2016.09/13 築地市場移転問題における盛土疑惑
築地移転問題について、WEBでは賛否両論である。高額な費用が発生する恐れがあるのに、何故小池知事は延期を決断したのか。それは環境問題の本質を知事は分かっているからである。
環境問題は、現在の福島原発の事例を見れば分かるように、問題が露見したときに天文学的な費用が発生する性質がある。すなわち、ここで延期することにより費用が発生したとしても、問題を抱えたまま将来に負の遺産として残すことに比べれば経済的なのである。
そこへ盛土の問題が出てきた。すなわち、本来盛土がされているべき所に盛土がされていなかった。ものすごく大きな問題であるが、WEBには、下記説明を掲げ、小池都知事のヒステリーと説明している人がいる。
以下はその記事の一部をそのまま抜粋したものであるが、この「頭の良い有識者」の見当違いを書くことになるので名前は伏せる。さらにこの人は間違った問題設定に対する自分の答えに酔って舞い上がっていて、かなり恥ずかしい。ただし、正しい問題がわからない人には受けるのかもしれない。
1) 07年5月(準備会合は07年3月)から08年7月にかけて、親会議である平田座長による「土壌汚染対策専門家会議(以下、専門家会議)」で2mの土壌入れ替えを行い、2.5mの盛り土を行うことを公開で決めた。
2) この専門家会議の結論を実施する子会議の「技術会議」(実施・施工会議)において、08年8月から14年9月までの期間に設置されていたが、なぜか地下水のモニタリングや汚染物質の遮蔽のため建物の地下に約5mの空洞を置く工法を決めて施工した(もちろん汚染土壌は2mから2.4m除去)
3) この子会議の結論は、すでに親会議である専門家会議が08年7月で解散していたため、子会議の議事として満了し、親の専門家会議には報告されなかった(だって解散してるから)。
4) その専門家会議の資料を見た「外部有識者」が、建築終了後の図面を見て「建屋の下に盛り土があったはずだ! 安全性が問題だ!」と小池百合子女史に近しい某氏に焚き付ける。実際、概要の図面自体は盛り土の上に建屋があるように見える。
5) 話を聞いた小池百合子女史、無事ヒステリー発症。都職員に推移の確認をきちんとすることなく記者会見に突入し、カーニバル発生。
以上は、WEBに載っていた記事からそのままコピー&ペーストしたものである。批判ではなく「これは、頭の良い人が成果を出せない事例」として用いるので出典は伏せる。但し繰り返すが上記の部分は当方の見解ではない、頭の良い人が問題設定を間違えた恥ずかしい事例である。
この筆者は、以上の説明をして、盛土問題を大した問題ではないのに小池知事がヒステリーで騒ぎ、経済的損失を大きくしている、と述べているが、そもそも都職員が上記経緯はもちろん,盛土を行わず空洞にしていたことまで都民に説明していないことが大問題なのだ。
また、上記説明には環境問題の心配が無いという証拠についてどこにも書かれていない。上記説明は、盛土をせずに地下を空洞にして建設した経緯を述べているに過ぎず、小池知事が問題としている、「都民の食の安全安心」について疑問を払拭できる内容を何も語っていない。
「間違った問題を正しく解いてもそれは正しい解を導かない」とか「頭の良い人が成果を出せない」とか故ドラッカーはその著書で「頭の良い人の問題」を指摘している。ここは、愚直に正しい「環境へ影響を与える問題」を探すことが重要である。
「安全、安心」の問題は、「絶対的正解を出すことが難しい問題」である。福島原発の問題で国民がおとなしくしているのは、優秀な原子力科学者達に騙されてしまったからである。皆が納得して問題が起きた以上あきらめなければいけないので、黙っているだけである。頭の良い人が間違った問題に対して素晴らしい答えを導いたとしても、設定された問題が間違っておれば素晴らしい答えも役に立たない。11月の講演ではこの辺りも講義する。
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