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2024.02/20 問題を解く前に

問題を解くためには、まず正しい問題が設定されねばならない。これをよく理解できていない人が多い。目の前に見えている問題について、鬼の首を取ったように解説している人がよくいる。


それが正しい問題ならば、尊敬もされるだろうが、正しくない問題について解説されても迷惑な話となるだけでなく、それを聞いているのは時間の無駄にもなる。


ドラッカーは、正しい問題設定がなされたならば、それでまず問題の80%は解決できたといえる、と著書の中で述べている。これは名言かつ至言である。


正しい問題が設定されたら、次にどうするのか。いきなり、解き始めてはいけない。まず、その問題をよく理解するように努めなければいけない。


「電気粘性流体を封入できる、加硫剤も添加剤も入っていない実用的なゴムを開発せよ。」と本部長が交代した時に命じられた。住友金属工業とのJVが前本部長の時に立ち上がり、一人で半導体用治工具に使う高純度SiCの事業化を担当していた時である。


命じられた問題が正しいのかどうか考えた。「電気粘性流体の耐久性問題を界面活性剤で解くことができない。」という科学的に完璧な否定証明がなされて出てきたテーマだった。


トランスサイエンスが雑誌サイエンスに登場してから数年たっていた。イムレラカトシュの否定証明に関する論文が話題になっていた時である。


まともな科学者ならば、このような科学の潮流に敏感になるべきである。欧米では話題になっても、科学が唯一の哲学と信じる科学者が多い日本では、2007年になってようやく話題となっている。


当方は否定証明の誇らしげなプレゼンテーションのメモを見直し、データサイエンスにより一晩でこの否定証明をひっくり返した。


当方の見出した界面活性剤を添加した電気粘性流体は、汎用ゴムで封入することができた。耐久性も問題なく、さらに当方の開発した傾斜組成の粉体で性能は安定した。


ドラッカーが言っていたように、正しく問題を設定することが大切である。電気粘性流体の耐久性問題は、科学的に正しくてもそこから導かれた間違った問題が存在する良い事例(実話)である。


ドラッカーは、「しばしば優秀な人が成果を出せないのは、間違った問題を正しく解いているからだ。間違った問題の正しい答えほど害があり迷惑なものはない。」とも述べていた。


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