2019.05/05 無気力解消法
10連休もそろそろ終わりで、7日からは仕事である。若いときに長期の休みで突然無気力に襲われたことがある。体調は悪くないのに、何もやる気がしない。
アルバイトは、高校生を指導していたので、無気力感に鞭打ってとにかくこなした。しかし、翌日はごろごろするだけである。自分でも無気力の原因がよくわからない。
そのうち1週間過ぎてアルバイト以外何もやっていなかった自分に気がついた。食べると寝る、アルバイト以外は何もやっていなかったのだ。漫画本さえ読んでいないし、TVも音楽も娯楽さえしていない。
おかげで無気力というものがどのような状態かを理解できた。将来の夢もあったのだが、現実が分かってくると夢は夢、と考えるようになっていた。
まさに映画「卒業」に出てきたダスティンホフマン演じるベンジャミンが、うつろな表情になっていた状態なのだが、彼のようにエレインが現れてくれることを期待できない日常だった。
とにかく自分でこの無気力状態を脱しなければいけない、と意を決して一眼レフカメラを買った。中学時代の同級生がカメラ店に就職したので、勧められるままペンタックスの最新カメラを購入した。
半年前には楽器店に就職した同級生が訪ねてきて勧められるままギターを買ったばかりだった。無気力状態では、このことも忘れていた。
フィルム代を気にせず、とにかくスナップ写真を撮ってみた。川岸の花々も撮ってみた。目的もなく感じるままにシャッターを切っていたのだ。
写真が出来上がってその金額に驚いたが、現像された写真を見ながら、生きている今を感じることができた。それ以来、無気力感に陥ったら、カメラを持って外に出てみる。これが無気力解消の一つのルーティンになった。
写真の良いところは、とりあえず誰でもカメラさえ持てば、画像を現実から好きなように切り取ることができる点である。切り取られた画像は良かれ悪しかれその時の自分が選んだ現実である。インスタが流行するのも理解できる。
ギターは、スキルが向上しなければ楽しめないが、写真は当時すでにピントさえ合わせればそこそこの写真が撮れるカメラが売られていた。
絞り優先かシャッター速度優先か、TVや雑誌で騒がれていたが、どちらでもよかった。それよりも一眼レフは、ファインダーの性能が重要だ。ペンタックスのファインダーは当時からよくできていてピントの山が分かりやすく、ピントの失敗が無かった。
どれほど無気力になっても、動作が簡単な写真を撮る作業は可能である。無気力状態で撮影された画像でも、それなりの意思が現れているから不思議だ。これは写真の面白さの一つだろう。
無気力になってもやれることを一つ持っていることは大切で、それを手掛かりに気力を取り戻すことが可能だ。脳内分泌物が出る様な刺激が重要と、最近の脳科学は教えるが、恐らく当方における写真は脳内分泌物のバランスをとる役目をしているのだろう。
カテゴリー : 一般
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