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2025.02/27 混練プロセス

コンパウンディングの難しさについて、品質問題を経験しないと気づかないのではないか。少なくとも20年前はそのようだったが、この数年間に受けた幾つか質問の中にもコンパウンディング技術を軽く見ていると思われる質問がある。


どの技術も難しさを秘めているが、コンパウンディングプロセスでは100点満点の状態について見えにくいところが他の技術と異なる。すなわち、成形プロセスでコンパウンドの出来具合を評価して初めてコンパウンドの完成度が分かる、という難しさである。


動的粘弾性の測定でもわかる、という人がいるが、それは成形体との相関関係が分かってはじめて明らかになる。


カオス混合に成功した時に悩んだのは、その混練効果をコンパウンド段階で示す評価方法についてだった。レオロジーの知識から剪断速度依存性は一つの尺度とわかっていたのだが、カオス混合を行ったコンパウンドはそれが小さくなっていた。


しかし、コンパウンドの用途が電子分野であった。押出成形で半導体無端ベルトを製造した時に、その抵抗ばらつきが小さくなるようなコンパウンドとはどのような評価を行えばよいのか。


一つはコンパウンドのインピーダンス測定があったが、これはカーボンの添加量のばらつきを管理するのには役立った。しかし、この値だけでベルトの抵抗の偏差の大小をコンパウンド段階で品質保証できなかった。


いろいろ試行錯誤を繰り返し、ある条件で動的粘弾性を測定すると、得られたパラメーターが、電気特性の偏差と相関することを発見した。すなわち、力学特性と電気特性に相関がみられるという驚くべき結果だった。


PPS中間転写ベルトのコンパウンド工場を3か月で立ち上げているが、一番悩んだのが、このようなコンパウンドの品質管理方法だった。この発見で成形歩留まりが100%となるコンパウンド生産が可能となった。クレーム0のコンパウンド技術を開発したのである。

カテゴリー : 一般 高分子

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