2024.10/04 成形トラブルと混練
射出成形では、事前に成形条件を検討しても、量産時にトラブルが発生する。トラブルの原因はいろいろあるが、混練のばらつきによる場合が多いことを知らない人がいる。
射出成形について研究していたある学者に、射出成形という学問の目標は何か、と伺ったら、どのようなコンパウンドでも射出成型できる技術を創り出すことだ、とすごい答えをしてくださった。
この答えのどこがすごいのかというと、明らかに不可能な目標だからである。また、企業の射出成形担当の職人に聞いても同様の回答をされたので、それは間違っている、と正している。
コンパウンド起因でトラブルが起きているのに、時間をかけて射出成形条件を量産段階で検討されたのでは、費用の無駄使いである。
金型温度のばらつきやシリンダー温度のばらつき、湿度のばらつきでも射出成形のトラブルは発生する。それで射出成形プロセスでは、温度や湿度を管理している。
それらの管理を充分行っても、射出成型プロセスではエラーが発生する場合がある。それはコンパウンドが大きくばらついているからである。
コンパウンドのばらつきは、コンパウンドの組成に依存する。例えばPC/ABSのような複雑なポリマーアロイでは、ばらつきやすく、射出成形でエラーを発生しやすい。
射出成形条件を検討しても絶対に解消できないエラーにフィルミングあるいはテープ剥離と呼ばれているトラブルがある。これは、成形体に粘着テープを貼り付けると、一部が薄膜としてはがれるエラーである。
ひどい時には、金型を汚染し、毎回金型の洗浄を行わなければいけない状態になる。これは、混練が不十分なために組成が不均一になっていて発生している。詳細は弊社に問い合わせていただきたい。
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