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2023.11/01 樹脂の粘弾性と掃除

樹脂の粘弾性測定を行い、温度分散のグラフを書くと、TgとTmの間に変曲点が観察される。面白いのはこの変曲点で金属に対する接着力がほとんど無くなる現象である。


この現象を知っていると、混練機の掃除が楽になる。混練実験終了後混練機のスクリューとシリンダーを清掃するためにクリーニング樹脂を流すことがお決まりであるが。


たいていは、混練した樹脂よりも低融点の専用の樹脂を使用するのだが、PPSコンパウンドの開発を行っていた時に、このクリーニング樹脂を使用せず、混練実験直後250℃前後の温度領域で清掃をしてみた。


驚くほどきれいに掃除ができたので、担当者にノウハウを指導したところ、最初は不思議そうな顔をして説明を聞いてくれた。不思議そうな顔が怪しい話を聞いている顔に変化したので、いくつか配合の異なるPPSコンパウンドのレオロジー特性を測るように命じた。


頭のいい担当者だったので、すぐに変曲点の存在に気づき、面白いコンパウンド評価法を開発してくれた。詳細をここに書けないが、この変曲点がコンパウンドの品質とも関わっていることを発見して、品質特性の評価法を作ってくれた。


この評価法は、タグチメソッドの基本機能としても使える方法に思われたので、新しく設計したPPSコンパウンドの最適化に使ってみたところ、びっくりする実験結果が得られた。


タグチメソッドではロバストを高めた条件から調整因子を用いて感度をあげる二段階手法となるのだが、ロバストと感度が相関し高くなる、という幸運な実験結果が得られている。一般に感度が高くなるとロバストは下がる傾向の実験結果となる。


18年前の実験結果であり、もう公開しても問題ないと思っているが、ここに詳細を書くにはあと2年待ちたい。これまで、だれか学会で発表するかもしれない、と期待していたが、現場で発見された現象であり、アカデミアでは気がつかない現象かもしれない。

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