2024.09/26 樹脂成形体のべたべた感
長期間使用せずに放置していた製品が、ある日触ってみたところべたべたしていて気持ち悪くなった経験があるかもしれない。
これは、弾力のある成形体でよく見かける現象である。昔は、ゴムと言えばすべて加硫ゴムであったが、今はTPEと呼ばれるゴムと樹脂のハイブリッド材料が多く使われている。
加硫ゴムでも設計が悪ければこのべたべた感の原因であるブリードアウト現象が起きるが、TPEでは高分子と添加剤の溶解性を考慮しても、ばらつきをもって発生する。
すなわち、TPEでは同一ロットにおいて、ブリードアウトの進行スピードが大きくばらついている。この点を理解していない、あるいは見落とす技術者が多い。
TPEと加硫ゴムでは何が異なるのか一言で表現するのは難しいが、みかけの溶解度が高い、あるいはゴム分子のネットワークの隙間が多い、と科学的ではない理由で納得していただきたい。
実際には、配合設計において加硫ゴムではフィラーとしてカーボンを多量に入れるが、TPEでは少ないか全く添加しない場合もある。このフィラーも溶解性に影響を与える。
カテゴリー : 一般
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