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2023.12/06 データの解析力(1)

研究や技術開発において、データの解析力は必須である。この解析力には、二通りの流儀がある。一方、データの採取方法についても同様に流儀がある。


こちらは、業務経験などにも依存するので、何通りも流儀があるかもしれないが、大別すると解析力同様に二通りにまず分けることができる。


すなわち、データの収集法も、解析力も科学的流儀と非科学的流儀の二通りが存在する。ゆえにデータの解析力、と言ったときに4通りの流儀をすべて駆使できる人が、この力において高い能力を身に着けているといえる。


当方は20代にこのレベルに到達した。その結果、担当した業務はすべてアウトプットを迅速に出すことができた。ところが、ゴム会社の研究所では、科学的なデータ収集法で科学的な解析しかできない人が優秀とされた。


マテリアルズインフォマティクスがもてはやされる今の時代から思うと信じられない時代だった。それではそのような優秀な人は、どのような仕事のやり方で研究を進めていたのか。


科学的なデータ収集方法なので、現象から抽出できるすべての機能について調べているわけではない。これが理解できない人が多い。科学的というフィルターをかけた状態で現象からデータを収集し、研究を進めることが現象の一部の偏ったデータ(注)で結論を出そうとしていることに気がつくべきである。


研究所では、さらに仮説を立案できるのは高学歴の人物だけ、という偏見があり、学歴により出世に差がついた。博士ならばすぐに研究のリーダーとして処遇されたが、多くの博士はかわいそうなことになかなか成果をだせず、挙句の果ては否定証明を行って満足している人が多かった。


これは、仮説というフィルターをかけてデータを収集したときに、そこに解決へ結びつくデータが無ければ、すなわち外れのデータばかり収集していたなら否定証明となる。


(注)例えばフローリー・ハギンズ理論に従い、PPS・6ナイロン・カーボンの配合を検討したならば、そこから導き出される半導体フィルムは、紙のように脆いフィルムしか得られない。PPSと6ナイロンが相溶する、というアイデアは非科学的であるが、このような非科学的アイデアで研究を進めた時だけ、実用性のある高靭性の半導体フィルムを製造可能である。非科学的ではあるが、技術として成立し、それを応用した商品は18年経ってもトラブル無しで稼働している。これも実話であるが、次回は優秀な博士2名とその他高偏差値大学のスタッフ数名が1年かけて科学的フィルターによりデータ収集し、否定証明を展開した40年近く前の実話を紹介する。科学というフィルターが技術の可能性を狭めていることに気がつかない人は多い。科学は研究開発に大切な哲学であるが、それが技術の可能性を狭めるように活用してはいけない。トランスサイエンスの時代に科学ハラスメントに至っては言語道断である。

カテゴリー : 一般

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