開発したシミュレーションプログラムのアルゴリズムを変更し、導電性凝集粒子の凝集状態が変化しながらパーコレーション転移を起こした時のシミュレーション(Wパーコレーション転移シミュレーション)を行った。


このシミュレーション結果から、凝集体の比重が0.5前後で分散し、全体の重量分率が0.1-0.2前後であれば、安定に108-1010Ωcmの体積固有抵抗を示すペレットを製造可能であることが理解できる。


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