2021.02/19 見えない市場
1980年ころまで各企業の研究開発はシーズ指向で行われてきたが、その効率向上を狙いマーケットインで行われるようになって現在に至る。
しかし、情報化社会の進展で情報が溢れるようになって加速された技術開発により、先端技術市場で活動している企業以外では新興マーケットの状況が見えにくくなっているのではないか。
ただし、これは今に始まったことではなく、マーケットインが叫ばれていた時にも同様で、見えていたマーケットをターゲットに技術開発してみてもその市場で勝者になれず痛い思いをした経験のある企業は多いと聞く。
当方はゴム会社で半導体治工具の市場をターゲットに低コストの高純度SiCを武器にエンジニアリングセラミックスの開発を始めてみたが、参入が早すぎてお客さんがいなかった経験がある。
6年間迷走のあげく住友金属工業とJVを立ちあげてみて分かったのは、先端マーケットのニーズはそれ自体がお客さんの機密事項だった事実である。
換言すれば、お客さんが門を叩いてくれなければ見えない市場があるということだ。特許情報から1年半遅れでこのような市場を知ることもできなくはないが、現代の技術進歩が加速している時代においては1年半後に知っていては手遅れである。
1年半の遅れを取り戻すためにアジャイル開発は有効な方法となるが、ソフトウェアー以外の分野ではあまり採用されていない。ご関心のある企業はご相談ください。
カテゴリー : 一般
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