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2022.09/05 パーコレーションの理解

高分子材料にフィラーを分散したり、海島構造に相分離する系ではパーコレーション転移が観察される。パーコレーションは、コロナウィルスでも話題になったクラスターが生成する現象である。


絶縁性高分子に真球の導電性粒子を混合してゆくと、体積分率(全体を1)で0.2を過ぎたところから電気抵抗が大きくばらつく現象が観察される。0.25を過ぎると抵抗は4桁以上ばらつくケースもある。


これが0.5を過ぎたあたりから安定な無限クラスターが生成するので導電性も安定化するのだが、0.2-0.5のあたりで急激に電気が湧き出てきたような導電性の変化が生じる。


これがパーコレーション転移である。このパーコレーション転移は、導電性の現象だけでなく力学物性にも観察されるが、導電性の現象に比較して変化が小さいのであまり問題とされていない。


線膨張率や弾性率で観察されるパーコレーション転移については、パーコレーションすなわち浸透理論で議論されず、1990年ごろまで混合則で議論されてきた。


パーコレーションでこのような変化が材料分野で議論されるようになったのはこの30年間のことである。数学的な扱いになると山火事をモデルにして1950年代に議論されて、数学の世界ではn次元の現象まで考察されている。また、その成果はこの2年間ウィルス感染者の予測などでも活かされている。


しかし、パーコレーションと言う現象の数学的理解は材料屋にとって障壁が高い。またその障壁を超えてみても、直接配合設計に活かせないから困る。このような悩みをゴム会社の新入社員時代にしている。


この欄で「花王のパソコン革命」という書籍が出版された時代の笑い話(注)として書いたが、今でいうところのパワハラ上司から業務に用いるマイコンを自分で買うように言われ、年収の手取りで半分近いお金をだしてシステムを揃えた。


それだけお金を出したので必死になってコンピュータでできる仕事を独身寮で模索しながら検討していた。その中の一つのテーマがパーコレーションの簡単なコンピューター実験だった。


(注)今世間でパワハラやセクハラなど様々なハラスメントや性差別の問題が取り上げられ、それらの排除が芸能人まで求められている。かつての職場ではこれらが日常的であり、またそれが家庭的環境と誤解されていた時代があった。当方がゴム会社に入社しその惨状に驚いただけでなく、悩み、その結果転職している。当時上司は絶対的存在であり、ある日、業務中に上司の気分が悪くなったという理由で、上司の車を代行運転し、自宅まで送り届けた出来事があった。当方は着替える余裕もなかったので作業着のスタイルであったが、タクシーを呼んでもらえずバスで会社に戻って仕事をするように命じられている。交通費の請求を先輩社員に相談しているが、会社に請求できないからバスを使うように上司が命じたことを理解できないのかと諭された。同期の友人に話したところ、この程度で憤りを感じるのは甘く、上司の引越しの手伝いでの一コマの話を聞いたが、ここで書いたならば信じてもらえないだけでなく逆にこの欄の信頼性を疑われるようなあまりの出来事であった。そんな時代であっても皆我慢して仕事に励んでいた。香川氏の問題が連日報じられている。皆が道徳的に他を尊重し誠実真摯に生きることが求められている時代なのかもしれない。良い時代である。当方がパソコンを購入しなければいけなくなったいきさつを「花王のパソコン革命」という本の出版で引き起こされた出来事として書いているが、問題として労働組合にでも相談すべきだったかもしれない。しかし身銭を切ったおかげで短期に成果を出すことができ、会社の予算でソード社のパソコンを導入することができた。当時としては珍しく2CPU構成で、漢字出力もできた。プリンターなど周辺機器も揃えて200万円前後と高価だった。しかし、当方のパソコンでは多変量解析やパーコレーションのシミュレーションができたが、このパソコンは薬品管理専用ということで基本OSとBASICだけであり、PIPSも走らなかった。


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カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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