2026.05/04 研究開発プロセス(16)
課長のマネジメントにより研究開発プロセスが影響を受けるのだが、そのマネジメントの多くは研究開発部門の常設会議を意識して行われるので、研究開発プロセスは常設会議に左右されるとみなせる。
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常設会議の中で、研究開発部門に存在する入力と出力に位置する会議は、重要で研究開発部門の戦略を決める。すなわち、研究開発部門のリーダーが、企業の事業にどのように貢献するのか熟慮した結果が研究開発プロセスに影響すると言える。
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例えば、ゴム会社で当方が仕えた3人目のリーダーは、アメリカのタイヤ会社買収を受け、社長から出された買収先とのシナジーを生み出す研究開発方針により、電気粘性流体を研究開発部門の最重要テーマとして設定した。
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それを当時担当していた課長は、否定証明により、界面活性剤で電気粘性流体の耐久性問題を解決できないという報告書を提出し、加硫剤やその他の添加剤を含まないゴム開発という新規テーマ企画を企画会議で研究開発部門のテーマとして認めさせた。
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この非常識な企画を、当時の社長が認めていた住友金属工業との高純度SiC半導体治工具事業を一人で担当していた当方に依頼してきたのである。この理由は、当時の研究開発部門でゴムの混練に詳しい担当者は当方しかいなかったからである。
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他の研究開発部門のゴム技術者や研究者は、買収した企業へ皆出向していた。状況を理解した当方は、データサイエンスを用いて電気粘性流体の耐久性問題を一晩で解決したのである。
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原因は、電気粘性流体の耐久性問題を界面活性剤で解決できない、という否定証明された報告書の生データを課長に見せて欲しいとお願いしたところ、社外との共同研究テーマのため見せられないと言ってきたからである。
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そこで、当方は耐久劣化した電気粘性流体と界面活性剤のカタログを見せていただきたい、とお願いしたところ、この課長は廃棄処理に困っていた電気粘性流体の耐久劣化サンプルを当方が一人で使用していたファインセラミックス研究棟に運び込んだのだ。
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カタログも廃棄処理書類と一緒にファインセラミックス研究棟をゴミ箱と見なしたかのように放置していった。あまりにもひどいやり方だったので、当方は一晩で結果を出す研究開発プロセスを戦術として選んだ。その戦略は「完璧な科学の方法による否定証明をデータサイエンスを用いて一晩でひっくり返す」。
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その結果取られた研究開発プロセスは科学的プロセスではなく、データサイエンスで問題解決手段を選び、運を天に任せて実験するプロセスだった。
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カテゴリー : 一般
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