2020.06/21 音工房Z新作スピーカー
昨日朝早く、音工房Zへ同社で購入したキットスピーカー組立品(音友ムックのスピーカーに同社のキットを組み合わせたスピーカーで以下当方組立品)を持ち込み、B&Wと同社の新作スピーカー(Z1-Livorno)との比較視聴を頼み込んで行うことができた。
持ち込み比較は行っていないと最初断られましたが、朝一番の客、ということで同社のブラインドテストを予定時間より早めに終了して、キット組立品との比較をさせていただいた。
ただし、このブラインドテストでは、B&Wのスピーカーと同社の新作スピーカーとの比較だけである。驚いたのは10曲比較視聴によるブラインドテストで9曲について同社の新作スピーカーを選んでいた。
これは無理に頼み込んだお礼のため、忖度して良いスピーカーとして選んだのではない。難しいブラインド比較の中で違いを聞き分け、当方の好みとして選んだのだ。
このブラインドテスト後、当方組立品との比較視聴をしてみたが、確かに、新作スピーカーは、2WAYとしてバランスの取れた良好なスピーカーだった。
当方組立品は、フルレンジ一発の明瞭さがこのスピーカーに勝っていたが、低域の量感については新作スピーカーに負ける。
新作スピーカーも当方組立品も、スペックで書けば、低い方の周波数特性は50Hzとなるのだが、新作スピーカーの低域は、質も量もよかった。
ただ当方組立品と比較すると、フルレンジ一発の長所としてよく指摘されている表現になるが、音の新鮮さ明瞭さが欠けるという評価になる。
しかし、B&Wと比較すれば十分に明瞭である。B&Wの優れたところとして、音の明瞭な点がオーディオ雑誌に良く指摘されているが、この明瞭さというのは、実は曖昧な評価である。
当方が表現したい明瞭さとは、例えばオーケストラを聞いたときに、楽器の位置が良くわかるかどうかである。音像定位とも言われたりする。
音響効果の悪いコンサートホールで生演奏を聴くとオーケストラは音の塊となる。これは安価なスピーカーに近い聴こえ方である。
しかし、音響効果の良い、例えば筑波学園都市にあるノバホールのようなところで聴くと、第一バイオリンや第二バイオリンなどがきちんと分離される。
B&Wもこの意味で明瞭なのだが、新作スピーカーは、前後間の関係が見えるような響きである。これがフルレンジ1発になるともっと明確となり、音像定位だけは100万円をこえるB&Wに迫るものがある。
年を取って耳が悪くなってもこの明瞭な音像については聞き分けることが可能で、どうしても良いスピーカーというと楽器が見えるかどうかという観点で選んでしまう。
新作スピーカーは久しぶりに購買意欲が湧くようなスピーカーだったが、残念なことにキット品と完成品では、同じスピーカーパーツを使いながらも聞こえ方が少し異なり、キット品はB&Wに近くなる(説明ではネットワークが異なる、とのこと)。
どうせなら十分に良くなるキット品を購入したい。完成品には作る楽しみが欠けている。趣味の世界では、自分のわがままを十分に満たし満足したい。
友人は100万円をこえるB&Wを購入して満足している、と言っていたが、お金では決して満たされない世界が、「自分で作る」キット(注)にはある。そして、キットで自分の満足できる世界が現れたのなら、大変幸せである。
多目的トイレの楽しみを当方は理解できないが、おそらくキットを組み立てて苦労して自分の満足な世界を得る楽しみなどアンジャッシュ渡部建氏には理解できないだろう。
趣味について他人に必ずしも共感されるとは限らないが、たとえ共感されなくても恥ずかしくない趣味を楽しみたい。
オーディオは、趣味として絶滅危惧種の一つである。しかし、音の再生を電気信号の変換で行う限り、理想的なスピーカーは永遠のニーズとして残る。生ビールでさえ好みが分かれるのである。電気信号を変換して誰もが良いと認める生音を再生する技術が容易に完成するとは思えない。音工房Zのような取り組みは面白い。
(注)可能ならば自分で0から設計し、材料を買ってきて切るところもやりたいが、そこまでオーディオの趣味に時間を割けない。オーディオよりもやりたいことがあるので、スピーカーなど組み立てている時間など無いのだが、音工房Zのキットはそこそこ作る楽しみを味わえる。
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